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遊戯王ARC-V 千変万化

作者:ユキアン
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第5話




舞網チャンピオンシップ当日、LDSの社長室で携帯端末を使ってプロデュエリストのガチのデッキを使ったデュエルのデータを見ながら戦えそうな者をピックアップしていく作業を隼と共にこなす。

「とうとうこの日がやってきたね」

「ああ、この大会の結果とプロの中でのエンターテイナーとしてではなく、ガチのデッキを使いこなす者を選出する。人数によってはチームを複数作り行動することになるだろう」

「シンクロ次元へ協力を依頼するチーム、スタンダードを防衛するチーム、エクシーズ次元へ救援に向かうチームあたりだね」

「そうだ。優先するのはシンクロ、スタンダード、エクシーズだ。エクシーズ次元には悪いが、今でも曲がりなりにも防衛ができているのなら優先度を下げざるをえない」

「仕方あるまい。だが、出来れば物資を送ってもらいたい。余裕はあるが、それでも辛い生活を多くの者が強いられている」

「分かっている。災害時に現場に運ばれるものだが用意してある」

「助かる。俺は大会が終わり次第、物資を運ぶためにエクシーズ次元に戻る。瑠璃のことは任せるぞ、遊矢」

「任せとけって。まあ、瑠璃になら背中を任せられるし、権現坂もそうだな。塾長も熱血デッキじゃなくて帝を使えば敵無しだ」

「ユースチームは、やはり集団戦になると負けるだろうな。基本は3人1組でスタンダードで防衛を行ったほうがいいだろう。バーン対策をしっかりしておけばなんとかなる」

「そうか。では、そろそろ会場に向かおうか。主賓として挨拶を行わなければな」

「オレもエキシビジョンのために会場に行くけど隼は?」

「瑠璃の応援だ」

「客席はこちらで押さえてある。だが、こちらから連絡を入れた時は」

「分かっている。瑠璃も自分の応援を優先された知れば怒られるからな」

「では全員で行くとしよう。中島、車を」

「はっ」









仕込みは万端、体調はバッチリ、デッキもOK、時間もあと10秒、それじゃあIt’s show time!!

「イヤッホーー!!」

足場にしていたアイツの紙飛行機から飛び降りる。そのままステージに五接地転回法で着地する。高々50mからの着地なんて超一流のアクションデュエリストなら出来て当然だね。隣にいる零児がなんか引きつった顔をしているけど、なまってるのかな?社長業で忙しそうだもんね。

「プロを目指すのならその第一歩と言えるこの大会に参加する選手諸君。勝ち進めば栄光の未来が待っている。負ければまた挑戦する道が現れる。オレも零児もかつては通った道だ。後輩達に先輩であるオレ達からの餞別だ。これよりエキシビジョンマッチを行うよ。今回の俺のデッキ名は怪獣カバゴンだ。さあ、お楽しみの始まりだ。ニコ・スマイリー、デュエルの開始を宣言だ!!」

『はっ、はい、デュエル開始!!」

「「デュエル」」

「私の先行か。君とは久しくデュエルをしていなかったな」

「そうだね、零児。社長業で忙しくて3年ちょっとぶりかな」

「ならばこそ、私の成長を君にみせつけよう。私はスケール1の【DD魔導賢者コペルニクス】とスケール6の【DDケルベロス】でペンデュラムスケールをセッティング!!これで2から5のモンスターを同時に召喚可能となる」

「早速来るか」

「わが魂を揺らす大いなる力よ。この身に宿りて闇を引き裂く新たな力となれ。ペンデュラム召喚!!現れろ、黒き翼を持つ偉業の神【DDバフォメット】そしてチューナーモンスター【DDゴースト】そして【DDネクロ・スライム】を通常召喚。レベル4の【バフォメット】とレベル1の【ネクロ・スライム】にレベル2の【ゴースト】をチューニング!!闇を斬り裂く咆哮よ。疾風の速さを得て新たな王の産声となれ!!シンクロ召喚、生誕せよれべる7【DDD疾風王アレクサンダー】」

DDD疾風王アレクサンダー ATK2500

「私は墓地に送られた【ゴースト】の効果を発動。同じく墓地に存在する【バフォメット】を選択し、同名カードをデッキから墓地に送る。そして【ネクロ・スライム】の効果を発動。このカードと融合素材になる【DDゴースト】を墓地から除外し、DDD融合モンスター1体を融合召喚する」

