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HUNTER×HUNTER 六つの食作法

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013話

約束の日となった9月1日。修行の為に森の中に篭っていたシャネルとクラピカはヨルビアン大陸西海岸の都市、ヨークシンシティへとやってきていた。毎年9月に世界最大のオークションが開催されために非常に人が多くごった返していた。

「ひゃあ~凄い人混みだな、こんな中でゴン達探すのって結構面倒じゃないか?」
「いや連絡を取って何処かで待ち合わせするとしよう、そういえばシャネルは携帯は持っているのか?」
「今まで戸籍さえ無かった人間が持ってなかったと思うか」
「すまない私が悪かった、今すぐ買いに行こう」

そう言えば自分の師匠が元野生児だった事をすっかり忘れていた。携帯はハンターの必需品でもある、それを持っていないと連絡するときにも不便だしこれからは持っていた方がメリットが大きい。早速形態ショップを探し始める。

「そう言えば所持金は大丈夫なのか?なんだったら私が出すが」
「良いや大丈夫だ、ハンターライセンスでカードとかも作ったし現金だって結構な預金額がある」
「預金額?しかし今までほぼ無一文だったのだろう?」
「ああ。イメージ修行の時に俺の帰りが遅かった時あったろ?」

確かにイメージ修行をしていた時、何処かに出かけて居た時も多かった。あの時はてっきり食料となる猛獣を狩っていたと思ったがその時資金稼ぎでもしていたのだろうか。

「あの時に、高級食材になる猛獣とかを狩って市場で売ってたんだ。ライセンスのおかげで飛びつくように売れてな、今預金には5000万近くあった気がする」
「それは、またずいぶんと稼いだな」
「おう」

既に世間的に高級食材をほぼ無傷かつ生きたまま仕留めてくれる新人ハンターとして有名になりつつある。その為かシャネルは世間一般的には美食(グルメ)ハンターとして浸透しているが、その事は本人の耳に全く届いていないのは余談である。

「さ~てとどんな機種が……ってあれゴンにキルア?」
「んっあっ!!シャネルにクラピカ!!」

手頃な携帯ショップに入った時にいた先客、それは再会の約束をしていたゴンとキルアであった。ゴンは花を咲かせたような笑みを浮かべキルアもそこそこ嬉しそうな笑みを浮かべていた。

「本当に久しぶりシャネル!戸籍とかってもう良いの?」
「おいおい半年前だぜ?とっくに確保出来てるっつうの」
「それもそっか♪」
「よぉシャネル。お前も来るんじゃないかって期待してたのによ」
「悪かったな、直ぐ行けると思ったら予想外に時間食ったんだよ。パドキア共和国着いた時には全部解決してたんだよ」

若干げんなりしつつも事情を説明するシャネルに悪戯気で笑顔を浮かべ続けているキルアの姿にクラピカは笑った。久しぶりに会うがハンター試験の頃を殆どやり時が変わっていない、まるで兄弟のようだ。

「俺はお前達と連絡取る為に携帯買いに来たんだけどなぁ、どれにしたら良いんだ?」
「う~んとね、俺はおじさんお勧めの超薄型タイプを買おうと思ってるよ。一緒に如何?」
―――そりゃ止めとけ。

どんなのだと言おうとした言葉を遮って一人の男の声が響く。そちらに顔を向けて見るとまたまた懐かしい顔があった、再開を誓い合った仲間であるレオリオだった。

「リオレオ!」
「レ・オ・リ・オ!!お約束のギャグやらせんなルキア!!」
「誰がルキアだ!!」
「ヘン少しは気持ちが解ったかってんだ。よお久しぶりだなシャネルにクラピカ」
「おう」
「久しいな」

集合場所さえも決めていなかったのに何時の間に集結してしまった一同。これも運命と言う気概が持っている気質の影響なのか、兎にも角にもあっさりと合流出来た事を光栄に思うべきか。

