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聖闘士星矢 黄金の若き戦士達

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105部分:第十二話 ベルゼブブのカナンその六


第十二話 ベルゼブブのカナンその六

「この程度で死ぬかよ」
「そうか。まずは安心した」
 今のサガの言葉は彼の本心そのものだった。
「生きていて何よりと言っておこう
「まずはそれはいいんだがな」
 しかしここでデスマスクは言う。
「どうやら。喜んでばかりもいられないぜ」
「うむ」
 このことはサガも把握しているようである。静かに頷いたのがその証だった。
「そのようだな。それはな」
「いるんだろ、おい」
 デスマスクはこれまでカナンがいた場所に顔を向けて問うた。
「違うか?死んだなんてのは全く思っちゃいねえぜ、俺はな」
「ふむ、気付いていたか」 
 デスマスクの予想通りだった。不意にカナンの声が聞こえてきた。
「やはりな」
「気付かねえ筈ねえだろ?」
 やはり見ているのはそれまでカナンがいた場所であった。
「それだけ小宇宙を撒き散らしておいてな」
「小宇宙か」
「そうさ。お互いな」
 口元に笑みさえ浮かべての言葉だった。
「あの程度で死ぬわきゃねえんだよ」
「その通りだ」
 ここでそのカナンが姿を現わした。やはり今までいたその場所にだ。
「私は健在だ。この通りな」
「だと思ったぜ。ベルゼブブの名は伊達じゃねえってことかよ」
「貴様も。流石は黄金聖闘士の一人」
 また睨み合う。しかしそれでも今は二人共動こうとはしていない。
「さあ、仕切りなおしといくか?」
「そこまでわかっているのなら言う必要も無いと思うが」
「へっ、確かにな」
 デスマスクは笑うだけで構えを取ろうとはしていなかった。それはカナンも同じだった。
「生憎だがもう闘うだけの小宇宙はねえな」
「私もだ」
「残念だが後日再戦ってわけだな」
 見ればカナンも構えを取ってはいない。二人共小宇宙はかなり減ってしまっていた。
「その時こそ手前を完全に潰してやるぜ」
「それはこちらとて同じこと」
 デスマスクを見据えているがそれでも動こうとはしない。
「キャンサー、今度こそ貴様を倒す」
「じゃあまたな」
 おどけて右手を振ってみせての言葉だった。
「手前を面白い場所に案内してやるぜ」
「ふむ。楽しみにしていよう」
 ここまで言って姿を消してきたカナンだった。
「その時のことをな。同志達の仇はきっと取る」
「ああ、あの五人かよ」
 デスマスクはそこまで聞いても平然とした様子だった。
「あの連中もまあ大したことはなかったな」
「大したことはなかったか」
「そうさ。俺の相手は手前だけだ」
 カナンを指差して言う。
「それは覚えておけよな」
「覚えておくまでもない」
 姿は完全に消えつつあるがそれでも応えはするのだった。
「貴様は同志達の仇だからな」
「案外狂闘士ってのはしみったれた連中だな」
「果たして我等だけかな」
「何っ!?」
「それは貴様等聖闘士とて同じだと思うが」
「へっ、少なくとも俺は全然違うぜ」
 今のカナンの言葉に口の左端を歪めさせるデスマスクだった。
「俺だけはな。このデスマスク様はな」
「果たしてどうかな」
 また言うカナンであった。
「貴様とて。そこのジェミニに加勢を頼まなかったのはそうではないのか」
「何をだよ。意味がわかんねえな」
「貴様一人で私に対することでジェミニに余計な負担を欠かせまいとした。違うか」
「さてな」
 とぼけるデスマスクだった。
 
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