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英雄伝説~光と闇の軌跡~(碧篇)

作者:sorano
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第162話

~碧の大樹ー神域ー~



「ハハ……って、何やあの魔獣の軍団は!?」

苦笑しながら見守っていたケビンはある方向に視線を向けて叫んだ。ケビンが視線を向けた方向―――――建物へと続く道からは魔獣の軍団がゆっくりとロイド達に向かっていた。

「何て数……!」

「へえ?歓迎されているみたいだねえ?」

「オイオイオイ……!よく見たら幻獣までいやがるぞ!?」

魔獣の軍団を見たエリィは驚き、ワジは口元に笑みを浮かべ、ランディは目を細め

「……こんな真似をしてくるという事は……敵は相当切羽詰っているという証拠だな………」

「ええ……エイドス様達が妨害しているせいで、キーアさんの力を活用できないのですし……」

セリカが呟いた言葉を聞いたエクリアは静かな表情で答えた。

「うん!今こそブライト家の底力を見せるときね!」

一方エステルは口元に笑みを浮かべて呟き

「へ……」

「エステルさん?」

エステルの言葉を聞いたロイドは呆け、リースは首を傾げた。

「せっかく”ブライト家”が先祖や子孫が勢揃いしているんだから、景気づけにみんなにあたし達の”絆”の力、見せてあげましょうよ!」

「アハハ……おじいちゃんを忘れていない、ママ?」

エステルの話を聞いたミントは苦笑しながら尋ね

「あんな不良中年親父は数に入れなくてもいいわよ!――――来て、みんな!!」

尋ねられたエステルは答えた後パズモたちを召喚した!

「う、うわあっ!?いきなり魔獣や竜が……!」

「それに妖精や天使までいます……!」

「あ……ありえない……一人の人間がこれ程の多くの異種族を従えるなんて!?」

パズモたちを見たエリオットとエマ、セリーヌは驚き

「彼女達が噂に聞く”ブレイサーロード”の守護者達―――――”六異将”か……」

「……全員が漂わせている雰囲気からして、只者ではないな……」

ヴィクターとラウラは真剣な表情でパズモたちを見つめた。

「――――いえ、正しくは”七異将”ですわ。」

「なっ!?ま、まだいるのか!?」

「……後一人は一体誰なんだろうか?」

フェミリンスが静かに呟いた言葉を聞いたマキアスは驚き、ガイウスは静かな表情で尋ねた。

「―――”姫神”フェミリンス。……つまり私ですわ。」

「えええええええええええええっ!?め、女神が人間に従っているの!?」

「馬鹿な……そんな事がありえていいのか!?」

「ア、アハハ……まさか”ブレイサーロード”がここまで”規格外”だなんてね~。」

「……さすがは女神にして英雄の一族。」

「うわ~……マジでカシウスさんをとっくに超えているじゃない、あんた……」

フェミリンスの答えを聞いたアリサやユーシスは信じられない表情をし、ミリアムは表情を引き攣らせ、フィーは静かに呟き、サラは驚きの表情でエステルを見つめていた。



「やれやれ……相変わらず滅茶苦茶な事ばかり提案するな、エステルは……」

「フフ、そこがお母さんのいいところじゃない。」

「それでこそママだもんね!」

ヨシュアは呆れた表情で呟きながら『干将・莫耶』を構え、ヨシュアの言葉を聞いたサティアは微笑みながら『天秤の十字架(ラクスリブラクルース)』を構え、ミントは嬉しそうな表情で『エターナルソード』を構え

「だ~か~ら~!その”お母さん”って言うのは止めてって何度も言ってるでしょう!?」

サティアの言葉を聞いたエステルはサティアを睨んで言ったが

「お母さんったら、酷いわ……どうして私ばかり……ミント姉さんに母扱いされても怒らないのに……私だとどうして怒るの?」

「う”……サティアさん、性格が変わりすぎじゃない!?何時の間にそんな図太い性格になったのよ!?」

悲しそうな表情をしているサティアの言葉を聞いて唸った後ジト目でサティアを睨んだ。

「誰のせいで変わったと思っているのよ……」

(クク、我は以前より今の性格の方がいいと思うがな。)

