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トリコロール

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第一章

                 トリコロール
 宮崎綾は小さな垂れ目に大きめの鼻と口、白い肌とやや長いホームベース型の顔をしている。細い癖のある髪をショートにしている。高校生だ。
 すらりとしたスタイルで背は一五三程だ。紺のブレザーとミニスカート、白のブラウスと赤いネクタイの制服がよく似合っている。
 その彼女がだ、クラスでクラスメイトの明坂明日香からこう言われた。
「いや、そのファッションがよかったのね」
「お姉さんと一緒に観た、タコスの」
「トスカね」
 明日香はそこを訂正させた。黒髪をショートにしてい目は奥二重で可愛い感じだ、黒のところが多く眉は細い。奇麗な肌をしていて鼻と唇の形もいい。髪の毛から出ている耳の形もいい。背は一五九程だ。
「そこ最重要だから」
「トスカね」
「そう、お姉ちゃんが歌劇とか宝塚好きで」
「それで家にブルーレイもあって」
「たまたま一緒に観ていたら」
 それでというのだ。
「主役の一人だったプラシド=ドミンゴの服がよかったのよ」
「そんなになの」
「ええ、青いコートにね」 
 まずはここから話した明日香だった。
「白のブラウスとズボン、赤いアスコットタイよ」
「青、白、赤ね」
「これわかるでしょ」
「オランダ国旗の色ね」
「フランスね」
 また訂正した明日香だった。
「ここも重要だから」
「配色同じじゃない」
「けれどフランスだから」
 この場合はというのだ。
「何でもその歌劇フランス革命と関係あるらしくて」
「フランスなのね」
「そうよ」
 そちらだというのだ。
「それでその衣装がよかったのよ」
「青、白、赤の」
「衣装のデザインも配色も色の感じもね」
 そうしたものが全てというのだ。
「とにかくよかったの」
「それでなのね」
「私も着てみようかしらってね」
 この考えをだ、明日香は綾に話した。
「思ってるのよ」
「じゃあしてみたら?」
 綾は明日香にあっさりと返した。
「してみたかったら」
「否定しないの」
「何で否定するのよ」
「いや、こうした時はよくね」
 明日香は綾に明るく返した。
「何馬鹿言ってるのよって」
「そう言うっていうのね」
「お約束の展開でしょ」
「お約束とか知らないから」
 これが綾の返事だった。
「人のファッションに文句を言う趣味はないから」
「だからなの」
「言わないから」
 綾は明日香にあらためて話した。 
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