| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

とある科学の傀儡師(エクスマキナ)

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第54話 師弟

 
前書き
あー、湾内さんのヤンデレ化が止まらない...... 

 
病院の売店では病院利用者のために、規模は小さいが品揃えは豊富な場所だ。

サソリが雑誌コーナーで『月刊 傀儡道 人形師が選んだ拘りの仕掛け部分特集』を立ち読みしていた。

口が多く、腕が多数か......

傀儡の踵にも仕込んでいる人形師もいる
人形が脚部を上げると、そのまま踵落としをすると思うでしょ?
違うんですよ、その踵を飛ばすんですよ
相手もびっくりします
人形だからって、人間と同じ動きにしなきゃいけない訳じゃないですし
人形にしか出来ない動きを探求するのもロマンがあるねぇ

インタビューに笑顔で答えるのは傀儡人形を造り続けて50年のベテラン『糸出操蔵(いとであやつるぞう)』さん

注)某児童漫画の主人公ではありません

「そこは同意だな。仕掛けを考えるのが醍醐味だ」
傀儡雑誌という非常にニッチな書籍を棚に戻すと、横にある漫画雑誌をパラパラと捲った。
一つの漫画に目を通す。

それいけ!アンデットちゃん
「いけない遅刻!」
「遅いですわよ!何時だと思っているんですか!?」
「す、すみません!私寝相が悪くて......朝起きたら、身体がバラバラになっていたんです」
「ギョッ!?」
「腕が逃げたり、脚がエアロビをしますし、大変でした」
「は、はい」
アンデットは大変だ......次回に続く!


なんか......暫く会っていないが、あの不死コンビを思い出すな

ジャシン様ー!儀式を始めるぜ!

信じられるのは金だけだ

かつての暁のメンバーでかなりの実力を誇っていた殺戮を教えとされているジャシン教の信奉者で不死身の肉体を持つ『飛段』と組織の金銭調達を受け持っている『角都』の反則クラスの能力コンビだ。

「あ!」
嫌なことを思い出した。
「お前の大層な芸術の為に金がいくら掛かったと思う」
「うるさい......」
昔、大蛇丸が抜けた後に一回『角都』とコンビを組んだが金の亡者で口を開けば「金、金」だけの奴だった。

「やはり、殺しておけば良かったか」
思わず、サソリの口から飛び出した物騒な言葉に売店で飲みものを買っていた病院患者が持っていたレモンティーの入ったペットボトルを落とした。

「ん?」
漫画雑誌を置いて、食品コーナーに来ると、ポップコーンのスナック菓子を手に取った。
「アイツに買っていってやるか......意外に美味かったし」

レベルアッパー事件の時に初めて食べたポップコーンの味は新鮮だったな

最近できた、初めての弟子にサソリも心無しか気分が良いようだ。
会計を済ませたが、店員の営業スマイルがぎこちなかったのはご愛嬌。

売店からポップコーンを携えて、出ていくと何かが抱きついてきた。
「うぐわ!?な、何だ」
サソリの視界には茶色の髪にくせっ毛だ。なんか見覚えがある......

.......?!ま、まさか

「えへへ、サソリさん」
満面の笑みを浮かべた湾内がサソリの胸元で頰ずりしていた。

******

話数的には超久しぶりの湾内さんの登場にサソリは、かなり困った表情で湾内から距離を離そうとするが、すぐに椅子をズラして近づいてきてしまう。

「はいサソリさん、あーん」
「別に、一人で喰えるが......」

売店を出た瞬間に湾内に捕まり、自分が寝ているベッドまで連行されてきた。
備え付けてあるテーブルに重箱を開けると鼻歌を唄いながら、豪華に脚色されたお皿にキチンと切られたパンを並べる。

サソリも一応、入院の部類なのだが完全犯罪級の脱走術(万華鏡写輪眼の神威)
で度々居なくなっていたが、今回は湾内に捕まり逃げる事が出来なかった。

そして、重箱一杯のサソリの大好物(だとされている)トロトロのチーズに袋に入れたパンをフォークで刺して、チーズをたくさん付けるとサソリの口元に持ってきている。

「はいあーんですよ。恋人同士はこうするもんだと本に書いてありましたわ」
「ああ......そうか」

やっぱ、コイツ苦手だな
どうしたもんか......

