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魔法少女リリカルなのはStrikerS 前衛の守護者

作者:niko_25p
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第二十話 アスカの興味と必殺技

派遣任務から戻ってきてから、アスカは何かとフォワードメンバーから魔法の事を教わっていた。

その様子にヴィータは何を思うか。





魔法少女リリカルなのはStrikerS 前衛の守護者、始まります。





ヴィータside

最近のアスカは何か変だ。

訓練の時はそうでも無いんだが、そのちょっとの休憩の時とかに誰かを捕まえて魔法の事を色々聞き回っている。

「なるほど、ソニックムーブは腰で舵をとって、頭でバランスを取るのか」

「はい、足で走るのは最初で、その後は腰に添える感じです」

こんな感じでエリオに聞いていたと思ったら、

「アルケミックチェーンってどうやるの?」

「えーと、まずは召還用の魔法陣の術式形成を覚えて……」

キャロの召還魔法の事を聞いてるし、

「幻術を教えてくれ?」

「ああ、基本から頼むよ」

「別にいいけど……」

ティアナからは幻術を教わろうとしてる。さらに、

「これ重いな!」

「右手に装着して、魔力を集めると言うより、思いっきり流し込むって感じだよ」

スバルのリボルバーナックルを借りて装着してみたりしている。

まったく、何を考えてるんだか。

そんなにいっぺんに覚えられる筈ないし、なにより、なのはの教導から外れている。

少し注意した方がいいと思ったんだが、とりあえずなのはに相談してからにするか。

そんな訳で、アタシは隊長室にいるなのはに話しかけた。

「なあ、なのは。最近のアスカ、少しばかり落ち着きがないんじゃねぇか?」

アタシが言うと、なのはもそう思っていたのか、ちょっと考えるような仕草をした。

「うーん。訓練ではそんな事はないんだけど、確かにね」

何で今になってアスカがみんなの技に興味を持ち出したのかは分からないけど、色々聞き回っているのは、なのはの耳にも届いていたようだ。

「アスカ君は技の種類を覚えるより、一つの技を磨くタイプだと思ったんだけどな」

なのはの言う通り、アスカの特化した防御力はまさに磨き上げた結晶と言ってもいい。

アタシでも、ヤツのバリアを破るのは少しばかり(りき)を入れないとキツイ。

まあ、防御に目がいきすぎて、攻撃が疎かになっちまってるけどな。

だから攻撃力を上げたいって考えているなら、今ヤツがやってる事は逆効果だ。

二兎追うものは一兎をも得ずと言う言葉もある。

自己流で攻撃力を上げようとしていて、気づいたら防御力が落ちているって事に成りかねない。

「あんまり過ぎるようなら、注意しないとね」

なのはがそう言った時だ。

「失礼します!高町隊長、少々よろしいでしょうか!」

ドデカい声でアスカが入ってきやがった。

なんつーベストタイミングできやがるんだ、コイツは?

「あ、ちょうどよかった」

どうやらなのはも同じ事を考えていたらしい。

せっかく向こうからきたんだから、早いうちに決着をつけようって事だ。

「はい?何でしょうか」

「うん、少しいいかな?最近のアスカ君の事なんだけど…」

なのはが、アスカになぜみんなから魔法を教わろうとしているのかをストレートに聞く。

もうちょっと遠回しに探った方がよくねぇか?

はやてなら、もっと上手く聞くんだけどな。

そう思っていたら、アタシ達の想像の斜め上を行く答えをアスカがしやがった。

「誤解を招くかもしれませんが、思いで作りみたいなもんですよ」

「「「思いで作り?」」」

その場にいたアタシ、なのは、シャーリーが思わず聞き返した。

みんなの技を覚えるのが、何で思い出作りになるんだ?

つーか、何だよ。思い出作りって?

