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人の為に

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第一章

                  人の為に
 ベルファストに住むコーネル=マックポッターはいつも両親にこう言われていた。
「人の為に生きろ」
「人を助けて生きるのよ」
「それが人のあるべき姿だ」
「自分のことよりもよ」
 まずはというのだ。
「人の為に尽くせ」
「そうしないと駄目よ」
「まずは人が困っていたらだね」
 コーネルもだ、アイルランド系でも珍しい紫の目、父譲りのその目を輝かせて言う。髪の毛は白く神秘的な顔立ちをしている。
「助けないと駄目だね」
「困っている人を見捨てるな」
「絶対に助けるのよ」
「人の為だ」
「人の為にいつも何かをするの」
「わかったよ」
 コーネルは両親のその言葉にまた頷いた。
「それじゃあ僕そうして生きるよ」
「よし、絶対にだ」
「そうしなさいよ」
 両親は強く言う、そしてだった。
 コーネルは素直に困っている人はいつも助けボランティアに励んだ、その彼に教会の神父はこうしたことを言った。
「君は素晴らしいね」
「そうですか?」
「いつも皆の為に何かしているね」
「そうしなさいとです」
 コーネルは神父にだ、ボランティアで公園の掃除をしつつ話した。
「お父さんとお母さんに言われたので」
「だからだね」
「はい」
 それが為にというのだ。
「いつもこうしてます」
「働いているんだね」
「人の為に」
「素直だね、けれどね」
「けれど?」
「それが出来る人はね」
 それこそというのだ。
「そうはいないよ」
「そうなんですか」
「だからね」
 神父は大きな眼鏡をかけた顔で言った。
「君は凄いよ」
「凄いんですか、僕は」
「誰かの為に無心に出来ることは」
 それがというのだ。
「凄いよ」
「そうなんですね」
「けれど君はそうは思っていないね」
「はい」
 素直にだ、コーネルは神父に答えた。
「別に」
「それが当然と思っているからこそ」
「お父さんとお母さんに言われたので」
「そうすることが当然とだね」
「言われていますから」
 それでというのだ。
「別にです」
「ううん、けれどね」
「それでもですか」
「それを実行する、実行することがね」
「凄いんですね」
「そう思うよ、それならね」
 神父は笑顔でだ、コーネルに言うのだった。
「君はそれをずっと続けていくんだ」
「これからもですか」
「そう、ずっとね」
「僕が死ぬまでですか」
「そうだね、最後の審判の時までね」
 まさにその時までというのだ。 
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