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英雄伝説~光と闇の軌跡~(碧篇)

作者:sorano
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第181話

~最果ての道~



「ベル……………」

「エリィさん………」

「なんつー、えげつない殺し方をしやがるんだ………」

「………”古代遺物(アーティファクト)”を管理しているって話は聞いたけど……まさかその”古代遺物(アーティファクト)”を利用した挙句、”認められた暗殺”をするなんてね。」

「クスクス、”やっぱり”こうなったわねえ?」

塩の山と化し、死体すら残らなかったマリアベルの成れの果てを見たエリィは涙を流して崩れ落ち、エリィの様子を見たティオは辛そうな表情をし、ランディとサラは厳しい表情でケビン達を見つめ、レンは凶悪な笑みを浮かべ

「うわ~……人間を短時間で”塩”にするなんて本当に恐ろしい”古代遺物(アーティファクト)”だね~。」

「あまりにも惨い殺し方ですね………」

ミリアムは表情を引き攣らせ、エマは目を伏せて重々しい様子を纏って呟いた。

「クッ………!これが”星杯騎士団”のやり方か!?」

「あまりにも身勝手過ぎませんか!?マリアベルさんは法の裁きを受けるべき存在だったんですよ!?」

ダドリーとロイドは怒りの表情でケビン達を睨んで叫び

「……話には聞いていたけど、まさか”ここまで”するなんて………」

「………こんな事が世界中に知れ渡ったら、七耀教会の信者達による暴動が起きるかもしれませんね………」

リィンとエリゼは重々しい様子を纏って呟いた。

「すまんなあ………これが”オレら”のやり方なんや。」

「……彼女とイアン・グリムウッドは”後戻りできない”大罪人”――――”外法”。以前にも説明しましたが”外法”を”狩る”のが私達”星杯騎士団”の”もう一つの役目”なのです。なお、イアン・グリムウッドに関しては今後のクロスベル帝国との関係を考え、貴方達に身柄を譲る事にしたのです。」

「ま、だからこそエラルダ大司教は僕達の事を毛嫌いしていたのさ。過去、彼の部下が汚職によって追放され、その恨みで猟兵団を雇って教会の施設を襲わせた事で”外法”認定されてケビンに”狩られた”事が決定的みたいだったけど。」

「”煉獄”で出会った”オーウェン”……ですね。」

ケビン達の話を聞いたリタは目を伏せて呟き

「………だからエラルダ大司教は”星杯騎士団”をクロスベルに呼ぶ事に猛反対していたのですね………」

「………もしかしたら、例え罪を犯しても、犯した罪を償ってやり直せると思い、それを無下(むげ)にする”星杯騎士”達が許せないと思っていたからかもしれないわね……」

ノエルとエオリアは複雑そうな表情で呟き

「ケビンさん……………」

「……例えマリアベルさんが悪人だとわかっていても、知り合いの人に殺される瞬間は見たくなかったよ………」

エステルとミントは複雑そうな表情でケビンを見つめ

「人を”塩”にする……恐ろしい呪具ですね………」

「ええ………絶対に世には出してはいけませんし、創る事すら許さない行為ですね……」

「というか今ある分も壊して2度と使い物にならないようにした方が世の為だと思うよ……」

セティやエリナ、シャマーラは重々しい様子を纏って塩の山を見つめた。

「ロイド、イアン先生の治療は終わったわよ。」

「何とか一命は取り留めたよ。」

その時イアンの治療を終えたセシルとキーアがロイド達に近づき

「そうか……………――――後はキーアを助けるだけか………」

二人の答えを聞いたロイドは安堵の溜息を吐いた後、気を取り直して繭に視線を向けた。するとその時繭は大型の異形の姿になり、膨大な神気をさらけ出し始めた!



「……ぁ……………」

異形を見たエリィは厳しい表情で異形を睨み

「この”神気”は………!」

「馬鹿な………もはやエイドスと大差ない程の”神気”だぞ……!」

「――――気を付けて下さい!目の前の碧き存在はもはや”神”と同等の存在です……!」

フィーナは驚き、ツァイトとエマは厳しい表情で叫び

「………”虚ろなる(デミウルゴス)”……いえ、この大樹との関係を考えると”碧の虚(デミウルゴス)”と言った所ですか……まさかクロイス家がこれ程の”至宝”を創り上げるなんて……!」

