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英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~(閃Ⅱ篇)

作者:sorano
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第244話

頂上に向かって先を進み続けていたリィン達が再び広間に出ると一部の人物達にとって見覚えのある人物が待ち構えていた。



~真・煌魔城~



「うふふ、まさかこんなにも早くここに到達するとは。さすがは双界の命運をかけた決戦の本隊の精鋭部隊と言った所ですか。」

「?貴女は一体………」

「”杖”を持っているという事は恐らく私やエマ達と同じ”魔女”よね?もしかしてエマやヴィータさんの知り合い?」

「い、いえ……少なくても私達の隠れ里には目の前のような方はいません。」

目の前にいる人物――――マリアベル・クロイスの亡霊を見たリィンは不思議そうな表情をし、ゲルドに訊ねられたエマは戸惑いの表情で答え

「………それ以前に彼女が扱うのは貴女や私達が扱う”魔術”ではなく”魔導”よ。だから厳密に言えば彼女は”魔女”ではなく”魔導師”よ。」

「”魔術”ではなく”魔導”、ですか?」

「……アンタが知っているって事は目の前の女は大方”結社”の関係者なんでしょうね。」

静かな表情で答えたクロチルダの答えが気になったエリスは不思議そうな表情で首を傾げ、”結社”出身のクロチルダがマリアベルを知っている事でマリアベルの正体をある程度推測できたセリーヌは厳しい表情でマリアベルを睨んでいた。



「あっ!貴女は……!」

「IBC総裁の娘にして”D∴G教団”を裏から操っていた史上最低最悪の一族の末裔、”クロイス家の魔女”マリアベル・クロイス……!」

「ええっ!?そ、その人って確か……!」

「ディーター・クロイスを裏で操り、”碧の大樹”を顕現化させた真の黒幕の一人か……!」

一方マリアベルを見たエステルは目を丸くして声を上げ、厳しい表情で声を上げたルフィナの言葉を聞いたアリサは驚き、トヴァルは厳しい表情でマリアベルを睨み

「確か彼女は”外法認定”された為”星杯騎士団”によって狩られたとの事ですが………」

「―――ああ、オレが”狩った”で。ま、3年前に滅した”白面”が出てきてんからむしろ先月オレに狩られたばかりのあのお嬢さんが出てけえへん方がおかしいやろ。」

「……やはり貴女もこの世に未練を残していたのですね。」

エリゼに視線を向けられたケビンは冷酷な笑みを浮かべて答え、リースは真剣な表情でマリアベルを見つめて呟いた。



「フフ、当たり前でしょう?わたくし達によって生み出された紛い物の存在が主(わたくし達)に逆らった挙句、わたくし達の死のきっかけを作ったなんて、絶対に許せませんわ。」

「紛い物の存在だと………?」

「一体何の事を言っているんだ……?」

マリアベルの話の意味がわからないユーシスとマキアスは眉を顰め

「……君はまだキーアの事をそんな風に見ているのか。」

「わかってはいた事ですけど相変わらず人として最低な方ですね。」

「ええっ!?”キーア”って確か”零の至宝”のあの娘の事よね!?それじゃあ彼女や彼女の一族が……!」

「ああ………遥か昔に消滅した”幻の至宝”―――虚神(デミウルゴス)に代わる物を求めて”零の至宝”である彼女を生み出したんだ。」

アドルとエレナはそれぞれ厳しい表情マリアベルを睨み、アドルの話を聞いてキーアの事を思い出して驚いているアリサを含めたキーアの事を知らないリィン達にヨシュアが説明をした。



「………―――例え人工的に作られた”ホムンクルス”であったとしてもそこに”感情”―――”意志”が宿ればもはやそれは”ホムンクルスという物”ではなく生きとし生ける者―――つまり”人”です。キーアさんとも接した事がある貴女は未だそれがわからないのですか?」

