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HUNTER×HUNTER 六つの食作法

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009話

日光が降り注ぐ庭園、陽気の中に微睡みに漂える状況でただ一人異様なほど不愉快そうな表情を必死に隠すように顔の上にバックを置き横になっている男がいた。一番最初にハンター試験の合格をもぎ取った男、シャネルである。

ハンター試験は終わり彼は正式なハンターとなった、念願のハンターライセンスも手にした。会長からハンターとして歓迎するという言葉を貰った、だが彼の心は一切晴れていない。もやもやとした雲がかかっている。非常に不快な気分だ。ハンター試験最終試験、自分が一抜けした後待っていたのは不快感だけだった。

その理由はキルアだった。ゴンが大怪我を負いながらも半ば譲られるようにして取った合格後の試験で待ち受けていた戦い、キルア対ギタラクル。そこで目にしたのは異常なほどに歪んで狂った愛。ギタラクルはキルアの兄であるイルミが自らの道具によって変装していた姿だった。もはや変身と言う次元のそれを解いたの場は凍り付いていた。


『針で顔を変えていたのか!?』
『あれがキルアの兄貴……!?』
『……嫌な臭いがする野郎だ』

イルミは言った。家を出たキルアが心配だから様子を見てきてくれと、冷たく淡々とした声。録音されている声が流れているかのような暖かみの無い声。何がやりたい事があるのかと問いかけられたキルアは兄に恐れているのか気押しされているのか戸惑っているように小さな声を出すだけ、ハンターに別になりたかったわけではないと。でもやりたい事はある、ゴンと友達になりたいと言った。


     ―――お前の天職は、殺し屋なんだから―――
     ―――友達は要らない―――


ハンターになる事を望んでいる訳ではないと言う言葉を聴いた、それがキーになるように人工的に作られそれを録音したかのような声が再生される。受験者の誰もが異常で恐ろしいと感じる、正しい反応だ。だがそれに強く反発したのがレオリオだ。

『キルアッ!!てめぇの兄貴だかなんだかしらねえけど言わせて貰うぜ!!さっさとぶっ飛ばして合格しちまえ!!友達になりてぇだと!?とっくに友達だろうが!!!ゴンはそう思ってるに決まってる!!』

強い言葉にキルアの身体が震える、嬉しさなのかイルミ対する恐怖なのかは定かではない。だがイルミは冷徹に言葉を紡ぐ。


     ―――ゴンを殺そう、殺し屋に友達は要らない―――

キルアから身体を翻し外へ通じる扉に向かいながら針を手に持った、スタッフがそれを止めようとするが針を投げつけた。刺されたスタッフは顔が異常変形しながらイルミのゴンは何処にいるのかという言葉に素直に従ってゴンは隣の控え室だと伝えた。だが入り口前で立ち止まる。ハンゾー、シャネル、クラピカ、レオリオの4人がそれを遮っている。

この最終試験では受験者を殺してしまっては失格になる、仕事の関係上ライセンスがいるイルミにとってそれは不都合。そして辿り着いた答え、それが合格してからゴンを殺すと言う物。ネテロもそれをルール上は問題ないと断言してしまう、キルアはゴンを守る為には兄を倒さなければならない。だが兄との実力差はハッキリしている


     ―――勝ち目のない相手とは戦うな―――


頭の中に深く突き刺さっている言葉が何度も何度も木霊して来る、イルミの口からも同じ言葉が響いてくる。脳を麻痺させる冷たい絶対零度の声が。レオリオの必死の声援も伝わらない、聞こえてこない。近づいてくるイルミの手が頭に触れようとした時、小さく、懇願するようにイルミよりも無機質に言った。

『まいった』

その言葉が戦いに終止符を打った。それを聞いたイルミは先程の言葉は冗談だと悪びれないように吐き捨て、そしてキルアに友達を作る資格などないと言った。



「だぁあああくそっっ!!!」
「な、なんだぁ!?」

思いっきり顔を上げた、バックが地面へと降りる。そんな事などどうでも良い、異様なほどむしゃくしゃする。これからゴンたちの目的地はキルアが戻ったとされる自宅、ククルーマウンテン。イルミ曰く教えてもどうせ辿り着けないという場所。そこへ向かってキルアを連れ戻す、単純なことだ。それなのに、自分が行けないと言うのがいように腹が立った。

