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NARUTO日向ネジ短篇

作者:風亜
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【ネジおじさんへ】

 
前書き
 正直な話、原作読んでません。ほとんどアニメからの知識ですが、アニメもそんなに見れてないので至らない部分が多々あると思います。

 ネジ生存ルートで、ナルトとヒナタは結ばれてボルトとヒマワリは居ますが年齢設定がちょっと曖昧なのでご想像にお任せします。

 ほとんど無理矢理な妄想話のへたっぴなので、それでもいいと思ってくれる方はお進み下さい。生暖かな目で見て頂けると幸いです(^ω^;) 

 
 ────初夏を思わせる日差しが降り注ぐ日中、ヒナタはネジの家を訪れていた。

「ネジ兄さん、今ちょっといいかしら」

「…ヒナタ、どうした?」

「ヒマワリを連れて来ると話がややこしくなりそうだから、日向家の屋敷に預けて私だけ来たんだけど……今日、ボルトはお友達の家にお泊まりで居なくて、ナルト君も影分身ですら帰れそうにないし、ヒマワリが寂しがっているの。だから今夜、ネジ兄さんに家に泊まりに来てほしくて」

「日向家の方に、ヒマワリと一緒にヒナタも泊まりに行ったらどうだ? その方が、ヒアシ様もハナビも喜ぶだろう」

「でもヒマワリは、ネジおじさんに泊まりに来てほしいって言ってるの」

「…ナルトも居ない中で、俺が泊まりに行くというのもどうかと思うが」

「ネジ兄さんったら、遠慮する必要ないでしょう? 私達はもうとっくに家族なんだから。それに、ずっと一人で暮らしていないで、うずまき家で一緒に暮らそうってナルト君も私も何度も言ってるのに、ネジ兄さん一向に聴き入れてくれないんだもの。ヒマワリとボルトも、一緒に居てくれた方が嬉しいって言ってるのよ?」

「お前達はあくまで、"うずまき一家"としてあるべきだ。…そこに俺が居候する形は好ましくない」

「後遺症の事も、あるでしょう。何かあってもすぐ対応できるように、傍に居てほしいのに……」

「その事に関してはお前達に、余計な世話をかけるつもりはないと言ったろう。───後遺症の方も、最近は大分落ち着いているから大丈夫だ」

「じゃあせめて今日は、こっちに泊まりに来て? ヒマワリを、喜ばせてあげたいの。あの子が幼かった頃より、来てくれる頻度も少なくなっているでしょう。…分かっているんだからね、自分の方ばかりに懐かないように、ナルト君に遠慮しているのは。『そういう気遣わないで、オレの代わりにヒマワリにどんどん会ってやってくれってばよ!』って、ナルト君言ってるのよ? ね、ヒマワリのお勉強見てあげたり、遊んだりしてあげて?」

「───判った、そうしよう。夕方頃には、行く事にするよ」

「良かった…! 約束よネジ兄さん、ヒマワリと一緒に待っているからねっ」

 さっきまでの心配そうな表情をにっこりと笑顔にさせ、ヒナタはネジの家をあとにした。
…ネジはそれを見送って、やれやれといった様子で笑みをこぼすのだった。

 ───あの大戦で、ナルトとヒナタを守ったネジは一度死したが、奇跡的に一命をとりとめた。…とはいえ、半年ほど意識不明だった上に後遺症で体質が虚弱化してしまい、忍としてはやっていけなくなった。

 その後、カカシからの引き継ぎ後にナルトが火影になる事が決まり、ネジ自身一度死して額の呪印が消えた事も相まって日向一族の若き御意見番的存在になり、その勢いで呪印制度を廃し、一族間の枠を越え大戦後恋人同士となったナルトとヒナタを結ばせる事も叶った。

