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魔法少女まどか☆マギカ こころのたまごと魂の宝石

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第20話

 
前書き
久々に更新しました。 

 
私が聖夜市に来た日の翌日。とうとう私が学校に通う時が来た。

「昴さん。忘れ物は無い?」

「うん。大丈夫だよ。」

私は唯世に案内してもらって登校する。でも、学校の敷地に入った途端、何故か私は注目された。

「ねえ、唯世。何で皆私を見てるの?」

「見かけない顔だからじゃないかな?」

「そ、それにしても注目され過ぎだと思うけど・・・」

「そうかな?とりあえず、まずは職員室に案内するよ。」




唯世に職員室まで案内して貰った後、私は担任の厳つい先生に挨拶をして、朝のホームルームの間呼ばれるまで教室前の廊下で待機していた。

「今日は転校生を紹介する。入って来てくれ。」

先生に呼ばれて、私は教室の中に入り壇上に立った。

「昴かずみです。よろしくお願いします。」

「昴さんは辺理君の親戚だそうだ。一緒に居る事が多いが、変な噂を流したりはするなよ。」

私が名前を言った後、先生が言った。なるほど、私はそう言う設定になっているんだ。

「昴、君の席は紫苑の隣だ。」

先生は頭に➕型の髪飾りを付けた女の子の隣の席を指差した。よく見ると、このクラスにはその子の隣を含めて2つの空きがある。私はその事が気になりながらも席に着いた。

「よろしく、昴さん。」

「うん、ええと・・・」

「紫苑いずみだよ。」

「よろしく、いずみ。」

そして、1時間目が終わった後の業間の休み時間。転校生が来た時恒例の質問タイムがやって来た。

「昴さんって、前は何処に住んでたの?」

「あすなろ市って所だよ。」

「特技とかあるの?」

「料理が得意だよ。」

「そうなの?」

「それじゃあ、今日の調理実習は楽しみだね。」

そう、今日は家庭科の授業で調理実習がある日。昨日の夕ごはんと今日の朝ごはんは唯世のお母さんが作ったから、これが私が聖夜市に来て初めての料理って事になる。




そして、場面は飛んで調理実習の時間。今日のメニューは餡かけ焼きそば。一緒の班になった皆と手分けして調理を始めた。

「かずみちゃん、凄く手際いいね。」

「誰に教えて貰ったの?」

「え・・・」

同じ班の子達に聞かれて私は困ってしまった。料理はグランマに教えて貰ったけど、それは私じゃなくて“ミチル”だし。それだと、私は誰から教えて貰った事になるんだろう?料理の腕は“ミチル”から引き継いだものだから、“ミチル”に教えて貰ったって事になるのかな?でも、私にとって“ミチル”って何なんだろ?やっぱり、あれかなあ・・・

「お姉ちゃんに教えて貰ったんだ。」

「へえ、かずみちゃんもお姉ちゃんが居たんだ。」

「も?」

同じ班になったいずみの言葉に私は首を傾げた。

「うん。私にもお姉ちゃんが居るんだ。料理は出来ないけど。」

「そうなんだ。かずみちゃんのお姉ちゃんってどんな人なの?」

「ええと・・・」

私はサキに解放された“ミチル”の記憶を頼りに思い出す。

「料理が上手で、グランマの事が大好きで、リーダーシップがある人だったんだ。」

「そうなんだ。え?“だった”?」

「うん。お姉ちゃん、少し前に亡くなったの。」

「え・・・ごめん。」

「ううん、気にしないで。それよりいずみ、にんじんは切れてる?」

「うん。形はちょっと歪になっちゃったけど。」

そう言ういずみの短冊切りにしたにんじんは、厚さや形が一定ではなくまちまちだった。

「それくらい大丈夫だよ。」

「ホント、いずみは機械に関しては器用なのに、料理とか女の子らしい事は苦手よね。」

同じ班のツーサイドアップの子、一香が言った。

「そうなの?」

「うん。機械いじりとかは好きで得意なんだけど、料理とかお裁縫は苦手で。練習はしてるんだけど・・・」

「大丈夫。頑張って練習し続ければ上手くなるよ。」

「ありがとう、かずみちゃん。」

そうやって、皆で手分けして餡掛け焼きそばは完成した。私が切るのを担当した食材以外は形が歪なのが結構あったけど、美味しく出来た。

「すごいね、かずみちゃん。おいしいよ。」

「私がすごいなんて、そんな事は無いよ。これは皆で作ったんだから。」

「でも、味付けと仕上げはあなたがしたんじゃない。」

一香が言った。

「料理の味はそれだけじゃ決まらないんだよ。下処理とか焼き方も関わって来るんだから。」

「それだと、焼くのを担当した一香ちゃんのおかげでもあるね。」

「な、何よ。褒めても何も出ないわよ!」

いずみに褒められて一香は照れた。

「そう言えばいずみ。機械いじりが得意って言ってたけど、ラジオとか直せるの?」

「うん。まだ色々勉強中だけど、やっぱり女の子らしく無くて変かな?」

「そんな事無いよ。特技は人それぞれだもん。」

「そうよ。日奈森さんだってそう言ってくれたじゃない。いいかげん自信を持ちなさいよ。」

「日奈森さん?」

一香の口から出た名前に私は首を傾げる。確かそれって、昨日会った子じゃないかな?

