| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

ナルキッソス

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第二章

「山の景色を楽しんでいます」
「そうなのですか」
「この山はとても奇麗なので」
「そうですね、特にです」
 ナルキッソスもこの山のことを知っている、それで少女にこう話した。
「頂上に登るとです」
「山のですか」
「はい、その頂上から観る景色がとてもいいのです」
「そうなのですか」
「どうですか、これからです」
「山の頂上まで言って」
「はい、景色を観ませんか」
「頂上まで、ですか」 
 そう誘われてだ、少女は難しい顔になった。そのうえでナルキッソスにこう答えたのだった。
「この辺りはよく来ていて知っていますが」
「頂上まではですか」
「まだ行ったことがなくて」
「そうですか、では案内させて頂きます」
「貴方が」
「はい、そして観ましょう」
 山の頂上から観る景色をというのだ。
「そうしましょう」
「それでは」
「はい、今から」 
 ナルキッソスが誘ってだ、彼は少女を羊達を連れたまま山の頂上に案内した。そこから周りの山々、下から見える街や道、平野や川を見せた。
 そのうえでだ、少女に対して尋ねた。
「どうでしょうか」
「はい、何か」
「何かといいますと」
「夢みたいな」
 こうナルキッソスに答えた少女だった。
「とても奇麗で」
「この山はあそこも小川も奇麗ですが」
「森も」
「ですがここから観る景色がです」
 何といってもというのだ。
「奇麗で」
「そうですね」
「私はいつもこの山に来たらここに登っています」
「そうですか」
「よかったらまたです」
「案内してくれますか」
「はい、貴女がよければ」
 こう言うのだった。
「そうさせて頂きます」
「そうですか、ではお願いします」
「是非、それで貴女の名前は」
 心の中からそうしたくなって自然にだった、ナルキッソスは少女に問うた。
「何といいますか」
「エコーといいます」
 少女は静かな声で名乗った。
「そういいます」
「エコーですね」
「はい」
「私はナルキッソスといいます」 
 ナルキッソスも名乗った。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