エステルの言葉を聞いたパズモは呆れた表情で溜息を吐き、サエラブは口元に笑みを浮かべ

「アハハ……エステルさん、大目に見てあげたらどうですか?サティア様にとっては2度と会えないはずの大好きな母親に会えたのですから。」

「そうね……それにサティアが今まで悲しい運命を生きてきたのはエステルも知っているんでしょう?呼び方ぐらいは許してあげなさいよ。」

テトリとニルは苦笑しながらエステルを見つめ

「う”……その話を持ち出すのは卑怯じゃない…………ハア……もうあたしの負けよ……これからは好きに呼んでいいわよ……」

二人の話を聞いたエステルは唸った後疲れた表情で溜息を吐いた。

「フフ……ありがとう、お母さん。」

エステルの答えを聞いたサティアは微笑み

「エ、エステルちゃんが根負けするなんて……」

「……さすがはエステルさんの血の繋がった娘……」

「ハハ、ブライト家の女性は色々な意味で本当に強い人ばかりですから……」

ケビンは表情を引き攣らせ、リースは静かな表情で呟き、ヨシュアは苦笑していた。

「なっ!?」

「お、”お母さん”ってまさか……!」

サティア達の会話を聞いていたマキアスは驚き、アリサは信じられない表情でエステルを見つめ

「フフ……そう言えば最後まで名乗るのを忘れていたわね。―――――サティア・ブライト・シルフィル。お母さん――――エステルの実の娘で……今はセリカの”第七使徒”にして妻よ。」

「ええええええええええええっ!?エ、エステルさんの実の娘!?」

「……しかもセリカ殿の妻と仰ったが……」

サティアの答えを聞いたエリオットは驚き、ラウラはセリカに視線を向け

「フッ……――――エステル。一応聞いておきたいのだが俺も”ブライト家”の数に入れられているのか?」

視線を向けられたセリカは静かな笑みを浮かべた後エステルに尋ね

「当然じゃない!セリカは将来あたしの義理の息子になるんだからね!」

尋ねられたエステルは力強く頷いた。

「アハハハハハハハハッ!”神殺し”が人間の義理の息子って……考えただけでも笑いが止まらないわ!」

「フフ……でもセリカ様がエステルさんのご息女であるサティア様と結婚すれば、セリカ様はエステルさんにとって義理の息子になりますね。」

エステルの言葉を聞いたカーリアンは腹を抱えて笑い、エクリアは微笑み

「というか冗談抜きで今目の前にいる”ブライト家”が本気になればゼムリア大陸を滅ぼせると思うのですが。」

「確かにこんな出鱈目連中が揃っていたらなあ?」

ティオはジト目で呟き、ランディは疲れた表情で溜息を吐いた。


「……まあ、エステルの事だからそう言うだろうと思った。――――来い、ハイシェラ!」

「ハハハハハハハッ!”神殺し”と”姫神”に加えて”地の魔神”たる我の加護を受けられるとはなんと幸運な一族だの!」

セリカは苦笑しながら『魔剣ラクスハイシェラ』を構えた後ハイシェラを召喚し、召喚されたハイシェラは高笑いをしながら『創世の神剣』を構え

「フフ……―――勿論セリカ様の”使徒”である私達も存分に力を震わさせて頂きます。エステルさん―――いえ、ブライト家は私達―――セリカ様の”使徒”にとっては恩人なのですから。マリーニャ、シュリ、サリア、レシェンテ。――――それにエオリア。みんな、行くわよ。」

エクリアは微笑みながら答えた後『神剣フェミリンス』を構え

「はいはい、わかっているわよ。”影の国”以来ね、こんな大規模な戦闘は。」

「ま、”影の国”の時と比べたら楽勝じゃがの!」

マリーニャとレシェンテは口元に笑みを浮かべてそれぞれの武器を構え

「レシェンテ、油断しては駄目よ。」

シュリはレシェンテに警告をした後武器を構え

「サリア、一杯頑張るです~!!」

「やれやれ……こんなとんでもないメンバーと一緒に戦うなんて気後れするけど……後輩に後れを取る訳にはいかないものね。」

サリアは無邪気な笑顔で答えた後武器を構え、エオリアは溜息を吐いた後不敵な笑みを浮かべて武器を構え

「当然、私とナベリウスも”ブライト家”に力を貸すよ、エステル。エステル……いえ、”ブライト家”がこの世に存在していたからこそ主は幸せになれるのだから。」

「……エステル……セリカの……恩人……わたしたち……セリカの……使い魔…………サティア……合わせて…………セリカ……幸せにしてくれた……今度は……わたしたち…………エステル達……恩を返す……出番………………」

