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聖闘士星矢 黄金の若き戦士達

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292部分:第四十話 揺れる大地その四


第四十話 揺れる大地その四

「食わないともうな」
「身体がもたないんだよな」
「少なくともその分身体を動かせば問題はない」
 アルデバランはどちらかというと青銅の者達を擁護していた。
「その分はな」
「ええ、動いてますよそれは」
「ちゃんと」
 彼等はそれについてはにこりと笑って答えることができた。
「やっぱりね。そうしないと」
「いざって時に動けませんからね」
「それがわかっていればいい」
 やはりアルデバランは彼等を擁護していた。
「それでな」
「じゃあ今夜も」
「もう派手に飲み食いして」
「楽しくやるか」
「だよなあ」
「全く」
 モーゼスはそんな彼等の声を呆れた顔で聞いていた。
「よくこんなことで聖闘士が務まるものだ」
「まあそう言うな」
 その彼にアルゲティが告げるのだった。
「この連中はこの連中で真面目にやっているのだからな」
「だからか。大目に見るということか」
「この程度はな。そうするべきだな」
 こう言ってモーゼスを宥めるのだった。その日彼等は街に入りそのうえで酒場に繰り出した。イスラム圏であったが酒場があったのだった。
「あれっ、イスラムなのにな」
「こんな店があるのかよ」
「何かすげえ場違いだな」
 青銅の者達はその酒場に入っても怪訝な顔で見回していた。そこは少し古い石造りの店であり椅子やテーブルは木であった。店の中にはもう大勢の客達がいてそのうえでがやがやと酒を飲み肴を食ってそれぞれ楽しく遊んでいるのであった。
「けれど何か自然に皆な」
「楽しくやってるよな」
「何でだ?」
「それは国による」
 アルデバランがその彼等に話した。
「国によるのだ」
「酒を飲んでもいいかっていうのは」
「そうなんですか?」
「そうだ。このイラクは比較的そうしたことには緩やかだ」
 このことも話すのだった。
「女性の権利拡大にも熱心だしな」
「へえ、独裁政権でもですか」
「それでもですか」
 彼等もこの国のことは知っていた。イラクは所謂独裁政権であったのだ。しかしそれでもそうした一面もまた実際にあるのであった。
「意外ですね」
「緩やかな部分もあるんですね」
「色々と理由があるにはあるがな」
 また言うアルデバランだった。
「それでもだ。実際に酒場が存在しているのは事実だ」
「そういうことですか」
「だからなんですか」
「その通りだ。それではな」
「ええ、堅苦しい話はこれ位にして」
「一杯やりますか」
「そうだよな」
「一杯ではないな」
 ここでまたしてもモーゼスが彼等に言った。私服姿ではあるがその大柄な身体と隻眼により嫌が否でも目立つ姿をそこに見せていた。
 周りもその彼に注目している。しかし彼はそれに構うことなく言うのであった。
「それはな」
「一杯ではないと」
「それは一体どういう意味かな」
「とぼけても無駄だ」
 今のモーゼスの言葉は中々鋭く手厳しいものがあった。
 
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