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闇を祓う者~他人の恋愛見てニヤニヤし隊~

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原作開始
クラス代表決定戦
  ISファイトォー……レディーゴー! new!

 
前書き
この作品を覚えている人は果たしているのだろうか 

 
 刻は一夏がピットから飛び出した直後にまで遡る。
 ピットから飛び出した一夏は、セシリアの前で滞空する。それまで、ずっと目を閉じていたセシリアは目を開き一夏を認めると、口を開いた。

「お待ちしておりましたわ、織斑さん」
「悪いな、ブレイドエクシア(コイツ)の関係で少し遅れたんだよ」
「必要なことですもの、そんな所にわざわざ目くじらはたてません。……それが、貴方の専用機(相棒)ですわね?」
「ああ。オルコットさんのとは大分違うけどな」
「見た目で性能が決まるわけではございませんもの。外見の違いなど、人それぞれの個性ですわ」

 一通りの話を終えると、何とも言えない緊張感が、二人の間に漂い始める。セシリアはスターライトmk-Ⅲをコールしたが、一夏は何もコールしなかった。

「さあ奏でましょうブルー・ティアーズ、甘美なワルツを。一曲お付き合い頂けませんか? 素敵なジェントルマン」

 セシリアは空いている右手を、本当に舞踏会でダンスに誘っているかのように差し出す。
 セシリアの舞闘(ダンス)の誘いに対して一夏は、これまた何処かの貴族のように右手を胸に当ててそれに応じる。

「私でよければ喜んでお受け致しますよ? 麗しいレディ」

 静寂を切り裂いたのは銃声だった。しかし、お互い(・・・)の銃弾は当たらなかった。
 何故のお互いの銃弾なのか。ブレイドエクシアの右腕に装備されたGNソードは折り畳んだ状態では、ライフルモードとして使用することが出来る。このライフルモードで銃撃したのだ。
 二人とも避けなかった。いや、セシリアは避けることが出来なかっただけだが。それでも当たらなかったのは、お互いに当てる気が無かったからだ。一夏にはそれが分かっていた。読み通りだったことと、セシリアの不意をつけたことに一夏はニヤリと笑いながら、GNソードを展開。セシリアも突然の銃撃に驚いたものの、すぐに持ち直して4機のビットを展開し試合が始まった。

 次の瞬間、一夏はいきなり瞬間加速(イグニッション・ブースト)を使った龍鳴で突っ込んだ。セシリアも突然の突貫に反応が遅れ、同じように瞬間加速(イグニッション・ブースト)で回避するが間に合わず右腕を切り裂かれた。

「チッ、今ので動けなくするつもりだったんだけど甘かったか「いえ、あと少し私の反応が遅れていたらあなたの計画通りになっていたと思いますわ。それにしても既に瞬間加速(イグニッション・ブースト)が使えるようになっているとは驚きでした」
「本番一発勝負だったけどな。自分のイメージが合ってて良かった。彼方の言う通り、『瞬動』よりは簡単だな」
「まったく……今の突貫といい、先ほどの銃撃といい、あなたには驚かされっぱなしですわね」

 さっきのが一夏が最初に考えていた作戦だった。瞬動のエネルギーの代わりに瞬間加速(イグニッション・ブースト)を使って龍鳴を放つ。こうすれば、セシリアの意表をつけるのではないかと考えたのだ。勿論、ISで試したことは無い。それどころか、生身ですら試したことはない。
 これは一夏が彼方との試合で使った『転換』とはまた別の技術で、『合技』と呼ばれる。『転換』は使っていた技を切り替えて別の技に繋げる技術だが、『合技』は使っている技のエネルギーをそのまま次の技にプラスする技術だ。