「元々はエリオにソニックムーブを教わっていたんですが、そのうちに何か一個ずつくらい、みんなの技を覚えたいなーって思って。オレ、099部隊じゃ仲間ってみんな年上で、六課にきて初めて同年代の奴らと一緒になったんですよ。だから、一年かけてみんなの技を覚えられたらいいなって思って」

意外……意外すぎる理由だな。

強くなろうとして技を覚えるんじゃなくて、みんなといた時間を大切にする為に技を覚えたいなんて。

……バカだろ、コイツ。

シャーリーも呆気にとられたように笑っている。

「ああ、そうなんだ」

なのはも、ちょっと唖然とした感じだ。でも、そういう考えはなのはも嫌いじゃない筈だ。

なのはもある意味バカだからな。

「訓練には支障の無いようにしていたつもりだったんですが…何かマズかったッスか?」

困ったように眉を寄せるアスカ。

基本、コイツは人に迷惑をかけないようにしている。だから、思わぬところで迷惑をかけると、途端に怯えるような表情を見せる事がある。

この辺は、シグナムが言っていた「過去のトラウマ」とやらが関係しているのか?

「ちゃんと公私でわけているなら、まあいいかな?訓練にも仕事にも影響は出てないし。副隊長はどう思う?」

なのはがアタシに聞いてくるが、その顔を見ればもう結論は出てるんだろ!

まったく白々しいヤツだ。

「まあ、隊長が許可するんなら、アタシがトヤカク言う事は無いよ」

アタシは頭で手を組んで答える。

ったく、アスカはまだ分かるけど、なんでなのはまで嬉しそうに笑ってるんだよ。

「何か、いらない心配をおかけしていたみたいで…」

スミマセンと頭を下げるアスカ。

「じゃあ、この件はこれでお終い。で、何か用事があってきたんじゃないの?」

あ、そうだった。アスカは何か相談があってなのはに会いにきたんだっけ。

「ええ、実は折り入って相談がありまして…」

急にアスカは真剣な表情になる。

アタシ達も、引き締まった顔になった。

部下がこんなに真剣になって相談って事は、厄介な事かもしれない。

そう思っていたら…

「オレ、デバイス変更してから必殺技が出来なくなったんです!」

「「「え?」」」

アタシ達は、本日二度目のハモリを見せた。





なのはside

アスカ君の相談と言うのは、要するにこうだった。

以前まで使っていたデバイスの奥の手、インパルスグレイヴがラピッドガーディアンでは上手く発動出来なくなってしまった。

原因は全く分からなくて、それでなくても攻撃手段が少ないのに、有効攻撃手段が無くなってしまったとの事だった。

とりあえず、私とアスカ君、ヴィータちゃん、シャーリーとで一緒に訓練スペースまで行く事にした。

訓練スペースでガジェットを一機出して、それをカカシにする。

「はい、アスカ。これ、前のデバイスね」

シャーリーが修理されたデバイスをアスカ君に渡す。

「本当にカードリッジ入れたんだ」

何か呆れ顔のアスカ君。

まあ、もう使わないデバイスにカードリッジ入れたのが、結構複雑な感じなのかもね。

「じゃあ、見ていて下さい」

アスカ君がガジェットの方に向く。

「ラピ、データ記録しておけよ」

《了解です》

準備が出来たのか、アスカ君は魔法を発動させた。

「切り札、インパルスグレイヴ!」

ストレージデバイスの先から、アスカ君の魔力光で出来た白い槍先が出現した。

切れ味なら、フェイトちゃんのザンパーにも負けてはいないんだよね。

魔力量が少ないから、強度はそれほどでもないんだけど。

「シャーリー、いいか?」

「OKよ。やってちょうだい」

シャーリーの合図で、アスカ君はガジェットに切りかかる。

「そりゃっ!」

かけ声と共にガジェットを切り裂く。

いとも簡単にガジェットをなます切りにしてしまう。

AMFを使っていないとはいえ、怖いくらいの切れ味だ。

もしアスカ君に、私と同じ魔力量があったら、もしかしたらフェイトちゃんのザンパーを上回る威力を出せるかもしれない。

「とまあ、これが使えなくなったんですよ」

アスカ君が魔法を解除して、ストレージデバイスをシャーリーに返す。

「へぇ~、てぇしたもんだ。だがよ、アスカ。何でこの攻撃を今まで使わなかった?」

ガジェットの切り口を見ていたヴィータちゃんが、ふとそんな事を聞いてきた。

その疑問はもっともだね。私もそう思ったもん。

インパルスグレイヴを訓練で使ったのは、みんなが六課に来て初めての模擬戦の一回目だけだった。

なんでもっと頻繁に使わなかったんだろう?