「かずみが転校して来る前に転校して行っちゃった子よ。」

「凄いんだよ、日奈森さん。クールでカッコ良くて、それでいて女の子らしさもあるんだ。女子の学年別人気ランキングでいつも上位に居たんだよ。」

「バカな男子が勝手に作ったものとはいえ、凄いわよね。いずみの髪飾りも日奈森さんに憧れてしている物なのよ。」

「つまり、日奈森さんとお揃いって事?」

「そうじゃないよ。日奈森さんは✖️の髪飾りなんだ。日奈森さんには自分らしさを大事にしなさいって言われたから。」

すると、いずみは日奈森さんとの過去について語り始めた。

「私、前まで自分が機械いじりが好きなのって、女の子らく無くって変じゃないかなって思ってたの。でも、そんな風に悩んでいた時に日奈森さんが言ってくれたんだ。」

『別にいいじゃん。機械が好きって言うのがあなたらしさなんじゃん。少なくとも、あたしはそれを変だなんて思わないよ。』

「だから、大切にして行く事に決めたんだ。私らしさを。」

「自分らしさ・・・」

いずみの言葉で私にある疑問が浮かび上がった。私らしさって何だろうって。私と“ミチル”はどんな所が違うんだろうって。

「どうしたの、かずみちゃん?」

「な、何でも無いよ。」




そして、昼休み。私は司さんに呼び出されて理事長室に来ていた。

「司さん。何の用ですか?」

「かずみちゃんにこれを渡したくてね。」

そう言うと、司さんは一枚の紙を渡して来た。

「入部届け?」

「そう。自分の名前と入りたい部活の名前を書いて提出すればいいから。」

「いや、それは分かっていますけど、何で?」

「そうだね。君に学園生活を満喫して貰いたいって言うのもあるけど、君を守る為でもあるね。」

「私を守る為、ですか?」

「そう。君を狙う“お友達”はまだ君の事を諦めていないだろうからね。でも、生徒会の皆は生徒会の活動が、相馬君は部活がある。君が帰宅部だと1人で帰らなきゃならなくなる。かと言って彼らの活動が終わるのを待つのは時間の無駄だ。だから、その時間を有効に使う為に部活に入るのはどうだい?」

「ええと・・・とりあえず、考えてみます。」




「おかえり、かずみちゃん。」

「理事長の用事って何だったの?」

入部届けを受け取った私が教室に戻ると、いずみと一香が話しかけて来た。

「大した用じゃ無かったよ。ただ、これを貰っただけ。」

「それって、入部届けだよね?」

「うん。でも、どこの部活に入るかはまだ決めて無いんだけど。そう言えば二人は部活に入ってるの?」

「ええ。私は空手部に入ってるわ。」

一香が自慢げに言った。

「空手!?そうなの!?」

「ええ。まだまだ未熟だけど、これから強くなって行くわ。」

「うん、頑張ってね。それで、いずみは何部に入ってるの?」

「私はロボットクラブと料理部を兼部しているんだ。」

「料理部?ロボットクラブは分かるけど、何で?」

「私、やっぱり機械は好きなんだけど、女の子らしい事も上手くなりたくて。」

「そうなんだ。私は部活でやりたい事なんて思いつかないなあ・・・」

「それなら、今日の放課後は部活見学をすればいいじゃない。私達だって中学に上がってから色々勧誘されたり、見学したりして決めたんだから。」

「そうだね。ありがとう、一香。」




そして放課後、私は部活見学をする事になった。でも・・・

「どうしよう・・・どこに何部があるのか分からない・・・」

「あら、かずみちゃんじゃない。」

その時、後ろから声を掛けられた。振り返ると、そこには黒髪をポニーテールにした女の子が居た。

「ええと、どちら様ですか?」

「あら?そう言えばこっちで会うのは初めてね。」

そう言うと、その子は髪留めを外して髪を下ろした。さらに、その側に2人のしゅごキャラが現れる。

「これなら分かるかな?」

「ええ!?なぎひこ!?」

髪を下ろした姿は間違い無く、生徒会のなぎひこだった。左右に居るしゅごキャラもリズムとてまりだ。

「何で女子の制服着てるの!?」

「ちょっと事情があってね。」

なぎひこは髪を留め直して私に説明してくれた。
なぎひこの家は日舞の家元で、小学生の頃、女形の修行の為に女の子として過ごしていた。でも、修行を終えた後も友達からなぎひこの女の子としての姿“なでしこ”に会いたいと言う声がある。だから、時々こうやって女の子の格好をしてるんだって。

「それで、かずみちゃんは何か困っていたみたいだけど、どうしたの?」

「実は、部活見学をしようと思ってたんだけど、どこに何があるか分からなくて。」

「それなら、私が学校案内を兼ねて案内するわ。」

「うん。ありがとう。」

こうして、私はなでしこに案内されて部活見学に向かった。



続く
 
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