| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

ブルーラブ

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第七章

「それでよ」
「子供も出来たっていうのね」
「そうなったわよ」
「それはね」
「あんたと界人にはないっていうのね」
「むしろ千夏が言うみたいに」
「どんどん進むっていうのは」
 千夏は自分から言った。
「ないっていうのね」
「そうよ、というかそんなどんどん進むって」
「信じられないのね」
「小説や漫画じゃないから」
 だからだというのだ。
「そうしたことはないから」
「そうなの」
「千夏は違ったみたいだけれど」
「静かな恋愛ね」
「静かだと駄目なの?」
「そう言われるとね」
 くすりと笑ってだ、千夏は愛衣に返した。
「別にね」
「悪くないのね」
「恋愛は人それぞれだから」
 それ故にというのだ。
「それもいいでしょ、それにね」
「それに?」
「愛衣と界人君らしいわね」
 こうも言ったのだった。
「奥手で」
「私達らしい」
「そうした恋愛がね、じゃあこれからも頑張ってね」
「頑張ってはいるわ」
 愛衣もこのことを否定しなかった。
「私なりに」
「そして界人君なりに」
「頑張ってね」
「そうしましょう」
「それじゃあ」
 こうしたことを話してだ、そしてだった、
 実際にだ、愛衣は界人とゆっくりとしたかつ静かな恋愛を進めていった。そして交際しはじめてだった。愛衣が遂に女性の年齢の運命の歳になってだった。
 婚姻届を出した、千夏はその話を聞いて彼女に笑顔で言った。
「おめでとう」
「ええ、何とかね」
「結婚出来たわね」
「これから同居してね」
「一緒に暮らすのね」
「そうしていくから」
 まさにというのだ。
「ずっとね」
「そうよね、ただね」
「ただ?」
「大変なのはこれからだけれど」
 結婚してからというのだ。
「特にね」
「子育て?」
「出産とね、大変よ」
 経験者としての言葉である。
「凄くね」
「やっぱりそうよね」
「だからね」
 それでと言うのだった。
「そのことはわかっておいてね」
「うん、それと」
「それと?」
「やっぱり今も思ってるの?」
 愛衣は千夏に尋ねたのだった。
「私達のこと」
「静かだって」
「そう思ってるの?」
「まあね、色にしたらね」 
 ここでだ、ふとだった。
 愛実は博物館の事務所、今彼女達がいるそこから外を見てだった。そこから見える花壇のチコリのその花を見て言ったのだった。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