仕方なしに、湾内からチーズフォンデュを恐る恐る口に入れた。
濃厚なチーズの香りが鼻の奥からサソリの脳天にねっとり張り付いたような感覚に襲われた。

こ、濃い!
凄い重い食物だ......

苦悶の表情を浮かべているが、湾内は好意的に解釈し、次のパンにチーズをねっとり付け始める。
「まだまだ、たくさんありますわ」

助けてくれ......

「あら?常盤台の子がいるわね」
そこへ、引き戸を開けて一緒に入院している麦野が病院着を着て颯爽とやって来た。
自動販売機で購入してきイチゴオ•レを購入し、ストローを差すと壁にもたれ掛かり飲み始めた。

「お熱いことで」
「そんな、恋人だなんて」
「言ってねぇぞ......」
ホワホワとした雰囲気の湾内が顔を赤くして、顔を左右に振った。
麦野はストローを噛み締めながら、湾内の前に置かれている黄色い液体を覗き込んだ。
「へぇー、チーズフォンデュねぇ。こっちの箱は何かしら」
パカッと開けてみると、トロトロのチーズ。
その下も開けてみると、やはりトロトロのチーズで......

さらに別の箱にもトロトロのチーズとパンが......
「ま、まさか......全部チーズフォンデュって事?」
「はい!サソリさんの好物ですから」
「限度がある......」
まず、好物ではない

ごもっともな発言に麦野が苦笑いをしながら、サソリの隣にある自分のベッドに横になった。
手元からパックのイチゴオ•レをサソリに投げ渡した。

「ん?」
キャッチしたサソリが蛍光ピンクの飲み物を訝しげに見ている。
「この前の御礼よ。ありがとうね......アンタが居なかったら全滅していたわ」
研究所でのゼツに身体を乗っ取られて、反則紛いの手段で追い詰めてきたのを思い出した。
死にたい......消えたいという負の感情に支配され、意識を奪われた麦野にとってゼツは最も憎むべき対象だった。

更に、研究所で敵対していたテレスティーナは木山の罪を軽くし、かつ謎の協力者『ゼツ』の正体の炙り出しに掛かっていた。

「あのやろう......次に会ったら必ず殺してやるわ」
麦野は静かに闘志を燃やした。悔しそうに布団を握りしめる。

「あ、ああ」
アイツの目的は一体なんだ......
オレの身体に起きている変化の謎も

「?」
一人、傾げる湾内。
頬杖を付いたまま、サソリは不機嫌そうにしている。
「ふふ......」
横目で眺めていた麦野が含笑いをしてサソリを熱っぽい目線で見据えた。
「あ?」
「気に入ったわ。サソリって言ったわね......私と突き合わないかしら?」
「えっ!?」
「!?」
麦野からの衝撃発言に湾内は思わず立ち上がり、サソリの頭を抱き締めた。
恋敵を睨み付けながら、力強く言い放った。

「ダメですわ!サソリさんは私のものです」
「お前のじゃねーよ!」
抱き着かれて、サソリはチャクラが上手く制御出来ないようで静かにもがいている。

「あら、そんなガキよりも私の方が魅力があると思うわよ」
両腕を頭の上に持ってきて、張り出した豊満なバストを強調するとサソリにウィンクした。

「うぐぐ」
自分の凹凸に乏しい身体を見下ろしながら抜群な麦野のプロポーションにジェラシーをメラメラと燃やす。
そして、サソリを片腕で抱き締めながらもう片方の指をピンと伸ばして、宣言する。
「さ、サソリさんは、幼児体型が好みですわ!」

!!!?何言ってんだー!コイツ!?

