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真の醜悪

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第三章

「近頃思っておる」
「卑劣で醜悪だから」
「それで、ですね」
「ああした連中こそが」
「最も卑しいですね」
「学者だの弁護士だのいうが」
 それでもというのだ。
「他人を貶め善人、聖者顔をしてその嘘を広めて暴利を貪るなぞな」
「無間地獄に落ちても当然ですね」
「それこそ」
「全くだ、しかしな」
 それでもというのだった、ここで閻魔は。
「一つ思うのだが」
「と、いいますと」
「それは一体」
「実は前から考えていたのだ」
 こう赤鬼と青鬼に言うのだった。
「悪人同士を組ませてはどうかとだ」
「最も悪い者達をですか」
「そうしてですか」
「そうだ、そうすればどうした悪いことをするのかとな」
「そうしたことを考えでしたか」
「大王様は」
「そうだ、どうしたことになると思う」
 赤鬼と青鬼に問うた。
「その場合は」
「わかりませんね、一体」
「悪と悪が重なればですか」
「それがどうなるか」
「どういった悪になるか」
「そうだな、だからだ」:
 それでというのだ。
「あの者達を集めて同盟なり結ばせ」
「そして、ですか」
「どういった悪事をするか」
「見たい」
「そうお考えですか」
「あくまであの連中の心の中に見せてだ」
 そうするというのだ。
「実際に悪事なぞ働かれてはな」
「はい、人界でですね」
「そうすれば人界の善人達が迷惑をしますな」
「生きている時も散々迷惑をかけていましたから」
「それでまた悪事を働かれては」
「善人達が迷惑をします」
「善人達に迷惑はかけぬ」
 そこは絶対だとだ、閻魔も赤鬼と青鬼に強く言う。
「ここは迷惑をかけた悪人の罪を償わせるところであるしな」
「この地獄は」
「まさに」
「だからあの者達の心の中に出す」
 人界、人の世でなくというのだ。
「そうするとしよう」
「それではですね」
「今よりですね」
「あの者達の心の中に見せますか」
「あの連中に全て手を組ませれば何をするか」
「どの様な悪事を働くか」
「それを行うとしよう、人は何処まで悪を為せるか」
 閻魔はこうも言った。
「見ておかねばならんしな」
「人の悪の極みはどういったものか」
「そのこともですな」
「我々も知らなくてはならない」
「そういうことですな」
「悪の極みを知ればだ」
 それこそというのだ。
「裁きにも活かせるからな」
「では」
「それでは」
「これよりな」
 その近年地獄によく来る学者やジャーナリスト、弁護士や政治家、市民活動家の心の中に彼等が手を組ませ一つにさせた、そのうえで自由に行動させてみた。
 するとだ、そのうえでの行動は。
 嘘を言う、捏造報道を行う、それを拡散して善良な市民を騙し扇動する。 
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