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聖闘士星矢 黄金の若き戦士達

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240部分:第三十三話 白薔薇その六


第三十三話 白薔薇その六

「馬鹿な、我等の技を受けてなお」
「薔薇が胸に」
「私の薔薇を散らすことは誰にもできません」
 アフロディーテの言葉は変わらないままであった。
「残念ながら」
「くっ、薔薇が」
「紅に染まっていく」
 ミシェイルの言葉通りであった。まさに。
 白薔薇を染めるのは鮮血であった。五人の鮮血こそがその薔薇を染めていたのであった。
「こういうことだったのか」
「つまり我等の血で」
 彼等は急激の血の気が引いていく顔で述べていった。
「白薔薇を染め上げると」
「そういうことだったのか」
「そうです、その通りです」
 アフロディーテはまた答えたのだった。
「それがこのブラッディローズ。美しき死の薔薇です」
「迂闊だったわ」
 ジュリアは今にも倒れ伏すの中でアフロディーテに述べるのだった。
「貴方のこの白薔薇のことに気付かないで」
「迂闊ではありません」
 しかしアフロディーテはそれはそうではないと言う。
「何故なら」
「何故なら?」
「では一体」
「私は黄金聖闘士」
 ここでこのことを言うのであった。
「それだけです」
「くっ、恐るべし黄金聖闘士」
「それがこの強さだというのか」
「静かに。眠りなさい」
 今まさに倒れようとする彼等に対しての言葉であるのは言うまでもない。
「紅と白の薔薇に見送られて」
 この言葉を聞くか聞かないかのうちに五人は前のめりに倒れ事切れた。そして後に残ったのはその他ならぬアフロディーテと彼であった。
「まさか白薔薇まで持っているとはな」
「貴方もまた意外だと仰っていましたね」
「意外と思っているのは事実だ」
 ミシェイルはアフロディーテを見据えつつ述べた。
「それはな。しかしだ」
「しかし?」
「その白薔薇も今見せてもらった」
 こう彼に言うのだった。
「紛れもなくな。見せてもらった」
「そうですか」
「聖闘士は一度見た技を見破るというが」
 次に彼が言うのはこのことだった。
「それは狂闘士もまた同じだと言っておこう」
「それでは。このブラッディローズも破られるというのですね」
「白薔薇だけではない」
 それに留まらないというのだ。
「紅薔薇も黒薔薇もだ」
「つまり私の三つの薔薇を全てですね」
「他に薔薇があるとしても」
 彼の言葉がさらに強いものになる。
「私には効かない。それを見せてやろう」
「それでは。次のお相手は貴方ですね」
「私以外にいると思うか?」
 既に後ろには何もないような。そうした言葉になっていた。
「それはどうだ」
「確かに。問うまでもありませんでしたね」
 ここで自分の言葉についても述べるのだった。
「では。はじめますか」
「一つ言っておく」
 ミシェイルの小宇宙が沸き起こった。それはやはり赤く禍々しい狂闘士の小宇宙であった。
「先に倒れた五人、そして多くのインプ達のだ」
「仇を取るというのですね」
「そういうことだ。では行くぞ」
 今ここでアフロディーテとミシェイルは完全に対峙した。そうしてそのうえで今この中国における最後の闘いに入るのだった。


第三十三話   完


                  2009・5・20
 
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