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Liber incendio Vulgate

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Edizione straordinaria
  Along the way 2

 
前書き
φ(..)  

 
「良いぞ。俺の実験には持ってこいの場所だ」


【最深学区】に来た《騎城優斗(きじょうゆうと)》は【TEACHER(ティーチャー)】の所へ行くまでの道程(みちのり)で何やら怪しげに呟いている。

優斗は《神薙悠持(かんなぎゆうじ)》に敗れてから【STUDENT】に入った後で自分の戦闘能力がメンバーの中であまり高くないことに気付いた。

その克服を兼ねて色々と試行錯誤した結果、遂に今までの壁を越えて新しい領域に足を踏み入れることとなる。


「演算やプログラムの書き換え、操作に留まっていては駄目なんだ。この世のあらゆることを数式に、【自分だけの現実(パーソナルリアリティー)】に新たな『理論(セオリー)』と『論理(ロジック)』を組み込んで進化する」


弱さは罪だ。

それを教えてくれたのはこの世界だ。

そして世界が優斗に教えてくれた本当に大切な事とはたったそれだけだった。

弱さは何も救えない、
最も大切なものまで喪失(うしな)ってしまう。


「花夜さんと出逢うまでに散々思い知らされたせいで身に付けざるを得なかったからなあ。“ どんな手を使っても勝つ ”っていう意地と生きるための執念ってやつを」


彼もまた地獄を生き抜いてここまで這い上がって来た者の一人。今のままでは終われない。


「【最深学区】の住人で実証は出来た。後は俺自身に能力を使って存在を書き換える。さてさて、一体どんなことになるのかな?」


優斗は両手を自分の頭に添えて限界まで演算しながら能力を発動させる。

脳がオーバーヒートを起こそうと構わずに数値を【自分だけの現実(パーソナルリアリティ)】に打ち込み続けた。

学園都市の超能力とは【認識のズレ】

この現実は『見る者』の思う通りに歪んでしまう性質を持つ。小さなミクロと大きなマクロでは物理法則も異なるので一概には言えない。

何故その力が生まれたのか、そこにどんな仕組みがあるのか、その法則を操ることは出来ないのか。

先ずは己が知り()る限りの世界と理想の世界を頭の中でシミュレートして構築する。


(人間にはどれだけ努力しても辿り着けない高みがある。だが俺はそれでも上に昇りたい欲求が有る。だから【人間以外】の力を借りる。そうだ、俺自身が【普通の人間】を超えれば良い。今の『常人』という枠を飛び越えて新たな領域(ステージ)へ踏み込むんだ)


人が理解出来ない領域ならば、
人を超えた存在になれば理解が出来るはず。

《騎城優斗》は自分を諦めてはいない。

前を行く者達の背中に追い付こうと手を伸ばし、必死に藻掻き足掻いているのだ。

彼の頭部から少しずつ血管が浮き上がっていく。

それは足の指先に至るまで。

全身の汗腺(かんせん)が開き、
汗が滝のように流れ出す。

凄まじい苦痛と負荷が優斗に絶え間無く襲い掛かってくる。それを歯を食い縛り身体を痙攣(けいれん)させながら、ただ只管(ひたすら)に演算と数値の入力を行い続ける。


(はあ…苦しいなあ……。俺は、一体何でこんな思いをしてまで頑張ってるんだろうな……)


だが彼は止めない。どんなに辛く耐え難い苦しみだろうと自傷行為と同様の能力使用を実行する。

そして遂に彼の身に変化が起こり出した。見て解るような劇的なものではないが、優斗には解る。

常人の力は最低でも1だ。

最深学区ともなると1千が最低となる。

何故そんな違いが出てしまうのか。

それは環境と世界の仕組みによるのだろう。

学園都市のある地上と地下にある【第0学区】とは同じ世界にあるように見えるが全くの別世界。

比喩(ひゆ)ではなく物理的にそうなっている。それは第0学区にいる人間達も知らない真実だ。

ただ言えるのは第0学区という存在は異世界というわけではない。神の御業(みわざ)に匹敵するか、それ以上の科学力で建造された人工の異世界。

何故そんなものが造られたのか定かではないが、第0学区の頂点に立つ【統括官(キング)】ならば真相を知っているのかもしれない。

外の世界が滅ぼうと魔神が襲来しようと揺るがない深遠に広がる【封絶葬殺界(ケーラウェルト)】が何の為に創造されたのか。


(ああ……見える、見えるぞ。俺はこれで限界を超える。超えることが出来る。この瞬間を一日千秋の想いで待っていた。さあ行こう、今こそ次の世界へ)


日常とはあっさりと壊れるもの。

常識とはいとも簡単に(くつがえ)るもの。

そして世界とは見方によって変わるもの。

人それぞれは千差万別。

能力や個性もまた(しか)り。


「これで花夜さんには勝てるかもしれない。悠持のやつは解らないけど前のようにはいかないぞ。まあ今は戦る理由も無いんだけどな」 
 

 
後書き
優斗君を始めとしてLEVEL6の人間も伸び代が余ってるのでまだまだ強くなれます。 
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