リタはエステルを見つめて微笑み、ナベリウスは静かに呟いた。



「アハハ……みなさんの足を引っ張らないように頑張らないと!」

「私達の”絆”の力は誰にも破れないの!」

「フフ……話通り太陽のような人ね……」

ナユタは苦笑しながらセティ達によって強化、さらに”ミトスの民”であるクレハの力が込められた剣―――――『コスモブレード』を構え、ノイは勝ち誇った笑みを浮かべ、クレハは微笑みながらエステルを見つめ

「それじゃあ僕達も行こうか、フィーナ、エレナ。それに……エイドス。」

「はい、アドルさん。私はいつも貴方の側に。……例え離れていても私の心はいつも貴方の側にいますよ。」

「フフ……”影の国”でも実現できなかった親子の共闘ですね。」

アドルは『神剣イースフェイヴァー』、フィーナは『聖空の神杖』、エレナは『聖剣エクスカリバー』を構え

「……懐かしいですね。これ程の多くの者達と共に力を合わすなんて……それも今度はお父様達と共に力を合わす事になるなんて。」

エイドスは静かな笑みを浮かべて異空間から”空の神槍ウル”を出して構え

「フッ……あの時と違うのはあの時以上の英傑が揃っている事だな。」

ツァイトは口元に笑みを浮かべた後膨大な霊圧や神気を纏いながらエイドスの横に並び

「まあ、ツァイトったら酷いですね。その言い方からすると夫達が弱いみたいな言い方じゃないですか。」

ツァイトの言葉を聞いたエイドスは目を丸くした後ツァイトを見つめ

「……そうは言っておらん。お前自身もわかっているだろうが。今この場にいるあの者達――――セリカ達はあまりにも”規格外”な存在である事を。」

「フフ、それぐらいはわかっていますよ。」

ツァイトの話を聞いて苦笑しながら頷いた。



「す、凄すぎる豪華メンバーだな……」

「え、ええ……あのメンバーならどれほどの数の魔獣が来ようと返り討ちにされる気がするわ……」

全員並んで武器を構えた”ブライト家”に関係する者達を見たロイドは表情を引き攣らせ、エリィは冷や汗をかいて苦笑しながら言い

「う、嘘っ!?」

「め、女神様が武器で戦うの!?」

「しかも槍……という事は前衛なのか……」

「そ、それに……あの槍からもそうですが、他の方達が持っている武器からもとてつもない霊圧を感じますよ……」

エイドスの持っている武器を見たアリサとエリオットは驚き、ガイウスは目を丸くし、エマは大量の冷や汗をかいてエイドスやエステル達が持つ武器に視線を向け

「へえ?これは見物(みもの)じゃないか。僕達の崇めていた”神”どころか、その一族が最前線で戦うなんて。」

「女神自身に加えてその一族達が最前線で戦う等……”聖戦”と言ってもおかしくないぞ……!」

ワジは口元に笑みを浮かべ、アッバスは真剣な表情で叫び

「ハ、ハハ……冗談抜きで今から始まる戦いって、後の聖典に載るんとちゃうか?」

「…………後の”聖典”に記す為に”星杯騎士”として、この目に焼き尽くして後世にしっかりと伝えないと。」

ケビンは表情を引き攣らせ、リースは真剣な表情でエステル達を見つめていた。

「さあ―――――行くわよっ!!」

そして棒―――――『ラクスフェミリンス』を構えたエステルは号令をかけ

「おおっ!!」

ヨシュア達が号令に力強く答えた後魔獣の軍団に果敢に向かって戦闘を開始した!



今ここに!”空の女神”の一族にして”英雄”の一族である”ブライト家”が結んだ”絆”による奇跡の共闘が始まった…………! 
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