「にしてもお前ら携帯買うのか?」
「うん、俺携帯持ってなかったから良い機会だと思ってね」
「同じく、俺も持ってないからな」
「なら俺に任せろ、良い機種見繕ってやるぜ。ついでにキルアとクラピカも新調したらどうだ」
「なら頼もうかな、良いの頼むぜ」
「では私も頼む。修行で少々ガタが来てしまっている」
「まっかせとけ!!」

と意気込んだレオリオは店が置いている携帯を物色し始めた、どうやら自分が今使っている携帯が一番のお勧めらしくそれを探しているらしい。発見するとそれを人数分頼むと店主に頼むが、4人で80万ジェニーという金額を聞いた時に高すぎるという言葉と共に目を光らせた。

「一本10万!」
「駄目だって!?」
「おいおい何処まで値切るつもりだよあいつ……?」
「なんというか、恥ずかしくなって来たぞ私」
「ってうわぁっ!?なんかギャラリー出来てるぅ?!」
「い、1の桁まで値切り始めた……未体験ゾーンだぜ俺」
「いおしゃあ買ったぁ!」

結果。レオリオ、新機種ビートル07型を本来一個20万の所、一本11万580ジェリーにまで値切る。商談後拍手喝采を浴びながら会計を済ませ一同は一旦ホテルへ向かうのであった。

「グリードアイランド?」
「確かアホみたいに高いゲームだったかな」

ホテルでコーヒーブレイクをしながらそれぞれがどのように身を振っていたのかを語る、矢張り一番気になった話はゴンとキルアの話だった。天空闘技場で資金稼ぎ兼実力試しに行き念を習得し更にヒソカにプレートを叩き返したと語った。一同驚きつつ、更に今現在あるゲームを追っているという事に耳を傾けていた。

「そのゲームにゴンの父親の手掛かりか……うん、オークションに参加した方が良いのは間違いないな」
「でも問題は値段だろ。オークションだから当時の販売価格より高いんじゃね?」
「その通り。最低落札価格が89億ジェニーだってさ」
「ハ、89億ぅぅうう!!!??」

この中で一番の守銭奴なレオリオは引っ繰り返りそうな大声を張り上げた、89億。とんでもない位の高額、それだけあったら一体どれだけ遊んで暮らせるものかと脳内で計算でもしているのだろう、驚きはシャネルとクラピカも同様だった。高がゲームがそんな値段なんてとんでもないと。

「そ、それを狙っていると言う事はそれだけ蓄えがあるのか!?」
「あー……最初は天空闘技場で稼いだ8億があったんだけど、増やそうとして失敗しちゃって。手持ちは500万」

はぁ……と思わずため息をついてしまう、そんなに資金が足りていない状況で良くもまあそんな高額なゲームのオークションに参加すると言ったものだ。

「俺の預金も含めて5500万、約161倍にしなきゃ行けねぇのか……」
「しかしどうした物か……私も資金稼ぎには手伝う気だが、その手段が問題だな……」
「あれクラピカ、ヒソカと連絡取り合ってるんじゃねえの?」
「あれなら既に止めた。よくよく考えて見ると胡散臭すぎるし、奴を信用出来る材料など一つも無い」
「確かに懸命かもな」

だが本当はそれだけではなかった。クラピカが制約と誓約としてシャネルの命を賭けている今、今まで以上に慎重に、信頼できる情報を使って歩いていく必要がある。自分の命を賭けていたらヒソカとの話も生きていただろうが今はそうは行かない、シャネルを絶対に殺させない。クラピカの心の中ではそれが強い理由として根付いていた。

「兎に角金を稼ぐ方法を探すぜゴン!!」
「うん!!」
「う~ん……ここらに大食いチャレンジとかないかな」
「それならシャネルは楽勝だろうが直ぐに情報が知れ渡って、出来なくなる可能性も高いぞ」

ここから彼らの資金稼ぎが始まる……それが大きな波に関わるのはそう遠くない未来……。 
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