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2部分:第一話


第一話

                第一話  全てのはじまり
 美奈子も魔法塾に入って一ヶ月。その魔法の腕は覚えたてとはとても思えない。
「凄いね、美奈子」
「そうかしら」
 華奈子の言葉にも涼しい様子だ。
「まるで前からやってるみたいよ。あの使い魔も」
「あの子達?」
「そうそう、狐と狸の」
「たまたまね。見つけたのよ」
 それが美奈子の説明であった。実はこれは嘘であるが。
「それで使い魔に」
「何か凄いなあ」
 華奈子はその言葉を聞いて思わず唸った。
「あたしなんかタロとライゾウ使い魔にするのに大分時間かかったし」
「そうなの」
「そうなのよ、今だって手を焼いてるし」
「ふうん。じゃあ私はついてるのかな」
「まああいつ等は特別だけれどね」
 華奈子はブスッとした様子で述べた。
「けど美奈子って普通に魔法も凄いし」
「ありがと」
 何気に姉妹の言葉が嬉しい。
「やっぱり才能あるわ」
「才能ね」
「音楽だってそうだし」
「音楽」
 美奈子はその言葉に目を少し動かした。
「そうよ、凄いじゃない。ピアノだって笛だって歌だって」
 美奈子はどれもできる。コンクールではいつも優勝する程だ。
「あたしだってカラオケだといつも満点だけどね」
 実は華奈子も歌は上手い。おまけに運動神経もよく身体も柔らかいのでダンスも絶品だ。この二人音楽にかけては中々凄いのである。
「それよ、華奈子」
 美奈子は華奈子に顔を向けて言った。
「それって?」
「歌よ、歌をやるのよ」
「美奈子、何するつもりなの?」
 華奈子はキョトンとした顔で言葉を返した。
「一緒に歌でも歌うの?」
「そうよ、バンドで」
 美奈子は何時に無く明るく強い声で華奈子に言う。華奈子はそんな美奈子に押されながら応えていた。
「バンドって」
「皆でやらない?どう?」
「ちょ、ちょっと待って」
 華奈子は戸惑いながらそれに返す。
「何か話が」
「話は後でね、皆で」
「どうしたのよ美奈子」 
 とにかく美奈子の急変についていけない。
「とにかく皆でやりましょう」
「え、ええ」
 何が何かよくわからないまま華奈子と美奈子はバンドを組むことになった。これが新しい話のはじまりだった。


第一話   完


                  2006・8・8


 
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