エイドスは重々しい様子を纏って呟いた後厳しい表情で異形―――”碧のデミウルゴス”を見つめた。

「えええええええええええええっ!?女神様と同じ強さっ!?」

「そ、そんな………!神様と戦って勝てるの!?」

「”神”だなんて………そんな非常識すぎる相手に僕達人間が勝てるのか!?」

「アハハ………これはさすがに僕でも正直、逃げたいよ~………」

一方エリオットは驚き、アリサとマキアスは不安そうな表情をし、ミリアムは苦笑した後大量の冷や汗をかいて表情を引き攣らせ

「皆、弱気になるな!勝機は必ずある!絶対に諦めるな!」

ヴィクターは真剣な表情で叫び

「父上の言う通りだ!皆、構えろ!」

「何としてもここであの碧き存在を無力化するわよ!」

「フン、偽りの”神”が相手か。ゼムリア大陸の命運を賭ける決戦の相手として、相応しい相手だな……!」

「俺達も全力で協力します、エイドス!」

「空の女神(エイドス)や複数の神々が味方なのだから、わたし達の勝率も決して低くない……!」

ラウラやサラ、ユーシスとガイウス、そしてフィーも次々と武器を構えた。するとその時、碧の”デミウルゴス”は片手に膨大な神気を溜め始めた!

「!!周囲の空間の歪みを感知!気を付けて下さい!何かとんでもない事が起こります!!」

「そのとんでもない事って何なんだっつーの!?」

ティオの警告を聞いたランディは厳しい表情で叫び

「クッ……!お願い、間に合って!」

「”ミトスの民”よ……どうか私達を守って……!」

「「イースよ………!」」

「お願い……!”あの時と同じ状況”になって……!」

ミントは唇を噛みしめて両手から戦場全体を照らす神秘的な光を放ち、クレハやフィーナ、エイドス、キーアは全身から神気をさらけ出しながら祈った。そして”碧のデミウルゴス”が片腕を振るったその時、キーアとロイド達以外全員――――エステル達やセリカ達、”Ⅶ組”のメンバーや他にもエイドスを含めた多くの仲間達が消えた!

「なっ!?リィン!?エリゼさん!?」

「エステルさん達やセリカさん達まで消えました……!」

「オイオイオイッ!?何が起こったんだ!?」

「みんなは一体どこに………」

周囲を見回したロイド達は混乱していた。



~異空間~



「………?あら?一体ここはどこかしら?な~んか、見覚えがある景色だけど………」

異空間の足場に転移して来たカーリアンは目を見開いて周囲を見回して首を傾げ

「!?お、おい、リース!この場所は……!」

「”幻影城”で姉様……いえ、ケビンの”聖痕”と決着を付けた所……!」

同じように転移して来たケビンとリースは信じられない表情をし

「ハアッ!?じゃあここは”影の国”なの!?」

リースの言葉を聞いたカーリアンは驚いた後信じられない表情をした。

「………もしかして………」

その時ケビン達の傍にいるエイドスは真剣な表情で考え込みながら呟き

「!!エイドスさん、無事やったんですね!?」

「その様子だと今の状況がわかるのですか?」

「他の人達はどこに飛ばされたか、わかるかしら?」

エイドスに気付いたケビン達はそれぞれ真剣な表情で尋ねた。するとその時、異空間からケビン達にとって見覚えがあり、”影の国”の最終決戦で戦った相手にして”碧のデミウルゴス”の力で強化された”碧き意志”アニマ=ムンディ・ゼロがケビン達の目の前に現れた!

「んなっ!?」

「”影の国”のケビンの”聖痕”………!」

「ハアッ!?ちょっと!一体どうなっているのよ!?さっきケビンに殺された女が完成させた”至宝”のコピーの本物を作ったアンタなら何か知っているんじゃないの!?」

”アニマ=ムンディ・ゼロ”を見たケビンは信じられない表情で口を大きく開け、リースは厳しい表情で叫び、リースの叫びを聞いたカーリアンは驚いた後エイドスに視線を向けた。

「―――”因果”です!”零の至宝”は因果を操り、時空にも干渉する存在!クロイス家の末裔が死に際に”零の至宝”を暴走させた事が原因だと思います!恐らくここを含めた他の人達も、その中で最も因果関係が深い相手が出て来ると思います!」

「チッ、そう言う事かいな!?確かに奴とオレの因果関係は深いな……!」

「しかも以前以上の力を感じる……!」

「恐らく”零の至宝”の力によって強化されています!」

「要するに私達が元の場所に戻るにはアイツを殺せばいいんでしょう!?」

エイドスの説明を聞いたケビンは舌打ちをした後、”アニマ=ムンディ・ゼロ”を睨み、リースとエイドスはそれぞれ厳しい表情で敵を睨み、カーリアンは双剣を構え

「他の人達に連絡は取れませんか!?」

リースはエイドスを見つめて真剣な表情で尋ねた。

「連絡を取り合う事は無理ですが………異空間に飛ばされた方達に状況を説明する事はできます!」

「だったら他の飛ばされた連中に伝えといた方がいいわよ!何も知らない状態だったら、不意打ちをされて全滅よ!」

「わかりました!」

そしてカーリアンの指示に頷いたエイドスはその場で祈ると共に膨大な神気をさらけ出して、他の異空間にいる仲間達に念話を送り、状況を説明した………………… 
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