「墓地から融合か」

「自在に形を変える神秘の渦よ。闇に蠢く亡霊を包み込み、今ひとつ隣りて新たな王を生み出さん。融合召喚!!生誕せよ、レベル6【DDD烈火王テムジン】」

DDD烈火王テムジン ATK2000

「【アレキサンダー】の効果を発動。場にDDモンスターが召喚・特殊召喚された時、墓地からレベル4以下のDDモンスターを特殊召喚できる。甦れ、【バフォメット】。そしてテムジンの効果も発動し、同じく【バフォメット】が特殊召喚される。2体の【バフォメット】でオーバーレイ!!この世の全てを統べるため、今世界の頂きに降臨せよ。エクシーズ召喚!!生誕せよランク4【DDD怒涛王シーザー】」

DDD怒涛王シーザー ATK2400

「ペンデュラムからシンクロ、融合、エクシーズ。見事に使いこなしているね」

「感心するのはまだ早い。手札から【独占封印の契約書】を発動する。相手フィールドにエクストラデッキからモンスターが特殊召喚された時、私のフィールドに同じ召喚法で特殊召喚されたモンスターが存在していれば召喚を無効にする」

「つまりオレは融合、シンクロ、エクシーズを封印されちゃったってわけか」

「そうだ。君の多彩なモンスターでの戦術はこれで破綻する。ターンエンドだ」

赤馬零児 LP4000 手札0

DDD疾風王アレクサンダー ATK2500
DDD烈火王テムジン ATK2000
DDD怒涛王シーザー ATK2400
独占封印の契約書

「オレのターン、ドロー。これはすごいね。ここまで王様が揃うとどんな相手にでも勝てるかもしれない。だけど、王様の部下たちが小さないざこざから大きな戦いになり、それによって太古の眠りから怪獣が目覚めちゃった」

ソリッドビジョンの地面が崩れていき、王たちがそれに飲み込まれ、地面から巨大なモンスターが姿を現す。

「なっ、何が起こった!?」

更に地面から現れたモンスターに引かれるようにオレの場にも空から巨大な3つ首のドラゴンが姿を現す。

「通常魔法【妨げられた壊獣の眠り】フィールド上のモンスターを全て破壊。その後、名前の異なる『壊獣』モンスターをお互いの場に特殊召喚するカードさ。零児の場に現れたのは【壊星壊獣ジズキエル】で、オレの場に現れたのは【雷撃壊獣サンダー・ザ・キング】だ」

壊星壊獣ジズキエル ATK3300
雷撃壊獣サンダー・ザ・キング ATK3300

「【ブラックホール】でよかったのではないのか?」

「いやいや、このカードじゃないと怪獣カバゴンを呼び出せないんだよ。カバゴン達は楽しいことが大好きでね、楽しい場所を壊されないために現れるんだ」

「カバゴン?しかし、効果を読む限り『壊獣』モンスターは自分の場に1体だけという制約がある。どうやるつもりだ?」

「それじゃあ皆、カバゴンを呼ぼうか。皆の声に釣られてカバゴン達はやってくるよ。行くよ、せ~の」

『『『カバゴーン』』』

会場にいる子供達のカバゴンを呼ぶ声と共にサンバが流れ出す。

「この演出は!?【カバーカーニバル】!?」

「Exactly、オレの場にカバゴン達がやってきてくれたよ」

カバートークン ATK0
カバートークン ATK0
カバートークン ATK0

カバートークンの登場に観客ががっかりする中、3体のカバートークンが楽しそうにダンスを踊り、2体の壊獣も誘うけど、2体に一蹴される。

「楽しいダンスを断るどころか、邪魔をされてカバゴンたちは怒って本気を出すみたいだね」

オレの言葉と共に3体のカバートークンがサンダー・ザ・キングを誘導して巨大な鍋に放り込んで料理を始める。そして出来上がった料理をオレにも分けてくれて、それを皆で食す。するとカバートークン達が光を放ちながらジズキエルと同じ大きさにまで大きくなる。