「オレが火影になるのは決まってたっつっても、その前にネジ自身で日向変えちまうんだもんなー? けど、これはこれで良かったってばよ!」

 義兄となったネジに、ナルトは誇らしげにそう言った。

 ───三十代半ば過ぎとはいえ、ネジには見合いの話が里中はもちろん里外からも後を断たなかった。…だがネジはどれも丁重に断り、誰とも付き合う事なく父の遺した家で一人暮らす事を続けていた。

 大戦の後遺症で体調を崩しがちではあったが、病院関係以外誰の世話にもなるまいと決めていたのだった。




 うずまき一家に夕刻訪れると、ヒマワリが満面の笑みで出迎え飛び付いてきたので、ネジは思わず表情を緩め身を低くして抱きとめた。

お風呂に一緒に入ってとヒマワリに言われたがそれはさすがに断り、ヒナタを手伝った上で三人で夕食を共にし、その後ネジはヒマワリの勉強を見てあげたり、ボードゲームをしたりして楽しんだり、長い髪を色々弄ばれたりするのだった。

「おじさん、ヒマが大人になるまで誰ともケッコンしないでね?」

「心配しなくとも、俺は誰とも結ばれるつもりはないよ」

「えっ、ヒマともダメなの?」

「その通りだ」

「ヒマ、大人になったらおじさんとケッコンしたいのになぁ」

「ヒマワリにはいつか、相応しい相手が見つかるだろう。父親としてのナルトの反応が、楽しみではあるが……。さぁヒマワリ、そろそろ寝た方がいい。夜更かしは良くないぞ」

「まだ眠くない! おじさんが一緒に寝てくれるんなら寝ようかな~」

「…もう幼い子ではないのだから、一人でお休み」

「む~、じゃあまだ寝ないもんっ」

「おじさんを困らせないでくれ、ヒマワリ」

「添い寝してあげるくらい、いいじゃない。久し振りに今夜は一緒に寝てあげて、ネジ兄さん」

「しょうがないな…。幼い頃のように、あまり引っ付いて来ないでくれよ?」

「やった! じゃあお母さんも一緒に寝る?」

「うん、そうしようかな」

「ヒナタ……?!」

「でも私、まだやる事があるから先に寝ててね」

「わかった~。行こ、おじさん!」

 寝室に手を引かれて行くネジは、心中穏やかではなかった。



 小一時間後────

「はぁ、やっと寝てくれた……」

「あらネジ兄さん、起きて来ちゃったの? もう少ししたら、私も一緒に寝に行こうとしてたのに」

「冗談はよしてくれヒナタ、急にナルトが帰って来でもしたらどうするんだ」

「大丈夫よ、何ならナルト君も一緒に寝るだろうし。家族みんなで寝るのって、素敵よ」

「…そこに俺が入る必要はないにしても、火影が多忙なのは仕方ないとはいえナルトは、今度いつまともに休めるのやら」

「そうね…、ボルトは父ちゃんなんていない方がいいなんて強がってるけど、本当は寂しいでしょうし」

「父親と一緒に、修行に励みたいだろうにな。ハナビから柔拳の基礎は教わっているが、俺は修行に付き合ってやれる身体ではないし……歯がゆいものだ」

「あの子は筋がいいから、ネジ兄さんの血もちゃんと受け継いでいるのよ」

「そんな事はない、ヒナタの血をしっかり受け継いでいるからだ」

