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一四七キロフォーク

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第二章

「またいいこともあるわよ」
「横浜でもね」
「だといいけれどね」
「まあとにかくソフトバンクは今年もね」
「物凄く強いわね」
 恵美と茜も咲にはこう言った。
「これは優勝かも知れないわね」
「今年も」
「そうでしょうね、どんなチームが相手でも」
 咲は浮かれた顔のまま言った。
「負ける気がしないわ」
「まあ優勝したら喜んでいたらいいわ」
 明日夢はそんな咲にまた言った。
「こっちはこっちで応援するから」
「じゃあね」
「九月には胴上げね」
「そうなるでしょうね」
 咲はほぼ確信していた、この時は。ソフトバンクは二位日本ハムと十一・五ゲーム差と圧倒的な差をつけていた。
 しかしだ、ここからだった。
 日本ハムは勝った、勝って勝って勝ち続けた。そして気付くとだった。
「十五連勝!?」
「ちょっと以上に凄くない!?」
「大谷さん今年何なの!?」
「他の選手も皆凄くない!?」
 春華、静華、凛、七々瀬はクラスで咲のスポーツ新聞を見て思わず叫んだ。
「どうやったらここまで勝てるんだよ」
「勝ち過ぎでしょ」
「阪神に分けなさいよ、ちょっとは」
「ヤクルトにもよ」
「ううん、これは凄いわね」
 未晴もこう言うのだった、六人はクラスで咲の机を囲んでいてそのうえで話している。
「日本ハムには勢いがあるわね」
「幾ら勢いがあってもよ」 
 それでもとだ、咲は強い声で言った。
「ゲーム差があるし、ソフトバンクの戦力なら」
「大丈夫っていうのね」
「まだまだね」
 それこそとだ、咲は未晴に答えた。
「いけるわ、後半になってもこの勢いが続くかしら」
「だからっていうの」
「今年もソフトバンクよ」
 咲は言い切った。
「ソフトバンク優勝よ」
「けれど大谷さんな」
「去年より凄くない?」
「中田さんも打ってるしね」
「助っ人のレナードさんも」
 春華達四人はその日本ハムの話をさらにした。
「監督いいよな」
「栗山さん冴えてるわよね」
「采配上手だし選手もまとめてて」
「名将ってああいう人のことを言うのかしら」
「栗山さんは確かに凄いわ」
 このことは咲も認めた、だが咲はソフトバンクファンとしてこうも言った。
「けれど北海道に栗山さんがいればよ」
「福岡には工藤さんがいるっていうのね」
「公康様を甘く見ないことよ」
 未晴に強い声で言い返した。
「現役時代から頭脳派で今もよ」
「監督でも負けていないから」
「勝つのはソフトバンクよ、戦力も上だし」
「優勝出来るっていうのね」
「胴上げをしているのはソフトバンクよ」
 咲は言い切った。
「クライマックスでもね」
「まあそれはな」
「普通に考えればそうよね」
「ゲーム差とソフトバンクの戦力考えたら」
「優勝はほぼ確実ね」
「そうよ、ソフトバンクは三連覇してね」
 そして、というのだった。 
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