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転生とらぶる

作者:青竹
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マブラヴ
  1485話

 模擬戦が終わってから数日……この間にカリンダ基地で大きな話題になったのは、ソ連軍の事だった。
 ラトロワとその部下達がカリンダ基地から去って行ったのだ。
 ラトロワの部下に絡まれた者達は多かったらしく、皆が喜んでいたのが印象的だった。
 てっきりラトロワ達は暫く前からカリンダ基地にやってきていたと思っていたのだが、どうやら俺達がやって来たのと前後してやってきたらしい。
 ……つまり、殆どとんぼ返りに近いという訳だ。
 しかもその短時間で数多くの問題を起こしていた訳で……本当に何をしにきたんだ?
 笑ってしまったのが、実は俺に対するハニートラップだったのではないかという噂。
 一応シャドウミラーの代表である俺がプロミネンス計画に協力する為にカリンダ基地にやって来るというのは、前もって各国に伝えられていた。
 だからこそ、俺達シャドウミラーと仲が決して良いとはいえないソ連としては、今回の件が絶好の機会であり……女好きと名高い俺に対するハニートラップ要員としてラトロワが用意された、と。
 まぁ、ラトロワがいい女だったのは間違いない。……けど、部下があんなんじゃな。
 どうせならもう少しきちんとした部隊を送ってくれば良かったのに。そう思ってしまう。
 別にハニートラップに引っ掛かるつもりはないけどな。
 そもそも、聞いた話ではラトロワは未亡人らしい。
 夫はBETAとの戦いで死んでしまっているとか。
 別に俺も未亡人だからどうこうって思う訳じゃない。
 そもそも、このマブラヴ世界ではBETAの戦いで大勢が死んでいるのだから、未亡人というのは決して珍しくはないのだから。
 ハニートラップ要員に未亡人を選んだのは、やはり男の扱いに慣れているからというのもあるんだろうが。
 ……もしかして、ラトロワが部下に好き勝手やらせていたのは俺を相手にハニートラップをしたくなかったからか?
 だとすれば、少し悪い事をしたかもしれない……と思うが、ラトロワの部下が問題を起こしていたのは事実だ。
 ラトロワ自身の思いはともかく、それで被害を受けた面子にしてみれば、とても許せる事ではないだろう。
 ともあれ、ラトロワもその部下達も鵬法璽により罰は受けた。
 それこそ、普通では考えられない程の罰を、だ。
 であれば、俺がこれ以上ラトロワの事を気にする必要もないだろう。
 後は、自分達が犯してきた罪を償うか、それとも罪を償わずに死を選ぶか。
 ……ただ、ラトロワの部下達はラトロワを慕っていたようだから、もし鵬法璽の契約を守れないでラトロワが死んでしまったら、逆恨みしてこっちに何か仕掛けてくるかもしれないな。
 そうなったところで、シャドウミラーを相手に何が出来る訳でもないだろうが。
 さて、そろそろ現実逃避は止めにしよう。
 俺は、目の前でこっちを睨み付ける……とまではいかないが、厳しい視線を向けてくるブリッジスへと向けて小さく溜息を吐く。
 こうして俺に挑んでくるのはいいのだが、正直なところ機体性能も操縦技術も俺とは違いすぎて相手にならないのだが。

