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ハイスクールD×D 雷帝への道程

作者:ユキアン
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覚醒はいつも唐突に来るけど、それを支える土台があってこそ

 
前書き
サガシリーズのひらめきシステムのようにころころ戦闘中に覚醒しているイメージしかないHSDD
ドレスブレイク以外に事前に構想を練って開発したものって何かあったっけ? 

 



なんだか、イッセーの様子がおかしいな?もしかして夢渡に失敗してたか?

「イッセー、体調が悪いなら休んでいても構わないぞ」

「うぇっ!?だ、大丈夫だよ?」

「いや、どう見ても大丈夫に見えないぞ。熱でもあるのか」

額同士を当てて熱を計ってみるが、かなり熱い。39.2度といったところか。

「熱があるなら早く言え」

イッセーを横抱きにしてイッセーに振り分けている部屋まで運ぶ。

「大人しくしてろ。今、薬とかを用意してくる」

イッセーをベッドに寝かせてから部屋を出て薬とタオルと氷嚢とスポーツドリンクを用意する。部屋に戻ろうとしたところでリアスがやってくる。

「ゼオン、イッセーの看病は私がやるから皆をお願いできるかしら」

「うん?」

「女性同士のほうが問題が少なくていいでしょう」

なるほど、確かにそうだな。

「分かった。だが、これだけは運ばせてもらおう」

用意した物を持ってリアスとともにイッセーの部屋に向かい、荷物をおいてから地下へと引き返す。








ゼオンが部屋を出て気配が遠ざかったところでイッセーに話しかける。

「本気で惚れちゃったんでしょ」

私の言葉にイッセーの顔が真っ赤になる。

「イッセーも私達の中に来る?」

「あぅ、その、いいんですか?」

「いいわよ。それにゼオンの周りに人が増えるのはゼオン自身も無意識に望んでいるの」

「無意識にですか?」

「ゼオンは昔から人付き合いが苦手でね、お客さん相手になら問題ないんだけど、それ以外とは家のことがあって距離を置くことが多いの。自分の悪い噂に翻弄されている相手やその周りが傷つけられないように。だから、寂しい人生を送ってきているの。黒歌や白音の問題の件でそれが余計に顕著になったしね。だけど、その分一度懐に入った者を全力で守ろうとするの。朱乃もちょっと家族のことで問題を抱えていたんだけど、ゼオンがそれを強引に何とかしたりね。それで家族の問題は解決したんだけど、それをちょっと離れたところで寂しそうにしてたり」

「あのいつも笑顔のゼオンが?」

「まだそこまで分からないと思うけど、あれは仮面よ。本当の笑顔は滅多に見せないわ。見れたとしても夢だったと思うわ。私も両手の指で数え切れる位しか見たことがないわ。黒歌と白音は泣いている所を2回だったかしら。優しくて我慢強い人だから、どうしても溜め込んじゃうの。だから、ちょっとだけでも気が抜けるなら周りに女の子が増えてもいいの」

「部長」

「イッセー、ゼオンは鈍感だから真正面から思いをぶつけなさい。タイミングは貴女に任せるわ。ゼオンの周りにいる皆は貴女を歓迎するわ」

「ええっと、ありがとうございます?」

疑問形でこたえるけど、まあ、普通は歓迎されるとは思わないわよね。だけど、それでも良いと思うのよ。私たちはゼオンに色々な物を貰ったから。少しでもお返しが出来れば、気を抜ける時間を増やせたら、そう思うのよ。






部長には歓迎するって言われたけど、誰かに本気で惚れるなんてこと今まで経験したことがない私としては告白する勇気が出なくてずるずると引っ張ってしまっている。それでも先日のように体調不良だとは思われない程度には平静を装えている。まさかおでこ同士を合わせる熱の計られ方をするなんて思っても見なかったし、お姫様抱っこまでされるなんて。女として半分は終わってると思ってたけど、存外乙女だったようだ。思い出すだけで顔面が真っ赤になる。

