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~異世界BETA大戦~ Muv-Luv Alternative Cross Over Aubird Force

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明星作戦(オペレーション・ルシファー)前篇

 
前書き
さて、今度は舞台が変わって懐かしい地球となります。
この明星作戦のくだりは、ほとんどが創作です。
あれ?と思われる方がいらしたら、すみません。 

 
太陽系 「地球」1999年8月1日 北米防空総司令部(NORAD)

「コード911!BETA降着ユニット、SW344-EN554より周回軌道接近中!降着目標推定・・・・南米中心部付近!」
けたたましく警報が鳴る―――――――

基地要員が慌ただしく走りまわっている。
「進路至近の攻撃ステーションは?」
「N15からN18およびR3、R8、U6が攻撃準備中です!」
「現在わが軍と国連軍、日本帝国軍、そして大東亜連合軍がヨコハマハイヴを攻略準備中だ。そんな時に別の大陸とは言え、地上にやつらの降着を許したりしたら士気に影響するからな。準備急がせろ!」
「了解!」

月軌道から飛来したそれは、今もゆっくりと地球に向かって距離を詰めていた。
1973年に中国・新疆ウイグル自治区喀什(カシュガル)へBETA降着ユニットが着陸。
降着ユニットからあふれ出す圧倒的に幾何学的多数で人類をも捕食する恐るべき宇宙生物達(BETA=Beings of the Extra Terrestrial origin which is Adversary of human race 人類に敵対的な地球外起源種)に対して当初中国軍は自軍による陸と空からの攻撃により優位に戦闘を進めていた。

だが、その優位もBETAに光線属種(レーザー級)が出現した事により、空を飛ぶものは飛行機はもちろん、砲弾でさえもレーザー光線によって正確に撃ち落とされ、またたく間に劣勢に追いやられるのであった。

続いて翌年、北米カナダのアサバスカへも降着ユニットが着陸したが、米軍は核兵器の集中運用で撃破。それ以来定期的に地球へ向けて侵入しようとするそれを人類は、米国を中心として迎撃システムを確立させて、もう何度となく宇宙空間で迎撃する事に成功していた。

「該当ステーションすべて発射準備完了!」
米国戦略航空宇宙軍の制服に中尉の襟章を着けた女性オペレーターは慣れた手つきでパネルを操作し、落ち着いて報告を告げる。
「よし、全機攻撃開始!」
計7基の攻撃衛星より戦略核ミサイルが各5発発射され、まっすぐに降着ユニットへ向かっていく。
そして先行していた21発が立て続けに命中、大きな穴を空けた上に、降着ユニットは太陽の方向へ進路変更された。

「BETA降着ユニット、被弾し破損しつつ進路変更、予想進路は・・・・太陽です!」
「溶けて無くなればいいのだ宇宙生物め!」
同時に司令部のそこかしこからは迎撃に成功した歓声が上がる。

「残りの14発は月の方向へ向かっています。」
「そのまま月面のハイヴに命中すると最高なのだが。」
「・・・・閣下、残念ですが、月面にも光線種はいるでしょうし、ミサイルは全弾月の周回軌道をかすめて太陽系外周へ向かうという計算結果が出ました。」
「そうか、惜しいな。まぁ仕方がない。引き続き進路を監視せよ!警戒レベルを引き下げ、戦時待機へ変更。」
言い残すと司令官はほっとしたのか、そのまま退室した。

そして約5時間後、月軌道上で大規模な爆発光が確認された。米軍司令部では先の攻撃で軌道を逸れた残り14発の核ミサイルが、漂流していた隕石に命中したと予想・結論づけられ、マスコミにもそのままリークされた。

この翌日より不定期に時計や一般通信回線が止まるという奇妙な例が地球各地で少なからずあったが、正確な原因は判明せず、調査の結果、一時的に多量の放射線が太陽から放出されたか、またはBETAによる地球環境破壊の結果に起因する磁気異常が原因ではないかと報告されている。


――――そして1999年8月5日未明から、オルタネイティブ第4計画総責任者の香月夕呼博士の提唱による、甲22号目標(横浜ハイヴ)攻略作戦である明星作戦が発動され、日本帝国軍、極東国連軍、大東亜連合軍、米軍の合同軍による総攻撃が開始された。

この作戦は対BETA戦においてパレオロゴス作戦(ミンスクハイヴ攻略作戦‐突入したソ連軍ヴォールク連隊によるハイヴ内部の情報である、「ヴォールク・データ」の入手につながった)、スワラージ作戦(宇宙戦力を初めて大規模投入したボパールハイヴ攻略戦)に次ぐ大規模反攻作戦であり、横浜ハイヴの殲滅と本州奪還を主たる作戦目標としていた。

まずは国連太平洋艦隊の5隻の戦艦(アイオワ・ニュージャージー・ミズーリ・イリノイ・ケンタッキー)を中心とした第二艦隊と帝国連合艦隊第2・第3戦隊の5隻の戦艦(信濃・美濃・加賀・大和・武蔵)による太平洋側と日本海側からの艦砲交差射撃に始まる。

海に浮かぶその巨躯に備わる大口径砲が重低音と共に耳をつんざくような閃光と灼熱の咆哮を立て続けにあげる。

砲撃第一波は光線級の迎撃によって、7割が撃破されたが、撃破されたAL(アンチレーザー)弾による高濃度の重金属雲発生により光線級の照射が大幅に減衰された。

重金属雲発生による恩恵により、緒戦の地上戦において前線戦術機部隊の損耗は34%と大きなダメージではあったが(対BETA戦では損耗率80%以上も珍しくはない)、計画に致命的な遅れは無く、おおむね順調に進んでいた。

