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魔法少女リリカルなのは ViVid ―The White wing―

作者:鳩麦
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第三章
  二十八話 Sword breaker

 
前書き
驚くべき筆のノリで28話 

 
ミウラとミカヤの試合が始まる少し前。
第一会場、シード選手控室。

「1……2……3……4……」
小さく小刻みに息を吐きながら、床に足をつけて柔軟をしている少女がいた。次元世界にその名も高き次元世界世界最強クラスの十代少女、ジークリンデ・エレミアである。
長い髪を床に垂らしながら柔軟をする彼女の身体は、すでに床につけた足を延ばしたまま大きく開き前屈して胸を床に押し付けつつ、右手で右足のつま先に楽々と振れている。ちなみにだが、この体制を作者がやると、おそらく太ももあたりの筋がちぎれることだろう。
と、不意に扉をノックする音が、控え室の中に響いた。

「おーい、ジーク、居るか?いるよな?」
「……?番長?」
「よっ」
扉をたたくのもそこそこに、半ば決めつけるように放たれた言葉をジークは一瞬首を傾げて聞いたが、即座にその言い回しと声から相手が誰であるかを察した。自分と同じトップファイターの一人で、自分にとっての数少ない友人といえる少女の一人、ハリー・トライベッカだ。扉を開けて、同じ高校の舎弟(なかま)達と共に入ってきた彼女は、開口一番問うた。

「ミカ姉の試合、もう始まってるぜ。見に行かねぇのか?」
「あー、えっと……」
その問いに悩むようにジークは眉根を寄せる。彼女の言うミカ姉とは、現在試合中のミカヤ・シェベルの事だ。彼女とは去年もその前も顔を合わせていて、色々と世話を焼いてもらったこともある恩人である。が、正直なところ、ジークには今回、ミカヤと顔を合わせ辛い理由があった。去年のIM、都市本戦大会中に、ミカヤを負かしたのは自分だ。それ自体は恥じることも会い難い理由にもならない。ただ……自分はその試合中に、ミカヤの強さに反応して、神髄を使用してしまったのである。
気が付いた時には、すでにミカヤの手首を自分の攻撃が粉砕した後だった。攻撃の破壊力が高すぎたせいで、クラッシュエミュレートの制御領域を超えて、ミカヤの手首を粉砕骨折させてしまったのだ。幸い、魔道再生治療によって彼女の手首は完治したと聞いているが、下手をすれば彼女がそれまでの人生全てを駆けて積み上げてきたであろう抜刀居合の命を殺してしまった可能性すらもあった。そんな自分が、のこのこと出ていって彼女を応援する等筋が違う、とも思える。だが……

「なんだよ?」
「…………」
脳裏に、先日見た、ある光景が浮かんだ。顔見知りの少年が、多くの、これからライバルになるであろう同年代の少年達と言葉を交わし、握手をする姿だ。
見ていて少しだけ、「羨ましい」と感じた。自分は同年代のライバルたちと向き合うことを、心のどこかで恐れている部分があったから……だが、同時に彼に言われたことが、頭の中で反響するように響いたのだ。

『今のジークさんを作ったのはきっと、そういう人たちなんだろうから』
『そんな人が、大切な人に自分を誇れないなんてこと、有るわけないよ』
自分はきっと、彼の言うような、誰かに自分を誇れるような人間ではない。だがそれでも、そう言ってくれた彼の言葉を裏切るようなことはしたくない。
これは、自分のわがままだ。だが、今の自分にはきっと、これくらいしか彼の言葉に報いる術がない。だから……

「う、うん。それじゃあ、行こかな?」
「お、よーし、そんじゃさっさと行こうぜ!ミカ姉今年は張り切ってたからな!」
「あ、ちょ、引っ張らんといて~!」

……まずは、小さな一歩から始めよう。
自分の中の臆病と向き合って、あの少年と堂々と向かい合える、そんな自分であれるように。

────
時は戻り、ミウラVSミカヤの試合開始直後……


「[──Fight!!]」
「ッ!」
立ち上がり、先手を取って動いたのはミウラだった。
開始と同時に、正面に向けて全力疾走、一気に距離を詰めるべくミカヤの方へと突っ込んでいく。

それに対して、ミカヤの対応がシンプルかつ静かなものだ。左足を少し前へ、膝を曲げて中腰に立ち、右手を晴嵐の柄に添える。天瞳流に置いて、《月輪》という名称で呼ばれるこれは、彼らの中では最初にならう基本中の基本、構えの状態だ。天瞳流におけるほぼすべての技は、この月輪から繰り出すことが出来る。
しかし構えに入ったミカヤを見ても、ミウラは怯むことなく突撃を掛ける。それを見て、焦ったように後ろのコーチ陣が制止を掛けたが、ミウラの耳には届いていなかった。

前提として、相手が上位選手(トップファイター)である以上、自分が無傷で勝利するのはほぼ間違いなく不可能だと言ってよい。これは、当たり前の事実だ。であるならば、斬撃に対する防御を固めて、初めから当たる覚悟で無理やりにでも相手の懐に入り込み、後はこちらの得意な超至近距離(ゼロレンジ)で密着したまま撃ち込みまくればいい。これが、ミウラの考えだった。