「ですが、まだそれだけでは不意打ちにしか使えませんわね。来ると分かっていれば避けることも容易ですわ」
「そうなんだよな……」

 如何にも余裕といった顔をしているが、一夏は実際手詰まりだった。さっきの『合技』、『』で動けなくして決着をつける速攻のつもりだったのだ。ブルー・ティアーズの強みはビット。そのビットを使われる前に勝利する。それが一番勝率が高い。しかし、決めきれなかった。顔には出ていないが、冷や汗モノだ。

 セシリアの周りには4機のビットが浮遊している。その4機のビットは動き回り、時には主人に近づく敵を牽制し、時には主人に仇なす敵を排除しようとする。

「それが噂のヤツか」
「そうですわ。これがブルー・ティアーズが第3世代である所以、BT兵器『ブルー・ティアーズ』です」
「厄介極まりないよな! いろんな位置、角度から攻撃……出来るってのは!」
「そのいろんな位置、角度からの攻撃を全て避けている人に言われたくはありませんわね!」
「ところで、機体の名前と兵器の名称が同じなのってめんどくさくないか?」
「ええ、正直なことを申しますと、なんで片方の名前を変えなかったのかと、常々思ってましたわ。すごく紛らわしいんですもの」

 一夏はGNソードをソードモードからまたライフルモードにしていた。4機の『ブルー・ティアーズ』の遠隔射撃によって、セシリアに近づくことが出来ず、接近戦に持ち込むことが出来ないからだ。世間話のように気になっていたことを訊きながらも、刹那とこの弾幕を突破するための打開策を練っていた。

『なあ刹那、どうすれば一撃入れられると思う?』
『俺もここまで巧みに狙われたことはないが、複数のモビルスーツを相手取ったことがある』
『その時はどうしたんだ?』
『隙を見つけろ。完璧なものなど存在しない。必ず何処かに綻びがあるはずだ。例えば何かしらの癖があるかもしれない』

「癖……癖ねぇ……」

 どうにかこうにか狙撃を避けつつ、牽制程度の射撃でビットの動きを抑制してセシリアを観察しようとする。が、悉くビットに邪魔される。

「ビット邪魔だわ! そこにいるんだから視界に入ってくんなよ……そこにいる?」

 一夏はそこで違和感に気づいた。それはビットのトリッキーな動きではない。むしろビットを操るセシリアの動かなさだった。

「そうだよ。何か変だと思ったんだ。ビットだけで攻撃するよりも、動きながらビットで牽制しながら退路を塞いで主兵装のあのライフルで狙い撃ちにした方がいい。それなのに、」

 彼女に動く気配はない。そこで不意に修行の時に彼方が語ってくれたことを思い出した。



『オルコット嬢のブルー・ティアーズみたいな遠隔ユニットは、すごく集中力がいるんだよ。自分の身体の延長線上で動かせるISとは全然違う。空間を把握して、速度を計算して……とまあ、やらなきゃいけないことがたくさんあるわけだ。それを動き回りながら出来るようにするには、センスとそれなりの練習量がいるだろうな』



 彼方が言っている通りだとすれば、もしかして彼女は動けないのかもしれない。
 そう考えた一夏は、襲い来るビームの間を縫ってセシリアに肉薄した。

「おおぉぉぉぉ!」

 GNソードを振り下ろしながら見えたセシリアの顔は笑っていた。

「かかりましたわね!」

 その言葉と共にセシリアはGNソードを躱し、ガラ空きになった一夏の身体にスターライトmk-Ⅲでビームを叩きこんだ。

 後にこの映像を見た彼方はこう語った。

『そりゃお前、自分の弱点が分かってるんだからそれを克服するのは当たり前だろうよ』

「マズった!」

 先ほど自分で考えていたビットの効率的な動き方に誘われていたのだ。ビットを使っていない自分でも思いつくようなことが、専用機として幾度も使っている彼女に思いつかないわけがない。
 ビットを使っている間は操縦者は動けないと思わせ、肉薄してきたところにスターライトmk-Ⅲを食らわせる。一夏が考えていたことこそがまさしくセシリアの作戦だったのだ。コーチをしていた彼方から一夏がBT兵器の弱点を知らされていると予想したうえでのものだった。

