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聖闘士星矢 黄金の若き戦士達

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250部分:第三十五話 持ち越される決着その四


第三十五話 持ち越される決着その四

「私もまた」
「トラキアで待っておるぞ」
「はっ、ではピスケスよ」
 最後にアフロディーテに顔を向けて述べるのだった。
「また会おう」
「はい。それでは」
 両者は互いを一瞥した。ミシェイルはそれが終わるとそのうえで姿を消したのであった。彼の姿はそのまま霧のように消えていく。これが闘いの終わりを告げた言葉であった。
 エリスの小宇宙も消えていた。残っているのはアフロディーテとサガだけである。二人はそのまま氷の上に立ち続けていた。
「終わりましたね」
「とりあえずはな」
「はい、あくまでとりあえずです」
 アフロディーテはこうサガに言葉を返したのだった。
「この武漢での戦いが終わっただけですから」
「これで三つの戦いが終わった」
 サガは静かに述べた。
「ドイツ、アメリカ、中国でだ」
「そのそれぞれの戦いでお互い黄金聖闘士と八大公を出しています」
 双方切り札を出しているというわけである。これが持つ意味はかなり大きい。
「そして激しい戦いが行われました」
「只それだけなのだろうかな」
 サガはここでこう言った。
「果たして。戦いが行われているだけなのか」
「何かあるというのですね」
「我々の知らない何かがだ」
 サガはまた言った。
「あるのかも知れないな」
「ですがそれを知ることはまだできません」
 アフロディーテはサガに己の言葉を言いはしなかった。こう言うだけであった。
「我々には」
「察したとしてもそれは真実ではないだろう」
「おそらくは。それよりもです」
 アフロディーテはここではサガに顔を向けて述べてきた。
「サガ」
「先程のエリスの言葉か」
「そうです。貴方の顔は一つではない」
 アフロディーテもまたこのことを彼に対して言うのだった。
「そう言っていましたね、確かに」
「確かに私の星座はジェミニだ」
 これはサガが最もわかっていることだ。
「顔は二つだが」
「どういうことでしょうか、それは」
「わからん。だが私自身がわかることか」
 サガも考える顔になっていた。
「他ならぬ私自身が」
「エリスは戯言を言いませんが」
 それもまたわかることだった。何故かというとエリスは己のプライドにかけて言っていたからだ。神にとって誇りとは絶対のものであるからだ。
「ですが惑わすことはあるかと」
「いや、あれは惑わしでもない」
 サガはそのこともまた見抜いているのだった。
「まず間違いなくな」
「では何なのでしょうか」
「やはりわからない。しかしだ」
「それでも戦うしかありませんね」
「その通りだ。中国での戦いは終わった」
 サガはこのことは静かに述べた。
「間違いなくな」
「ではこれで」
「そうだ。白銀に青銅の者達はだ」
「はい、サガ様」
「ここに」
 まずミスティとアルゴルの二人の白銀の者達が前に出て来た。
「そして青銅の者達もまた」
「全員います」
「では安心していいのだな」
「はい、それは御安心下さい」
「我等もまた無事でした」
「ならばいい」
 サガはそれを聞いてまずは安心したように応えたのだった。
「御前達も大変だったな」
「いえ、我等もこれが務めなので」
「全く」
「そうか。それならいいがな」
 それでも彼等への労いも忘れないサガだった。
 
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