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オズのビリーナ

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第三幕その七

 暫く歩くとジンジャー将軍のお家が見えてきました、トロットはそのお家を見て微笑んで言いました。
「前に来た時と変わらないわね」
「ええ、そうね」
 ガラスの猫が応えます。
「このお家もね」
「一緒ね」
「お家も果樹園もね」
「変わっていないわ」
「そうよね」
「前に来た時は将軍ご主人にあれしてこれしてだったけれど」
「所謂かかあ天下だったわね」
 まさにそうだったのです、猫達から見て。
「そうだったけれど」
「そうよね、だから今もね」
「そうだと思うわ」
「将軍がご主人にあれこれと言ってる」
「そんな状況ね」
「あれだけ言われてご主人平気なのかしら」
 ガラスの猫はご主人のことを思って首を傾げさせるのでした。
「どうなのかしら」
「そうね、私だったらああまで言われてたら」
「嫌でしょ」
「そうなるわ」
「私なんかちょっと言われたらよ」
 ガラスの猫の場合はといいますと。
「すぐにぷい、よ」
「人の話はよね」
「強要は嫌なのよ」
「猫だからよね」
「猫は誰にも束縛されない生きものよ」
 そうだというのです。
「だからね」
「聞かないのね」
「そうよ」
 絶対にというのです、そうお話してです。
 ガラスの猫はあらためてです、皆に言いました。
「何はともあれね」
「ええ、将軍のお家に行きましょう」
 ビリーナも皆に言います。
「そうしましょう」
「将軍に挨拶しましょう」
 トロットも皆に勧めてでした、そうしてです。
 皆は将軍のお家の方に行きました、すると将軍は丁度ご主人と一緒にお庭の草刈りをしていました。そしてです。
 将軍は皆が来たのを見てです、お顔を上げて言ってきました。
「あら、トロット王女にキャプテンさんに」
「前に来た外の世界の子達だね」
 ご主人も顔を上げて言ってきました。
「そうだったね」
「はい、お久し振りです」
 五人はご主人そして将軍にここで挨拶をしました。
「お元気そうですね」
「僕は何時でも元気だよ」
 ご主人はにこにこと笑って言ってきます。
「この通りね」
「それは何よりだね」
「実はこれから皆を私の国に招待するの」 
 ビリーナもご主人にお話します。
「そうするの」
「そうなんだね、君の国に」
「それでその途中にね」
「うちに寄ってきてくれたんだ」
「そうなの」
 こうお話するのでした。
「寄る途中だったから」
「そういうことだね、じゃあ」
「ええ、お茶を淹れましょう」 
 将軍はご主人に笑顔で応えました。
「草刈の途中だけれど」
「ちょっとお休みしてね」
「お菓子持って来るわね」
「うん、頼むよ」
「皆どのお菓子がいいかしら」
 将軍は皆ににこりと笑って聞いてきました、マンチキンの農婦の服がとても似合う奥さんになっています。
「色々あるけれど」
「ううん、何でもいいです」
「将軍がお好きなのをお願いします」
「僕達は何でも頂きますので」
「将軍がお好きなのを」
「それをお願いします」
「わかったわ、じゃあクッキーやビスケットを持って来るわね」
 将軍は五人の言葉を聞いて笑顔で答えました。 
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