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HUNTER×HUNTER 六つの食作法

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021話

「手酷くやられてんなぁウボォー。そんだけの相手だったのか?」
「右腕粉砕骨折、筋肉断絶、神経も酷くやられてるねこれ。ウボォー、オーラを操作して治癒高めさせるからアンテナ刺すよ」
「おう頼むぜ」

幻影旅団アジト。シャネルとの1対1との戦いの後アジトに戻ったウボォーギンは団長たるクロロに遅刻の理由と身体の大怪我の理由を説明しながら治療を受けていた。メンバーの殆どが一瞬目を白黒させていたのが本人としては少し面白かった。仲間の一人であるシャルナークの能力でオーラを操作され治療中もその目はとまらなかった。

「ウボォーギン、随分と満足そね」
「あんだけ興奮した上で楽しいのは私怨のリベンジマッチ以外じゃ久しぶりだったぜ……もう一度やりてぇ………!!」
「へぇ……俺もやってみてぇな」

珍しく相手をかなり賞賛する言葉に自分もシャネルと戦いたいと言う声が上がり始めた、何よりも強く ただ強くと言うのを心情としている彼自身の言葉と此処まで傷つける男に興味が沸いた。だがそれにウボォーギンは反論した。

「てめぇらは手ぇ出すなよ?俺の獲物だ……あいつだけはな!!!」
「随分と気に入ってるな、ウボォーさん」
「へへへっ当然だぜ、ああ。あのときの本気の一撃……それを打ち返してやりてぇな!!」

唯純粋なリベンジへと燃え上がらせている感情、一対一のタイマンだった以上に視力を尽くした戦いだったのが気に入ったのだろう。

「……俺も、是非会ってみたいものだな。そのシャネルとやらに」

クロロ=ルシルフルを含めた全員。シャネルへの興味を示し、ウボォーギン、リベンジへの闘志を燃やす。


「んでお前らも行くのか?」
「ああ。私もグリードアイランドに興味が沸いてな」
「同じ~く。面白そうだ」
「ホント気楽だな……」

オークション最終日、シャネルとクラピカはプレイヤー選考会に挑むゴンとキルアに同行していた。数多くの人間が席につき、今か今かと選考会始まりの時を待ち続けていた。4人仲良く席につきつつ待っているとマイクを持った黒服が壇上に上がって声を出した。

「皆さんお待たせいたしました。それではこれよりグリードアイランドプレイヤー選考会を始めたいと思います、このゲームに参加するには念能力が必要となります」

黒服が語るのは選考会のルール、各々の念を見せそれを審査され合否が決まるという単純明快なルール。そしてその合否を決めるのはバッテラ氏に雇われているマネーハンター、ツェズゲラ。下ろされたシャッターの内側で念を見せて決められる。そして合格人数は32人。それだけを説明するといきなり審査が始まった。

「説明ってあれだけか……?」
「そうのようだな、最低限情報は出した。後は自分で考えろっと言う所だろう」

素早く動き審査に向う者。その後に続いている者。そして席に座ったまま動かない者。現在この3グループに分かれている、キルアは如何するべきかと考える、隣では顎に手をやり同じように考えているクラピカに目を瞑り後頭部に手を置いてリラックスしているシャネルにじっとして集中しているゴン、正にそれぞれが違う行動を取っている。どれが正しいと思ってしまうが一旦思考をリセットする。

「(まず合格者は32名、合格者が揃った時点で終了。でもそれならまだ残っている時点で32名も出たら、その他の奴は合格者よりも下って事になる。俺が主催側だったら如何する、32名もこの場で出さずに……)そうか、ここでは32名も合格者は出ない!」
「私も同じ意見だキルア」

どうやらクラピカも同じ結論に達したのか意見を肯定した。今後有望な応募者が出た時の為に、保険として空きを作っておく。だから今回、全員はしっかりと審査する。

「ゴンにシャネル、解っていたのか?」
「いいや。でも一応全員見て置きたいって言うのが人情かなぁって思って」
「俺は何となく待ってても良いかなって思ってな。後残り物には福があるっていうしな」

そのまま様子を見続けているといよいよ人数も少なくなってきて遂には自分たちだけになってきた。キルアとゴンは先に行き戻ってこない、まああの二人が落ちるとは思いにくいが。

「先に行くぞシャネル」
「おう、待っててくれ」

ハイタッチをする師弟、クラピカはそのまま壇上へと上がりシャッターの奥へと消えて行くがシャネルは全くと良いほど心配などしていない。

カーテンとシャッターで仕切られ外からは完全に見えなくなった壇上。そこではツェズゲラが待機し次の審査希望者を待ちかねていた。

「では、練を見せて貰おうか」
「壁を傷つけても?」
「問題ない、存分にやるが良い」

ツェズゲラの許可を得たクラピカは右手の鎖を具現化し人差指の鎖を壁へと勢い良く伸ばす、真っ直ぐに伸びた鎖は深々と壁に突き刺さった。その鎖の威力に驚いているツェズゲラは次の瞬間に自分を取り囲んでいる鎖の存在に気づいた。しかもその鎖は先程壁へと伸ばした人差指の鎖、壁へと伸ばし壁に刺さった瞬間に消して瞬時にツェズゲラを取り囲んだ事になる。