『一夏、彼方が言っていたアレを使う』
「彼方のって……アレか」





「上手く行きましたわ……これで、くあっ!?」

 爆煙の中で、セシリアがほっと息をついていた所に一夏がいた方向からビームが当たる。しかし先程まで緑だったそのビームが、今は紅に染まっていた。

「貴方……その姿は一体なんですの?」

 爆煙が晴れていくにつれて見えたその機体は今までスラスターから出ていた緑色のGN粒子ではなく、赤色のGN粒子をまとい、紅く染まっていた。



『もしどうしようもない状況に陥ったらこう言え。『トランザム』ってな』



「これが……トランザム……」
『ああ。ガンダムの切り札だ。ただ一つ気をつけろ。ある程度時間が過ぎると解除されて、機体性能が著しく低下する』
「破格なりにデメリットも大きいか」

 一夏の様子を見て、セシリアは考える。

(奥の手……といった所でしょうか。あの紅く染まったビームから受けたダメージは先程までとは段違いです。機体性能も大きく上昇していると見た方がいいでしょうね……)

 しかし、あれほど警戒していたセシリアの視界から一夏が消えた。それと共にビットの反応が一つ消失した。

「嘘ッ、ビットが潰された!? 先程とはスピードが違いますわ!」

 セシリアの言う通り、先程までのエクシアとは格段に機動性が上がっている。目に紅い光が映ったかと思えばその先ではもう一つのビットが潰されていた。

「悪いな、オルコットさん。四神流の使い手として、彼方の弟子として戦闘に負けるわけにはいかないんだよ」

 あっという間に4機あったビットがすべて潰され、気づけば目の前にまで接近されていた。

「俺の勝ちだよ」
「私も代表候補生として試合に負けるわけにはいかないのです!
 そしてビットは全部で6機でしてよ!」

 ビットがセシリアの背後からもう2機現れ、ミサイルを発射しようとする。

「知ってるよ。……ふぅ。切り札はあくまで"切り札"であって使わないに越したことはないんだけどな」

 息を一つ吐き、GNソードをにぎりなおした。
 彼方との試合で初めて使った『転換』。それを見た彼方が切り札としてこの期間で教え込んだ技。


「四神流 青龍剣舞 舞の弐『狂猛清水(清カナル水ノ狂イ猛ルガゴトシ)』」

 その技は発射されたミサイルを爆発させることなく空へと受け流し、セシリアのシールドエネルギーを削りきった。
 落下していくセシリアを受け止めて地上に降りる間、一夏は彼女に語りかける。

「確かに俺はIS初心者で、今日の勝利はエクシアの機体性能によるものだと思う。だけどな、本当の意味での戦闘を知らない相手に俺達四神流が負けるわけがない」
「そんなこと……」
「『これを避けなきゃ死ぬ』っていう経験なんてしたことがないだろ? まあ、しない方が本当はいいんだろうけど。絶対防御が本当に絶対的なモノだって思い込んでるだろ?」
「そんなことは……」

 セシリアに否定することの出来る材料などなかった。

「そもそもISは宇宙空間での作業用のパワードスーツとして作ったって聞いてる。それにそんなモノがついているわけがない。なんせ作業用だからな。でも、その絶対防御があるから自分は絶対に安全だっていう過信がオルコットさんたちISパイロットの絶対的な絶望的な弱点だよ。大きな声じゃ言えないが、その気になれば最後のトドメの一撃は絶対防御を貫通させてオルコットさんを殺すことだって出来た」

 セシリアは驚愕した。確かにさっきの一撃は凄まじく、絶対防御が発動した。しかし、彼はそのうえで絶対防御を破壊出来ると言ったのだ。
 しかし、恐怖よりも感動と敬意が大きかった。ここまで人は強くなれるのだと。代表候補生となろ天狗になっていた自分の鼻を見事に叩き折ってくれた。