「イッセー先輩、また足元がお留守ですよ」

考え事をしていた所を白音ちゃんに足払いをかけられて転んでしまう。そのまま転がり続けて距離と勢いをつけてから飛び起きる。

「リカバリーはよくなりましたね」

「そりゃあ、何回も転ばされてるからね」

「それだけ足元がお留守なんですよ。ほら」

「いや、明らかに力づくじゃん!!」

「技も加えると手加減が聞かなくて足を折っちゃいますよ?」

「力づくで結構です」

アーシアも患部に直接触れることの出来ない骨折を治すのは時間がかかる。速く治療するには肉を抉って直接聖母の微笑の力を当てなければならない。ゼオンの治療の場合は小さいピンク色の剣を患部に突き刺す。突き刺した付近しか治療できないので必然的に患部を触らせることになるんだけど、足となるとゼオンが目の前に膝まつくことになる。それも足に触れることにもなる。少し前ならラッキー程度に思えていたんだろうけど、今の私には平常心ではいられない。乙女回路をオフにするスイッチってないかな?藍華にも笑われて、心配されるぐらいに強力な乙女回路が搭載されてるなんて自分でも知らなかったよ。

「それにしても、もう一週間も経つけど、まだ動かなくていいのかな?」

「ゼオンお兄ちゃんが言うには、相手は構ってちゃんだから、無視してればちょっかいを絶対かけてくるって。それに街には式髪を数百体放って監視してるからいきなり詰みになるような状況にはならないとも」

「本当に多彩なんだね」

「変わり者の知り合いが多いですから。一緒に暮らしていた時は、種族の違いなんてちっぽけなことなんだって肌で感じましたから。言葉が違っても、思いさえ伝われば手を取り合うことはできる。うまい酒と飯があれば大概の奴とは仲良くなれるって言ってますよ。自分でうまい飯を作りながら、うまい酒を持ってこさせて」

「なんか、自由だよね」

「基本的に悪魔のプライベートって自由ですよ。仕事は仕事、遊びは遊び、仕事で遊べれば一番いいな~、って感じです。セラフォルー・レヴィアタン様とか、その代表格です」

「えっと、セラフォルー・レヴィアタン様って魔王様だよね?その人が代表格って」

「会えばわかりますよ、会えば。と言うか、魔王様方全員がプライベートはひどいですよ」

「聞きたくなかったそんなこと!!」

「妖怪、特に鬼と比べれば大したことないですって。そう言えば姉様から手紙が来てましたよ。お兄ちゃんの傍に居たいならちゃんと正面から思いを告げてからじゃないと邪魔するって」

「う~ん、やっぱりその感覚がわからないや。本当に良いの?」

「三つ子の魂百までって言うじゃないですか。お兄ちゃん、一人でいるのが当たり前って考えてる時があるんです。放って置いたら屋台をやるだけの機械みたいになりますよ」

「そんなこと」

「ありえないなんてことはありません。お兄ちゃん、昔に比べて心が弱ってます。レーティングゲームのランキングが上がれば上がるだけ、強いはぐれを倒せば倒すだけやっかみや誹謗中傷が増えていくんです。お兄ちゃんは気にしていないなんて言っていますけど、本人が気づいていないだけでドンドン弱っているんです。だから、周りで支えてあげられる、気を抜ける相手を増やしてあげたいんです。いつか心が折れて倒れそうなときに支えてあげれるように」

「ゼオンの心が折れる?そんなことあり得るの?」

「これ以上はお兄ちゃんにちゃんと思いを告げてからです。デリケートな話なので。お兄ちゃんの弱点と言ってもいいです」

その弱点を聞き返そうとしたところで大きな爆発音が聞こえてきた。音だけで振動が一切ないのでなんか変な感じだ。

「ふむ、どうやら癇癪を起こしたみたいだな。挑発してくるから、その間に戦闘準備を整えろ」

ゼオンが挑発を兼ねるためかエプロン姿で階段を上がっていく。ゼオンは戦う時は必ず白いスーツにマントを羽織るのが裏の世界では常識なのだそうだ。たとえ相手が私達のような新人相手の訓練でもだ。それなのに態々エプロン姿で行くということは敵や訓練相手とすら見ていないということだ。これは怒るだろうな。案の定というべきか爆発音が聞こえてくるけど、それ以外は何もない。ゼオンが用意してくれたポーションとエーテルで回復し、着替えて戦闘準備が終わる頃にゼオンが降りてくる。

