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Three Roses

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第十八話 墓参りその十四

「姉妹であるが故にだ」
「その関係は複雑なものになっている」
「共にいるが共にはいない」
「間には確かな溝がある」
 彼等には見えていた、明らかに。 
 それでだ、王国の者達はさらに話したのだった。
「この溝に付け込めるか」
「この国を乱せるか」
 王国にとっての敵であるこの国をというのだ。
「それを見極めたいが」
「そうした種類の溝か」
「それがどうかだな」
「問題だな」
 こう彼等の間で話すのだった、そしてだった。
 彼等は太子も見た、太子に対しては明らかな敵意を向けて見ていた。そうして太子と彼の家であるロートリンゲン家、この家が治める帝国についても話した。
「忌まわしいものだ」
「この国にまで触手を伸ばすとはな」
「何かあれば我が国を害してくる」
「我が国の前に立ちはだかる」
「常にな」
 太子に帝国を見て言うのだった。
「この国にも手を打ちたいが帝国だな」
「あの太子の国をどうするのか」
「それが我々の最大の懸念だ」
「あの太子も頭が切れる」
「この国で我々の動きを常に封じてくる」
「だが何時までもそうだと思うな」
 太子、そして彼が後ろに連れているロートリンゲン家に仕える帝国の廷臣達も見ている。そのうえで言うのだった。
「我々もやられてばかりではない」
「数百年の間我々がやられることが殆どだったが」
「しかしだ」
「常にそうだと思うな」
「要は最後の最後に勝てばいいのだ」
「最後の最後に笑っていればいいのだ」
 これまで幾ら負けていようが構わないというのだ。
「今のうちに笑っておけ」
「最後に笑っているのは我々だ」
「王国だ」
「そして我等の王だ」
 アントワープ家、この家の王だというのだ。
「それを思い知らせてやる」
「やがてはな」
「その時にどういった顔になるのか見てやる」
「必ずな」
 まさにというのだ。そうした話をしつつマリーとマイラも太子達も見ていた。聖堂に向かう二人だったが周りはそれぞれの思惑でそこにいて見て考えていた。 


第十八話   完


                         2016・7・26 
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