「こっこれは……!!素晴らしい、文句無しの合格だ」
「解った」

合格者が入る部屋へと進んでいくクラピカを見送るツェズゲラはあの若さであれだけの強さを手に入れる事に驚きつつ心を僅かに乱すのであった。そして次に入って来たシャネルの審査に入った。

「さあ練を見せてくれ」
「おう、ふぅ……いただきます。はぁっ!!!フォーク&ナイフ!!」

開始の合図を聞くと合唱をし瞬時にフォークとナイフの念弾を生み出し空中に浮かばせる。そしてそれを腕の動きにシンクロさせるように操作して見せ、止めに壁の一部をナイフで切断しそれをフォークで刺してツェズゲラの足元に置いて見せた。

「これで良いか?」
「いいだろう、合格だ」

こうしてゴン、キルア、クラピカ、シャネルの4人も合格者となりグリードアイランドをプレイする事となった。


「んでここがマジでゲームの中な訳?到底信じられねえな」
「あっシャネル!」
「おう遅くなって悪かったな」

遂に始まったグリードアイランド。ゲームの内へと入ったシャネルは説明を聞くと先に入っていたゴン達との合流を果たした。見渡す限りの大平原、そこにポツンと立てられた建物。此処がスタート地点で此処からゲームをプレイするのだろうが

「見られてるな」
「やっぱり解る?」
「当然。だけど監視してるって相手に解っちゃ駄目だろ」
「全くだ。未熟にも程がある」

こちらへと注がれている視線は約二方向から来ている、そして前のプレイヤーもその方向へと進んでいる。そちらに街などがあるからだ、見張りは体力と気力を消耗する。単独でも集団であっても直ぐに休める所で見張るのは悪くない手。一先ず監視の気配がする一方向へと向ってみる事にする。

「にしてもマジでここゲームの中か?全く実感無いな」
「だよね、普通に現実の世界って感じ」
「それを感じさせないように作られているのかもな」
「風も土も同じ感じ……」

本当にゲームの中に入るのかどうかと言う談義をしつつもシャネルは円を展開し警戒をしつつ歩いている、そして円に反応。上から何かが来ると感じる。

「上から何か来るぞ!」

声を張り上げると同時に全員は後方へとジャンプすると、そこへ光の筋が落ちてきた。そこにはカードをしまうバインダーにもなる本を展開し笑いながらこちらを見て笑って入る男がいた。

「(今のは……?)」
「(放出系の念能力か?)」
「くくくっ……君たち、ゲーム始めたばかりだろう」

警戒心を抱きつつ相手を注視していると男はバインダーにカードを一枚嵌め込みニヤニヤと更に笑う。

「ゴン、キルア、クラピカ、シャネルね」
「俺達の名前を……カードの効果か」
「さあ如何だろうね?(スペルカードも知らない、初心者決定だな……狙うは……餓鬼!)"追跡(トレース)"使用(オン)!キルアを攻撃!!」

一枚のカードを持ち、呪文のようなものを叫ぶとカードが光となって対象として指定したキルアへと一直線に向って行く。一同は散開するが光は走るキルアを追い続ける。

「ヒャハハハハ!!無駄無駄ァ!ゲームのスペルからは逃げられねえよ!!」
「なら……!!」
「ッ!?」

馬鹿笑いをしている男、相手が初心者だと思って油断したのか迫ってくるシャネルに反応が遅れた。勢い良く伸ばしてくる豪腕をギリギリで回避し素早く身を翻して距離を取る。そんな相手に対してシャネルは合掌し箸の構えを取る。

「お前を直接狙えば良いじゃねえか!!逃がさねえぞ!」
「(こいつはええ!!まずい、絶対にやばい!!)"再来(リターン)"使用!マサドラへ!!」

箸を繰り出そうとしたシャネルに凄まじい脅威を感じたのか男は顔を青くしながら新しいカードを一枚取って唱えた。男の身体はやってきた時のように光に包まれて凄まじい速度で何処かへと飛んで行く。流石にあれを捉えられる事は出来ず、舌打ちをして構えを解く。

「キルア大丈夫か?悪い逃がしちまった」
「身体に変化はなさそうだしあれはしょうがないんじゃね?また空飛んでいくなんて予想外だし」
「放出系の能力者、と言うわけではなさそうだな」
「所謂カードの魔法、って感じかな?」
「その認識が一番正解っぽいな。トレースにリターンか……」

先程の男が唱えていた魔法の名前と思われる物。初心者にもかける事を躊躇しない簡単な物と取るべきだろう。

「名前からして相手の位置とかを探ったりするのがトレース、どこかに戻るのがリターンってのらしいな」
「それだったらキルアの身体に影響は無いのかな?」
「そう思って良いんじゃないか?あくまで相手の様子を探るならな」
「しかしそう決め込むのは危険だな、私たちには情報が無い。まずは街で情報の収集をするのが先決だ」

クラピカの意見が最もだと全員が賛成し街へと目指す一同。

強欲が渦巻く島、世界一危険なゲーム『グリードアイランド』、彼らはこの師までどのような冒険を繰り広げて行くのだろうか……。 
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