「さて、これから闘争の時間だ。敵の数は上級堕天使が一人にエクスカリバーを持つはぐれのエクソシストが一人、そして戦闘力を持たない神父が一人だ。まあ、多少の魔獣を使ってくる可能性もあるが皆の力なら問題ないだろう。基本的にオレとデュリオは手を出さない。だが、いざという時は動く。だから、第一目標は死ぬな。第二目標がコカビエルの首だ。そしてはぐれのエクソシストと神父は木場、お前が斬れ。今のお前なら負けることはないだろうが、一つ課題を出す」

「課題ですか?」

「そうだ。対象の二人と対話を行え。意味がわからないかもしれないが、それがお前を剣士として一歩先に踏み出させる」

「……分かりました」

「皆もエクソシストの相手をする必要はない」

「「「はい」」」

「任せた以上、しくじるなよ」

「はい!!」

「各自自分の役割を果たせ。そうすれば十分勝てる。10分後にでる。会場は駒王学園だ」

10分後に外に出てみるとゼオンがシュナイダーに跨り、マントを大きく広げていた。

「転移では万一の場合の奇襲が怖いからな。シュナイダーに引っ張ってもらう。マントの上に乗れ。変形させて固定するし、風はこっちで防ぐ」

「噂に聞く雷帝の揺り籠か。こんな機会じゃないと乗ったりできなかったな」

デュリオさんがちょっと嬉しそうにマントに乗る。

「雷帝の揺り籠?」

「ああ、悪魔達の間じゃ通じないんだっけ?その名の通り赤ん坊を守るように、雷帝を包みて守りし揺り籠。それからそれを本当に揺り籠として使った子供達は大成するって噂もあったっけ」

「こいつを揺り籠として使ったのなんて少ないがな。まあ、白音や黒歌、妖怪が何人かといったところか。いや、オレ自身もか」

ゼオンが苦笑をしながらも手招きでマントに乗るように促す。皆普通に乗る中、イリナとゼノヴィアだけはおっかなびっくりしながら乗る。それを見て面白そうにマントを揺らめかせて遊んでいるゼオンを見て、白音ちゃんの話が本当なのかどうか怪しくなる。

「さて、それじゃあ行くか。シュナイダー、エクセリオ・シュドルク、フェイ・シュドルク!!」

シュナイダーの身体が一回り大きくなり、角と鎧が生成され、空を駆ける。かなりの速度で走っているのに風を感じることもなくあっという間に学園まで到着した。そして、向こうが気づくよりも速く、シュナイダーの角がコカビエルの翼を根本から刺し貫いてもぎ取る。

