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英雄伝説~光と闇の軌跡~(碧篇)

作者:sorano
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外伝~アルフィン皇女の決意と覚悟~

~アルバレア公爵邸~



「そ、そんな…………!?エレボニア帝国が今までそんな事を…………!?それにオズボーン宰相がそんな組織と付き合っていたなんて…………」

「ハルトマン議長の事は知っていましたが、そんな昔からクロスベルはそのような状況だったなんて…………!?しかも”百日戦役”の裏側でそんな……エレボニアが守るべき領民達を犠牲にして、戦争を起こす口実を作っていたなんて…………!?」

ヴァイスとリセルの話を聞いたセドリック皇子とアルフィン皇女は愕然とした表情をし

「そうだ。貴様らエレボニアはリベール欲しさに自国の民を犠牲にした上その事実を世間から隠し、長い年月の間、クロスベルの民達から多くの財産を搾取し、挙句の果てには己の欲を満たす為、守るべき民を犠牲にしたにも関わらず、肝心のエレボニアは謝罪するどころか”権力”で揉み消したか知るまい!?そしてクロスベルの民達が貴様らエレボニア帝国にどれほどの怒りや恨みを抱いているのかも知るまいっ!俺の話が嘘だと思うなら、エレボニア帝国の”権力”に長年煮え湯を飲まされたマクダエル元議長やクロスベル警察関係者にでも聞くがいいっ!そして俺達はそんなクロスベルの民達を救うため、立ち上がったのだ!さらにお前達の兄―――オリヴァルト皇子もエレボニアから”鉄血宰相”という”害虫”を駆除する為にどれほど陰で動いていたかや自分なりに考えてクロスベルを守ろうとしていたかも知るまい!?」

ヴァイスは怒りの表情で二人を睨んで怒鳴った!

「「……………………………………」」

ヴァイスの言葉を聞いた二人は辛そうな表情で黙り込み

「――――貴様らを処刑する事はしない。貴様らの”無知”という”罪”は”死”という単純な”逃げ”で贖える程軽くはない。」

ヴァイスは厳しい表情で二人を見つめて言った。

「……………………僕は……僕達はこれからどうすればいいんですか………………?」

一方セドリック皇子は呆けた表情で呟き

「自分で考えろ。仮にもエレボニア帝国の皇位継承者だろうが。そのぐらいもできんのか?」

「………………………」

厳しい表情で自分を睨んで言ったヴァイスの言葉に何も返さず、悔しそうな表情で黙り込み、両手の拳を握って身体を震わせていた。

「……………………………ヴァイスハイト陛下。提案があります。」

その時黙って考え込んでいたアルフィン皇女は決意の表情でヴァイスを見つめて言った。

「何…………?」

「……………?」

アルフィン皇女の言葉を聞いたヴァイスとリセルは眉を顰め

「ア、アルフィン……?一体何を……」

セドリック皇子は戸惑いの表情でアルフィン皇女を見つめた。



「…………どうか我が弟セドリックを教育して頂き……立派な為政者に育て上げ、今後納める事になるクロスベル帝国の領地――――元エレボニア領の領主にしてください…………!どんな小さな領でも構いません…………!」

「ア、アルフィン!?」

頭を深く下げて言ったアルフィン皇女の言葉を聞いたセドリック皇子は驚き

「…………何故わざわざ反乱の可能性を自分から作る必要がある。万が一セドリック皇子を元エレボニア領の領主にでもすれば、その皇子を旗印にいずれ反乱が起きるぞ。」

「……………………」

ヴァイスは目を細めてアルフィン皇女を見つめ、リセルは警戒した様子でアルフィン皇女を見つめた。

「いいえ!絶対に反乱は起きませんし、起こさせませんわ!」

「…………何故、そんな確信した答えが言えるのか、その理由を聞こうか。」

真剣な表情で言ったアルフィン皇女の言葉を聞いたヴァイスは真剣な表情で促した。

「……何故なら…………セドリックの件を引き受けてくれる代わりに私が貴方の元に嫁ぐからですわ……!」

「ええっ!?」

「なっ!?」

そして若干頬を赤らめて叫んだアルフィン皇女の話を聞いたセドリック皇子とリセルは驚き

「……………………」

ヴァイスは呆けた表情で黙り込み

「――――なるほど。確かにお前を俺の妻の一人にしてしまえば、人質の役割にもなる上、エレボニア帝国の皇家であるアルノール家が俺達に忠誠を誓う証拠にもなり、エレボニアの民達もある程度納得するから、反乱の可能性はある程度潰せるな。」

すぐに気を取り直して納得した表情になった。

「それだけではありませんわ。敗戦国の皇族であるセドリックを立派な為政者へと育て上げる事で元エレボニア帝国の民達に対して、クロスベルが簒奪者の国ではなく慈悲深い国であると印象付けて反乱の可能性を大きく減らす事ができますし、皇族直系の血を引いている私を娶れば”国”としても周辺諸国から認められるはずです……!」

「ア、アルフィン………………」

「た、確かに我々にとっても利には適っていますね…………」

アルフィン皇女の答えを聞いたセドリック皇子とリセルは驚きの表情でアルフィン皇女を見つめ

「ほう?弟とは若干違うようだな…………」

ヴァイスは感心した後真剣な表情で考え込みながらアルフィン皇女を見つめ

「しかしお前はその発言に今後お前自身がどれだけ苦しめられる事になるのか気付いているのか…………?――――国を滅ぼした男にその身を蹂躙され、敗戦国の姫君として民に嘲られ続ける肩身の狭い立場で一生を過ごし……挙句の果てには生まれてきた子供、その子の血を引く子孫達もその血の系譜が途絶えるまで永遠に俺達から警戒され、決して良い立場にはなれないのだぞ…………?」