「ボルトの名前は、ネジ兄さんからきてるんだから、きっと強い子になるわ」

「…ナルトが考えた末に思い付いた名が、たまたまそのような意味合いにもなっていただけだろう」

「ナルト君、その意味を調べて知ったから決断したのよ。自分の名前にも似て、ネジ兄さんの名前の意味にもなっていて、これだ!って思ったそうよ」

「ボルトが強い子になるなら、それはやはりナルトの子だからだろう。───さて、俺も寝るとしよう。お休みヒナタ、お前も早く寝るんだぞ」

 ネジは客人用の部屋に入り、静かに戸を閉めた。




 ───曇り空の翌朝、ヒマワリが寝惚けまなこで起きて来た。

「おはよ~、お母さん」

「おはよう、ヒマワリ」

「目が覚めたら、ネジおじさんいなかったけど……先に起きてるの?」

「ううん、ヒマワリが眠ってから別の部屋で、まだ起きて来てないわ」

「え~っ、何で別の部屋に行っちゃったの? 目が覚めた時もおじさんにそばにいてほしかったのに…」

「わがまま言わないの。さぁ、顔洗ってらっしゃい。朝ごはんの支度、手伝ってね」

「は~い」

 そうこうしている内に朝食の準備は出来たが、ネジはまだ起床して来なかった。いつも早起きなのを知っていたヒナタは、昨日少し疲れさせちゃったかなと思い、もう少し寝かせておいて先に朝食を済ませようとヒマワリに言ったが……

「おじさんと一緒に朝ごはん食べたい! ヒマが起こしてくるねっ」と、ネジの居る部屋に直行した。

「…おじさ~ん、もう朝だよ! ヒマと朝ごはん一緒に食べようよ~!」

 ヒマワリは容赦なく寝ている上に乗っかって揺すぶった。───しかし、反応がない。

ネジは横向いて寝ているらしかったが、掛け布団が顔まで覆われていて表情は窺えない。

「おじ、さん……?」

 不自然に感じたヒマワリは、顔を覆っている掛け布団に手をかけ、引こうとした。

「───待って、ヒマワリ!」

 そこへ何かを察したヒナタがやって来て、制止をかけた。

「…ヒマワリ、今すぐネジ兄さんの上から降りて部屋を出ていなさい」

「え? でも…」

「早くしなさい!」

 さっきまで穏やかだった母親の様子が切迫しており、まるで叱られた気になって言われた通りにした。

…ヒマワリが部屋を出ると、ヒナタは視界を遮るように戸を閉めた。

不安になったヒマワリは、戸に耳をそばだて中の様子を知ろうとし、微かに母親の声と、それに伴って苦しげな息づかいが聞こえてくる。

「───さん、しっかり…! やっぱり、───症が…っ。すぐ、───院に連れて……!」

 戸に迫る気配を感じてヒマワリは身を引き、その瞬間戸が開いて中から、ぐったりした様子のネジを背負ったヒナタが出て来た。

───ネジの顔は長い髪に紛れ、やはり窺い知る事ができない。

「おじさん、どうしたのっ? 具合わるいの…!?」

「私、ネジ兄さんを連れて今から病院に行ってくるから」

「ヒマも…、ヒマも行く!」

「いいえ、ヒマワリは家に居て。ボルト、お昼頃帰って来ると思うから、そしたらお兄ちゃんと一緒に日向のお屋敷に行って待ってなさい。場合によっては今夜、泊まらせてもらいなさいね」

