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HUNTER×HUNTER 六つの食作法

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006話

「狩りか…久しぶりだから気をつけないとな……殺さないように」

開始された第4次試験、ゼブル島でのサバイバルバトル。他の参加者のナンバープレートを奪い合計6点分とし1週間それを保持すれば合格となる試験。シャネルの対象は198番、それが一体誰なのかは覚えていないが最悪の場合は出会う受験者を片っ端から狩って行きそれで6点分回収すれば済む話だ。

「さてと……やりますか、円!」

高い木の頂上から島全体を見張らすシャネル、遠くまで良く見えるが全員が慎重に行動しているのか視認は出来ない。流石にこれでは探しにくい、中には匂いも消している用意周到な者もいる、自分の鼻がいいといっても臭いが消されていては意味が無い。その対策としてシャネルは念能力の応用技である"円"を発動する。

「俺の円の範囲は約50m強、成長してるから大体55って所か……」

"円"。念能力の基本技を応用した技術の一つであり、数ミリから数センチの間隔で纏っているオーラを必要な間隔まで広げる技術。円の内部にはあるもの全ては肌で感じ取れるかのように認知出来るため索敵面で非常に重宝される技術。

「(取りあえずこの周囲には居ねぇな……移動してみっか)」

跳躍し木の上から上へと飛び移っていく、その間にも円によってその周囲の状況がオーラを通じて伝わってくる。木の葉が落ちた枚数、風にそよいだ植物の位置、動いた生き物の動きや場所が認識できる。最初のうちは慣れなかった、本来認識出来ない筈の広範囲の物を触って見ているかのようなこの状態に。使って見て十数秒でぶっ倒れたのを覚えている。だが二年という修行、毎日毎日少しずつ慣らすように円を使って慣らして行った結果今では55mほどの範囲まで円を拡大する事が出来るようになった。

「(……んっ)」

円に反応、人間が4人、いや5人。一人は巧妙に隠れているが円にはしっかりと引っかかっている。例え気配を消していたとしても探知出来る、これが円最大の利点とも言える。良く確認して見ると一人はキルアである事が解った、ここで姿を現して合流してみるのも悪くない。何より第3次試験の文句が言える。そう思うと直ぐに木の上から降りる、そこにはキルアが一人の男で何かを投げ終わったかのような体勢でいた。その前にプレートが飛んで行き円の範囲外へ消えていくのと同時にもう一人の人間が一方のプレートへ向かっていくのを感じる。

「よっキルア」
「シャネルじゃん、どうした」
「いや纏まった気配を感じてきて見たらこの光景だったってだけ、つうか今投げたのプレートだよな」
「ああ、俺のターゲットじゃない奴2枚投げたぜ。197と198」

シャネルは思わずアチャーと言葉を漏らした、自分の目的のプレートがどこかに飛んで行ってしまったのだから。

「ああそれなら大丈夫、投げる寸前に投げるの入れ替えたから。もう一方の取りに行ってそれをトレード擂ればいいと思うぜ」
「それナイスアイデアだな、キルアどうせなら俺と組まないか?1週間過ごすのに一人じゃ暇だろ」
「ああいいぜ、その代わり六式の話し聞かせてもらうぜ」
「やれやれ天才に授業するはめになるとはね」

二人は同時に地面を蹴ってその場を離れつつもう一つのプレートの捜索に向かう、キルアが投げた方向に向かいつつ円を展開してプレートを探す。どうやら木にいい感じに木に引っかかっていた為プレートはあっさり見つかった。そしてすぐさま反対方向へと向かって見ると、プレートを持ったまま地面に手をついて項垂れているハゲの頭の忍者、ハンゾーを発見する。

「おいそこのアンタ、198番のプレート持ってないか?」
「アン……確かに持ってるが……ってさっきの小僧!?」
「やっぱり居たんだな。結構バレバレだったぜ」
「ンガァ……」

落ち込んでいる所へプライドを抉る一撃が炸裂し更に色が白くなるように落ち込んでいく。

「あ~……お前のターゲットは197か?それだったら今俺が持ってる197とその198を交換してくれないか」
「マジかっ!!?するする!!」

一気に顔色が回復したハンゾーは早速トレードに従った、シャネルも少々ハンゾーのテンションに引きつつもトレードを実施する。互いが得をする事、断る理由も無い。互いにしっかりと番号を見せ合った上でトレードをし完了する、これでこの場の3人の持ち点は6点、合格するのに十分な点となった。

「おっしゃああこれで後はこれを守りきるだけだぜ!!んじゃ有難うな感謝するぜ、しかぁしそこの小僧には礼は言わせねえぜ!!」

大笑いをしながら素早い身のこなしで去っていくハンゾー、しかし騒がしい。あれで本当に忍者が務まるのか甚だ疑問である。

「さてと、俺達も適当な所で隠れつつ時間過ぎるの待つか」
「おっと六式の話を忘れてもらっちゃ困るぜ」
「ちっ………っておいキルアまさか一週間で残りの六式覚えようとか言わねえよな」
「ニヒ☆」

小悪魔のような笑みを浮かべる一周り年下の少年に軽い頭痛を覚えつつ一目に付きそうに無い場所に移動するのであった。


「う~ん……らぁっ!!」

第4次試験開始から7日。試験終了となる日がやってきた。シャネルとキルアは共に行動しつつ場所を変えながら六式の訓練に明け暮れていた。流石のキルアでも他の六式は中々体得出来ずに苦戦していた、剃は辛うじて擬似的なものは出来掛けているが本物と比べると程遠いもの。現在は嵐脚の練習を行っているが出来て精々キレの良いキックにしかなっていなかった。

「ぁぁ~ムッズ、六式ムッズ!!指銃は簡単に出来たのに何でだよ!」
「否寧ろ指銃が一番難しいんだが……」

六式の中でも習得難易度が高いのが指銃、それを簡単に出来てしまっているキルア。出来た理由は彼は手の形をナイフよりも切れる形へと変えているからだと思われる。その状態は手の筋肉も通常よりもかなり硬くなっており指銃が凄まじくやり易い形態と成っているから。

「剃とかから鍛えた方が良いと思うぞ、嵐脚は要するに超高速の蹴りによる衝撃波だからちゃんとした剃を使えるようになれば嵐脚もやりやすくなると思うぞ」
「やっぱりか……でもな~んか剃のコツが解らないんだよな」
「一瞬の内に全力ダッシュ、これに尽きるからなコツ」
「それコツじゃねぇだろ最早精神論に近い何かだぞ」

実際そうなんだからしょうがない、瞬時に地面を10回以上蹴り、瞬発的に加速する。原理は極めて単純な物でコツも一瞬の内に全力ダッシュの他無い。これを何度も繰り返すしか無い。シャネル(自分)だってそうやって完全に会得したんだからしょうがない。そんな事を話しあっていると船の音と大きなアナウンスの音が耳に入ってくる、遂に4次試験終了の時間。1時間以内に戻って来いという物だ。

「時間か、行くぞキルア。帰りまで剃な、そうすれば対処マシになるだろ、んじゃスタート!!」
「あっちょっと待てよずりぃぞ!!」

剃で一気に加速してもう見えなくなりかけているシャネルを追いかけるようにキルアも同じく剃で追いかけるがレベルの差のせいか付いていくのがやっとだった。到着しプレートを見せ合格を確約させるとゴンたちが来るまで再び六式に付いて話し合うのであった。 
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