「お黙りなさい!―――”空の女神”エイドス!クロイス家の妄執の原因となった諸悪の根源の癖に先祖代々受け継いで来た私達クロイス家の悲願が叶う肝心な所で現れ、台無しにした貴女だけは絶対に許しませんわ……!」

「どう考えても逆ギレにしか見えないの。」

「……彼女は”人として堕ちすぎました”。そんな彼女ではエイドスの指摘は理解できないのでしょうね………」

「そして彼女がそこまで”堕ちてしまった”のも、人が己の力にするにはあまりにも分不相応な”力”―――”至宝”を求めた結果でしょうね。」

「何だか彼女が哀れに見えてくるね……」

エイドスの指摘に対して怒りの表情で反論したマリアベルの様子をノイは呆れた表情で見つめ、フィーナとクレハの話を聞いたナユタは哀れみの目でマリアベルを見つめていた。

「フフ、”空の女神”を許せない事については僕も同感だね。」

するとその時眼鏡をかけた司祭服を着た男性の亡霊がマリアベルの傍に現れた!

「!?あんたはまさか……!」

「去年のクロスベルで”教団事件”を起こした”D∴G教団”の生き残りのヨアヒム・ギュンターか!」

男性―――ヨアヒムの姿を見て何かに気づいたサラ教官とトヴァルは血相を変えて声を上げた。



「”D∴G教団”……レン姫の過去を聞いた際にプリネ達の口から出た外道の集団か……!」

「確かヨアヒム・ギュンターは”グノーシス”で自身を”魔人”と化させた後”特務支援課”やファラ・サウリン卿達との戦いによって敗北し、肉体ごと消滅したとの事ですが………」

「”教団”の悲願を叶えられなかった事を未練に持ち、この世に留まり、奴も”鉄血宰相”の甘言に乗ったという所だろうな。」

「ったく、ホント、揃いも揃ってしつこいわね~!?」

ヨアヒムの正体を知ったラウラは厳しい表情でヨアヒムを睨み、シグルーンとゼルギウスはそれぞれ真剣な表情で呟き、エステルは呆れた表情で声を上げた後ヨアヒムとマリアベルを睨んだ。

「あれ?でも、ヨアヒムがオズボーン元宰相に力を貸しているのって変じゃない?ヨアヒムは”教団”では”御子”扱いしていたキーアちゃんを崇めているよね?」

「………言われてみればそうですわね。」

「オズボーン元宰相の目的はキーアが改変した世界を破壊する為だから、キーアを憎んでいるマリアベルさんやオズボーン元宰相達と違って、彼がオズボーン元宰相達に力を貸しているのは確かにおかしな話だね。」

ある事に気づいたミントの疑問を聞いたフェミリンスは静かな表情で頷き、ヨシュアは考え込みながらヨアヒムを見つめて呟いた。



「ふふっ、彼女達の”目的”の一部と僕の”目的”の一部は一致しているからね。その”目的”を果たすまでは一時的に共闘しているのさ。」

「……”目的の一部が一致している”だと……?」

「……その目的とは一体何なのですか。」

ヨアヒムの話を聞いたセリカは眉を顰め、ツーヤは厳しい表情で問いかけた。

「フフッ、それは勿論キーア様を我が”D∴G教団”にお戻りになる事を邪魔する愚かな”特務支援課”や七耀教会が創造したまやかしの存在である”空の女神”と彼女に従う君達を含めた愚か者達を葬り去る事に決まっているじゃないか!」

「―――なるほど。双方にとって”邪魔者”である俺達を排除した後、”鉄血宰相”達を排除し、キーアを手に入れるという寸法か。」

「あまりにもお粗末な計画ね………」

「というか”鉄血宰相”も自分から獅子身中の虫を受け入れるような事をしたわよね……」

「まあ~、オジサンの場合目的を果たす為なら自分の寝首を掻くとわかっている相手を利用してもおかしくないけどね~。」

「……そうですね。閣下は自らをも”駒”に見立てている程の方ですから………」

「つーか、普通に考えて”鉄血”達を一人で排除するとか無理だろ。」

ヨアヒムの答えを聞いてヨアヒムの目的がわかったレーヴェは静かな表情で呟き、セリーヌとクロチルダは呆れた表情でヨアヒムを見つめ、ミリアムの推測にクレア大尉は複雑そうな表情で同意し、クロウは疲れた表情でヨアヒムを見つめていた。