 ヒナタはネジを背負ったまま家から素早く出てゆき、あっという間に姿が見えなくなった。

……ヒマワリはぼう然としながら、すっかり冷めてしまった朝食を前に何もする気が起きなかった。



 ───昼前に兄のボルトが帰って来た時、ヒマワリは思わず泣き出してしまった。

「おぉい、どうしたってばさヒマワリ…! 兄ちゃんが一晩いなくて、そんなに淋しかったか? …あれ、母ちゃんは??」

「ヒマの…、ヒマのせい、かな…? どうしよう、お兄ちゃん……おじさんがっ、ネジおじさんがぁ…!」

「へ? おじさんが、どうしたってヒマワリ。落ち着いて話聞かせてくれってばさ…!」

 動揺しているヒマワリを何とか落ち着かせて話を聞いたボルトは、大方事情を察した。

「おれ、ヒマワリを日向んとこに送ったら、もう一回出かけてくる!」

「でも、お母さんは、日向のお屋敷で待ってるようにって……」

「ヒマワリはヒアシのじぃちゃんやハナビのおば…っ、ねーちゃんに相手してもらえばいいってばさ」

「…ヒマ、お兄ちゃんと一緒に行きたい。病院、行くつもりなんでしょ? ヒマだけ置いてけぼりなんてやだよ…! おじさんのこと、心配だし…っ」

「わ、分かったから泣くなって。…よし、じゃあ兄ちゃんの背におぶされ! すぐ連れてってやるってばさっ!」

 ボルトはヒマワリを背負い、病院へと急いだ。




「───すいません! ここに何時間か前にネジおじさ……じゃないや、日向ネジって人運ばれて来ましたよね? 今、どこにいますか!?」

 病院に着いて早々、受け付けのお姉さんにボルトは尋ねた。

「あぁ、はい、そうですね。えぇっと……」

「あら? ボルトにヒマワリちゃんじゃない」

 ちょうどそこへ、医療忍者のサクラが通りかかった。

「あ、サラダの母ちゃん! あのさ、ネジのおじさん運ばれて来たの知ってる?」

「…えぇ、もちろん。影分身じゃない火影様、ナルトも来てるわよ」

「へ? 父ちゃんも…? まぁいいや、今どこにいんの?」

「ネジおじさん、大丈夫なの…!?」

「処置が早かったから、症状も落ち着いてるし大丈夫よ。…今、107号室でナルトとヒナタが付き添ってるわ」

「107号室だな、分かった! 行こうヒマワリ!」

「うん…!」

「あ、ちょっと待って! お薬が効いて眠っているから、静かにするのよ? あと、廊下は走らないようにね」

「分かったってばさ…! ありがとな、サラダの母ちゃん」

 二人はなるべく早歩きで、107号室へ向かった。



「───あ、ボルト、ヒマワリ……やっぱり、来ちゃったのね」

「よぉ二人共、何日か振りだな。元気にしてたか?」

 個室のベッドには、意識なく横たわっているネジの姿があり、その両脇にナルトとヒナタが佇んでいた。

「…なんだ父ちゃん、ほんとに影分身じゃないのかよ?」

「あぁ、家族に何かあった時は、影分身じゃなく本体で来るって決めてんだってばよ」

「ねぇ、お父さん……おじさんが具合わるくしたの、ヒマのせいかもしれないの」

「ん…? 何言ってんだヒマワリ」

「だって…、お兄ちゃんがお友だちのお家に泊まりに行っちゃって、お父さんもいなくてさみしいから、おじさんに泊まりに来てもらったんだけど……ヒマ、うれしくていっぱいわがまま言っちゃったから…っ」

「それとこれとは違うってばさヒマワリ、おじさんは……前に起きた戦争の後遺症のせいで、時たま急に具合悪くなっちまうんだよ。今回は、それがたまたま重なっただけだと思うんだ」

「え……?」

「ボルト、お前……オレとヒナタからは言ってねぇはずだよな。その事、知ってたのか?」

 ナルトとヒナタは、少し驚いた様子で目を見張った。

「あ…、うん。おれ、夜に家出したことあったじゃん。父ちゃんの影分身にキレて……。友達んとこいきなり押しかけんのも気が引けたし、日向の屋敷に行くのもなんだし……ダメ元でネジのおじさんとこ行ったんだ。そしたらおじさん、何も聞かずに黙って迎え入れてくれてさ…。寝床借りて寝たんだけど、夜中に目が覚めた時───微かに呻き声が聞こえてきたんだ。おれは父ちゃんみたいにユーレイなんて怖かねぇから、その声たどってったら……おじさんが、台所に背もたれてうずくまってて、苦しそうにしてたんだ。そん時、鼻にツンとくるニオイがしたから、吐いちまったんじゃないかって……。おじさん、大丈夫か?っておれが駆け寄って聞いたら、おじさんちょっと顔上げて消え入りそうな声で『すまん……起こしてしまったか』って、逆に気遣われてさ」