基本戦術としてはある程度間違ってはいない。どのみち、彼女が勝つためには是が非でも拳か足の届く範囲に入り込まなければならないのだ。至難ではあれど、避けられぬ道ならいっそ……という発想も、分からないではない。ただ……結論からいうのなら、ミウラは完全に認識を誤っていた。
抜刀剣術の速さに対して。破壊力に対して。剣という武器の拳と比べた際の間合いの広さに対して。ミカヤの経験値に対して。この場のあらゆることに対してミカヤの認識は甘く、その全ては誤りであったと言わざるを得ない。
そしてその過ちを見逃すほど試合(ここ)は甘い場所ではなく──


「天瞳流──」
──そしてその代償は、決して安くはない。


「!?」
後一歩半ほどで、自分の間合いに入る。そう思ったミウラの視界の中で、ミカヤの姿がブレて、消えた。そうミウラに認識させるほど早く、ミカヤの姿勢が一気に低くとられ、それと同時にすり足で一歩前へ、ノータイムで抜刀の動作に入る。ここまで来てようやく、ミウラが反応を起こそうと体を動かしかけた。が、遅すぎる。既にミカヤは攻撃に入っている。
次の瞬間、銀閃を引いて振り抜かれた晴嵐がミウラの腹部めがけて叩きつけられた。

「……!!」
「オォッ!!」
気合と共に、振り切られる晴嵐は、そのままミウラを空中めがけて打ち上げる。跳ね上がったミウラの身体を追うように、ミカヤの身体が宙に舞ったかと思うと、あっという間に彼女を追い越し……

「ッ!!」
「カ……ッ!!」
切り返しの振り下ろし一閃、晴嵐の重量と筋力に任せて地面に向かって叩きつけ。投げられた毬のように吹きとんだその身体が、着地したミカヤが音高く納刀するのと同時に、リング外に落下した。

「──水月・二連」


「「「…………」」」
「[Down count 10……9……]」
会場全体が、一瞬静まり返る。その静寂を破るように、出場者のリングアウトを感知したシステムが、機械的にダウンカウントを取り始めた。それを聞いて、ようやく正気に戻ったように、実況者が声を上げる。

「り、リングアウト・ダウン!!」
まさしく、一閃。
甘い考えで突撃した愚か者を一撃で切り伏せるそのスピードと破壊力に、会場全体が圧倒されていた。そんな観客席にようやく到着したハリーとジークが身を乗り出す。

「あ!ほらみろ!お前がモタモタしてっから試合終わっちまったじゃねぇか!!」
「え?」
見逃した!と言わんばかりにそう怒鳴ったハリーの言葉に、ジークが首を傾げた。
それと同時に、会場に歓声が上がる。リング外に叩きだされた小さな影が、ダウンカウントが終わる前にゆっくりと起き上がったのだ。

「……あり?」
「おわってへんやろ?あの子、ミカさんの斬撃、それなりに防いでたんよ」
とはいえ、防いだといっても、あの斬撃はほぼ直撃だった。現に……

ミウラ・リナルディ DAMAGE 10350 LIFE 1650

受けたダメージが大きすぎる。あれは殆ど致命傷と同義だ。
しかも試合開始からまだ20秒も経っていないのである。残り時間はたっぷり三分半。その時間で仕留めきれないほど、ミカヤの剣は鈍くはない。回復可能なインターバルまで仮にしのいだとしても、あの状態からではそれ以上戦うことは難しいだろう。だが……だからこそ気になることがある。

「(彼女のライフは既に危険粋。だが、このだというのにこの気迫はなんだ……?)」
リングインして構えを取ったボロボロのミウラを見て、しかしミカヤは警戒を強めていた。……ミウラの、目。あの目は、まだ勝負を諦めていない者の目だ。だが、それが解せない。これだけのダメージと状況だ、心が折れても、勝ちを諦めてもおかしくはない。なのにどうして彼女はまだ折れていないのか。何故彼女は……

「(『まだ“勝てる気”でいるのか』……などと、考えていてもらちは明かんな……)」
彼女はこの一年、可能な限り、格闘戦技への対策を鍛えてきた。去年負けた相手、次元世界最強の十代女子、ジークリンデ・エレミアと再戦し、そして勝つためだ。そのために、あらゆる格闘戦技と戦ったし、その対策を考え抜いた。いかなる戦技が来ても、切り伏せる用意は出来ている。

「…………ッ」
ズキリ、と、ミウラは先の連続斬撃をぎりぎりで防いだ腕が傷んだのを感じた。戦闘に支障はないが、その痛みは否応なく、先ほどの破壊力と、それに対する恐怖感を思い出させる。