「そりゃイラつくだろ!俺だって直ぐ行きたかったのにチケット取れませんだぁ!?どんだけ運ねえんだよ俺!!」
「はははっドンマイだってシャネル」
「慰めるなゴン!なんか惨めになるわぁ!!」

そうククルーマウンテンがあるパドキア共和国へと行ける飛行船、最も早い飛行船の空きはたったの3席。じゃんけんをした結果、シャネルのみがパドキア共和国へと向かう事が出来なくなってしまった。っというよりも大きな問題があった。

「はぁっ……まあいい、行くんなら俺の代わりにしっかり連れて帰ってこいよ」
「そっか行かないんだっけシャネル」
「ああ。迎えに行くならきっちりと戸籍やらの手続きを終わらせてから行くとするよ」

シャネルの最初の目的は身分証明の確保、そのためにハンターライセンスを取りに来た。その目的自体は達成している、なら今度はそれを元に戸籍などを作って貰わなければならない。これからライセンスを元にちゃんとした社会に認められた人間になりに行く。

「到着はちょっと遅くなるだろうな、まあ直ぐに追いつくからよ。なんならさっさとキルアを連れ戻して貰っても構わないぜ」
「へへへっ競争みたいだね」
「だな、クラピカ。キルアの事がすんだら早速指導に入るからな」
「ああ解っている」

最後にそれだけを確認するとシャネルはゴン達とは反対の道を進んで行く。暫しは別れになるが直ぐに会う事になる………。


「や、やっと終ったぁ………戸籍登録ってどんだけ時間が掛かるんだよ……」
「本当に遅かったなシャネル」
「クラピカァお前まで言うかぁ?」

端的に言えばシャネルの戸籍作りは難航した、転生者と言う立場もあり一から戸籍を作らなければならなかった。その為に病院で精密検査を受けたり住居を指定したりと色々と面倒な事が多かった。一番だったのがハンターライセンス、それを元に戸籍を作りに来た人間など初めてなのか難航した。結果としてシャネルがパドキア共和国に到着した時には既にキルアをゴン達が連れ戻した後だった。その時のシャネルは酷く落胆したと言う。


っと言う訳で予定通りクラピカに対する指導が開始される事となった。どうやら9月1日にヨークシンシティに集合する約束を立てたらしくそれに従って修行をする事となった。

「つう訳で六式の指導に入るわけなんだけど……あっそうだ、プロハンターになったなら教えても良いんだったよな」
「教える?何をだ?」
「"念"さ」

森の中、不敵笑ったシャネルの顔。それを見たクラピカは何処か高揚感を覚えつつも念と言う言葉に首をかしげた。

「"念"……?何かの隠語か何かか?」
「いや直球的に念って名前なのさ。念っつうのは生命が持ってるエネルギー、オーラを自在に使う事の総称だ。まあ超能力みたいに近い何かっていう認識で今は良い」
「生命エネルギー……突拍子も無くあまり信じられないのだが……」

そうだわなっと言葉をこぼす、いきなりこんな話をされてはまるで何か怪しげな物への勧誘か何かと思われて可笑しくは無い。ある意味正しい反応に笑いつつも証拠を見せるとシャネルは言う。だらんと両腕を下げ、意識を集中する。ゆっくりと腕を挙げ両手を重ねる。

「……いただきます」
「はっ?」

いきなりの食事の挨拶宣言に呆気に取られるクラピカ、一体何をしようと言うのか理解出来なかった。構えを解くと少々遠くにあった大木へと真っ直ぐとターゲットを決めるかのように視線を向けた。そして両腕を大きく引く、その時クラピカは深く理解は出来なかったが何か、シャネルの腕が異様な存在を放っているのが解った。

戦闘食事(テーブルマナー)、フォーク、ナイフ!」

そのまま突き出すと遠くの大木にデカデカと穴が複数開いた、そして木は不自然に揺れ動き捻り切られるように倒れると次々と切り刻まれていき焚き火をするにはちょうどいい薪の山となっていた。何かが起こったのかクラピカは全く理解出来なかった、六式によるものかと思ったが全く違う何かだと直感した。

「これが念だ。プロハンターには必須条件、話を聞く限り新人は念を念を使えるハンターに習うらしい」
「で、では私はシャネルから!」
「そう、念と六式を教える」 
 

 
後書き
なんか雑になってしまって申し訳ありません

しかし私が一番書きたかったのはここからなんです!
ここから質を上げて行くつもりなのでご容赦ください。 
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