「使う前に撃沈していたし、防御に集中するあまり攻撃に気が回らなかったんですよ。少しはできるようになった時には、それこそ使うまでもなかったしで、すっかり忘れてました」

………色々突拍子の無いすごい事をする割に、自分の必殺技を忘れちゃうなんて…ドジの方面でもアスカ君は突拍子ないね(^^;)

「なるほど。それで、思い出してラピでやってみようとしたら、うまく行かなかったと」

シャーリーが言うと、アスカ君はウンと頷いた。

うーん、それってもしかして、結構単純な事かもしれないな?

「ナイフ」

「「「え?」」」

あ、ちょっと唐突すぎたか。アスカ君はともかく、ヴィータちゃんとシャーリーまでキョトンとしちゃった。

「クレイヴって槍先についている刀みたいなヤツだよね?たぶんだけど、今のアスカ君の技量じゃそれを双剣で形成できないだけだと思うよ?だから、まずはナイフくらいの短い魔法刃でやってみたら?」

まあ、物は試しに程度の考えなんだけどね。

「なるほど、やってみますか」

そう言ってアスカ君はラピッドガーディアンを双剣モードで起動させた。

「インパスルナイフ!」

うん、素直だ。そのまんまのネーミングだね。

そしたら、双剣の短い方の先っぽから、白い魔力刃がチョコンと飛び出てきた。

文字通り、ナイフのように。

「あれ?」

思ったより簡単に出来た事に、アスカ君は首を傾げてる。

「あれ?じゃねーよ!つまり、自分の実力以上の事をしようとして出来なかっただけじゃねーか!」

ヴィータちゃんが思わず突っ込みをいれているけど、アスカ君は納得していないみたいだ。

「で、でも!ストレージデバイスじゃできていたんですよ?性能が上のインテリデバイスなら普通にできると思うじゃないですか!」

アスカ君がヴィータちゃんに食ってかかる。

アスカ君て、結構度胸いいよね。シグナムさん相手に軽口叩くし。

「そんな簡単な事じゃないよ。デバイスが変われば、当然魔法の発動パターンも変わってくるからね。防御系の魔法が上手く使えているのは、得意分野だから無意識のうちにパターン修正をしていたんだよ。でも、インパルスグレイヴは、アスカ君自身、言っていたじゃない、切り札って。あんまり使っていなかったんでしょ?だから支障がでたんじゃないかな?」

つまり、不得意な攻撃な攻撃魔法だからデバイス変更における魔法発動パターンの変化に対応しきれなかったんだと思うよ?

「………」

妙に納得したような顔になるアスカ君。

「えーと…ご迷惑おかけしました」

少しの沈黙の後、深々と頭を下げてきた。

「いいよ、謝らなくて。何かあったら、また相談しにきてね」

私がそう言っている後ろでは、ヴィータちゃんとシャーリーがクスクスと笑ってる声が聞こえる。

「はい、ありがとうございます」

まあ、一つ疑問が解決されて良かったのかな?





outside

「しっかし、自分の必殺技を忘れるなんてアイツ少しおかしいんじゃないか?」

隊長室に戻ってきて、ヴィータがそんな事を口にした。

「超加速での魔力増幅とか、対AMFとかを考えたりとか、とんでもない事を思いつく割に、どこか抜けているんですよねえ」

シャーリーも同意する。まあ、そこが憎めない所なんだけど、と付け加えた。

「……もし、一人での戦闘ならどうかな?」

なのはが、少し考えてからそう言う。

「一人なら、あっと言う間に撃沈じゃないんですか?」

シャーリーはそう思うらしい。

「スタンドアローンでの戦闘の方が向いてるってか?」

ナイナイ、とヴィータは手を顔の前で振る。

だが、なのはそうかな?と言ってアスカのデータをパネルに写す。

「昇級試験から今までのデータを少し見返してみたんだけど、ほとんどがチーム戦のデータなんだよね。でも、最近シグナムさんとやっている模擬戦訓練では、チーム戦と違う動きをしているんだよ」