「(だけど……まだ……まだ、全部を出し切ってない……!)」

ミウラ・リナルディという少女は、お世辞にも冴えた女の子、とはいい難い少女だった。
自己評価を並べ立てるなら、不器用で人見知り、口下手でドジでおっちょこちょい。運動も勉強も特筆して出来ることがあるわけでもなく、自分に自信がないまま、ただ生きているだけの子供だったと思う。けれどこの前の練習で、セルジオが言ったのだ。

『ミウラはスゴいナ!!』
『えっ?』
『オマエはスゴいゾ!!つよいしナ、はやいしナ……とにかく、スゴくスゴいナ!!』
『……そ、そうかなぁ……』
それはどう聞いても、気の利いたほめ言葉というわけではなかったけれど、それでもこの世界の言葉に詳しくはない彼なりに考えた、精一杯のほめ言葉だったと思う。そしてそう言ってもらえる自分になれたのは、自分が自分に胸を張れる自分になれそうな所までこれたのは、きっと、あの日手を差し出してくれたはやてとシャマルのおかげで、そのおかげで出会うことが出来たヴィータやザフィーラ、シグナムの教えがあったから。
出会ったすべての人が、自分をここまで押し上げてくれた

「[さぁ、試合再開です!!]」
「(……怖くなんかない……!)」
相手の間合いへ踏み込むことへの恐怖は、セルジオと戦ったおかげで克服できた……踏み込む技術は、シグナムとヴィータの教えてくれた技術で知っている……踏み込みさえすれば、師と、今まで戦いが教えてくれた自分の戦いで戦うことが出来る……。
誰かに教えられたすべてが、自分の一歩一歩になる……ならば……。

「[Ready──]」
「(ボクは……ボクの全部を……)」
自分がするべきことは……

「[──Fight!!]」
「(……ぶつけるだけッ!!)」
「!?」
その瞬間、ミウラの姿が、先ほどミカヤがしたように、ブレた。
次の瞬間には、ミウラは既に大きくミカヤに向けて距離を詰めている。構えは蹴り。大きく引いた彼女の右足が、彼女の体を追うようにミカヤを狙う。

「(疾いッ!!?)」
咄嗟に、蹴りを鞘から抜いた刀身で防ぐ。瞬間──

ゴォンッ!!!

「!!?!?」
まるで鋼鉄にハンマーを打ち付けたような鈍い轟音が鳴り響き、ミカヤが後方に大きく後退する

「(なんだ今の蹴りは!?)
間違いなくミウラは刀の間合いよりも少し離れた距離にいた。大股でも五歩分はあったはずだ。その間合いを一瞬で詰められた。おまけに、その衝撃がとんでもなく重い……と、ミカヤは気付く。反動で自分と同じく後退していた少女の目が、こちらを真っすぐに射貫き、すでにその足に力がこもっている。

……ゾクリ。

と、体に寒気が奔った、と思った時には既に、ミウラは再び距離を詰めていた。

「(間に合わん──ッ!!)」
「ハンマー……!」
握りしめた拳が、、ドンっ!と大きく踏みしめた地面から跳ね返った力を利用して跳ね上がり、鳩尾を直撃した。

「──シュラーク!!!」
「ガっ……!」

ミカヤ・シェベル DAMAGE 1250 LIFE 9950

「(ご、丁寧に、拳まで重いと来た……!!)」
とんでもない衝撃力だ、こんなのを何発も食らってはひとたまりもない。とにかく引きはがそうと、ミカヤは脇差による逆手の抜き打ちで反撃する。が、完全な密着状態での戦闘における瞬発力ならば、ミウラの経験値は決してミカヤに引けを取らない。即座に頭を下げて交わすと、ミカヤと比べて頭一つ分低い体格を利用して一気に走り込み追撃。

ミカヤ・シェベル DAMAGE 1100 LIFE 8850

「だあぁっ!!」
「ッ!や、る……!」
突撃と共にヒットした右拳に苦悶の声をあげながら、しかしミカヤは脇差を引き戻して何とかミウラを引きはがしにかかる。ミウラは何とか張り付き続けようととにかく追いかける形だ。
しばしの間、撃ち込まれる拳を晴嵐が防ぐ展開が続く。

ミカヤ・シェベル DAMAGE 200 LIFE 8650
ミウラ・リナルディ DAMAGE 150 LIFE 1500
とはいえ、ライフが少ないのはあくまでミウラの方だ

「フッ!」
「ッ!」
多少のダメージ交換覚悟でミカヤが切り返しに行けば

ミカヤ・シェベルDAMAGE 250 LIFE 8400
ミウラ・リナルディ DAMAGE 400 LIFE1100

「せえっ!」
「……く……!」
一度距離を取らざるを得ない。

ミカヤ・シェベル DAMAGE 200 LIFE 8200
ミウラ・リナルディ DAMAGE 250 LIFE 850

「……っ」
ミカヤにしてもつらい展開ではある。元々ミカヤは速度を最優先事項として装備を選んでいるため、防御用の装甲は脚部側面を除いて大きく削っている。その状態で格闘型に密着されると流石に対応に焦るところはある。だが、元来それを対策してきたのだ。最終的に打ち勝つだけのポテンシャルは彼女も持ち合わせてきたし、無抵抗で殴られること等ありえない。

