| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

『零と先輩』

作者:零那
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

『哀愁』



時間は無情にも過ぎ去る。
寒い冬が来る。
3年生は卒業の準備。

あの時の思い出も、この時の思い出も、全てが無くなる...もう、楽しい時間がなくなる...
そう思うと辛かった。
こんなに学校生活が楽しくなるとは想像もしてなかった。

先輩の自転車の後ろに乗ったことがある。
自転車の名前はジョニー。
後ろに立って乗ると、景色が綺麗だった。
世界が変わって見えた。
風が気持ちよかった。

何気ないこと、当たり前のこと、零にとってはソレが些細な幸せだった。
他の子にとって普通なことでも、零にとっては普通じゃなかったから。

新鮮な経験もいっぱい出来た。
変に思われないように知ったかぶってみたりもした。
内心ビックリしてることや感動してることも、抑えたりした。

でも、先輩には嘘がバレてる気がした。
先輩の笑顔がそう感じる。
何もかも見透かされてるみたいで恥ずかしくなったりもした。

当時、付き合ってた人や好きな人はそれなりに居た。
それでも先輩と一緒の時間が1番楽しかった。
先輩は零のことを解ってくれてる人だから素直になれたし、見栄も虚勢も張らずに居れた。
たぶん自分らしく居れる唯一の存在で、凄く居心地が良かった。


 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