「作戦、第二段階!国連軌道爆撃艦隊による高高度爆撃の後、国連軍第3軌道降下兵団降下!」
国連軌道爆撃艦隊の成層圏からの高高度精密爆撃の後、射出された無数の再突入殻が大気圏を突入し、一斉に降下ルートを取る。
重金属雲を抜け、そこから光線級による迎撃に20%程が食われたが、再突入殻から戦術機が次々と離脱。
そして積載物が無くなったそれは地上にいるBETAに対してそのまま質量兵器として降りかかった。
潰される要撃級、吹き飛ばされる戦車級や小型種が続出してあたりには砂塵が立ち込め、まるで砂嵐のようであった。

だが、作戦を通じて地上のBETAの数もそれなりに減退して来ていることもあり、あちこちに大きなクレーターを作るほどの破壊力があった割に効果は限定的であった。
そして2割ほどの被撃墜機を除く、地上に降り立った10個大隊360機程のUNブルーのF-15ストライクイーグルとF-16ファイティングファルコンの部隊が周囲に残ったBETAを蹴散らし次々とハイヴの門へ向かう。

「タンゴリーダーより各機へ。我々はこれより横浜ハイヴへ突入する!当初の予定通り、所定のルートを突破したのち最深部への到達・調査が一次目標だ!いいか、訓練の成果を十分に発揮しろ!全機続け!」
「「「「「「了解!!」」」」」」
時々、まばらに突っ込んでくる要撃級に突撃砲を食らわせ、無力化し、飛び掛かってくる戦車級も突撃砲で片づけながら、第3軌道降下兵団はどんどん下層へと進撃していった。

「やっと4層目にたどり着いたか。だがここまでは順調なようだな。」
「なんだか拍子抜けしますね。BETAはあらかた片付いたのでしょうか?」
直掩機の衛士が暢気な調子で訊ねる。
「油断するな!全周囲警戒を怠るなよ!」
隊長が引き締めにかかったが、BETAはまばらにしか襲ってこないので、部隊の全体に楽勝ムードが漂っていた。

そして2層程進んだ時に通信状態がやや悪くなってきたなと感じたその瞬間、うわずった副官の声が通信機に響くことになる。
「少佐、HQとの通信が途絶しました!」
「くっ・・・中継機器が破壊されたか・・・。さっさと目標達成せねば。」
部隊には一気に緊張感が走り、部隊の衛士たちは操縦桿を握る手に汗がにじんでくるのを感じる。

やがて、震動センサーがあり得ない方からの反応をキャッチする。
「少佐!壁の向こうに大規模な震動を感知しました!BETAと思われます!」
「この広間に横杭は無いからな。後方の警戒を厳にしろ!」

――――とその時、右側面の壁が突然崩れて、大量のBETAが湧き出してきた。
「クソッ伏兵か?!全機応戦しつつ左の壁面へ向かえ!」
「うわー!来るな――!!」「ひぁーっ剥がしてくれー!!」3機ほどのF-16が湧き出してきたBETAの至近にいた為、回避が間に合わず多数の戦車級に取りつかれ、手当り次第に装甲を齧られる。

そしてその3機は戦車級を振り切る為、手当り次第に突撃砲を乱射、4機ほどのF-4とF-16が避け損ねて被弾、機能低下または停止して落下する。

そしてその4機にも戦車級が群がる。
「やめろ、乱射するんじゃない!味方機に当たってるんだぞ!撃つのを止めるんだ!」
彼らの直属の中隊長機から必死の射撃制止命令が発せられるが、自らが捕食される寸前の状態でパニックを起こしている為、全く効果は無かった。

「ッ!もう間に合わん。・・・・・彼らを生きたままやつらに食わせたくなければ、情けをかけてやれ!」
少佐が非情ともとれる命令を発したが、間に合わない以上今取れる方策としては一番である。「「「「!!!!!」」」」各中隊長は一瞬苦渋の表情を浮かべた後、120㎜砲を戦車級に集られて悲鳴を上げながら齧られている3機のF-16へ撃ち込むように命令する。

――――命中とともに、集っていたBETAもろとも機体が爆散する。
「・・・・・・・・・・・・・・・」何人かの中隊長が呆然としている。
「貴官らは彼らを救ったのだ。何も罪に思う事はない!そして命令を下したのは私だ!いいな?では各機急げ!」指揮官である中佐がフォローを入れる。

そうして他の各機が突撃砲でBETAの接近を防ぎながら、進行方向左側の壁面へ向かう。
半数がたどり着いたところで、前方でも横杭が開き、BETAが湧き出してきた。

「!!前方左右からBETA群接近!推定数3万!・・・・・後方からも1万程来ます!」
「むう、全機空中へ一時退避!」
「あまり上昇すると危険です!側面のBETA群はハイヴの壁をよじ登って上からも降って来ています!」
「左翼偽装孔からもどんどん湧き出ています!現在の推定数旅団規模!」
「・・・・・やむを得ん!一時後退だ!後方のBETA群中央を集中攻撃して退路を確保しろ!」
部隊長は近づこうとする要撃級や戦車級を突撃砲で攻撃しなら叫ぶ。 
 

 
後書き
さて、この突入部隊はどうなるのか・・・・。 
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