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聖闘士星矢 黄金の若き戦士達

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234部分:第三十二話 災難の軍団その六


第三十二話 災難の軍団その六

「最後ですから」
「どういうことだ。薔薇の毒は封じられたというのに」
「まだ何かあるというのか?」
「ピスケスの武器は毒のみにあらず」
 彼はまた言った。
「そういうことです」
「!?まだあるというのか?」
「毒以外にもまだ」
「どういうつもりだ」
 ミシェイルもまた今の彼の言葉にはいぶかしむのだった。
「まだあるというのか?ピスケスに」
「しかしだ。ピスケスよ」
「それでもだ」
 狂闘士はいぶかしみはしたがその戦意は決して衰えてはいなかった。
「だからといってもだ」
「何度も言うが我等は狂闘士」
「決して退くことはない」
 こう言って確かに決して背を向けようとはしない。それこそが誇りであるかのように。
「ここで貴様を倒すのみ」
「我等の最大の力でな」
「いいでしょう」
 また彼等に対して応えるアフロディーテだった。臆するところも怯むところもなく。その美しい顔で穏やかなまでに言葉を返すのであった。
「では私もまたそれに応えて」
「闘うというのだな」
「我等と」
「私が薔薇を敷く時それは私の闘いがはじまる時」
 これが今の彼の言葉であった。
「そして勝利の時ですから」
「ふっ、ならばどちらが最後に戦場に立っているか」
「それを今はっきりとさせようぞ」
「いいな、ピスケスよ」
 五人が一斉にそれぞれの構えを取った。
「どちらが最後までここに立っているか」
「勝負だ」
「いいでしょう。私としても異論はありません」
 紅薔薇はもうない。しかしそれでも彼の態度は変わっていなかった。
「それでは。いざ」
「勝負だ」
「ただ。一つ言っておきます、いえ二つでしょうか」
 身構える狂闘士達を前にしても構えを取らず言うのだった・
「先にも言いましたが私が光速の拳を使うのは最後です」
「それは確かに聞いている」
「では今がその最後の時だな」
「しかし。もう一つあるのです」
 やはりまだ構えを取ってはいない。悠然としてそこに立っているだけである。そのうえでさらに彼等に対して言っているのであった。
「私の薔薇は毒だけではありません」
「何っ!?」
「毒だけではないというのか?」
「それもまた御見せしましょう」
 言葉は相変わらず悠然としていた。
「今から」
 表情を焦ったものは何一つとしてなかった。澄み切ってさえいる。その澄み切った顔で言葉を出しながら対峙し続けている。まるで既に勝利が決まっているかのように。


第三十二話   完


               2009・5・16
 
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