「と言うかエイドスさんが目の前にいるのに”空の女神”がまやかしの存在って………」

「うふふ、”D∴G教団”は”空の女神”の存在を否定していましたから、必死に現実逃避をしているのではないですか?」

「………まあ、”こんなのが空の女神”だなんて、わたし達の方も信じたくないけどね。」

「フィ、フィーちゃん。」

一方ヨアヒムがエイドスの存在を否定している事に呆れてジト目になったアリサにシャロンは微笑みながら指摘し、アリサ同様ジト目で呟いたフィーの意見を聞いたエマは冷や汗をかいた。



「うふふ、そう言う訳でここは通しませんわよ?」

「”特務支援課”じゃないのは残念だが……まずは君達を葬らせてもらうよ……!」

そしてマリアベルとヨアヒムがそれぞれ杖を構え、それを見たリィン達がそれぞれの武器を構えて戦闘態勢に入ろうとしたその時

「―――だったら、あんたの要望通りあんた達の相手は俺達がしてやる。」

リィン達が来た出入り口とは別の出入り口から聞き覚えのある青年の声が聞こえてきた!

「この声はまさか……―――ロイドさん!?」

声に驚いたリィンが声が聞こえた方向に視線を向けるとロイド達――――”特務支援課”が別の出入り口から現れた!


「あ、貴方達は……!」

「”特務支援課”………!」

「それにリーシャさんやツァイト様に未来のキーアさんまで……!」

「フフ、セティ君達も一緒だね♪」

「しかもあの眼鏡スーツって確かクロスベル警察”捜査一課”のエースのアレックス・ダドリーじゃない。元”特務支援課”のノエル・シーカーはわかるけど、何であの刑事まで”特務支援課”に混じっているのよ………」

「ハハ、ええタイミングに来てくれたな、ワジ!」

ロイド達の登場にエリオットとガイウスは目を見開き、ロイド達と共にいるリーシャとツァイト、未来のキーアに気づいたエリスは驚き、セティ達――――ウィルの娘達を見つけたアンゼリカは嬉しそうな表情をし、サラ教官は苦笑しながらロイド達と共にいるダドリーとノエルに視線を向け、ケビンは明るい表情でワジに視線を向けた。

「誰が眼鏡スーツだ!?」

「ま、まあまあ。今はそんな事を気にしている場合ではありませんよ。」

サラ教官の言葉に反応して怒鳴ったダドリーにノエルは苦笑しながら諫め

「フッ、しばらくは拘置所で罪を償うはずだった俺がまさかこんなにも早くお前達と再会する事になるとは思わなかったぞ、トールズ士官学院特科クラス”Ⅶ組”。」

「ちょっ、この声って……!?」

ロイド達の中から聞こえてきた聞き覚えのある声を聞いて驚いたサラ教官はロイド達を見つめ

「あ、あの二人ってクロスベルの”試練”の時に戦った……!」

「”風の剣聖”に”キリングベア”………!」

「え………あ………ガルシア…………」

「オイオイオイ………!アリオスさんはまだわかるとして、何でお前さんまでこの決戦に参加しているんだよ!?」

ロイド達の中にいるアリオスとガルシアに気づいたアリサとリィンは驚き、リィンの言葉を聞いて呆けたフィーはガルシアを見つめ、トヴァルは疲れた表情で声を上げた。



「クク、わざわざ拘置所から加勢しにやって来てやったというのにご挨拶だな。”試練”の件を考えたら別におかしくはないだろ?俺はマルコーニ会長を始めとした”ルバーチェ”の連中の”減刑”の為なら、双界を守る決戦の精鋭部隊にも喜んで協力するぜ?」