 ボルトは、その時の事を鮮明に覚えていた。あまり表情を変えない沈着冷静な伯父の、弱り果てた姿を見るのは初めてだった。

……時間が経てば落ち着くから、自分の事は気にせず寝ていろと言われたが放っておくわけにもいかず、ボルトは何とかネジを部屋まで運んで布団に寝かせた。

手間を掛けさせたな…と、まだつらそうな表情をして言う伯父にボルトは、具合が悪かったら病院行かなきゃダメだってばさと言ってやったが、ネジに言わせると通院してはいるものの、もらった薬ではすぐには効かない事もあり、症状が落ち着くのを待つしかないとの事だった。

どこが悪いのかと聞くと、ネジは始め黙っていたが観念したように、大戦の後遺症だと言い、時おり強弱の異なる発作的な身体的影響を及ぼすらしい。

ナルトとヒナタは無論知っていたが、その子供であるボルトとヒマワリには、あえて言う事ではないと口止めしていたようだった。

「───ヒマワリとおれには変に気を遣わせたくなかったらしくて、けどおれは知っちゃったから、ヒマワリには言わないでくれっておじさんに言われてたんだってばさ」

「そんなの、ずるいよ。ヒマだけ、知らなかったなんて……っ」

 ぽろぽろと涙する娘を、ヒナタは優しく抱きとめた。

「ヒマワリ、ネジ兄さんの気持ちも分かってあげて。ボルトとヒマワリには、自分が弱っている所を見せたくなかったのよ。こんな風に…、心配させちゃうから」

「……後遺症って、治らないの?」

「兄さんの場合、根本的な治療法がないの。せめて、強く出た症状を医療忍術で和らげるくらいしか……」

「───オレがあの時、もっとしっかりしてりゃネジをこんな風にはさせなかったんだけどよ……いや、こんな事言ってもしょうがねぇな。とにかく必要以上に心配しちまうと、ネジの方が余計気ぃ遣って自分から離れてこうとするから、こっちはなるべくさりげなくしといた方がいいんだってばよ」

 ナルトはそう言って聞かせるが、ヒマワリは何か思い立って口を開く。

「わたし、おじさんを癒してあげたい」

「ヒマワリ……?」

「後遺症の症状を、少しでも和らげてあげられるようになりたい。───医療忍術、使えればいいんだよね? わたし、サラダちゃんのお母さんに教わってくるっ」

「ちょ、ちょっと待ってヒマワリ…! サクラさん、お仕事忙しいはずだから……!」

 母親の腕の中から離れたヒマワリは病室を出てゆき、ヒナタもその後を追って行った。

「おっ? この分だとヒマワリ、医療忍者になるかもしれないってばさ」

「ヒマワリの将来はヒマワリのもんだから、どんな道を選んでもオレは父親として応援するだけだってばよ」

「…おれは火影にはぜってーならないからなっ」

「ははッ、それでいいんだボルト」




 ───夜中にふと、ネジがおぼろげに意識を戻し、傍らに居たナルトがそれに気づいて小さく声をかけた。

「よぉ……身体、どうだ? まだ夜中だから、朝までは寝てろよ」

「ナル、ト……? お前、仕事はどうした」

「あぁ、事情汲んでくれたシカマルが代行してくれてっから問題ねぇよ。ちょうど、一段落つきそうでもあったんでな」

「そう、なのか……。ここは、病室……か? 何故───」

「覚えてねぇか? まぁ、無理もねぇってばよ。オレとボルトは居なかったが、ヒマワリの為に家に泊まりに来てくれてたんだろ? その翌朝に、お前……」

 ナルトの話から、ネジはようやく意識がハッキリとしてきた。

「───! ヒマワリに、知られてしまった…のか」

「そういうこった。…ボルトはそこの簡易ベッドで寝てるし、ヒマワリとヒナタも何時間か前にはここに居たんだが、ヒマワリが急にサクラちゃんに医療忍術教わって来るっつったまま、戻って来ねぇんだ」

