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聖闘士星矢 黄金の若き戦士達

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150部分:第十九話 剣と剣その二


第十九話 剣と剣その二

「もう一人近付いている。その者に対抗する為にもな」
「もう一人か」
「それにおそらく貴様一人ではカプリコーンに勝てはしない」
「貴方も言うのか」
 今の言葉はバドにとっては実に癪に触るものであった。実際にそれで表情を嫌悪感を見せるものにさせていた。
「私一人で。カプリコーンなぞ」
「果たしてそうか?」
 遂に崖の方から影が出て来た。
「それは貴様が最もよくわかっている筈だがな」
「私自身がか」
「そうだ」
 その影はまた言ってきた。
「貴様自身がな。違うか」
「くっ・・・・・・」
 バドは遂に歯噛みの言葉を出した。
「認めるしかないというのですね」
「その通りだ。ここは退け」
 影は次第にその姿を見せてきた。やはりそれは赤く輝く鎧を持つ狂闘士の戦衣を身に纏っていた。紫の髪に穏やかそうに見える中性的な顔の男だった。
「私と共にな」
「わかりました、ビルフォード」
 バドはその男の名を呼んで頷いた。
「ではここは退きましょう
「ジーク様のところへ戻るぞ」
 そのビルフォードと呼ばれた狂闘士はあらためてバドに告げた。
「今すぐにな」
「わかりました」
「そういうことだ。カプリコーンよ」
 ビルフォードは宙に浮かんだまま今度はシュラに顔を向けてきて声をかけてきた。
「ここは我等が退こう」
「勝手な理由だな」
「それは謝罪する」
 ビルフォードはそれについては謝罪の言葉を述べた。
「この侯爵、ナベリウスのビルフォードの名にかけて」
「ナベリウスのビルフォード」
「如何にも」
 シュラの問いに応える形になっていた。
「これが私の名だ。覚えておいてもらおう」
「わかった。それでだ」
 シュラは彼の名を聞いたうえでさらに問うた。
「貴様は何故ここに来た」
「何故というのか」
「闘いを止める為に来たというのか?」
「そうだ。今ここでバドを失うわけにはいかない」
 そのバドの前に立ち彼を守る形になったうえでの言葉だった。
「だからだ。ここは退かせてもらおう」
「そうか」
「追いはしないのか」
「必要とあらば追う」
 シュラは今のビルフォードの問いにこう答えた。
「しかし。今はそうではない」
「我々を追うべき時ではないというのだな」
「そういうことだ。退きたいのなら退くといい」
 あえて淡白なまでにその追撃の姿勢を見せないシュラであった。
「どちらにしろ。御前達はこのシュラによって倒されることになる」
「自信があるというのか」
「その通りだ」
 そしてその自信をあえて隠さないシュラだった。
「わかったな。それではだ」
「うむ。退かせてもらおう」
 これで話は終わりだった。少なくとも彼等の間ではそうであった。
 話を終えたビルフォードはまたバドに顔を向けた。そうして彼に対して告げる。
「それではだ。下がらせてもらうぞ」
「わかりました」
 憮然としているがそれでも頷くバドだった。
「下がるとしましょう」
「ジーク様が待っておられる」
 ビルフォードはまた彼にジークという名前を出した。
「そこに向かうぞ」
「うむ。ではカプリコーンよ」
 シュラに対してここでも激しい敵意に満ちた目を向けてきた。
「また会おう。その時は貴様の最後の時だ」
 こうして彼等は姿を消した。後に残ったのは聖闘士達だった。とりあえず闘いが終わったと見てアステリオンはシュラの側に来て言ってきた。
 
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