「今のはサービスだ。所詮はシュナイダーにすら劣る力しか持たない堕天使だ。臆することはない」

そう言ってからゆっくりと高度を下げてくれる。

「シュナイダーにすら反応できない時点でオレと戦う死角などない。よくその程度の力量で戦争を起こそうなどと考えたものだ。上位ランカーのエースに劣るぞ」

「糞が!!よくもオレの翼を!!」

「過去の遺物の時代は終わったんだよ。それが分からないから、その程度の力しか持っていないんだよ。オレとシュナイダーとデュリオが手を出すまでもない」

「舐めるな!!来い、ケルベロス共!!」

工程に巨大な魔法陣が現れ、そこから何匹ものケルベロスが姿を現す。

「20匹か。とりあえず10匹はオレが貰うぞ」

「私は5匹もらいます。残りは頑張ってください。時間さえ稼いでくれれば助けに行きますんで」

そう言ってハムリオさんが首に掛けていたシルバーのドクロを槍に変化させ、白音ちゃんが拳を握って走り出す。

「こっちも遅れずに行くわよ!!二匹は抑えておくから、その間に朱乃とイッセーでなんとか一匹を仕留めて!!」

「イリナ、一匹を抑えてろ。すぐに片付ける!!」

こうしている間に木場君はそっと場を離れて聖なる気が感じられる方へと向かう。









「フリード、エクスカリバーの統合にはまだ時間がかかる!!なんとしても止めろ!!」

「分かってまさぁ!!」

フリードと呼ばれたエクソシストが量産品の光剣で斬りかかろうとしてくるのを手を上げて制す。

「君達のことは僕に全て任されている。僕の話に付き合うのなら、手を出さない」

フリードが踏みとどまり、バルパーの命令を待つ。量産品の光剣では不利なことをちゃんと理解していて、エクスカリバーの統合を待つほうが良いと最初から考えていたな。

「何の話に付き合えと?」

どうやら対話を選んでくれたようだ。だから、昔の名前を、教会に所属していた頃の名前を告げる。

「僕の昔の名前はイザイヤ。この名に聞き覚えはあるかい?」

「イザイヤ?ああ、あの時逃げ出した奴か。悪魔になって生き延びていたのか」

「そうさ。貴方が失敗作だと切り捨てた実験体さ!!」

落ち着け。頭を冷やせ。爆発させるのは攻撃の一瞬だけだ。それまでは押さえつけて力を貯めるんだ。

「追放されたのは聞いていたけど、まだ生きていたんだね。おかげで敵が討てる。詐欺師に相応しく夢を破って殺してあげる」

そのために真正面からエクスカリバーを叩き折る。欲を言えば7本全て統合した物を折りたいのだけど、そこまでは欲張り過ぎかな。

「私の夢を破るなど不可能だ。私はね、子供の頃から聖剣に惚れ込んでいた。聖剣を手に悪を切り捨てるのを何度夢見たことか。だが、私に聖剣を扱うことは、ましてや量産型の光剣すら扱えなかった。その時のショックがどれほどのものか貴様に分かるか!!だが、私は諦めなかった。どうにかして聖剣を扱う方法を見つけ出そうと」

「あの計画を立てた。低ランクの聖剣なら扱える子供を集め、ランクの高い聖剣を扱えるようにする訓練を施す計画を」

「そうだ。だが結果は知っての通り。どうすることもできなかった。そんな時に天啓が降りたのだよ。街に居た子供が読んでいた日本のコミックに答えがあったのだよ。多くのものから少しずつ力を抜き出して一つにする。つまりは聖剣の扱うのに必要な因子を抜き出して一つにまとめ、誰かに移植する。聖剣を扱う因子を抜き出すのには死んでいる方が楽でね。無論、生きたままでも問題はないが激しい苦痛に見舞われる。その為に慈悲の心を持って君達には贄になってもらったのだよ」

「慈悲の心だって?」

「そうさ。私だって協力してくれた者達に苦しんでほしくはなかった。だから高価な即効性の致死毒ガスを使ったのだよ。それを慈悲と言わずに何と言う」

その言葉に愕然とした。バルパーは悪びれてもいない。本心から殺したことを悪く思っていない。まるで子供が虫をバラバラにするような、そんな感覚で僕達を殺した。これは純粋さがもたらした邪悪。悪意に敏感なはずの子供だった僕達が不審に思わなかった、むしろ仲間だとすら感じていた理由。そしてその邪悪をフリードからも感じる。

「フリード、君は何のために剣を取る」

「ああん?そんなの楽しいからに決まってるでしょうが。不浄で邪魔で堕落した存在、それに頼るクズ、み~んな纏めて斬ってバラして解体して、そ~んな楽しいことを好きにやっていいって言われたから面倒なお祈りとかやってたってのに、やりすぎだなんだで、エクソシストの資格(おもちゃ)を剥奪するなんて言うから、バラバラにしてやったのよ。そうしたら獲物(おもちゃ)が増えてハッピーなことになってるんですよ。そんでもってバルパーの爺さんから新しい聖剣(おもちゃ)をくれるって言うからきてやったんですよ」

やはりフリードも同じだった。こんな邪悪がこの世に存在していたなんて。ゼオンはこれを知っていた?