勝手に幼児嗜好にされてしまったサソリが反論しようとするが、湾内の手元に光る鋭利な箸が......
「そうですわよね!?」
箸を持ち替えて、先端をサソリに向けている。
ゾゾっ!?
サソリは、冷水を浴びせられたかのように汗を流した。

「ああ......」
これだけを言うのが精一杯だった。
サソリの生涯で初めて味わう、修羅場という経験にどうして良いのか分からずにフリーズしている。

「まあ、考えといてね」
麦野が手を振りながら、読み掛けの本を開き、読み始めた。

「サソリさん!」
サソリの顎を掴んで強引にスプーンで掬ったチーズを流し込んだ。
「あ!あっちち!?」
やたらに瘴気を帯びた上目遣いでサソリに微笑む湾内。
「残さず召し上がれですわ」
「ま、待て......湾内。落ちつけよ」
重箱を持ち上げて、ニコニコの湾内にゼツ以上の恐怖を感じた。

******

湾内は部活に病室を出て行ったのと入れ替わりで佐天がお見舞いに来ていた。
あの激戦で浅い傷だった佐天は、治療を受けた後は自宅で休養を取っていた。

病室では、サソリが自分のベッドで死んだ魚の目で黙って、天井を見つめている。

「な、何があったの?」
「湾内が怖い」
カタカタと震えているサソリを心配そうに佐天が訊いた。

「あははは!まさか、全部食べたの?」
麦野が横で爆笑しながらサソリに質問した。
読書をしていたので、話半分だが湾内とサソリのやり取りに腹を抱えて吹き出しそうになるのを抑えているようだ。

「食えるわけねぇだろ!隙を突いて中身だけ時空間で飛ばした」
「隙?」


先ほどのやり取り
殺人的なチーズの量に悪戦苦闘をするサソリだったが、なんとか打破するために万華鏡写輪眼を使う事を思い付いて、湾内の後ろを指差した。

「あ!?湾内あれはなんだ!?」
「えっ!?なんですの?」
湾内がキョロキョロとした瞬間に万華鏡写輪眼を開眼させて、時空を曲げて重箱に入っているチーズだけを飛ばした。
「あー、すまん。何もなかった」
「?そうですの......まあ!?全部食べて頂いたのですわね!」
「まあな」
と古典的な方法でスマートに解決した。


その頃サソリの時空間先である、雨が降りしきる奇妙な建物の上に落ちている黄色い物体を暁の外套を着たミサカは発見していた。
「?タッタララ〜♬ミサカはチーズを手に入れました」
建物の中に入り、お皿とスプーンを取ってくると掬いだす。
チーズは、ミサカが美味しく頂きました。


「ぅぅぅー、痛い」
そして、ゼツ達の猛攻をまともに受け、最も重傷のフレンダがベッドの上で包帯グルグル巻きにされていた。
医者が言うには、全身の骨にヒビが入り筋肉が断裂しており、絶対安静との事。

「まあ、八門遁甲やられたらそうなるわな」
サソリが自分のベッドに横になりながら、向かい側で横になっているフレンダを眺めた。
「はちもん?」
「八門遁甲な。意図的にリミッターを外す術だ。それぐらいで済んだのは運が良かったな」
「??」
麦野達の見舞いに来ていた絹旗が切ったりんごを麦野のテーブルに置きながら、麦野と目を合わせた。

「あのー、ちょっと質問超良いですか?」
「ん?」
「アンタって何者なの?」
麦野がサソリに質問した。
りんごをつまみ食いしながら、佐天が納得したように指を鳴らした。
「あ、そっかみなさん知らないんでしたね!こちらは忍者のサソリです」

忍者......?

更に二人の表情が混乱の様相を見せ始める。

まあ、いきなり
「拙者、忍者で候!にんにん」
と言って来る見知らぬ人に対して
「そうですか!宜しくお願いしますね」
という素敵なシナプスを持つ人間はそうそういる訳ないので......