「技量云々以前に、俺とお前では立つステージが違いすぎる」
「そこを何とか、頼む!」

 あの……そう、あのブリッジスに頭を下げられるというのは、正直なところ思ってもみなかった。
 いや、基本的に反抗的なブリッジスだが、その反抗対象は篁というのが殆どであり、それ以外のアルゴス小隊の面子に対してはそこまで強硬な態度でもない。
 恭子は色々と思うところがあったようだが。
 ああ、勿論この前来た恭子は既に日本に帰っている。
 自分の妹分に対してキツく当たっているブリッジスには、厳しく訓練を付けていた。
 ……それはもう、仮にもテストパイロットに選ばれるだけの実力を持ったブリッジスが動けなくなる程の限界にまで鍛えていたのだ。
 それで自信を付けた……訳ではなく、寧ろ日本製戦術機の特徴を自分が全く分かっていなかった事に気が付いたのだろう。
 一応篁との模擬戦でその辺は多少なりとも分かっていた筈だが……
 ともあれ、今のブリッジスはより強い相手との模擬戦をやって、より腕に磨きを掛けようとしているのか、もしくは単純に俺への対抗意識を持っているのか。
 今の俺は日本人ではないにも関わらず、何故ブリッジスに対抗意識を持たれているのかと言えば、幾つか理由がある。
 まず、自分で言うのもなんだが、正真正銘俺の操縦技術はこのマブラヴ世界……どころか、シャドウミラーを入れた幾つもの世界の中でもトップクラスだ。
 いや、トップクラスじゃなくてトップ、いわゆるNo.1だと言ってもいいだろう。
 レベルというシステムが俺に反映されており、PPを使ったボーナスもある。
 また、俺が混沌精霊であり、人間とは比べものにならないだけの身体能力がある事により、操縦技術は更に高まっているし、物理攻撃無効という特性から思い切って相手に突っ込む事も出来る。
 そして何より、俺自身が幾多もの……それこそ無数とも呼べる戦場を潜り抜けてきた事もあり、戦闘での経験値という意味では、恐らく俺に敵う者は殆どいない筈だ。
 それだけに、こうして俺に模擬戦を挑んでくる奴は皆無という訳ではない。
 ……イザークとか、アウルとか、ムラタとか。
 それ以外にも実働班には戦意旺盛な者が多く……それこそスレイやコーネリアといった者達からも模擬戦を挑まれる事は決して少なくない。
 まぁ、唯一他と違うのは、生身での戦闘を多く希望するムラタだが。
 だが、それらの面子にしても、シャドウミラーの機体を使っているからこそ、ある程度俺と互角に戦えている。
 他の世界の機体とシャドウミラーの機体というのは、それだけ性能差が大きいのだ。
 ましてや、ここはマブラヴ世界。
 他の世界と比べると圧倒的に技術レベルが低い。
 幾らMSの技術を得たおかげで他の国よりも高い技術を持つ日本の戦術機であっても、シャドウミラーの機体とは比べものにならない。
 それこそ、ガン・ルゥはともかくグラスゴー辺り……いや、もう少し上か? ともあれ、初期のKMFより若干上程度の性能しかない機体だ。
 エステバリスなら……駄目か。戦術機が持ってる武器程度では、ディストーションフィールドを破れない。
 S-11を使えばそれも可能かもしれないが、まさか模擬戦でS-11を使うのが許可される筈もない。
 シャドウミラーだとキブツのおかげで簡単に量産出来て、それこそミサイルに使われたりもしているS-11だが、マブラヴ世界では非常に稀少な代物なのだから。

「頼む! インフィニティーズの中には絶対に負けたくない男がいるんだ!」
「インフィニティーズ?」

 それは、確かこの前国連軍のお偉いさんから聞かされた話にあった部隊名だな。
 ラプターの性能をより上げる改修をする為にプロミネンス計画に参加するとか何とか。
 なるほど、元アメリカの軍人だけあって、インフィニティーズには知り合いがいるのか。
 どうやって部隊名簿を見たのかは分からないが、それでその部隊員の中にライバルがいるのを見たんだろう。
 で、そいつに負けたくないと……いやまぁ、操縦技術を上げるには自分よりも強敵を相手にして戦うのが最短の道だというのは分かるが、俺とブリッジスではさっきも口にした通り、存在そのものの格が違いすぎる。

「駄目だ。そもそも、お前は自分の操縦技術を上げるためにここに来てるんじゃなく、XFJ計画のテストパイロットとしてここにいるんだろ? なら、今は自分の技術を磨くよりもやるべき事があるんじゃないのか? それこそ、吹雪を自由自在に扱えるようになるとか、な」

 そう告げると、ブリッジスの表情が苦渋に歪む。
 吹雪を使いこなす為には、当然のように日本製戦術機の扱いに長けた相手から操縦方法を教えて貰うのが最善だ。
 そしてこのカリンダ基地にいるXFJ計画の関係者で、最も日本製戦術機の扱いに長けているのは誰かと言えば、それは当然篁だ。
 ブリッジスとしては、篁に教えを請いたくはないといったところか。
 ……それにしても、何だってそんなに日本人を嫌うんだろうな。
 いやまぁ、城内省にいるような腐った奴等とかを含めて、全員が好意を抱ける相手ではないというのは知っている。
 それでも俺に取ってマブラヴ世界の日本人というのは、総合的に見れば間違いなく好印象を持てる人物だ。

「……なぁ、ブリッジス。お前は何でそこまで日本人を嫌う? 自分でも分かってる筈だろ? お前が今一番やらなければならないのは、俺じゃなくて篁に教えを請う事だと」
「それは……」