「時間だ。4本のエクスカリバーが一つになる」

魔法陣の中でエクスカリバーが一つになり、それをフリードが握る。エクスカリバーに、皆の敵であるバルパーの目の前に立っているのに、もう怒りが湧いてこない。ただ、ここで邪悪を絶つことしか心にはなかった。

「フリードよ、慈悲の心で苦しまぬように葬ってやれ」

「あいよ。へへへ、パワーアップしたエクスカリバーの試し切りだ!!」

フリードが走り出すと同時に、魔剣創造で頑丈な剣を作り出して、正面から切りかかってきたフリードのエクスカリバーを受け止める。

「これぐらいはやってもらわないとな。それじゃあ、ここからがエクスカリバーの力だ!!」

フリードが先程よりも速いスピードで離れ、姿が消える。そして背後から切りかかってくるのを振り返らずに剣で防ぐ。防がれたことに驚いているうちに振り返り、更に連撃を弾いていく。また距離を離して、今度は跳躍して切りかかってくるのに合わせて、剣に闘気を集中させる。本当の邪悪を理解した僕にならできるはずの技を放つ。

「アバン流刀殺法、空裂斬!!」

剣を振り抜いて飛んでいった闘気がフリードの心臓を的確に貫き、姿を表して地面に落ちる。

「出来た、空裂斬が」

これで地を斬り、海を斬り、空を斬り、全てを斬り裂く最強剣技が完璧に使える。

「バルパー神父、もう終わりだ」

「ま、まだだ、こんな所で私の夢が潰えるはずがない!!」

バルパーがフリードの死体に駆け寄り、その死体に腕を突き刺して宝石らしきものを取り出す。おそらくはあれが聖剣を扱うために必要な因子を抽出した物なのだろう。たぶん、僕と一緒にいた皆の物だ。それをバルパーは自分の体内に取り込みエクスカリバーを構える。以外にも構えが様になっている。聖剣を振るう自分を夢見ていたのは本当なのだろう。だけど、そのために多くのものを死に追いやったのは許されることではない。今日ここで、全てに決着をつける。剣を逆手に握り、腰を捻って落として構える。大地斬、海波斬、空裂斬の全てを同時に放つ準備をする。

「エクスカリバーの錆になれ!!」

「今までの僕の人生の全てをこの一撃に!!アバン流刀殺法、アバンストラッシュ!!」

全身毎バルパーに突っ込み、放ったアバンストラッシュはエクスカリバーを叩き切り、バルパーの身体も真っ二つにする。

「こんな、はず、では」

崩れ落ちたバルパーから聖剣を扱うために必要な因子の結晶が転がり出たそれを拾い上げる。

「皆、全部終わったよ。皆が逃してくれた僕はここまで強くなれた。あとは、ゼオンに仕返しをしてやらないとね。これからは傍で見守っていて」

コカビエルたちの方を見ると、ちょうどケルベロスよりも大量に呼び出されたオルトロスが呼び出されていたところだ。

「禁手化、炎精傭兵団!!」

炎精傭兵団と共に駆け出す。もう剣に迷いはない。








ケルベロスを相手に日本刀の形に固定した擬態の聖剣で対峙する。牽制として自分で鍛冶を行って作った小刀を投げつけたり、目や前足の腱を狙って擬態の聖剣を振るう。時間さえ稼げばゼノヴィアがすぐに駆けつけてくれると思っていた。だから、背後から迫るそれに気が付かず、転ばされて擬態の聖剣を手放してしまう。獣の唸り声から誰かが相手をしていたケルベロスがこっちに来たのかと思ったけど、すぐに立ち上がって背後を確認するとケルベロスに似ているけど、頭が一つ足りないオルトロスが何匹も現れていた。そして、一斉に飛びかかろうとした瞬間、銀の槍が投擲され、一匹を仕留めた。

