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聖闘士星矢 黄金の若き戦士達

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223部分:第三十話 黒薔薇の香りその五


第三十話 黒薔薇の香りその五

「ドイツでもアメリカでも我々は敗れている」
「はい、無念ながら」
「多くの同志達を失っております」
 周りの声が無念に満ちたものになる。
「この怨み、是非ここで晴らしましょう」
「何としても」
「それではだ。予定通り進める」
「はい」
「それでは」
「しかしだ。一つ言っておく」
 ミシェイルの言葉はここでも鋭いものであった。
「ピスケスの薔薇には注意するのだ」
「薔薇ですか」
「紅薔薇と黒薔薇がまずある」
 まずはその二つの薔薇だった。
「どちらも無数のインプ達を瞬く間に殲滅する程恐ろしいものなのを忘れるな」
「どちらもですね、確かに」
「あの威力は恐ろしいものがあります」
「そして間違いなく他にも薔薇がある」
 それはもうあるのが前提での話だった。
「それを出してくることが考えられる。注意しておくことだ」
「それですがアフロディーテ様」
 九人のうちの一人が名乗り出て来た。
「ピスケスのその毒ですが」
「うむ。御前が対するというのだな」
「はい、毒ならばお任せ下さい」
 彼はこう言うのだった。
「私に。是非共」
「そうだな。毒ならば確かに御前だ」
 ミシェイルもまた彼の言葉を受けて頷いていた。
「貴様ならばできる。間違いなくな」
「少なくともその浸透を遅らせることができます」
 彼はまた述べる。
「それも確実に」
「そうしてその間にピスケスを倒す」
 その毒の進行を遅らせている間にということだった。
「それでいくぞ」
「わかりました。それでは」
「我々もそのように」
「ピスケスのアフロディーテ」 
 ミシェイルは最後にアフロディーテの名前まで告げた。
「必ず倒す。何があろうとも」
「そうです。ここで必ず」
「あの男を倒しましょう」
 周りの者達も彼の言葉に応える。
「アーレス様の為にも」
「アーレス様は必ず降臨される」
 ミシェイルの言葉はこれまでになく強いものであった。
「そしてその時にこそだ」
「我等の時代がはじまります。左様ですね」
「その通りだ。我等はアーレス様の為の忠実なる僕」 
 このことも確認するのだった。
「その為にだ。わかってるな」
「はい、それでは」
「その通り」
「武漢で戦いとなる」
 それは既に決まっていることであった。彼等はそれを意識しながら聖闘士達を待ち受けていた。彼等もまた己の神に対して絶対の忠誠を持っておりそれにより戦いに向かうのだった。


第三十話   完


                 2009・5・9
 
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