「ものは言いようですね。」

「ったく、この間まで敵だったアリオスのオッサンもそうだが、”キリングベア”までよりにもよって双界の命運がかかった決戦で俺達と共闘するとか、まさかこれも自称”ただの新妻”のめぐり合わせってやつか?」

「フッ、その可能性は否定できんな。かつて”ユリス”を倒す決戦の時も今のそなた達と似た状況だったからな。」

ガルシアの説明を聞いたティオはジト目で呟き、疲れた表情で溜息を吐いたランディの推測にツァイトは口元に笑みを浮かべて答えたが

「だから何でもかんでも私のせいにしないで下さいと、何度言ったらわかるんですか!?しかもツァイトまでそんな事を言うなんて……!レグナートといい、貴方といい、”眷属”のみんなは私が貴方達の”親”として大切に育ててあげたのに私がいやがっている事を口にするなんて……!どうやら、よほど貴方達の幼い頃の話とか貴方達にとって知られたら”色々と不味い話”を七耀教会の人達に知らせて、今後永遠に多くの人々に貴方達の”黒歴史”を伝え続けてほしいみたいですね?」

「なっ―――正気か!?」

顔に青筋を立てて反論した後膨大な威圧を纏って微笑んだエイドスの言葉を聞くと焦ってエイドスに問いかけた。

「フフッ、私は必ず”有言実行”する人物である事は貴方なら”よくわかって”いるでしょう?」

「ぐっ……!すまない……!さっきのは私の失言だった……!だから教会に私達の幼き頃等を伝えさせるのは本気で止めてくれ……!」

「エヘヘ、ツァイトが焦る様子なんて初めて見たね♪」

「ううっ、どういえばエイドス様に空気を読んで黙ってくれるのか、本気で知りたいわ………」

「それもせやけど、冗談抜きで七耀教会(オレ達)にとってはとんでもない事実を前置きもなくさり気なくしゃべらんといてほしいわ~。」

「同感……”空の女神”の”眷属”達が”空の女神”に育てられたなんて、どう考えても”聖典”に新しく載って当然の内容だし………」

必死に嘆願している様子のツァイトを見た未来のキーアは無邪気な笑顔を浮かべ、ルフィナとケビン、リースは疲れた表情で頭を抱え込んだ。

「アハハ……それよりも話には聞いていましたが、まさか本当にかつて死亡した人物の亡霊―――それも”鉄血宰相”と縁のない方達まで力を貸しているなんて、正直信じられない思いですよね……」

「――――ま、ヨアヒムを除けば彼らはある一点については共通しているから、”鉄血宰相”はそこをついて彼らを手駒にしたんだろうね。」

「……”零の御子”が改変した世界によって自分達が”改変の為に必要な犠牲”にされた事が許せないという一点ですね………」

「……………」

「キーア………」

気を取り直したリーシャにワジとセティは重々しい様子を纏って指摘し、二人の指摘を聞いて辛そうな表情をしている未来のキーアをティオは心配そうな表情で見つめた。



「キーアちゃんが気に病む必要はないよ。マリアベルさん達が死んだのは身から出た錆だし。」

「ええ、例えキーアちゃんが改変していない世界でも彼女達は己の悪行によって最後は悲惨な死を遂げていたでしょうね。」

「お黙りなさい!紛い物が改変した世界で生まれた貴女達に”正史”のわたくし達について語る資格はありませんわ!」

未来のキーアに慰めの言葉をかけたシャマーラとエリナの言葉を聞いたマリアベルは怒りの表情で二人を睨んで指摘し

「貴女という人は……!」

「いい加減にして、ベル……!キーアちゃんは貴女達クロイス家の所有物じゃなく、一人の”人”よ!」

「ハッ、お嬢さん、段々とヨアヒムに似てきているんじゃねぇか?」

「そうですね。特にキーアを自分達の所有物扱いしたりしている所とかそっくりですね。」

マリアベルがキーアを”紛い物”扱いした事に怒りを感じたセティとエリィはマリアベルを睨み、鼻を鳴らして厳しい表情でマリアベルを睨むランディの推測にティオは頷いてジト目でマリアベルを見つめた。