「にんじゃ......?」
滝壺が眉をひそめながら聞き返すように言った。
「うわっ!?超びっくりしました!滝壺居たんですか!」
誰にも気付かれずに、りんごを爪楊枝で刺してマイペースにシャリシャリ食べている滝壺。

一番、この子が忍者に近いかもしれない......

「おい!あまり軽々しく言うな」
「だって本当じゃん」
あっけらかんと言う佐天にサソリが舌打ちをしながら言った。

「という事は、超なんか出来るんですか?」
「もちろん!分身や変化の術なら朝飯前ですよ」

キラキラとした佐天の目線と好奇の眼差しで見てくる麦野達にサソリは、静かに直感が働いた。

い、嫌な予感......


「おおおおー!!超フレンダそっくりになったです」
包帯グルグルの本人のベッドの前でサソリは、変化の術でフレンダそっくりに化けた。
「どうですか!」
なぜか佐天が鼻高になってプレゼンをしている。
「......何でまたこうなるんだ」
金髪の髪を掻き上げながら、サソリフレンダが文句を呟く。

「なるほどねぇ〜。これで侵入した訳ね」
「フレンダ......早く良くなってね......」
「さて、スカートの下は?」
「捲んな!」
ボカッとサソリフレンダが拳骨を振り下ろした。
「痛ったぁー!読者サービス!」
「知るか!」


「見えない......」
身体がボロボロのフレンダは、起き上がることも出来ずに涙をダァ〜と流した。

******

「よっと」
時空間でサソリが雨の降りしきる里に降り立ったが、すぐ下でミサカが皿を持ったまま滑り込んでいた。

「何してんだお前?」
「いえ......また、配給かなと思いまして......お皿を準備して待っていました」

「そうか」
立ち上がり、砂を払うように立ち上がるとミサカは不思議そうに言った。

「なんか......待ち構えている時は来ないんですけど......帰ろうとすると来るんですね。あの現象の名前はあるのでしょうか?」

「知らん」
「あのチーズは一体何ですか?......とミサカは不満あり気に質問します」
「ああ、気にするな」
「もう少し暖かいと美味しいんですがね」
雨に濡れてしまい、すっかりチーズが冷たくなってしまったようだ。

「あと、これ差し入れな」
サソリが病院の売店で買ってきたポップコーン(塩バター味)の入った袋をミサカに渡した。
「ありがとうございます」
受け取るミサカ。中身を確認するとジト目で師匠のサソリを見つめた。
「何だよ」
「いえ......ミサカはチーズを食べたばかりなので......差し入れは甘い物が良かったとは思ってます」
「お前!弟子にするの辞めるぞ」
「気の利かない師匠だぁ」

コイツ......


「砂鉄時雨」
建物の中にある道場でミサカは風影の傀儡を操りながら、中央にある案山子に砂鉄の弾丸を撃ち込んでいく。

ミサカの傀儡の術は、まるで水を吸収するスポンジのように貪欲に学んでいった。
既に三代目 風影の砂鉄能力を自由自在に使いこなせるようになっており、サソリも舌を巻いた。

想像以上の上達具合だ
元々、御坂と同じで雷遁の素質があるから砂鉄との親和性も高いのだろう

「はぁぁぁー!砂鉄界法!」

三角錐に固めた砂鉄を傀儡の上で形成して指を下げる動作をする。
しかし、チャクラ不足か砂鉄の棘が小さく出るだけに留まる。
「はあはあ......上手くいかないです」
「まあ、特殊な仕掛けだからな」
「......すみません......」
「ここまで出来れば上出来だ」

サソリも天才傀儡造形師として名を轟かせたが......はっきり言ってしまえばミサカの傀儡使いとして天賦の才を持っている事は明白だった。


そして、前にミサカからゼツに付いて聞こうと質問したが、ミサカは首を横に振って舌を見せてきたのを思い出した。
「!?」
舌には数本の太い黒い線が入っていて、喉の奥まで連なっている。
「すみません......実験に関する事やゼツ様に関する事は喋られないんです」
これは、里の機密情報を扱う忍に施される呪印だった。
この呪印は特定の情報を相手に伝えようとすると発動し、舌が痺れて話せなくなり、全身が動かせなくなる呪いの刻印だった。