「(だが、こりゃあ手強い……!)」
ミウラの基本戦術は、ミカヤも理解できた。俊足の蹴りで間合いを詰め、そのまま密着、重い拳で連撃を入れてくる、所謂、強打者(ハードヒッター)だ。だが、鈍足ではなく速さのある重撃、そこのバランスが良いおかげで、ただ重いだけの選手よりも数段高い攻撃力を発揮している。

「(しかし残り一分、ライフはこちらが有利、切り伏せる余裕はある!)」
現に、ミウラの息は上がっていた。すでに彼女のライフは三桁。やはり、前半に受けた大ダメージが大きすぎる。しかして彼女の目に、諦めはない。まだ、カードを出し切っていない、まだ、全てを出し切っていない、まだ……

「……?」
その瞬間、空間の流れが変わったのを、ミカヤをはじめ会場に居た何人かは敏感に感じ取る。空間に残る流れが、ミウラの下へと集まりだす。それはミカヤが放ったものであり、ミウラが放ったもの。互いの強化魔法によって空間中に放たれたそれらが、ミウラの足元へと集まり始めた。

「(まだ……切り札が残ってる……!!)」
そう、一般的に“空間魔力”と呼ばれるそれが、ミウラの下へと流れ始めていたのだ。


「……行くよ、スターセイバー……!」
語り掛けた彼女の言葉に、星の剣は高らかに答えた

[YES!!]
ガコン!!と音を立てて、ミウラの脚にあてがわれていた銀色の脚鋼が“開いた”。その瞬間、彼女の足元に円形のミッド式魔法陣が展開されると、彼女の脚部が強烈な光を放ち、その名が紡がれる。

「抜剣……!!!」[Sword on!!!]


「(抜……剣……!?)」
ぞわりと再び全身が泡立ったのは、その威圧感故、だけではない。尋常ではない魔力が、その足元に圧縮されているのが見ただけで分かったためだ。明らかに彼女自身の魔力だけではない、あれは空間全体から集めて圧縮されているものだ。つまり……
観客席にいた、二人が言った

「なのは、あれって……」
「うん……集束系魔法(ブレイカー)だよ」
その能力は元々、ある一種の魔法技能を現す言葉だ。この世界の魔力は主に、生物の体内に存在する生体魔力と、空間中に存在する空間魔力が存在する。生体魔力は空間魔力の存在する空間中で活動することにより体内に蓄積されるものであり、本来魔法に使用されるのは生体魔力だ。この生体魔力は使用すると体外に放出され、再び空間魔力として漂うことになる。
しかし希に、生体魔力ではなく空間魔力を直接使用し、魔法を使用することが出来る技能を持つものが居る。その魔法技術系統の一つが、その空間魔力を一か所に対して集中して運用する魔法系統、すなわち、集束系魔法(ブレイカー)だ。

通常、空間魔力はよほどのことが無い限り、生物が取りこむことが出来る量よりも多くの量が空間中に存在する。加えて、魔法を使用すればするほどに、空間中の魔力密度は増大していくのだ。膨大な量の魔力を制御する必要があるためこの魔法制御は難しいが、同時に生体魔力を使用するだけでは作り出すことが難しい、非常に高い魔力密度を作り出すことが出来るため、瞬間的に高出力の魔法を使うには非常に向いている。

そして戦闘時に使用することによるその圧倒的な破壊力から、付いた名称が破壊者(ブレイカー)
以前なのはやティアナの使用したスターライトブレイカーもこの集束魔法を使用した集束砲撃であり、なるほど、“終息”系魔法と揶揄されるのも納得の威力を見せてくれたは記憶に新しい所だろう。……いや、まぁこれは半分どこぞの砲撃魔導士が容赦なく撃ちまくるせいもあるのだが……

「はは……面白い……」
と、それまで直接声を出すことなく試合を行っていたミカヤが、初めて心底楽し気に声を上げた。構えたまま一気に魔力を放出すると、地面に青い近代ベルか式の魔力陣が形成される。

「これだから……これだからインターミドルは楽しい……思わぬところで、君のような強敵に出会える!!」
轟、と魔力放出による豪風が吹き荒れる。それは受けて立つという覚悟であり、それでも勝つという決意の表れだった。

「ありがとうございます……」
ミウラもまた、笑う。戦闘の高揚感と、強敵に挑む心地よい緊張感が、全身を満たしている。そしてなにより、憧れた舞台の上位選手(トップファイター)認められたという事実が、ミウラの高揚感を後押ししていた。

「……ボクの全部、ぶつけさせていただきます!!」
会場全体が、静まり返る。ただ流れる魔力の轟音が響き、緊張の糸が張り詰める。そして……

「「ッ!」」
ミウラが動いた。
再び超高速の踏み込み、数メートル会った距離が一瞬で0へと近づく。だが……

「(先ほどよりは反応できる!)」
既にその踏み込みは見た、一瞬で来ると分かっているなら──

「(──それを踏まえた上で、間合いを測るのみ!!)」

「晴嵐!切り伏せろ!!」
[了ッ!!]
「スターセイバー!!」
[YES!!]

