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英雄伝説~光と闇の軌跡~番外編 語り継がれなかった軌跡篇

作者:sorano
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外伝~”六銃士”の”鉄血宰相”への宣戦布告~最終話

~2時間後・ベルガード門・ガレリア要塞間街道~



「クク、どうだったかな?生まれ変わった警備隊の連中の練度は?」

「グギギギギ……ッ!自治州如きが生意気なっ!」

演習後演習に参加した警備隊と帝国軍が向かい合っている中、不敵な笑みを浮かべたギュランドロスに見つめられたギュランドロスに殴られた事によって顔を腫らしたワルター中将は顔を真っ赤にして悔しそうな表情で唇を噛みしめ

「申し訳ありません、中将!相手の策にまんまと嵌り、完全にしてやられました!」

「そんなに自分を責めるな、ナイトハルトよ。儂自身も完膚なきまでにやられたからな。」

まんまと敵の策に嵌り、上官から託されていた任務を遂げる所か部隊を全滅させた事によって、無念の思いを抱えて悔しそうな表情で頭を深く下げて謝罪するナイトハルト少佐をオーラフ中将は苦笑しながら見つめ

「クソッ!」

「誇り高き帝国軍が自治州の警備隊如きに敗北するなんて!」

周囲の帝国軍人達は悔しそうな表情で勝ち誇った笑みを浮かべている警備隊員やギュランドロス達を睨んでいた。



「ほう?ならその”警備隊如き”に敗北した”誇り高き帝国軍”は何なんだ?」

「グゥ!?おのれ!このままで済むと思うなよ!?」

ワルター中将や帝国軍人達の言葉を聞き、警備隊員の誰もが思っている事を代表して口にしたギュランドロスの言葉に唸った後怒りの表情でギュランドロスを睨んだが

「クク、武器もないのにどうするつもりだ?殴り合いでも受けて立つぜ?」

「グッ……!」

演習の為に持ってきた武器に加えて隠し持っていた銃すらも全て破壊された事によって、攻撃手段がない事を指摘されたワルター中将は帝国兵達と共に悔しそうな表情で唇を噛みしめ

「フフ、ワルター中将、あまりご自分の立場を追い詰める発言はしない方がよろしいかと思いますが。」

「何だとっ!?」

微笑みを浮かべたルイーネの忠告を聞くとルイーネを睨んだ。

「今回の”演習”は互いの為にも録画している事はご存知ですよね?もし、そのデータをエレボニア帝国の通信社に提出しましたら、一体何が起こるでしょうね♪」

「!!!こ、この私を脅す気かっ!?」

しかしルイーネの話からエレボニア帝国中に自分の失態がさらされる事を推測し、表情を青褪めさせてルイーネを睨んだ。

「フフ、まさか。私は”互いの為”に黙っている事が一番だと提案しているだけの話です♪」

「貴様ぁっ………!」

そして微笑みながら自分を見つめるルイーネにワルター中将は怒りの表情で睨んだ。



「――――もうそこまでにしておくべきです、ワルター中将。此度の演習は我らの完敗である事は決して揺るぐ事のない事実です!これ以上口答えをするのは唯の負け犬の遠吠えですぞ!?誇り高き帝国軍人ならばエレボニア帝国の品格を陥れる発言は控えて我らの完敗を潔く認め、我らに完勝した警備隊を称賛すべきです!―――貴様らも誇り高き帝国軍人ならば、完敗した事を重く受け止め、今後の糧にしろ!」