「……何故、そんな必要がある」

「分からねぇか? ───お前の為だってばよ。後遺症の症状を、少しでも和らげてあげたいってな」

 ナルトからそう聴いたネジは、小さく溜め息をつき片手で自分の顔を覆った。

「────。やはり、駄目だな俺は……。ヒマワリにそこまで気を遣わせたくはなかったというのに」

「自分の意思じゃどうにもならねぇ事だろ? それによ…、いずれ知られちまうのは時間の問題だったんだ。ボルトだって、本当は知ってたそうじゃねぇか」

「………。いっその事、あの時に潔く死ねていれば、こんな────」

「おいネジ、───二度と言うな、そんな事」

 片手首をぐっと強く握ったナルトは鋭い眼差しを向け視線を逸らす事を許さず、その気迫に思わず気圧されるネジ。

「すまな、かった……謝る。だから、手を放してくれ……痛い」

「あ、わりぃ…、痛かったよな。オレはお前に何度、痛ぇ思いさせちまってんだろうな」

 握っていた手を放し、今度は摩ってやるナルト。

「ネジには……生きててもらわなきゃ困る。あの時死なれてたらオレは─── 一生自分を許せねぇよ」

「……ナルト、お前の傍にはヒナタが居る。きっと、乗り越えられたはずだ」

 うつむいたナルトに、穏やかに述べるネジ。

「そうかもしれねぇけど、考えたくねぇんだ。ネジの居なくなった世界なんて……。そんな身体にしちまったのは元はと言えばオレだけど、後遺症が残っちまっても、生きててさえくれりゃあいい。籠の鳥は死ななきゃ自由になれなかったなんて、シャレになんねぇからな」

「─────」

「迷惑かけるとか考えんな。お前の世話くらい、大いにさせてくれよ。オレ達は、家族なんだ。すぐ傍でオレ達を見守って、この先も生きていてほしいんだってばよ、ネジ」

 ……何か言おうとしたが言葉にならず、代わりにネジは、微笑んだ。



 翌朝───ヒマワリとヒナタが、病室に戻って来た。

「ネジおじさん! 目を覚ましたんだね、よかったぁ…! もう大丈夫? 苦しいところ、ない?」

「あぁ……実はナルトに手首を強く掴まれて、まだちょっと痛いんだ」

「えっ? …ちょっとお父さん! おじさんになんてことしてるの!?」

 白眼になりそうな勢いのヒマワリに、ナルトは焦った。

「いやいや、父ちゃんはネジおじさんをイジメたりしてねぇってばよ…?!」

「じゃあおじさん、わたしが今から痛いの治してあげるねっ」

 ヒマワリが両手をかざして集中すると、じんわりと温かな癒しの気が右手首を包んだ。

「すごいな、ヒマワリ……いつの間に医療忍術を扱えるようになったんだ?」

「昨日の夜遅くまで、サクラさんに手解きをしてもらったのよ。たった一晩で初歩的な術を覚えちゃったから、才能あるかもしれないって」

 ヒナタが笑顔でそう話し、ボルトはビシッと親指を立てた。

「さっすがおれの妹だってばさ! 医療忍者も夢じゃないな、ヒマワリっ!」

「うん! わたし、もっとお勉強して、おじさんの後遺症を治してあげるのっ」

 その言葉に、ネジは思わずヒマワリを抱きとめた。

「ありがとう、ヒマワリ……だが、ヒマワリの将来はヒマワリのものだ。俺の為に時間を使う必要はないんだよ。自由な夢を、見つけてくれ」

「うん……でもねおじさん、まっすぐ自分の言葉は曲げないよ。それがわたしの、決めた道だから」


《終》
 
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