 言葉に詰まるブリッジスだったが、このままではどうにもならないと思ったのか、やがて渋々と口を開く。

「俺の母さんは、日本人の男に騙されたんだ。弄ばれて捨てられたと言ってもいい。……けど、母さんはそれを認めようとはしなかった。それに、爺さんや他の皆も……」

 ポツポツと話したところによると、ブリッジスが住んでいたのは人種差別の激しい地域だったらしい。
 祖父や祖母といった親類関係だけではなく、地域そのものがそういう場所だったとか。
 正直、俺が来る前のマブラヴ世界でそんな悠長な真似をしている余裕があるのかと思ったが、当時のアメリカは本土をBETAに侵攻されてない、完全な後方地域だったのを思えば、その辺は無理もないのだろう。

「なるほど。お前が日本人を嫌っている訳は理解した。正直色々と思うところがない訳じゃないが」

 そもそも、差別をした連中ではなくて、差別された理由の方に恨みを持つとか。
 その辺は正直俺にとっては、気持ちは分かるが理解出来ない。

「なら!」
「……だからこそ、お前はそのままでいいのか? 日本人を一方的に敵視するだけの今のお前は、お前を差別した奴とそう変わらないと思うんだがな」
「それは!」

 俺の口から出た言葉が図星だったのか、それとも単純に許せなかったのか。
 ともあれ、ブリッジスが俺を睨み付けてくる。

「さっきと同じ事を言うが、お前が今するべき事はなんだ? 意味もなく日本人を嫌って、それで自分のやるべき事をやらない。それでいいのか?」
「……」

 その言葉に、再びブリッジスが俺を睨み付けてくる。
 だが、結局それ以上は口に出さないままに敬礼をすると、その場を去って行く。
 ブリッジスの後ろ姿を見送りながら溜息を吐き……

「ま、そういう理由らしいぞ」

 壁の方へと向かってそう声を掛ける。
 それが自分に掛けられた声だと理解したのだろう。やがて篁が微妙に落ち込んだ様子を見せながら姿を現す。

「すいません、盗み聞きなんて真似をして」
「別にいい。俺も知ってて何も言わなかったんだしな」

 篁が壁の後ろに隠れたのは、気配で理解していた。
 何故そんな真似をしたのかも理解していたが、それでも俺はそれを特に咎める事もないまま、ブリッジスとの話を続けた。
 篁とブリッジス。
 この2人の間にある溝は、深く広い。
 それこそ、生半可な事ではどうにも出来ない程に。
 元々篁は日本で使う不知火弐型のテストパイロットを、全く違う戦術機特性を持つアメリカのブリッジスにさせるのが反対だった。
 だが、技術協力をして貰っている以上、どうしてもボーニング社……より正確にはハイネマンからの要請に逆らえなかった。
 そしてブリッジスはブリッジスで、日本嫌いなのに日本の戦術機のテストパイロットをやらされてしまい……当然この2人の仲が上手くいく訳がない。
 VGから聞いた話だと、最初は篁も我慢してやり取りしていたらしいが……ブリッジスからの挑発的な態度に我慢が出来なくなったとか。
 色々な意味で相性の悪い2人だな。

「まさか、ブリッジス少尉があんな家庭環境だったなんて……」

 ギリリ、と歯を食いしばる篁。

「母親を弄んで捨てた父親……確かにそんな両親がいたのであれば、母親はともかく父親を憎むのは当然かもしれません。……日本人として、恥ずかしいです。私の父上は非常に立派な方なのですが」
「そう言えば篁の父親は戦術機開発の第一人者として有名らしいな」
「そんな、第一人者だなんて……ですが、父上は私が尊敬する方の1人です。少なくても、ブリッジス少尉の父親のような唾棄すべき恥知らずではありません。……正直なところ、もし私の前にブリッジス少尉の父親がいれば、迷わず戦術機の長刀で叩き切っているかと」

 そこまでか。
 ああ、そう言えば恭子から篁はファザコンの気があるって言ってたな。
 その分だけ、自分の父親とブリッジスの父親の違いが目についてしまうのだろう。
 ……お互いに頑ななところが、篁もブリッジスもどこか似てるんだよな。
 そんな風に思ってしまうのは、この2人と多少なりとも付き合いがあるからこそか。

「取りあえず、ブリッジスを鍛えてみたらどうだ? XFJ計画の為にも、その辺はどうしてもやっておく必要があるだろ」

 そう告げると、篁は何かを決意した表情を浮かべて頷くのだった。 
 

 
後書き
アクセル・アルマー
LV:43
PP:555
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1213 
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