「感謝いたしますわ」
「何が?」
「私の自信を砕いてくれたことです。……織斑さんは駕狩さんの弟子と言ってましたわよね?」
「一夏でいいよ、千冬姉も織斑で紛らわしいしな。そう、彼方は俺の師匠だよ」
「では一夏さんと。ということは、一夏さんより……」
「強い。俺なんかとは比べ物にならないくらいに。……というか、その気になれば生身でISを相手取れるんじゃないのか?」

 ボソリと一夏が呟いた言葉に流石のセシリアも目を見開いた。







 男性は軟弱な人ばかりではない。心の何処かで信じていたことは本当でした。一夏さんに支えてもらいながらピットに戻った時に、ふと父について思い出したことがありました。それは、心の中で男性を信じていた理由。



 何歳ぐらいのことだったかは覚えていません。その日は何故か早くに目が覚めてしまって、どうしようかと思っていたら庭の方から父の声が聞こえてきたんです。それが気になってこっそり見に行って見ると、そこで父は道着を着ていて武道の稽古をしていました。

 といっても、今だからこそそれが武道の稽古だと分かっているのですが。その時は何をやっているのかは分かりませんでした。ただ、汗を流しながら何かを一生懸命やっている父の姿を初めて目にした私にはその姿はとてもかっこよく映ったんです。

 稽古が一段落ついたのか休憩する父に、母は優しく笑いながらタオルと飲み物を手渡しました。母が父に向けたその笑顔も今まで見たこともない物だったんです。物陰から覗いていた私に気づいた母は私を隣に呼び寄せて、また稽古を再開した父を一緒に眺めていました。

 そうだ。私がずっと気になっていたこと『何故母はあんな父を選んだのか』それはとっくに知っていたんです。母が直接私に語ってくれたんです。それを私が忘れてしまっていただけ。



『セシリアは……なんで私があの人を選んだのかが不思議に思っているんでしょう?』

『確かにあの人は優柔不断で人の顔色を窺ってばかりの臆病な人だけど、それは私のことを思ってくれているから』

『彼は決して情けなくなんてない。でも、皆の前では彼をそう思っているように振る舞わなければいけない。でも本当はいつも彼に感謝してる』

『彼がいるから私はこうしていられる。彼が臆病でいてくれるから私は大胆でいられるの』

『彼は、私のことを一生守るって言ってくれたの。「僕は臆病で頼りないかもしれない。それでも君のことだけは一生守り続けてみせるから」って』

『私はね、それがすごく嬉しかった。オルコット家の私としてじゃなくて、『私』をちゃんと愛してくれてるんだって。それ以来、彼は本当に私を守り続けてくれている』

『私はね、彼のそんな何事にも一生懸命な所が大好きなの。実は私の一目惚れだったのよ?』

 そう言った母の顔はまるで恋をしている少女のようでした。



 だから父は母の側の居続けたのだ。それこそ死ぬ時まで。周りになんと言われようとも。母が人前で話す父を疎むように接していても。何故なら、真実2人は愛し合っていたのだから。

「一夏さんよりも強い……ということは私は勝てないでしょうね。ですが……何か掴むことは出来るはず。何せ生身でISを相手取れるらしいですし」

 流石にその言葉は信じることが出来ませんが。
 私はもっと強くなれる。その確信をくれたのは他ならぬ男性である彼らです。女尊男卑……ISを使えるというだけで女性は偉いわけではありません。本来ならば男女は平等であるべきで、お互いに協力すればもっと高めあえるはずです。
 それなのに世間ではISを使えるわけでもない女性がまるで優越人種であるかのように振る舞って男性を無碍に扱っている。
 私は今更、女尊男卑となってしまっているおかしいのだということに気づいたのです。 
 

 
後書き
そういえばこっちには投稿していなかったと思い10ヵ月ぶりに更新してみる 
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