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聖闘士星矢 黄金の若き戦士達

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286部分:第三十九話 炎の魔神達その九


第三十九話 炎の魔神達その九

「それだけのものはあるな」
「うむ」
 このことも確かめ合うのだった。
「あれだけの小宇宙を出しているとは」
「まさに神の小宇宙だ」
 それもはっきりと感じ取っていた彼等であった。エリスの小宇宙は実体でなくともそこに圧倒的な、まさに神のそれをはっきりと見せていたのである。
「果たして。勝てるというのか」
「神に」
「人が神に勝つだと?」
 エリスは彼等の言葉を聞いて冷然とした笑みを浮かべてみせてきた。
「戯言を」
「戯言だというのか」
「それが戯言でなくて何という」
 またアルデバランにも返すのだった。
「人が神に勝つとはな」
「確かにな。人の力は神のそれに劣る」
 アルデバランもそれは認めるのだった。
「しかしだ」
「しかし。何だというのだ」
「人には心がある」
 彼は言うのだった。
「心がな。それを覚えておくことだ」
「心があれば何だというのだ」
 エリスはその言葉を受けても平然としていた。やはり余裕に満ちた、相手を見下す笑みを浮かべてアルデバランを見下ろしていたのである。
 そしてそのうえで。また言うのだった。
「それだけで神に比肩するというのか」
「比肩ではない」
 アルデバランはそれは否定する。
「倒すのだ」
「倒すというのか」
「そうだ」
 彼が言うのはそれであった。
「まつろわぬ神ならば倒す。それは覚えておくことだ」
「感謝するがいい。忘れておく」
 だがエリスはこう彼に返すだけだった。その笑みで。
「その無礼はな」
「無礼か」
「私は慈悲深い」
 余裕はまさに彼女が神だからであった。だからこそアルデバラン達をたかが人間と見ている。だからこそ余裕に満ちているのであった。
「だからだ。忘れておくのだ」
「それもいいだろう」
 そしてアルデバランもその余裕を受けて言った。
「しかしだ」
「ふむ。まだ何か言いたいのか」
「その余裕が時として油断を生む」
 彼が言うのはこういうことだった。
「それは覚えておくことだな」
「安心することだな。それも忘れておく」
 やはりこう返すエリスだった。余裕もそのままだった。
「では。御前達もだ」
「はい、それでは」
「これで」
「私も去ろう」
 エリスもここを去る告げた。
「この場をな」
「それでは。エリス様」
「イラクでの戦いはトラキアでお楽しみ下さい」
「見させてもらうぞ。楽しくな」
 最後にこう告げて姿を消すのだった。そしてすぐに狂闘士達も姿を消すのだった。その時にドーマがアルデバランに対して告げてきた。
「ではな。タウラス」
「うむ」
「次に会ったその時がだ」
「我等が決着を着ける時」
「そういうことだ。いいな」
 こう告げてそうして姿を消すのだった。後には誰も残ってはいなかった。残っているのはアルデバラン達聖闘士達だった。彼等だけであった。
 
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