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新説赤頭巾

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第一章

                 新説赤頭巾
 赤頭巾ちゃんはお母さんに言われて森の中に住んでいるお祖母さんに届けものをすることになりました、ですが。
 その赤頭巾ちゃんにです、お母さんは言いました。
「森には怖い狼がいるから」
「だからなのね」
「そう、用心しないといけないから」
 だからだというのです。
「これを持っていきなさい」
「これは」
「スタンガンよ」 
 赤頭巾ちゃんにそのスタンガンを差し出して言うのでした。
「いいわね」
「ええと、これをなのね」
「狼が来たらね」 
 その時はというのです。
「狼に当てるの」
「そうすればいいの」
「そう、使い方はね」 
 赤頭巾ちゃんにスタンガンの使い方も教えます。
「こうするのよ、わかったかしら」
「うん」
「気をつけていってきてね」
「わかったわ」
 赤頭巾ちゃんはお母さんの言葉に頷いてでした、そのうえで。
 森のお祖母さんのお家に向かいました、届けものを入れているバスケットボックスの中にスタンガンを忍ばせて何時でも出せる様にその中に手を入れながら。
 そうして歩いているとです、赤頭巾ちゃんの前からです。
 猟師さんが何匹もの猟犬を連れて来ました、その手には鉄砲を持っています。
 その鉄砲を手にです、猟師さんは赤頭巾ちゃんに尋ねました。
「狼や熊を見なかったかい?」
「いえ、まだ」
「そうか、それはよかった」
 猟師さんは赤頭巾ちゃんの返事を聞いて微笑みました。
「見なかったのならね」
「この森には狼が出るからですね」
「そう、だからね」
 それでというのです。
「こうして猟師仲間で順番で見回ってるんだ」
「そうしてるんですか」
「パトロールだよ」
 まさにそれをしているというのです。
「狼や熊が出たらね」
「撃つ為にですね」
「狼が人を襲ったら大変だからね」
「はい、お母さんに言われました」
「うん、お嬢ちゃんも用心してるかな」
「お母さんがスタンガンを持たせてくれました」
 赤頭巾ちゃんは猟師さんにそのことをお話しました。
「ちゃんと」
「それがいいよ、本当に狼にはね」
「注意してですね」
「行くんだよ、それで何処に行くんだい?」
「森のお祖母ちゃんに届けものをしに」
「ああ、あの森の奥の婆さんの家か」
「はい、あそこまで」
 このこともお話するのでした。
「行ってきます」
「そうか、じゃあ途中ね」
「狼に注意してですね」
「いくんだ、熊もいるかも知れないから」
 猟師さんはこの生きもののお話もします。
「注意するんだよ」
「熊が出たら死んだふりですね」
「いや、それは何の意味もないよ」
「そうなんですか」
「それよりもこれを持って行くんだ」
 こう言ってです、猟師さんは赤頭巾ちゃんにあるものを差し出しました。それは何個かの小さいボールでした。 
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