「やれやれ……彼女達と僕を一緒にしないでくれないかな?僕は彼女達と違ってキーア様を所有物扱いじゃなくて、”真なる神”として崇めているのだから。まあ、それはともかく君達が来てくれたのは好都合だ……!しかも未来のキーア様まで連れてきてくれるとは、ようやく我が”D∴G教団”が正しい事を理解してくれたのかな?」

「………―――言いたい事はそれだけか。」

「何………?」

溜息を吐いた後得意げな表情になって声を上げたヨアヒムだったが静かな口調のロイドの言葉を聞くと眉を顰めた。

「”太陽の砦”の時にも言ったはずだ。――――ヨアヒム・ギュンター、あんたの器はもう見切ったっと。それはマリアベルさ―――いや、マリアベル・クロイス。貴女も結局はヨアヒムと同じ器だ。」

「何ですって……!?わたくしのどこがヨアヒムと一緒だと言うのです……!?」

ロイドの指摘を聞いたマリアベルは怒りの表情でロイドを睨んだ。

「同じだ。キーアに下らない幻想を押し付けようとしたヨアヒムのように、貴女は失われた至宝と同等―――いや、それ以上の存在(もの)である大いなる秘宝(アルス=マグナ)を生み出すことに取り憑かれ、”クロイス家”の下らない悲願を受け継ぎ、貴女自身の力ではなく、あの陽だまりのように明るくて、無邪気で天真爛漫で……そして思いやりのある俺達の大切でまだ幼いあの(キーア)を使ってその下らない悲願を叶えようとした時点で貴女もヨアヒムと同じ穴の狢だ!」

マリアベルの言葉に対して静かな表情で答えたロイドは自身に秘められた怒りを解放するかのように膨大な蒼き闘気をさらけ出してマリアベルを睨み

「「……っ!?」」

ロイドの闘気に圧されたマリアベルとヨアヒムは息を呑んだ。

「ロイド………」

「ハハッ、ヨアヒムに続いて今度はマリアベルお嬢さんに良いツッコミをしたな!」

「フッ、さすがはガイの弟だな……」

その様子を見守っていた未来のキーアは嬉しそうな表情をし、ランディは笑顔を浮かべ、アリオスは感心し

「クク……ハハ……ハハハハハハハッ!ヨアヒムどころかヨアヒムを操っていた”真の黒幕”もビビらせるとはな………今のてめぇはもはやあの大馬鹿兄貴と同じ―――いや、”それ以上の存在”だ、小ぞ―――いや、ロイド・バニングス。」

「フン……その事に関しては遺憾だが私も同じ考えだ。」

声をあげて笑った後口元に笑みを浮かべたガルシアはロイドを見つめ、ダドリーは鼻を鳴らして静かな笑みを浮かべてロイドを見つめていた。



「……ッ!うふふ、わたくしの大切なエリィを奪った事といい、このわたくしをヨアヒムと同列扱いした事といい、やっぱり貴方はわたくしにとって誰よりも――――あの”空の女神”よりも忌々しい存在ですわね、ロイドさん。」

「………………」

「ベル………」

一方マリアベルは唇を噛みしめた後不敵な笑みを浮かべてロイドを見つめ、見つめられたロイドはマリアベルとヨアヒムの挙動を見逃さないかのように警戒し、マリアベルの様子をエリィは辛そうな表情で見つめた。

「―――いいでしょう。”碧の大樹”ではそこの忌々しき七耀教会の代行者に横槍を入れられた為比べる事ができなかったわたくし達クロイス家の千年の妄執の重みと、あなた方の一年に満たぬ絆のどちらかが果たして強いのか……互いの命を賭けて比べてみるとしましょうか?」

そして怪しげな笑みを浮かべてロイド達を見回したマリアベルは詠唱をし、マリアベルに続くようにヨアヒムも詠唱をし、二人が詠唱を終えると何と大型の”幻獣”や”悪魔”が2体ずつ2人の背後に現れた!

