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夜間戦

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第六章

「陸軍さんは」
「それが一番安全ってことでな」
「見えませんからね」
「そうだ、それだけで違う」
「こっちはその分神経使いますが」 
 護衛の方はだ、夜間戦闘は大変だというのだ。
「陸軍さんがメインの作戦ですからね」
「こっちはそれでに合わせていくぞ」
「わかりました、それじゃあ」
「また頼むな」
「戦争が終わるまでですね」
「爆撃は確かに効いている」
 Bー29のそれはというのだ。
「日本の継戦能力はどんどん落ちている」
「ならこのまま爆撃は続いて」
 夜のそれがだ。
「そして俺達はですね」
「護衛を続けてもらう」
「日本が降伏するまで」
「随分しぶとい連中だがな」
「もう少しですね」
「その通りだ、だから最後の最後まで死ぬな」
「わかりました、全員生きて合衆国に返しますよ」
 部下達はとだ、マクドネルはリースに約束した。だが今は。
 リースにだ、笑ってこう言ったのだった。
「ですがまた次の戦いでも」
「全員だな」
「はい、作戦を成功させて」
 そうしてというのだ。
「帰ってきます」
「頼むぞ」
「わかってます、これが仕事ですから」
「命を賭けた仕事だな」
「戦争ですね」 
 笑ってだ、マクドネルはこうも言ったのだった。
「まさに」
「そうだ、仕事は仕事でもな」
「命賭けですね」
「だから頼むぞ」
「生きて帰ってきますよ、全員で」
「そうなる様にな」
「テキサスに帰ったら」 
 その時はともだ、マクドネルは言った。
「牧場の牛のミルクとステーキ楽しみますよ」
「そうなる様に働くんだな」
 リースはマクドネルの言葉に笑顔で応えた、そしてだった。
 マクドネルは次の作戦にも出撃して部下と共に戦い続けた、幸い彼の率いる編隊に戦死者はなくだった。
 テキサスに帰ってだ、彼は結婚し自分の子供達に牧場のステーキとミルクを楽しみつつこの戦いのことを話すことがよくあった、そして。
「夜の空は大変だった」
 こう笑って言うのだった、その時のことを振り返って。


夜間戦   完


                          2016・5・15 
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