チーム戦の動画を再生するなのは。

「チーム戦での立ち位置は、スバルと肩を並べるか、少し後ろでいつでも前にいけるようにしているよね」

「ああ、そうだな」「はい」

映像のアスカの動きは、ヴィータもシャーリーも普段見ている動きだった。

「シグナムさんとの模擬戦では、こう」

その映像を見て、ヴィータが気づく。

「前に前にって出てるな。チーム戦の時と比べると、相手に密着しようとしているみたいだな」

シグナムを前にして、アスカはどんどん前に出てレヴァンティンを受け止めている。

「でも、凄い!シグナムさん相手によく前に出れますね」

シャーリーが驚いたように言う。

「レヴァンティンは剣だから、ある程度接近すれば上手く振れなくなる、って理屈は分かるけどよ。こうも前に突っ込めるもんか?あ、やられてる」

映像のシグナムがアスカを撃墜した。

「最初の頃は間合いをあけていたんだけど、シグナムさんが間合いを詰めろってアドバイスしいてからこうなったんだよ」

なのはがそう説明する。

もしヴィータが同じようにシグナム相手に間合いを詰められるかと問われたら、難しいと答えるだろう。

「なんつーか、素直と言うか……バカだな、コイツ」

呆れ顔のヴィータ。だが、それでもヴィータはアスカの事を認めている節がある。

「機会があったら、個人戦でもやってみようかな?」

なのはは、楽しみが増えたとばかりに笑顔を見せた。





エリオside。

いつの頃からだろうか?

アスカさんが夜中に部屋から出て行く事に気づいたのは。

六課創設時は、それこそクタクタになって泥のように眠っていたけど、最近は少しは余裕が出てきた。

その時に、アスカさんが夜中に出て行く事にボクは気づいた。

最初はトイレに行っているんだろうと思っていたんだけど、出て行ってから1時間は帰ってこなかったし、何より出て行く時間と帰ってくる時間が決まっている事が気になった。

夜中の2時から3時まで、どこかに行っているアスカさん。

ボクが気づいてから、ほぼ毎日どこかに行っている。

毎日何をしているんだろ?そう思ったけど、何か聞くのは悪い気がして言い出せなかった。

訓練が凄く厳しかった日やシグナムさんやシャッハさんとの訓練の日と、雨の日以外は毎日出て行っている。

そして、今日もアスカさんは音もなくベッドから出て、外に行った。

「……」

どうしても気になったボクは、アスカさんの後を付けようとベッドから抜け出した。

音を発てないように気を付けながら、部屋を後にする。

すぐにアスカさんを見つけて、その後を追う。

あれ?外に出るぞ。

寮から抜け出したアスカさんを、そのまま追う。

そのままアスカさんは海辺の方に歩いて行くけど……この方向って、訓練スペースがの方だ。

まさか、夜中の秘密特訓でもやるのかな?

そう思っていたら、アスカさんが急に立ち止まった。

慌てて近くの物陰に隠れて様子を伺う。

場所的には、訓練スペースにたどり着く前の防波堤付近だ。

「さてっと、やりますか。ラピ、タイマーセット」

《了解です。測定準備完了、いつでもどうぞ》

アスカさんとラピの声が聞こえてくる。

やっぱり秘密特訓みたいだ。

どうしよう……このまま見てちゃまずいかな?

ボクが迷っているうちに、アスカさんは右手を前に出してバリアを発生させた。

次にシールド、またバリアと交互に防御魔法を使っている。

暗い中、バリアの発光が辺りを照らし出す。

防御魔法の練習……あれ?でも何か変だぞ?

次々と魔法を使っているアスカさんに違和感を覚える。なんだろ?この違和感は。

そして、すぐにその正体に気づいた。

魔力反応を……ほとんど感じない!なんで!?

魔法はリンカーコアから魔力を抽出して具現化するんだけど、そのリンカーコアの反応が薄すぎる。

魔力回路の加速を使う事を前提にしても、それでも反応が小さすぎる。

ボクはジッとアスカを見ていたけど、アスカさんは淡々と魔法の練習をしている。

それがしばらく続いてたけど、アスカさんは急にバリアを張ることをやめた。

「どうだ?」

《まだダメです》

「そうか……」

なんの事だろう?

アスカさんとラピの会話の意味が分からない。多分、二人にはそれで通じるんだろうな。

そんな事を考えていたら、アスカさんが発生させたバリアの前に立った。

そして、拳を握って素手でバリアを殴り壊してしまった!

「えぇっ!」

しまった!思わず声を出しちゃった!