榊遊矢 LP4000→7300
カバートークン ATK0→3300
カバートークン ATK0→3300
カバートークン ATK0→3300

「これは、一体!?」

「速攻魔法【神秘の中華鍋】と通常魔法【シャイニング・アブソーブ】さ。【神秘の中華鍋】は自分フィールドのモンスターをリリースしてその攻撃力か守備力分のライフを回復し、【シャイニング・アブソーブ】は相手の光属性モンスターの攻撃力分、オレの場のモンスター全ての攻撃力がアップする。そして、【中華鍋】と装備カード以外で特殊な演出のない攻撃力アップ系のカードをチェーンさせると大体こんな演出になるんだ」

この演出に会場中が大いに盛り上がる。零児は最初は困惑していたけど、ソリッドビジョンの新たな可能性に興味が向いたみたいだな。

「さあ、カバゴンが壊獣を止めてくれるよ。【下克上の首飾り】をカバートークンに装備してバトルだ。行け、カバゴン達!!」

2体のカバートークンが周りに被害が出ないように押さえつけ、【下克上の首飾り】を装備したカバートークンがタックルでジズキエルをぺしゃんこにする。更にタックルの衝撃で零児が吹き飛ぶ。

「【下克上の首飾り】は通常モンスターにのみ装備でき、相手よりレベルが低い時、レベルの差かける500ポイント攻撃力がアップする。レベルの差は9で4500アップだ」

カバートークン ATK3300→7800
零児 LP4000→0

壊獣を止めて満足したのか、ぽんと軽い音と共に煙となってカバートークンが元の大きさに戻って締めのダンスを踊る。オレも一緒にダンスを踊ってポーズを決める。満足したのか、またもとの大きさに戻るときのようぽんと軽い音と煙となって消える。

「皆、楽しんでもらえたかな?環境の変化について来れずに自信を失っている子も居ると思うけど、恥じる必要はない。ペンデュラムやエクストラデッキを扱わなくたって、こんなことが出来る。デュエルは無限の可能性を秘めているんだから。さあ、舞網チャンピオンシップ、開幕だ!!」

オレの言葉と共に花火が上がり、舞網チャンピオンシップが開催された。それにしても零児が何も言わないな、と思ったら倒れたままになっている。打ちどころが悪かったか?







赤馬零児の融合、シンクロ、エクシーズの連続召喚もすごかったけど、遊矢はその上を行くのね。と言うより、演出が上手すぎる。中華鍋を使わなくても、アブソーブを撃ってカバートークンで相打ち、残りでダイレクトでも良いし、サンダー・ザ・キングでジズキエルを戦闘破壊してカバートークンの攻撃でも良かったはず。それなのに、態々中華鍋を使ってそれを食べてパワーアップなんて演出をして更に装備魔法で攻撃力を上げるなんてね。意外と下克上の首飾りがカバートークンの衣装にマッチしている辺りが狙ってやったんでしょうね。

私の本来のデッキみたいだったな。『LL』モンスター、大空を自由にさえずり飛び回る鳥たちみたいな明るくて楽しいデッキ。あの子達にはこんな戦いのために使いたくないと思い、お兄ちゃんのRRを使わせてもらっている。

また、楽しいデュエルをエクシーズ次元でやりたい。そんなことを思い出させてくれるデュエルだった。遊矢はいつでも誰かを笑顔にして、大事なことを思い出させてくれる。そんな遊矢に思い続けられる柚子が憎い。そんな心がカードにも伝わったのか、何枚かのエクシーズモンスターの効果が書き換わり、新たなカードが生まれる。楽しむためのデッキに合う暴力的なカードがひっそりと。







遊矢、また楽しそうにデュエルするようになってる。なんで?なんで私じゃ駄目だったのに、あの瑠璃って子が遊矢を元に戻せたの?私の方が遊矢との付き合いが長いのに、なんで遊矢のことが分かるのよ。私のほうが遊矢の事を知っているはずなのに。私のほうが遊矢が好きなのに。

やっぱり、今の私のデッキじゃダメだ。遊矢は似合っているって言ってくれたけど、このデッキじゃ、このカードじゃ瑠璃に勝てない。もっと力が必要だ。もっと私に力があれば、遊矢は私を見てくれるはずだ。

もっと、もっと、誰にも負けない力が欲しい。







なんなんだ、あの男は?あんな幼稚で無駄が多いタクティクスで、何を笑っているんだ?あれが、この世界のチャンピオンだと?笑わせてくれる。この世界のデュエル戦士の底が知れる。予定を変更だ。まずはあの男を倒して一気にこの世界を私の前にひれ伏せさせてやろう。
 
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