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先恋

作者:マナ
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先恋〜思い出〜

 
前書き
おはようございます!
うーん、複雑、って感じですねw
すみませんw
まだまだ続きますよ!宜しくお願いします‼︎ 

 
「…陸太君…」
沙奈は一人、校舎を見つめながら、陸太の名前を呼んだ。一年も此処には居られなかった。生徒を愛した罰は重い。もう、この場には居られない。一週間程度、時間を置いてから、別の高校に移ることになった。

「…ありがとう…ございました…」
沙奈は深く礼をして、そのまま校舎に背を向けた。静かに流れる涙をそっと拭い…。



家に着き、沙奈はそっと目を閉じた。あの日、陸太と愛し合った最後の日、此処にいた姿を捜す。居るはずのないその姿を、
「…本当…馬鹿みたい…、もっと見たかったな、陸上してる姿も…、勉強してる姿も…、優しく微笑んでくれるその……、」
沙奈はその場に泣き崩れた。もう、何も要らないから、それ以外、何も望まないから、一つ、一つだけで良いから…

「…陸太君との…時間を…返して…」

届かない言葉はただ、部屋に響けだけ。そんな事、分かっているのに…。

「…陸太君……なんて、呼ぶ資格…無いのかな…、陸太君の事…春先君って呼ぶしか、無いのかな…………、こんな…、こんな事になるなら、最初から……っ‼︎‼︎‼︎」

ゴトッ、バサ…ッ…

沙奈の目の前に、何かしらの箱が落ちてきた。棚の上に置いていたものらしい。そして。その中から出てきた写真とペンダントが床に散らばった。

「…これ…いつの…」

それは確かに、いつかの自分の姿。そして、その隣には、見覚えのある幼い少年…、
「…これは…えっと…」
その写真を見ていると、一枚の手紙の存在に気付く。それを手に取り、沙奈は目を通す。
「……っっ‼︎‼︎‼︎」
それは、幼い少年が書いた手紙、沙奈は全てを思い出した。文末、其処に目をやり、全てを察した。忘れていたはずの、あの日の時間が、また、動き出した。短い手紙を握り締め、沙奈は家を飛び出した。
その少年の手紙は…

《ずいきさんへ

ぼくといっぱいあそんでくれてありがとう
とってもたのしかったです、
ずいきさんと いっしょにあそんだ、あの、ふたりだけのひみつのばしょで、またいっしょにあそんでね________


_______りくたより》


最後に、其れは記されてあった。分かる。陸太は其処にいるという事が、分かる。

「…あの時の…陸太君だったんだ…‼︎だからあのペンダントも…!二人で写真撮って、思い出にって、最後の日に私が陸太君に‼︎」

二人だけの秘密の場所。陸太と初めて出会って、毎日、其処で遊んで…でも、離れ離れになり、再び会う事ができなかった場所。


「…陸太君!陸太君‼︎陸太君__っ‼︎‼︎」

駅に走り、電車に乗り込むと、沙奈は其処に向かった。もう一度、愛しあえなくて良い。でも、二人はあそこで出会わなければいけない。絶対に、出会わなければいけない。

沙奈は手紙を握り締め、箱の中にあったもう一つの思い出…ペンダントを首にかけ、其処へ向かった____。
手遅れになる前に、もう一度だけ__。



「…瑞木さん、会えて…嬉しかった。……でも、もう終わりです。僕たちの出会いは、一時の幸せを得ると引き換えに、一生の苦痛を得てしまうものだった。だから、もう一度、この場所で、貴方と出会ったこの場所で、僕は…僕自身から、貴方の存在を消し去ります…。」

陸太はペンダントを握り締めた手を見つめ、其れを何処かへ投げ捨てようと振りかぶった。


〝さようなら、瑞木さん__。〟


「捨てちゃ…駄目…っ‼︎駄目ぇぇぇっ‼︎‼︎‼︎」

陸太は誰かに胴を引かれ、後ろへ倒れこむ。投げ捨てようとしたペンダントも、すぐ隣に落ちる。

「…何…してんの…馬鹿…」

陸太は、ペンダントを手に取り、
「やっぱり、貴方だったんですね…」
目を見つめ、その名前を呼ぶ。




「瑞木さん…」





 
 

 
後書き
お読みいただきありがとうございました!
二人には何かしらあるようですね、w
これからどんどん急展開になるはず!w
宜しくお願いします‼︎ 
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