互いの呼びかけに答えるように互いの魔法器がここ一番の出力を発揮する。
鍛え抜かれた鋼鉄の刃が、光り輝く星の刃が、銀色と桃色の残光を引いて一閃──

「抜剣・飛燕!!」
「天月・霞!!」
──激突する!!!

「「は……ぁぁぁぁぁあああああああッ!!」」
交錯した二人の刃が火花を散らしながら互いをはじく。
否、突撃してきたミウラをミカヤが弾いた形だ。即座に二人は体制を立て直し、ミカヤは納刀。

ミウラ・リナルディ DAMAGE 550 LIFE 300
ミカヤ・シェベル DAMAGE 650 LIFE 7550

ライフの上では互角、だが……

「(凄まじいな……晴嵐の刃が削げたか!)」
“打撃”を“切りに行った”というのに、こちらの武器の方がダメージを受けているのはミカヤにしても初めての経験だった。それだけミウラの集束打撃の威力がけた違いなのだ。だが──

「(残りは300、返しの一撃で、切り伏せる!)」
次の蹴りを防御するだけでも落とせるライフ、しかしそれでも、ミウラの目は死なない。

「(まだ……行ける!)」
ジェットエンジンじみた甲高い音を立てて、スターセイバーがさらに光輝く。同時に、再び突撃、構えを取るミカヤを真っ直ぐに見て、飛び上がる。

「(あの日僕は受け取ったんだ──)」
自分自身以外の魔力を使うことで、100%以上の力を出すのが集束魔法の本懐だ

「(──自分の空を飛べる翼を──)
120%の力で足りないなら──

「(──自分の道を切り開く……星の剣を!!!!)」
──150%の力を撃ち込むのみ!!!

「……!!」
撃ち返さんと激突させた晴嵐の刃が、ひび割れる。不味いと思った時には、すでに晴嵐の刃が砕け散っていた。

「ぅ、ぉぉおおおお!!!」
抜剣の一撃を受けながら、しかし尚もミカヤは獣のごとく叫ぶ、抜き放った脇差をミウラに叩きつけようと迫るだが──もう遅い!!

「一閃必墜!!」
ミウラが叫ぶ、すでに何物も止めることかなわぬとばかりに、体が動く。

「抜剣──」
桃色に光り輝く左足が、まるで星屑を集めた一本の刃の如く煌めき、振り切ったそれがミカヤに向けて──

「──星煌刃ァッ!!!!」
「……ッ!!!」
炸裂する!!!

会場の大気をぶち抜きながら、ミカヤの身体がリング外の観客席外壁まで吹き飛び、叩きつけられる。腹部全体のバリアジャケットを粉砕されて倒れ込むその身体はしかし、その意識が飛ばされてなお、最後まで背を地面に付けることなく、座りこむに留まった。

ミウラ・リナルディ DAMAGE 180 LIFE 120
ミカヤ・シェベル DAMAGE 23450 LIFE 0




IM女子の部 地区予選大会 予選エリートクラス 第四組第一回戦 試合終了
勝者:ミウラ・リナルディ
試合時間 1R 3分34秒
FB(フィニッシュブロー):抜剣・星煌刃

────

「[試合、終了!!4組第一試合、1ラウンドからとてつもない試合でした!!今年も活躍が期待されたミカヤ・シェベル選手、まさかの1回戦1R、KO!!そしてミウラ・リナルディ選手、大金星でエリートクラス一回戦を突破!!新人選手(ルーキーファイター)の鮮烈なデビューです!!]」
そんな実況と共に、拍手と歓声が割れんばかりに鳴り響く。セコンドたちにも祝福を送られながらリングを降りたミウラを出迎えたのは……見剣に青筋を立てたヴィータと腕を組んだザフィーラだった。

「あぅ……」
「ったくてぇめぇえぇはぁ……むっちゃクチャな戦い方しやがって!!」
「勝てたから良いとは言わんぞ。指導事項は山ほどあるからな」
「は、はいぃ……」
いきなりの叱責に、ミウラは勝ったというのに愕然と顔を落とす。とはいえ、これは正直当然だ。居合剣士、それもトップファイターに対して正面突撃からの致命打。呆れられても怒られても文句は言えない。帰ってからの説教を想像して、ミウラの胸中は早くも暗雲がモクモクと立ち込めていた。しかし……

「まーまー、それでも、ミウラは頑張ったよ?」
「そうそう、一回戦突破、おめでとう」
応援に来てくれたらしいはやてとシャマルの声を受けて、ミウラはパッと顔を明るくした。そう、しかしなんといっても、彼女は勝ったのだ。今はただ、つかの間の勝利の喜びを、笑顔で表現したかった。

────

一方観客席では、ベテランファイターの技巧と、それを乗り越えて見せたルーキーファイターの健闘をたたえる声と、そのベテランファイターの敗退を惜しむ声とが混在しつつ、次の試合への期待が渦巻き始めていた。そんななか、ハリーは良き友人でもあるミカヤの敗北に、残念そうに言葉を漏らす。