「誰だ!」

こうなったら、もう出て行くしかない。怒られちゃうかな……

「す、すみません…ボクです」

ボクが出て行くと、アスカさんは驚いたように目を見開いた。

「エリオ?どうしてここに……あ!もしかして、部屋を出る時に起こしちまったか?ゴメンな」

戸惑った感じのアスカさんが謝ってきたので、ボクは慌ててしまった。

「い、いえ、違います!」

正直に言おう。黙って見ていたのは事実なんだから。

「あ、あの、アスカさんが毎日夜中に出て行ってたので…それが気になってボク…あ、あの…」

上手く言葉が出てこない。言葉が詰まってしまい、ボクは俯いてしまった。

「なんだ、そうだったのか。言ってくれれば教えたのに」

いつものように、アスカさんはボクの頭を優しく撫でてくれた。

怒ってはいないみたい。

「今やっていたのは、【魔力回路の加速】の練習だよ。ただし、更に少ない魔力量でだけどな」

「少ない?」

「ああ。少ない魔力量で今と同じくらいの強度を持つバリアを張れないかって、加速度を上げていたんだ。結果は、まあこんなもんだけどな」

さっき壊したバリアの事を思い出したのか、アスカさんは肩を竦めた。

「魔力回路の加速は毎日やらないと維持できないんだよ。訓練で魔法を使っている時にもやってるけど、それじゃ集中してやれてないからな。それに、昼間は訓練以外にも仕事があるから時間はとれないし。だから。時間を決めて夜中にやってたんだ。前の部隊にいた時からの日課さ」

「でも、疲れないんですか?」

「1時間って決めてやってるからな。終わったらすぐにまた寝る。こんな事をやってて、訓練や仕事に支障が出たら怒られちゃうからな」

アスカさんはそう言って、再び練習を始めた。

「そんな訳だ。もう帰って寝ないと、朝が辛いぞ」

いくつものバリアが出ては消えていく。

疑問は解消された訳だから、もう帰って寝ても良かったんだけど…

今日だけ、見てていいですか?明日からはちゃんと寝ますんで」

ボクは、アスカさんの練習をもう少しでけ見たくなった。

普段の訓練では、じっくりとアスカさんの防御魔法を見ている時間がなかったし、このまま寝てしまうのは、なんだか勿体ないと思った。

「起きれなくても知らないぞ」

そう言ったアスカさんの顔は、どこか嬉しそうだった。





《マスター、時間です》

ラピが終わりの時間を教えてくれた。

「おっし。じゃあ仕上げだ」

アスカさんはそう言って両手を夜空に向かって突き出す。

「魔力回路、最大加速!」

次の瞬間、沢山の……本当に沢山のバリアやシールドが夜空に浮かび上がった。

「わぁ…」

その光景に、ボクは目を奪われた。

「すごい…綺麗だ」

白い魔力光のバリアが周囲を明るく照らす。

一色だけの光なのに、とても暖かく、綺麗に感じた。

バリアはすぐに消えてしまう。ちょっと残念だな。

「さて、帰って寝るぞ。二人そろって寝坊じゃカッコつかないからな」

星明かりがアスカさんの笑顔を照らし出そている。

「はい!」

たぶん、ボクも笑っていると思う。

こういう訓練を毎日、出来るときにやってるんだ。

それを誰にも言わないで、当たり前のように。

ボクはアスカさんと秘密を共有したような気になって、なんだか嬉しくなった。





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いつも閲覧していただき、ありがとうございます。
これからも読んでいただけるよう、頑張ります。

今回は1日の出来事を2本立てでやってみました。
前半は、必殺技を忘れたアスカがなのはに助けを求める話でしたが、
ここのカギは、フォワードメンバーの魔法を覚えようとしているところですね。
物語の中盤から後半にかけてここのフラグを回収します。

後半はエリオがアスカの秘密特訓を見る話でした。
バカやってるようで、地味に努力しているアスカを描きたかったんですが、上手くいったでしょうか?

うちの主人公は必殺技を度忘れします。

さて、次回からティアナのネガティブキャンペーンが始まります。
正直、飛ばしたいんですよ。ここの話は。
下書きしている時に、辛すぎてしばらく小説書かなくなったぐらいですし。文章も下手ですし。

ティアナとアスカが衝突しまくります。模擬戦(魔王降臨編)までネガティブキャンペーンが続きます。
多分、長文になると思いますので、ご容赦願います。
 
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