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聖闘士星矢 黄金の若き戦士達

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121部分:第十四話 死者の顔その八


第十四話 死者の顔その八

「集まるのはな」
「わかった。それではな」
「そこでな」
 他の黄金聖闘士達も彼の言葉に頷くのであった。
「じゃあな。話は終わったな」
「はい」
 ムウが一同を代表して答えた。
「これで。終わりです」
「ならさっさと帰りな」
 デスマスクは彼等にそれぞれの宮に帰るように促した。
「何時狂闘士共が来るかわからねえんだ。用心しねえとな」
「ふふふ、そうですね」
 ムウが彼の言葉に楽しそうに笑った。
「その通りですね。確かに」
「何かおかしいのかよ」
「いえ」
 それは否定するムウだった。
「では明日楽しみにしていますので」
「で、ここにはいねえけれどな」
 デスマスクは最初からいなかった一人についても言及した。
「シャカの奴も誘うぜ」
「シャカか」
 カミュはシャカの名を聞いて少し微妙な顔を見せた。
「あの男は来るのか。誘っても」
「どっちにしても声はかけねえと駄目だろ」
 これはデスマスクの考えだった。
「一人でも抜けたらそれだけ寂しくなるからな」
「それはそうだな」
 アルデバランはデスマスクのその言葉には納得する。
「やはりシャカがいなくてはな。最後はな」
「そうだな。やはり」
 シュラもデスマスクの考えに賛同した。
「声だけは誘わなくてな」
「ただ。サガとアイオロスは来ないでしょう」
 アフロディーテはこう読んでいた。
「それでも御二人にもですね」
「それが礼儀だからな」
 アイオリアが述べた。
「やはり。全員に声をかけるべきだな」
「そういうことだ。まあ詳しい話は後になるな」
 デスマスクは彼等の話をまとめて述べた。
「それでいい。全てな」
「よし。それではだ」
 ミロが最後に応えた。
「明日楽しみにしておく」
「じゃあな」
 去っていく仲間達に対して背中越しに声をかける。最後に声をかけた彼はそのまま巨蟹宮の中に残った。そこで鈴を鳴らし人を呼んだ。
「おい、誰かいるか」
「はい」
「デスマスク様何か」
「少しここを離れるぜ」
 こう彼等に告げるのだった。
「ジャミアン達とちょっと行って来る」
「左様ですか、それでは」
「どうぞ」
「御苦労だったな」
 聖衣の兜の部分を脱いだ。
「俺がいない間この巨蟹宮をよく守ってくれた。礼を言うぜ」
「いえ、それはまた」
「我等の責務ですので」
 従者達は畏まってデスマスクに告げる。
「お気遣いなく」
「それは」
「まあ今は休んでろよ」
 軽く彼等に告げた。
「ゆっくりとな」
「はあ」
「そう仰るのなら」
「ワインは届いたか?」 
 今度は彼等にこう問うてきた。
「モーゼルワイン。どうだ?」
「はい、今日」
「あれは一体」
「差し入れだよ」
 宮の奥に向かいながら彼等に話した。擦れ違ってからだった。
「御前等にな。好きなだけ飲め」
「それも宜しいのですか?」
「ワインも」
「ソーセージやハムも届いてただろ」
 このことも彼等に問うた。
「それで楽しくやりな」
「わかりました。それでは」
「御言葉に甘えて」
「俺も楽しんでくる」
 また従者達に言う。
「御前等もな。息抜きをしときな」
「有り難うございます」
「背負うのは俺一人でいい」
 今の言葉は従者達には届かなかった。
「俺一人でな。黄金聖闘士だけがな」
 この言葉と共に宮の奥へと姿を消した。デスマスクはその背に死者達の呻き声を聞いていた。しかしそこに彼が知っている顔が五つだけないことには気付いていなかったのだった。


第十四話   完


                 2008・10・5
 
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