「ミカ姉、負けちまったか……勝負はまた来年……として、今日はもう、会わねー方が良いだろうな……とりあえずは、自分の試合に集中すっか」
「うん……」
気を取り直すように、一度手すりを叩いて乗り出していた身を起こしながら、ハリーはジークに向き直る。

「そりゃそうと、お前も気ィ抜いて、負けたりすんじゃねーぞ!」
その言葉に一瞬驚いたようにジークは目を丸くすると、すぐに安心させるように微笑んだ。

「平気、ウチもヴィクターや番長たちと試合したいし、四回戦でちょっと気になる子とも当たる……それに……」
「……?それに?なんだよ?」
「……うぅん、なんでも」
「?」
誰もいなくなったリングを見ながら、ジークは心の中でひとりごちる。

「(……ちょっとだけ、自分の試合を見てほしい人もいるんよ……)」

────

その後の試合も白熱したが、多くは順当な結果を残して終わった。チームナカジマのメンバーはそれぞれエリートクラス二回戦へと駒を進め、そこでも順当な勝ち星を挙げて三回戦へと進んだ。ルーテシアやシャンテ、ヴィクトーリアといったメンバーも同様に勝ち星を挙げ、祝日に行われるプライムマッチを除いて女子の部における一、二回線は全試合が終了、三回戦からは来週以降へと持ち越される。
しかしチームナカジマの面々にとって、大変なのはこの三回戦からだった。

先ずリオ、彼女は祝日のプライムマッチで試合を行う、上位選手(トップファイター)の、エルス・タスミンか、あのハリー・トライベッカの試合における勝者と試合をすることになる。いずれにしても上位選手が相手であり、厳しい試合になることは必至だ。
次にアインハルトとコロナ、この二人の三回戦の相手は、……そう、お互いだ。つまり同チーム対決ということになっていた。勝負である以上勿論恨み言も何もなし、貴賎なしの真剣勝負だが、どちらか片方が必ず脱落しなければならないというのは、やはりつらいものがある。
そして最後に、ヴィヴィオ、彼女の試合の相手は、今日一回戦、二回戦と勝ち抜いて見せた、ミウラ・リナルディだ。あの試合をみれば、否が応にも強敵であると認めざるを得ない。これも、厳しい試合になるだろう。

とはいえ、今はただ、それらの試合に向けて準備をするのみ。迎えに来たなのは達と一緒に帰るため、準備をしているときだった。
唐突に、一団に近づいてくる影を見つけて、ライノが軽く手を挙げた

「ん?よぉ、遅かったなクラナ」
「!お兄ちゃん!!?」
「あ、クラナ先輩!!」
「「「お疲れ様です!!」」」
「……あぁ」
少女たちの挨拶に鷹揚にうなづいてクラナはチーム+なのは達の一団を見渡す。

「ほら、ヴィヴィオ!」
「報告しなきゃ!」
「え!?あ、えぇっと……」
と、リオとコロナが唐突にヴィヴィオの事を前に押し出し、彼女の口から今日の結果を報告しろと求める。

「あ、えっと……か、勝ったよ!全員、エリートクラス三回戦!!」
「……そうか」
勢い余って、少し裏返った声でヴィヴィオは今日の戦果を報告する。自分達の勝利の嬉しさを共有したいのもあるが、なにより、明日の兄の試合に向けて、精神的に弾みをつけてほしいという願いがヴィヴィオの中にはあった。

「…………」
「……あ、え、と……」
「…………」
しかし黙り込んでしまった兄に、それ以上言葉が続かない。言うべきことは言ったはずだが、その後をどう続ければいいのかが分からない。その所為で、全体に一瞬、緊迫した空気が漂う。

「あのね、クラナ……」
耐えかねたように、なのはが、助け舟を出そうと口を開きかけた。その時だ。

「……次は、俺だな」
「……!」
静かな言葉……しかし、確かに、ヴィヴィオの言葉を受け取ったうえで紡がれた、彼自身の意思を持った言葉。クラナが久しぶりに見せた。明確な、ヴィヴィオの言葉への答え。

「……う、うん、うん!そうだよ!次はお兄ちゃんの番!」
顔を見上げて、はっきりとクラナの目を見ながら、何度も頷いてヴィヴィオは言った。それに続くように、アインハルト、コロナとリオもクラナに言う

「……ご武運を」
「頑張ってください!」
「応援します!!」
「……あぁ」
いつものような無言の首肯ではなく、言葉と共に頷いての肯定。正直なところ、クラナとしては彼女達の練習に専念してほしい気持ちもあったのだが……

『よいのですか?相棒』
『……できれば、見せておきたいから……男子の部の戦いも、俺の、戦いも』
『……ですか!きっと良いことですね!』
『……そう、かな……だといいな』
それが心境の変化なのか、あるいは初めから会った願望なのかは分からない。ただ今、クラナの中には自分の試合を妹たちに見られることに、以前ほどの抵抗はなかった。以前なら、もっときっぱりと拒絶していただろうに……だ。