「”幻獣”に”悪魔”………!?」

「どれも相当な霊圧を放っています……!」

「あれ?あの大きい悪魔はどっかで見た事がある気がするんだけど。」

「!あの2体の悪魔は”影の国”の時に現れた……!」

「”煉獄門”の左右を守る悪魔達――――”深淵のアスタルテ”と”暴虐のロストルム”………………!」

二人が召喚した幻獣と悪魔の登場にセリーヌとエマは驚き、ヨアヒムが召喚した2体の大型の悪魔に見覚えがあったエヴリーヌは不思議そうな表情で首を傾げ、リタは目を見開き、プリネは声を上げた。



「――――望む所だ!みんな、総力戦で行くぞ!来い――――ルファ姉、ギレゼル!」

「ええ!お願い―――メヒーシャ!」

「お願いします―――ラグタス、ラテニール!」

「出番だぜ―――エルンスト!」

一方ロイド達もそれぞれが契約している異種族達―――ルファディエル達を召喚した!

「ふええええええっ!?」

「ロ、ロイドさん達までリィンやアリサ達みたいに異種族を召喚したぞ!?」

「しかもロイドさんだけでなく、エリィさん達も異種族と契約していたなんて……」

「それに本来なら相反する存在である”天使”と”悪魔”を共闘させるなんて……」

ルファディエル達の召喚に驚いたトワとマキアスは声を上げ、ゲルドは目を丸くして信じられない表情をしているセレーネと共にロイド達を見つめていた。



「―――この双界の命運をかけた戦いも元を正せば俺達が原因。せめてもの償いに我が命に代えても双界の希望の光達の道を切り開かせてもらう!」

「”風の剣聖”に”叡智”、一課のエースにガイの弟、”(イン)”と”闘神の息子”との共同戦線で、相手は俺達”ルバーチェ”を嵌めたヨアヒムの野郎をヨアヒムの野郎を操っていた”真の黒幕”か。クク……”西風の旅団”にいた時ですらこんなにも高ぶる”戦場”に参加した事はなかったぜ………―――この戦いに俺も参戦させた事に感謝するぜ、”黄金の戦王”!オォォォォォォ―――――!」

アリオスは決意の表情でガルシアは好戦的な笑みを浮かべてヨアヒム達を見つめた後それぞれ莫大な闘気を解放した!

「―――ここは俺達が受け持つ!君達は俺達がヨアヒム達の相手をしている間に屋上に向かってくれ!」

「!わかりました……!」

ロイドの指示にリィンは力強く頷き

「――フィー!8年ぶりの再会話は今回の件が終わった後にさせてもらう。――――だから、絶対にくたばるんじゃねぇぞ!」

「ガルシア……了解(ヤー)………!」

ガルシアはリィン達に背を向けたままフィーに激励の言葉を送り、ガルシアの激励に呆けたフィーだったがすぐに我に返り、力強く頷いた。



「―――”特務支援課”並びに協力者一同、これより精鋭部隊の”本隊”の道を切り開く為に”D∴G教団”関係者にして歴史上最低最悪の犯罪者であるヨアヒム・ギュンター並びにマリアベル・クロイス、及び2名が呼び寄せた幻獣と悪魔達の”撃破”を開始する。行くぞ、みんな!!」

「おおっ!!」

そしてロイドの号令を合図にロイド達はヨアヒム達との戦闘を開始し、その間にリィン達は駆け抜けて昇降機に乗って上へと上がり始めた―――――




 
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