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川赤子

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第五章

「妖怪も色々ですね」
「何度も言うけれど警察は科学的でない話にはお手上げだから」
 普通の警察はというのだ。
「川に落ちても勝手に落ちたとかになるから」
「落ちた分だけ損」
「私達のですね」
「そうなるから自分達で気をつけてね」
 巡査はこう言うしかなかった、そして。
 巡査が乗って来た自転車で去るのを二人で見送ってからだ、明はひかるにこんなことを言った。
「赤ちゃんの妖怪か」
「それもあちこち移動する」
「そんな赤ちゃんもいるんだな」
「妖怪でね」
「そりゃ俺も大人になったらな」
 就職して、というのだ。
「子供は欲しいさ」
「それでもよね」
 ひかるも言う。
「そんな赤ちゃんはね」
「勘弁して欲しいな」
「そうよね」
「全くだよ」
 こう言う明だった、そして帰ろうとすると。
 また赤子の声が聴こえてきたので一応だった。
 二人で泣き声がした橋の下の方に行って探したが赤子はおらず今度は水草が生い茂っている方から声がした。
 それでだ、明もひかるもその泣き声の方に言った。
「その手は食わないからな」
「残念でした」
 こう言って帰り道につくとだ、そこで舌打ちの声がした。だが二人はそれに構わず。
 帰路を進んでだ、ひかるはその中で明に言った。
「今度の日曜部活休みだし」
「それでか」
「どっか行く?」
「どっかってもう今月のお小遣いねえぞ」
「じゃあうちに来てゲームする?」
「それでまた餅食うのか?」
「お父さんが好きだから」
 ひかるの親がというのだ。
「いつもあるから」
「何か御前の家に行ったら何時でも餅あるな」
「お正月でも何時でもね」
「親父さん本当に餅好きだな」
「焼いてね、それ食べながら」
「ゲームか」
「そうする?」
「じゃあそうするか」
 明はひかるのその提案に頷いた、そうした話をしながらだった。
 二人で家に帰った、もう川の方を見ることはなかった。


川赤子   完


                        2016・8・24 
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