「アイツめ」
だから、コイツを切り離したんだ
例え、生きていた所で情報が外に漏れることが無いから

サソリは、暁の外套を握り締めて悔しさを露わにした。
ゼツの卑劣な手段へのやり場のない怒りがこみ上げる。


傀儡の練習をしているミサカの足先に真っ赤な血が滴り落ちているのを確認するとサソリは手を叩いて、ミサカを呼び止めた。
ミサカは息を切らしながら、サソリの指示に従い傀儡を下ろした。
「チャクラの使い過ぎだな。一旦病院に戻るか」
一応、包帯を巻いているが既に出血した血に染まっていた。
まだまだ、ゼツからの傷は癒えていない。
「はい」

万華鏡写輪眼の神威を使い自分の病室に戻ると丁度定期健診だったようで運悪く『あの鬼軍曹』がフレンダの点滴交換をしていた。
「いっ!?」
「サソリ様?」
ミサカが不思議そうに背後に居る師匠を見つめるが、サソリはチャクラを溜めると再び時空を曲げ始めた。

「待ちなさぁぁぁい!!」
牙を生やした鬼のような形相で軍曹の看護師は、常人を遥かに凌駕する速さで移動するとミサカの後ろに発生した渦の中に手を突っ込んだ。
「出てきなさい!何度言えば分かるんですか!」
時空に干渉してか、謎の発光が辺りでバチバチと迸っている。
さながらSF的な演出に麦野達から「おお〜!」と感嘆の声が漏れる。

看護師の腕が少しずつこちらの世界に戻ってくるに従って、サソリの後ろ側が引き戻されていく。
どうやら、逃げようとした所に首根っこを掴まれたらしく。
看護師の病人を思いやるパワーに呼応した二の腕がブルース•ウイリス並みに太くなり、時空間を蹴破りサソリをこちらの世界に投げ出した。

後方に三回転しながら、窓際の壁にしこたま頭を打ち付けると頭を抱えて悶絶した。
「痛ってぇぇー!嘘だろ!?」
時空間を破られたサソリは、戸惑いながら前方に立っている吐き出す息が蒸気になっている野獣のようになってしまった看護師をゆっくり見上げた。
ガシッとサソリの頭を掴むとベッドに投げ入れると、キチンと畳まれた布団が綺麗にサソリを覆った。

「寝てなさい!全く!!」
「さ、サソリ様」
ミサカがオロオロしながら、ベッドに強制的に寝かされたサソリに近づくが......
「それと貴女!出血しているみたいね。包帯の交換をするから来なさい!」
「は、はひ......とミサカは怯えながら言い......ました」

これ以上刺激すると鬼以上の何かに成ってしまう恐れがあったので部屋に居た者達が無言で顔を合わせた。
「サソリさん......」
「な、何だよ!?」
「次は容赦しませんからね」
目だけをくっきりはっきりサソリを睨み付けながら、看護師は口だけ笑みを浮かべて、不気味に笑う。
後ろに機械的に付いていくミサカを共にして、部屋から出ていく看護師の遠ざかる二人分の足音を黙って聞きながら、緊張していた麦野達が一斉に力を抜いた。

「怖っ!何あの看護師」
「......見た事ないAIM拡散力場が......」
「超ちびりそうでした......フレンダは超気絶しています」
「アイツだけは、怒らすなよ」
病院の先輩であるサソリは、麦野達に忠告した。
これまでの闘いの歴史が次々と思いだし、落ち込んだように首を垂れた。

とりあえず麦野達が確信したのは......

あの人に『彼氏』は居ない!!

という事だけだった。
 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

感想を書く

この話の感想を書きましょう!




 
 
全て感想を見る:感想一覧