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『零と先輩』

作者:零那
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『逃げ』



感動の再会とは、なんか違うかった。
でも、逢えたことが凄く嬉しかった。
二度と逢えんって思い込んでたあの頃が懐かしかった。
いろんな話をした。
楽しかった。
あの頃に戻れた気がした。
このまま先輩と居たかった。
いや、あんなとこから逃げたかった。

『ほらまた逃げる。
全然頑張ってないやん。
逃げてばっかやん。
迷惑もかかるやんか。
せやから自分の過去ともシッカリ向き合えんのんちゃうんか』

自分の中の自分が発破をかける。

『ちゃんと帰らなあかん。
嫌でも帰るべき場所はひとつしかない。
帰る場所が在るだけ幸せや。
自分の道はシッカリ決めなあかん。
今この状況は脱走した時と同じや。
めっちゃ迷惑かけてるし。
同じ過ちは二度とあかんで』

先輩に対しては何故か、子供みたいに駄々っ子になってしまう気がする。
何故か...未だに謎のままやけど。

いつも一緒に居たら甘えっぱなしになるんだろうか。
寄りかかって、単なる荷物より重い荷物になってしまうんだろうか。
そう思ったら少し怖かった。

先輩に頼るのは本当に、いざという時だけにせなあかん。
その時そう誓った気がする。

再会した意味はあったから良かった。


 
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