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ドリトル先生の名監督

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第三幕その五

「何にもならないんだ」
「かえって、ですね」
「怪我が増えてよくない」
「そうなんですね」
「そうだよ、どうして怪我が多いかわかったよ」
 八条大学の相撲部の人達にです。
「トレーニングと食事が間違っていたんだ」
「そういうことですね」
「じゃあお相撲本来のやり方に戻すべきですね」
「ここは」
「うん、力士さんでこれはって思う人の稽古や食事を取り入れる」
 先生は言いました。
「これが一番いいかもね」
「そうですか」
「僕達近代的にって考えてましたけれど」
「他の格闘技じゃなくてですね」
「お相撲の中で考えるべきだったんですね」
「そうだったんですね」
「他の格闘技を取り入れても」
 それでもというのです。
「お相撲に合うかどうかだから」
「ですね、野球選手がサッカーの練習しても仕方ないですしね」
「何の意味もないですからね」
「スポーツの仕方が違いますから」
「だからですね」
「そうだよ」
 まさにというのです。
「だからね」
「わかりました」
「じゃあすぐに練習の仕方戻します」
「ちゃんこ鍋も食べます」
「そうしていきます」
「そうしてね、ただ」
 ここで、です。先生はこうも言いました。
「今部活にコーチや顧問の人は」
「はい、それがなんです」
「監督が今入院してまして」
「交通事故で」
「それで僕達だけなんです」
「ああ、だからだね」
 先生はどうして皆がそうした稽古や食事にしたのかもわかりました。
「君達だけで」
「はい、それでどうした稽古がいいか」
「食事がいいか考えて」
「格闘家みたいにしたらどうかって思って」
「それでやってみたんですが」
「うん、考えることはいいことだよ」
 先生はそのこと自体は否定しませんでした。
 ですが、です。穏やかですが確かな声で皆にこうも言うのでした。
「ただ、お相撲に合ったことをすることだよ」
「そうしないとですね」
「今みたいになるんですね」
「かえって怪我が多くなる」
「そうなるんですね」
「そう、同じ格闘でも格闘の仕方が違うからね」
 そうしたKー1等とお相撲はというのです。
「そこも考えないとね」
「そういえば柔道部と空手部は稽古違いますしね」
「同じ道着でも」
「道着の生地の厚さも違いますし」
「そうしたことを見てもですね」
「考えないといけないですね」
「そうなんだ、お相撲はお相撲だよ」
 このことは念頭に入れておかないといけないというのです。
「ちゃんと柔軟をして四股とか踏んで」
「ちゃんこも食べる」
「そうしないといけないんですね」
「そういうものなんだ」
 先生は穏やかな声のまま皆にお話します。
「だから気をつけてね」
「そうします」
「いや、僕達も目が覚めました」
「それですね、やっぱり」
「お相撲はお相撲ですね」
「力士の筋肉があって」
「稽古の仕方や食事があるんですね」
 部員の皆も反省しています、それもとても。 
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