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提督はBarにいる。

作者:ごません
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EX回:7 鎮守府の秋祭り~当日編③~

 少し違和感を覚えつつ、巡回を続けるが、屋台に関しては然したる問題は無かった。黒潮と浦風が真のお好み焼きで張り合ったり、駆逐艦の娘達に声を掛けようとしていた如何わしいお兄さん達が憲兵さん達に連行されていたり、天龍が金魚すくいの屋台でチビッ子に囲まれてワタワタしていたりと、割りと日常化した光景だった(特に天龍)。

 しかし、歩き回っていると腹が減ってきた。さて、そろそろ何か食べようかと思案していたら、目の前の屋台に凄い人だかりが出来ている。しかも、野郎ばっかり。さぞかし食べ応えのあるメニューなのだろう。

「大淀、少し待ってろ。今買ってくるから。」

 その人だかりを掻き分けるようにして行くと、

「あらぁ♪提督、いらしてくれたんですねぇ♪」

愛宕と高雄が隣り合ってチョコバナナとフランクフルトの屋台を出していた。まぁ、それは良いよ。ただ、問題はその服装だ。

「なぁ愛宕。1つ聞いていいか?」

「なんでしょう?」

「何でお前らは水着で商売してんのぉ!?」



 そう、愛宕と高雄は何故か水着姿。いや、正確には上半身はどちらも普段の制服をイメージした青いビキニだが、愛宕はデニムのホットパンツ、高雄はパレオ風のスカートを巻いていた。

「ん~?暑いから?」

う~ん、と悩むように腕組みをして人差し指を顎に当てる愛宕。その仕草でナニがとは言わないがギュッと寄せられ、どたぷんと揺れる。周りの男達が一斉に生唾を飲み込むのが聞こえる。嗚呼、男の性よ(泣)。

「というか、高雄までそんな格好……。」

「だっ、だって暑いんだもの!そ、それにこっちの方が売れ行き良いし……。」

 出店ブースの艦娘は、機材料と設備費、そして材料代以外は自分のポケットマネーになる。その為、どの艦娘も真剣に商売している。確かにこの爆裂ボディでフランクフルト売ってたら、男ならイケナイ妄想しちゃうわな。悲しいけど、これ本能なのよね……。

「ぱんぱかぱ~ん、チョコバナナとフランクフルト、各30本ずつ出来ましたよぉ♪……食べるぅ?」

 食べりゅうううううぅぅぅぅっ!と、周りの男達が野獣のように食い付く。まぁ、これも商売のやり方の1つだし?

「ま、まぁ怪我人とか出さねぇように気を付けろよ?」

「はぁ~い♪じゃあ提督、毎度ありがと~。」

 俺はフランクフルトとチョコバナナを2本ずつゲットし、大淀の所へ戻った。すると、しきりに首を傾げている大淀。

「どうした、トラブルか?」

「いや、あれ……。」

 大淀の指差した方を見ると、たこ焼きの屋台で龍驤が鬼の形相でたこ焼きを焼きながら何度も千枚通しを突き刺している。

「巨乳なんぞ…巨乳なんぞ……」とか、「貧乳はステータスや…希少価値なんや……」

 とかブツブツ言いながら、大量のたこ焼きを捌いている。

「……………………大淀、何も触れてやるな。それがヤツの為だ。」

 俺はそれだけ言って、その場を後にした。



 フランクフルトとチョコバナナだけでは、流石に昼食には物足りない。

「おお、提督よ。デートか?」

 おいおいまたか、と声の主の方を見ると、ハンバーガーを片手にパティを焼く武蔵?の姿が。普段の服装にプラスして、野球帽とどっかの刑事がかけてそうなサングラスを掛けている。恐ろしく似合ってない。

「おい、それ商品だろ。食っていいのかよ。」

「あぁ、私は儲けなど度外視でやっているからな。」

 話を聞くと、以前市街で佐世保バーガーの店を見つけて熊野や鈴谷、赤城等と連れ立って食べに行ったらしい。そしてその店の味に惚れ込み、以来その店のオヤジに頼み込んで作り方を教わっていたらしい。そして今回、屋台に出店するという事で、その店の味を提供しようという考えに至ったらしい。

「それに焼きながら味のチェックをしていれば、私は満足だしな。レーベ達が差し入れにビールを持ってきてくれるし。」

 そう言いながら、武蔵は傍らに置いてあったビールに手を伸ばし、ゴキュゴキュと喉をならして瓶ビールをラッパ飲みしている。

「あぁそうだ、提督も食べるか?美味いぞ?」

「お、そうだな。なら貰おうかな。」

「毎度。では、メニュー表からサイズを選んでくれ。」

メニューを見ると、ハンバーガー1種類とサイドメニューだけだが、バーガーのサイズが艦種になっている。成る程な、これは鎮守府らしくて面白いかもしれん。

「小さい順に…潜水艦、駆逐艦、軽巡、重巡……ははぁ、燃費によってサイズがでかくなるのか。」

「そうだ、中々ユニークだろう?」

「一番デカいのは……『大和型スペシャル』か。完食した奴いるのか?」

「あぁ。まずは私だろ?姉貴だろ?……あぁ、二航戦コンビは1人1つ頼んで撃沈してたな。後は…そうそう、赤城が完食してたぞ。」

「赤城が?」

 またそこで、俺は違和感を感じた。普段の赤城は二航戦コンビよりも食べない、というよりも食えない。とてもじゃないがあの胃袋ぶっ壊れコンビが返り討ちに遭うようなメニューを完食出来るとは思えない。

「で?どうするんだ。サイズは?」

「あ、あぁ。じゃあ、大和型スペシャルと、ポテト1つ。」

 再び違和感を感じながら、俺は武蔵に注文した。 
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