「ぼさっとしてんじゃねえ!!今のお前を見たらレイナのやつが呆れるぞ!!」

声がした方に振り向けば、素手でケルベロスとオルトロスを相手にするハムリオが叫んでいた。

「そいつはレイナの聖銀と、オレの魔銀が混ざった紲の銀。今だけは貸してやる。だから戦え!!最低でも生き残れ!!レイナが悲しむぞ!!」

レイナお姉さまから聞いたことがある。本当に互いを思いやる二人の銀術士がいて初めて使える無属性魔法に近い銀術唯一の攻撃魔法。それが紲の銀。そしてその魔力に触れた銀が普通の銀でも聖銀でも魔銀でもない全く別の銀となるって。昔はそれが銀術士の結婚の証だったそうだけど、それをレイナお姉さまがハムリオと作っていた。本当に二人は愛し合っていたんだ。何かが違えば、お姉さまは死なずに済んだのに。お姉さまは変わることを心から望んだんですね。

「認めたくない。認めたくないけど、紲の銀を見せられちゃったら、認めるしかないじゃない!!」

オルトロスから紲の銀で出来た槍を引き抜いて構える。握ってわかった、今でもお姉様はハムリオの傍にいるんだって。そして今は私にも力を貸してくれている。僅かな力で簡単に銀を操れる。精度も以前の私とは比較にならない。そうしているうちに炎で出来た戦士たちがオルトロスとケルベロスに襲いかかる。その隙きをついてハムリオが傍までやってくる。

「ほれ、拾ってきてやったぞ」

そう言って擬態の聖剣を投げ渡してきた。擬態の聖剣を持っていた左手が聖なる気にやられてボロボロになっている。

「ちょっと、それ!?」

「なあに、握り込めば見えやしねえ。それより、ようやく銀術をまともに使えるようになったか。これでレイナからの贈り物が渡せる」

「贈り物?」

「どうやって渡そうか悩んでいたみたいだが、その後に殺されちまったからな。受け取れ」

魔法陣から現れるのは聖銀で出来た等身大の勇者と魔王の人形が現れる。

「これ、オストリッチとペレグリン」

「そうだよ。お前のために用意した物だ。どう使うかはお前に任せる」

お姉さまが私のために残してくれたもの。形見として持っているオストリッチではなく、私のために作ってくれた勇者と魔王。

「行こう、イーベル、クレスティア」

勇者の人形にイーベル、魔王の人形にクレスティアと名付け、いつも持ち歩いている銀を操り糸としてイーベルとクレスティアに取り付ける。これから始まるのは人形劇。観客はこの場にいる皆さん方、お代は獣たちの命。人形師レイナが一番弟子の初の殺戮劇。勇者と魔王のアンサンブルを。

「やって、イーベル、クレスティア」

私の操作を受けてイーベルが剣を、クレスティアが槍を持ってオルトロスに襲いかかる。次々とオルトロスたちが倒れて行く中、いつの間にかもがれた翼が再び生えていたコカビエルがイーベルに繋がっていた銀を切り落とす。それと同時にイーベルの動きが止まる。それで倒せたのだと思いクレスティアに襲いかかろうとしたところでイーベルで首を刎ねる。

「銀の遠隔操作か。中々器用なことをするもんだ」

「師匠が、良かったから」

無防備になっている私を守るようにハムリオが傍で紲の銀の槍を振るっている。コカビエルが死んだことでオルトロスの増援がなくなり、そのまま全滅する。コカビエルはいつのまにか1枚の羽を残して消え去っていた。何が目的だったのかはわからないけど、何も成せずに散ったのだけは分かる。これで今回の事件は終わった。もう、ハムリオ達との縁も切れるだろう。だから、その前に

「お姉様のお墓って、何処にあるの?」

「冥界の絶対凍土の山奥に、いつまでも綺麗なままでいられるように氷漬けにしてある。墓参りに行きたいなら、ちょっと裏道を使って案内してやる。多少、ゼオンに迷惑がかかるかもしれないが、それぐらいは笑って許しくれるさ」

「ありがとう」

 
 

 
後書き
久しぶりすぎて書き方が......
あと、イッセーがヒロイン街道を驀進しそう。リアスがメインヒロインだったはずなのに。いや、ヒロインだったっけ? 
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