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提督がワンピースの世界に着任しました

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第27話 戦力増強

 革命軍は精力的に世界中で動き回っていて、世界政府と海軍という大きな組織力に対抗をするための力を徐々に蓄えていた。
 革命軍のトップであるドラゴンは自らも動き回って各国の反体制となっている集団に潜入して行っては、その比類なく素晴らしいカリスマ性を用いて反世界政府の賛同者をかき集めていった。

 神威鎮守府は、革命軍の協力者の一つとして依頼された任務、世界政府から不当に扱われている人達の救出作戦や、海軍の持つ設備や輸送航路の破壊活動を行っていた。

 この働きによって、大日本帝国海軍を名乗っている自分たちと、この世界の海を牛耳る海軍本部との対立が明確となった。

 ちなみに大日本帝国海軍は、世間一般の人達にはオハラ島での出来事によって、悪い連中の集まりとして、反体制的な集団だという風に知られていたらしいけれど、大日本帝国と言う名前も悪名として知られていった。
 そして何故か、大日本帝国は女ヶ島にあるらしい王国、アマゾン・リリーと呼ばれる王国と並ぶ女系集団だと思われているらしくて、組織のトップがクールビューティーな弓を使う女性、どうやら航空母艦の加賀であるらしいと噂されている、とのことだった。

 確かに艦娘は女の子しか居らず、革命軍から依頼された任務を遂行する為に現場で働いていて、目撃されているだろう実働部隊は女の子だけの集団だったから、そういう勘違いをされたのだろうか。

 一応は最高責任者を担っている俺が世間から知られていないのは、重要な案件や話し合い以外には神威鎮守府から海へは出ないで、ずっと執務室に引き篭もって仕事をしているからだろう。
 それから、うちの鎮守府には最大戦力であり、見た目からして加賀よりも強者としての強烈なオーラを漂わせる戦艦の長門も居るのけれど、彼女がトップであると噂されないのも、最初の航海から以後は神威鎮守府に待機して島の守りを固めてもらっていて、海には出ていないからだと考えられる。
 裏を返せば、海軍や世間一般の人達には神威鎮守府の存在を未だに知られていない、という事だろうか。

 どのみち、大日本帝国海軍について詳しく知っている人は知っているので、他の噂している人達や世間に知られている、大日本帝国は女系集団でトップが加賀である、という噂を訂正する方法も、訂正する意味もあまり感じられないので放置する事態となっていた。


***


 革命軍から任務の成功報酬として、資金や食料品、そして数多くの悪魔の実を受け取ることが出来ていた。

 手に入れた悪魔の実は、すぐに新しい艦の建造に回して艦娘の仲間達を増やす事に。合計15個という数を手に入れた悪魔の実を、工廠の管理を任せている妖精さん達に渡して、神威鎮守府では同時に使えるドックの数は最大4つなので、しばらくの間は艦娘が完成したら次の建造に、というような順番待ちになりながら連続しての建造をする事になっていた。

 しかし、今回の新しい艦の建造に関して一つの問題が起こっていた。

「建造が、失敗した?」
「はい。ドック4つの内の1つが失敗してしまい、艦娘が生み出されずに、開発資材も消費されて無駄になってしまいました。申し訳ございません」

 艦娘の建造について妖精さんから報告を聞いていた所、任せていた建造の一つが失敗してしまったらしくて、建造に使っていた悪魔の実も消失してしまったとの事だった。
 その失敗に責任を感じた妖精さんは、小さな身体を更に小さく縮めて執務室の机の上に何度も頭を下げて謝っていた。

「妖精さん、大丈夫です。まさか建造に失敗があるなんて想定していなかったので、安易に妖精さんへ任せてしまった、私にも責任があります」

 申し訳なさそうな雰囲気は拭えないまでも、ようやく頭を上げてくれた妖精さんに問う。

「ところで、失敗した原因は一体何でしょうか? やはり、正規でない開発資材、悪魔の実と呼ばれているアレを使った建造だからでしょうか?」
「おそらく開発資材として代替していた、あの実も大きな原因だと考えています。ただ、同時に建造した他の3人の艦娘達は無事に建造が終了していて、検査をしたところ異常も検知することはありませんでした。もしかしたら、他に失敗した原因があるのかもしれないので、原因調査を続けます」

 自分の知っている艦これのシステムの知識から考えると、装備の開発には失敗が有ったけれど、建造には失敗は無かったはず。妖精さんに聞いても、前の世界で艦娘の建造を失敗した事は無かったと言っている。それならば、一体何故だろう……?

「確かに、前回に悪魔の実を使って建造した艦娘達には今のところ異常は発生していないし、建造失敗も無かった。他に大きな原因があるのかもしれないですね。原因調査お願いします」


***


 艦娘の建造に関してトラブルは有ったものの、建造失敗もせずに無事完了した3人の艦娘が新たに仲間に加わって、執務室で建造完了後の初対面となる挨拶を済ませていた。

「HI! 提督、金剛デース! なんだか色々大変みたいだけど私が助けてあげるから、ヨロシクオネガイシマースね!」
 テンション高くやって来た、戦艦である金剛。キラキラと輝く彼女の笑顔は眩しくて、コミカルで大きな動きを交えた挨拶に、俺も思わず笑顔にさせられる元気さが彼女に有った。
 そして、長門に続いて2隻目の戦艦なので、彼女の言葉通り非常に助けになってくれそうな存在だった。

「はじめまして、提督。航空母艦の、鳳翔です。よろしくお願い致します」
 金剛に対して、非常に落ち着いた様子で挨拶を終える軽空母の鳳翔。うなじが見えるくらいの深く綺麗なお辞儀を向けられて、彼女のしっとりとした大人の色気と全幅の信頼を感じていた。
 鳳翔も、神威鎮守府において加賀に続いて2隻目の空母なので戦術の幅が広がりそうだった。

「あの、はじめまして提督。私、給糧艦の間宮です。食糧の供給に関しては、私にお任せ下さいね」

 最後の一人は、なんと給糧艦の間宮だった。ゲームではNPC娘として建造できなかったし、もちろん出撃されることも出来なかった筈の艦娘。そんな彼女の思いもよらない建造完了の報告に、じばらく唖然としてしまったけれど心を持ち直して彼女達を歓迎する。

「よろしく、金剛に鳳翔、そして間宮。事前に妖精さんから話を聞いていると思うけれど、神威鎮守府は通常の鎮守府とは違っていて、色々と問題を抱えている。だから3人が助けてくれると非常にありがたい。頼りにしている」

「私という大船が現れたのだから、安心して任せるデース!」
「及ばずながら、お手伝いさせていただきます」
「私も戦闘は苦手ですが出来る限りのお手伝い、兵站面において頑張ります」

 新たな戦艦と軽空母が加わって、順調に神威鎮守府も戦力を増強していった。 
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