「(……もしかしたら)」
或いは、後輩たちに自分の姿を見てもらうことで、何かを感じ取ってもらえればいいと感じているのかもしれないな、とクラナは自己を分析した。口で語るのがへたくそな自分が、努力し、研鑽を続ける彼女達にできる精一杯の事。それが、「背中を見せる」ということであるとしたら……

「(悪い気はしないかな)」
そんな風に考えて、内心少しだけ微笑むクラナに、本当の微笑みを向ける者達もいる。

「クラナ……」
「良かったね、なのは」
「うんっ……」
二人の母が、久々に兄に向けて笑顔を向けるヴィヴィオに、そして彼女の言葉に答えてくれたクラナに、遠くから微笑みを向ける。明確な前進を感じ取れた瞬間に、場にいた全員が安堵していた。そんな中……

「(……ん?)」
ライノは視界の端に、見知った人物をとらえる。誰とも言葉を交わすことなく会場から出ていくその姿は、普段と比べて幾らか覇気が抜けたように見えた。

「…………」
勝者が居れば、敗者が居る。今日この会場から去る者達には、とびきりの笑顔で帰る者と同じだけ、無念と悔しさを抱えて帰る者達が居るのだ。そして、それは、来週も、その次も、大会が終わるまで続く。

「(あぁ……そうだな……)」
今年も始まったのだ、多くの選手が高揚と喜びを得、それ以上の数の選手が涙をのむことになる、IM(このたいかい)が。

────

「…………」
トライセンタースタジアムから程よく離れた公園の一角、スタジアムの第一会場の全体像を見渡すことのできるベンチに、ミカヤは一人座ってスタジアムを眺めていた。

「(終わった……か)」
まさしく、瞬く間の出来事だった。
敗北という結果は残念だったが、それ自体に不満など言うものはない。自らが出来るあの場の最良を出し、自分のスタイルを貫き、その上で負けたのだ。それでも勝てなかったのは偏に、自らの技量の不足と、そして心の奥底に一欠片あった、新人選手への侮りと、これまでの自分の実績から出た油断が原因だ。それに少しでも惑わされた時点で、自らの敗北の可能性は確かにあった。ジークリンデだけを、見つめ過ぎたのかもしれない。
ただその想いが、己の未熟さを悔いていた。

「晴嵐……済まなかった、私の未熟で、お前を傷つけたね」
[否]
普段無口な己の半身は、この時だけははっきりと否定の意見を述べた。同時に最後まで戦いきれなかった己を恥じるように、鈍い響きを刀身から響かせる。

「……ありがとう」
明日にも、修理に出してやらねばなるまい、そう思いながら、ミカヤは微笑んで晴嵐の鞘をそっと撫でる。
そうして、もう一度、ライトアップされた目の前の巨大なスタジアムに視線を移した。

「(あと、一度か……)」
来年、その一度だけが、自分が十代の女子という枠組みの中で戦うことが出来る最後の機会になる。その時、自分は最後までやれるだろうか?己の道に後悔なく、悔いを残さず、最後までやり切ることが出来るだろうか?そう出来るだけの力が、今の己にあるだろうか?

「(……いかんな、弱気になっている)」
首を振って、己の内にある弱い部分を振り切ろうとする。しかし一度生まれた己への疑念は、なかなか消えてはくれなかった。そんな中、暗闇から、ミカヤに向かって歩いてくる影があった。

「……?」
「……ん、いた」
「エーデル……」
表れたのは、友人で武道仲間でもある、エーデル・シュタインだった。見ると、手に緑茶のペットボトルを持っている。

「どうしてここに……」
「……探してた。ん」
「……これは?」
差し出されたペットボトル茶を受け取りながら、ミカヤは苦笑気味に尋ねる。と、エーデルはさしたることも無さげに答えた。

「慰労茶」
「慰労、茶……ね、斬新だ。いただこう」
受け取ったペットボトルを開けて、一気に流し込む。少しぬるくなってはいるものの、未だに十分な冷たさを持ったそれは、気温が上がり始めたこの時期の飲み物には、ちょうどよく喉を潤してくれた。

「……おつかれ」
「あぁ……ありがとう」
ベンチの隣同時に座って、ミカヤとエーデルはしばし同じようにスタジアムを眺める。

「……負けてしまったよ」
「……ん」
「……エーデルは明日だろう?」
「……ん」
「自信のほどは?」
そこまで聞いて、一瞬だけ返答に間が空く、しかし即座に、エーデルは何の躊躇もなく答えた。

「勝つよ」
「……そうか、そうだろうね……」
どこか嬉しそうに、羨ましそうに、ミカヤはくつくつと小さく笑う。そうして傍らの彼の横顔に語り掛ける。

「なら、応援しないとだ」
「……好きにしたらいい」
短くそう答える声は、よどみなく、どこまでも真っすぐだ。そんな彼のあり方に心地よさを感じながら、ミカヤは立ち上がった。