するとその時オーラフ中将はワルター中将や帝国軍を睨んで叫び

「イエス・サー!」

オーラフ中将の言葉に帝国軍人達全員は敬礼をし

「クッ!――――私はこれで失礼させてもらうっ!!」

ワルター中将は悔しそうな表情でギュランドロス達を睨んだ後その場から去って行き

「全軍、クロスベル警備隊の勝利を称えて敬礼!」

「ハッ!!」

オーラフ中将の号令によって帝国軍全員はオーラフ中将と共に敬礼をした。

「―――それでは我々も失礼します。此度の演習、誠に見事な指揮でした、ギュランドロス司令。」

「クク、そっちも中々の気迫だったぜぇ?オーラフ中将。」

「フフ、こちらとしても誇り高き帝国軍人の気迫を見せる事ができて何よりです。」

そしてオーラフ中将も帝国軍と共にその場から去って行った。



「アハハハハ!帝国軍司令のあの悔しそうな顔は最高だったね~♪」

「いや~、マジで今回の演習はスッキリしたぜ!帝国派の議員共も今回の演習を知ったらさぞ顔を真っ青にするだろうな!」

「フフ、数的有利があったとはいえまさか本当に帝国軍に勝つ上、警備隊の装甲車でスペックが圧倒的に上の”アハツェン”に勝つなんて……夢みたい。」

帝国軍が去って行くとワルター中将の悔しそうな表情を思い出したパティルナとランディは警備隊員達と共に笑い、ミレイユ准尉は静かな笑みを浮かべた。

「―――”この程度”の戦果で浮かれてはいけませんよ、ミレイユ。まだまだ貴女達を鍛え上げるつもりですので、覚悟しておきなさい。」

「イエス・マム!」

そして尊敬できる上官達が自分達を更に鍛え上げてくれることに嬉しさを感じつミレイユは口元に笑みを浮かべて敬礼をした。



「うげっ………まだこれ以上キツイ訓練をする気なんッスか?」

「い、一体どんな訓練になるんだ!?」

「ううっ、とんでもなくキツイけど確実に強くなって行くから嬉しいような悲しいような気分だぜ。」

ギュランドロス達による地獄すら生温いとも思われる訓練を思い出したランディを筆頭に多くの警備隊員達は表情を青褪めさせた。

「お前らっ、今日は打ち上げだ!勝利の美酒をとくとあじわいなぁっ!!」

「オオオオオォォォォォォォォオオオオオオ――――――――――――――ッ!!」

その後ギュランドロス達はベルガード門に戻り、打ち上げを始めようとしていた。



~2時間後・ベルガード門・司令室~



「ギュランドロス様、エレボニア帝国の”情報局”の方がギュランドロス様に面会したいとの事です。」

「なっ!?」

2時間後ギュランドロスと共に打ち上げが始まるまでに書類関係を片付けていたソーニャ副司令は扉の外から聞こえてきたルイーネの報告を聞いて驚き

「クク、来たか。入れてやれ。」

「―――失礼します。」

不敵な笑みを浮かべたギュランドロスの指示によってルイーネと共にクレア大尉が部屋に入って来た。

「――――エレボニア帝国”情報局”に所属するクレア・リーヴェルトと申します。以後お見知り置きを。」

「”氷の乙女(アイスメイデン)”ですって!?」

淡々と自己紹介をしたクレアの名前を聞いたソーニャ副司令は目を見開き

「ほう?”鉄血”の”子供”が来るとはなあ?大方今回の演習に関する口止めに来たんだろう?」

ギュランドロスは動じず興味深そうな表情でクレア大尉を見つめて尋ねた。



「―――話が早くてこちらとしても助かります。くれぐれも第3者に此度の演習の件を教えないようにお願いします。万が一そのような事があれば………ご自分達の身が”どうなるか”、ご理解されていますよね?」

「……………っ!」

クレア大尉の脅しとも取れる言葉にソーニャ副司令は表情を固くし

「クク、何か勘違いしてねぇか?」

「え。」

不敵な笑みを浮かべたギュランドロスの言葉にクレア大尉は呆けた。

「―――脅されるのはテメェらの方だよ。今回の演習を記録したデータが他国の通信社辺りに渡ればどういう結果になるだろうな?」

「間違いなく責任は今回の演習の提案者である貴女の”親”がとる事となり、下手をしたら今まで築き上げた立場は全て崩れる事になるでしょうね♪」

「!!!あ、貴方達、まさかエレボニア帝国―――いえ、宰相閣下を脅すつもりなのですか!?そんな事をすれば自分達の身がどうなるかわからないのですか!?」

ギュランドロスとルイーネの反撃にクレア大尉は表情を厳しくして二人を睨んだ。



「クク、恨むなら俺達を侮りすぎたテメェら自身を恨む事だな。」

「それともう一つだけ貴女の知らない事を教えておきますね。今回の演習の件については私達を”警備隊上層部に推薦してくれた方達”には既に周知済みです。もし私達の身に何かあった際、”私達を推薦した方達”はどう思われるでしょうねえ?ああ、それともう一つそれとは別な事を思い出しました。今回の演習の為の装備の一部は”ラギール商会”という店から仕入れ、本日の演習前に装備が”店員達”の手によって届けられたのですよ♪」