「……さぁ、帰ろうかな……このか弱い乙女を、家まで送ってくれるかい?」
「……ん」
普段なら、「……か弱い?」の一言でも飛んできそうなそんな言葉に、しかしためらいなく肯定が帰ってきたのを少し意外に想いながらも、隣に立つエーデルに微笑みながら、ミカヤは歩き出す。
道中何を話したのかは、よく覚えていない。ただミッドの端にある自宅の前に、いつの間にかたどり着いたとき、帰ろうとするエーデルの背中に、ミカヤはふと、こんな言葉を駆けていた。

「……寄っていかないのかい?」
「…………」
その言葉に、エーデルは、ゆっくりと振り向く。

「「…………」」
しばしの間、互いの意図を探るように、二人の瞳が交錯した。

「……いい」
「……何故?」
問い返す必要があったのか、自分でも、疑問に思っていた。明日は彼も試合なのだ。いつまでもこんなところに居る理由はないし、二度も引き留めるのは迷惑だと、分かっていたはずだ。だが……。
しかし次の瞬間、エーデルは、まるで、ミカヤのやわらかい場所を切り裂くように、鋭く、痛い言葉を放った。

「……ミカヤ、怖がってる」
「ッ……」
「……けど、背中は押せない。歩き出すのは、ミカヤの仕事。甘えたら、ミカヤは、立ち止まるだろうから」
「…………」
「……来年が、まだ残ってる」
それだけ言って、エーデルは再び背を向ける。一瞬だけうつむいたミカヤはしかし、即座に顔を上げると、再度、年下の少年に呼びかけた。

「なら、来年……」
「……?」
「……来年、いろいろな事が終わったら……その時は、エーデルに甘えていいのかい?」
その顔は、悪戯っぽく微笑んでいる。冗談めかしたそれが本当に冗談なのか、それともそう見せかけた帆本気なのかは、エーデルにも読み取ることはできない。いつもの、ミカヤだった。

「……考えとく」
小さく笑ってそれだけ返し、エーデルは歩き出す。ミカヤはそれ以上、彼を引き留めはしなかった。

「……やれやれ」
肩をすくめて首をふり、ミカヤはどこか楽しげに横開きの家の戸口を静かに開き、静かに閉じる。家族はまだ帰っていないのか、家は静まり返っていた。
履物を変えると奥の道場へと歩いていく。道場にも、誰もいなかった。
晴嵐を傍らに置き、道場の戸口を締めたところで、彼女は壁に背中を預け、ズルズルと座りこんだ。

「きびしいなぁっ……エーデルは……ッ」
しゃくりあげた、涙声交じりの言葉。掌で抑えた両目から、透明な滴が、次々に滴り落ちた。

「ッ……!あぁッ……ふっ……ぐ……ぅぁあ……!!」

静かな女性の鳴き声が、道場の入り口から、何時までも、響いていた。
 
 

 
後書き
はい!いかがでしたでしょうか!?

今回はメインに、ミカヤとミウラの先頭を据えた回になりました。前半は原作の白熱した試合を、何とか小説の文章に起こせないかと書いてみたのですが、殆ど原作と同じになってしまいましたねw
ただ、原作においてもIMの面白さやその始まりを告げる重要な試合なので、自分的には、書けてよかったなと思っております。
次は申し越し、原作との変化を加えた展開を書いてみたなと思わなくもないですが……

後半は、少し全体的に静かな雰囲気。
ちょっと主人公が出なさすぎたので、主人公の補給と……そして、ミカヤのその後のシーン。
原作にはなかったので、投稿キャラのエーデル君と絡めつつの完全オリジナルだったのですが、いかがでしたか?
少しほろ苦い雰囲気を、醸し出せていたなら幸いです。

さて、次回からはいよいよ男子の部に入っていきます。

では、予告です。



ア「アルです!!いやぁ、波乱の第一試合でした!正直手に汗握りっぱなしでしたよ私は!!」

ウォ「両者とも見事な試合でしたね。彼らの健闘に称賛を」

SS「はい!!ありがとうございます!」

晴嵐「うむ、某にはもったいないほどのお言葉、痛み入る」

ア「おぉ、あなたは」

晴「は、某は晴嵐、こたびは敗北を喫しましたが、これでも魔道器の端くれ、何卒、よしなに」

ウォ「いえ、お見事な戦いぶりでした」

SS「はい!!本当にすごかったです!!」

晴「なに、敗北は敗北、スターセイバー殿の星の剣こそ、まさしく真に名刀と呼ぶにふさわしきもの。某、己の未熟をただただ恥じますれば、いずれ鍛えなおし、また雪辱を果たす機会をいただければ、それ以上望むべくもありませぬ」

SS「はい!いずれきっと、また戦いましょう!!」

ア「これは、私達もうかうかしていられませんねぇ!」

ウォ「アル、そういう貴女は、いよいよのようですよ」

ア「そのようです、気合入れますよ!!では次回、《オブザーバー》」

SS「はい!次回も……」

晴「是非にご覧あれ」
 
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