「何ですって!?」

ルイーネの話から既にメンフィル帝国に演習の結果まで知れ渡った事を知ったクレア大尉が驚いたその時、扉がノックされた。

「誰かしら?」

「”ラギール商会”でございます……予約されていた……品物が届きましたので、その報告に参りました。」

「フフ、ちょうどいいタイミングで来ましたね。入って来て構いません。」

「――――失礼します。」

そしてルイーネの許可によってチキが部屋に入って来た。



「!!!あ、貴女は”ラギール商会”の店長のチキ・インディス!」

予想外の人物の登場にクレア大尉は驚き

「先日……予約されていた……警備隊の合同演習後に届ける事になっている……お酒やおつまみも先程届きました……どこにお届けすれば……よろしいでしょうか?」

チキはクレア大尉の事を気にも留めずギュランドロス達を見つめて尋ねた。

「今屋上で打ち上げの準備をしている。詳しい説明はミレイユかエルミナに聞いてくれ。」

「かしこまりました。―――それでは失礼します。」

ギュランドロスの指示に会釈をしたチキは部屋を出て行った。

「フフ、これでどちらの立場が”上”なのかわかったでしょう?」

「―――――!!!クッ!?」

微笑みながら説明するルイーネの話からもはやメンフィルに口止めできるのはギュランドロス達のみである事を悟ったクレア大尉は目を見開いて己の失態を強く後悔しながら唇を噛みしめた。



「後もう一つだけ勘違いしているようだから言っておいてやる。”鉄血宰相”にも伝えておきな。テメェら”如き”が俺達”六銃士”をどうにかできると思うな。――――身の程を知れ。」

「私達が進む道を阻むなら全力でお相手し、叩き潰しましょう。――――”六銃士”の名に賭けて。」

「……………っ!?」

凶悪な笑みを浮かべるギュランドロスと微笑みを浮かべるルイーネがさらけ出す膨大な殺気や闘気、覇気をその身に受けた事によって、巨大な獣に喰い殺されるかのような幻覚を見たクレア大尉の身体は本能的に”勝てない”と判断して悲鳴を上げるかのように大量の冷や汗をかいて表情は恐怖へと変え、身体をガタガタと震わせ、その余波を受けているソーニャ副司令も表情を青褪めさせて身体を震わせていた。



「今後警備隊、警察に対してエレボニア帝国が干渉しない事。それを守って頂ければ、今回の演習の件を黙っておきますし、”ラギール商会”の”店員”の方達にも言い含めておきます。―――それで構いませんよね、ギュランドロス様。」

「ああ。挨拶代りに”今回は”それで勘弁してやろう。」

「………わかりました。よろしくお願いします………」

そして二人が殺気や闘気、覇気を引っ込めるとクレア大尉は未だ身体の震えが止まらない状態で頭を軽く深く下げ

「それでは失礼します。」

身体の震えを必死に抑えながら敬礼をした後その場から逃げるように去って行った。



「クク……ハハ…………だぁっははははははははっ!!さっきの”氷の乙女(アイスメイデン)”とやらの俺達にビビった顔を見たか!?まさに”鉄血の子供達(アイアンブリード)”の異名通り”子供”だったなっ!だぁっははははははははっ!」

「フフ、”氷の乙女(アイスメイデン)”の異名も形無しでしたね♪”この程度”の展開も読めないなんて、”鉄血の子供達(アイアンブリード)”の異名通り”子供”でしたね♪」

クレア大尉がその場からいなくなるとギュランドロスは机をバンバン叩いて豪快に笑い、ルイーネは微笑み

(まさか今回の件を最後まで読んでいて対策をたてていた所か、”氷の乙女(アイスメイデン)”を軽くあしらった上、”鉄血宰相”にまで脅しをかけるなんて。これも”六銃士”の真の恐ろしさの一つなのかしら?)

大国の謀略を予め読んで対策を立て、更には大国の宰相すらも脅す2人にソーニャ副司令は畏怖を感じていた。



「―――ま、そういう訳だ。これで俺達に手を出せばどうなるか”テメェらも”わかっただろう?」

「―――相手が何者であろうと私達は全力でお相手して叩き潰しますと、”眼鏡の支社長さん”にもしっかりと伝えておいてね♪」

そしてギュランドロスとルイーネは誰もいない場所を見つめて口元に笑みを浮かべて呟き

「?あ、あの……そこに誰かいるのですか?」

二人の訳のわからない行動にソーニャ副司令は戸惑い

「クク、”さっき”まではな。」

「クスクス♪本当に恥ずかしがり屋さんね♪」

ギュランドロスは不敵な笑みを浮かべ、ルイーネは微笑んでいた。



~西クロスベル街道~



「…………………」

空間から突如現れた”銀”は黙り込み

「まさか私に気付いていたとは。―――――”六銃士”。どうやら噂以上の”化物”のようだな。」

完全に気配を消して司令室に潜んでいたにも関わらず最初から自分の存在をに気付いていたギュランドロスとルイーネの”規格外”さを思い出して重々しい口調で呟いた後その場から風のように去って行った。 
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