そして厳しい表情でアルフィン皇女を見つめて尋ねた。



「そ、そんな……!?アルフィン!僕の事は気にする必要はないよ!もっと自分を大切にして!」

ヴァイスの説明を聞いたセドリック皇子は表情を青褪めさせて叫んだが

「セドリック、貴方は黙っていなさいっ!!」

「……………………」

アルフィン皇女の一喝を聞いて黙り込んだ。

「…………そこまでの考えには到りませんでした。しかしそれなら貴方方クロスベルにとっても丁度良いのでは?」

「何…………?」

自分を見つめて言ったアルフィン皇女の言葉を聞いたヴァイスは眉を顰め

「実際そうなれば私達エレボニア帝国…………いえ、アルノール家が長年苦しめてきたクロスベルへの”贖罪”になります。」

アルフィン皇女は身体を僅かに震わせながら寂しげな笑みを浮かべて答え

「私はどうなっても構いません………!ですから……どうか弟を…………セドリックを立派に育てて下さい……!そしてできればお父様とお母様、オリヴァルトお兄様の命を奪うのだけは止めてください…………!」

ヴァイスの正面に移動して頭を深く下げた!

「アルフィン………………」

「……………………」

アルフィンの行動を見たセドリックは呆け、リセルは複雑そうな表情で黙り込んだ。

「…………………………」

一方ヴァイスは真剣な表情でアルフィン皇女を見つめ続け

「――――その覚悟、ここで見せてもらおうか。」

「え…………」

「ヴァイス様、まさか……………」

そして立ち上がってアルフィン皇女に近づき、ヴァイスの言葉を聞いたアルフィン皇女は呆け、ヴァイスの行動を見たリセルは真剣な表情になった。



「そこまで言うならば今この場で俺に犯されても良いのだな?」

「………………どうぞ…………お好きになさって下さい…………唯できれば、せめてセドリックはこの場から遠ざけて下さい………………」

ヴァイスに見つめられたアルフィン皇女は必死に震える身体を両手で抱きしめて押さえつけ、青褪めさせながらも決意の表情でヴァイスを見つめて言った。

「アルフィン!」

「―――させません。」

それを見たセドリックは駆けだそうとしたが、リセルに拘束された!

「離して下さい!このままだとアルフィンが……!」

リセルに拘束されたセドリックは喚きながら拘束を解く為に暴れ

「――――貴方の行動はアルフィン皇女の決意と覚悟を侮辱する行為です。真に姉君を想うなら、姉君の決意と覚悟を受け止めなさい。」

「でも、でも……!」

リセルの言葉を聞いた後反論しようとしたが言葉が見つからず答えに詰まりながら涙を流して暴れていた。

「―――――セドリック。」

その時アルフィン皇女が振り向いてセドリック皇子を見つめ

「”アルノール”の名に恥じない為政者になってね…………」

優しげな微笑みを浮かべて言い

「アルフィン………………」

アルフィンの微笑みを見たセドリック皇子は呆けた表情で黙り込んだ。

「さあ…………どうぞ…………好きなだけ私を犯してください……………まだ殿方には肌すら見せた事もありませんゆえ、陛下を喜ばせる事はできないと思われますので…………もしご不満でしたら、私にしてほしい事があれば命じて下さい…………陛下の望むままに奉仕を致します………………」

そしてアルフィン皇女はその場で跪いて静かな表情でヴァイスを見上げて言った。

「…………………………」

一方ヴァイスは真剣な表情でアルフィン皇女を見下ろし続け

「フフ………ハハ………ハハハハハハハハハハハッ!!」

静かな笑みを浮かべた後やがて大声で笑い始めた!


「え…………………」

突如笑い始めたヴァイスを見たセドリック皇子は呆け

「フフ…………どうやらアルフィン皇女はヴァイス様に”認められた”ようですね………」

リセルは微笑み

「あ、あの…………?私、何かおかしな事でも言いましたか…………?」

アルフィン皇女は戸惑った表情で尋ねた。

「いや………………何もおかしな事は言ってないさ。―――――見事な決意と覚悟だ!さすがは我が友、オリビエの妹だけはあるな。見直したぞ!………………今この場で先程までの貴女に対しての無礼や暴言を詫びよう。――――申し訳なかった。」

一方ヴァイスは静かな笑みを浮かべて答えた後嬉しそうな表情で答え、そしてその場で跪いてアルフィン皇女の目の前で頭を深く下げた。

「え?え??」

ヴァイスの行動を見たアルフィン皇女は戸惑い

「あ、あの………これは一体……?」

セドリック皇子は不思議そうな表情をしてリセルに視線を向け

「――――ヴァイス様がアルフィン皇女を認めた以上、ヴァイス様はアルフィン皇女の願いを聞き届け…………さらに今後アルフィン皇女のお辛い立場は少しは和らぐ事になるでしょう。――――そうでしょう、ヴァイス様?」

リセルは優しげな微笑みを浮かべて答えた後ヴァイスを見つめた。

「さすがはリセル。わかっているな。」

「これでも貴方の”元”正妃ですから。――――どうやらお二人をかつてのマルギレッタ姫のように育て上げるつもりですね?」

静かな笑みを浮かべて立ち上がりながら言ったヴァイスの言葉を聞いたリセルは苦笑しながら頷いた後微笑みを浮かべて尋ね

「ああ。まだ成人もしていないのにこれ程の決意と覚悟ができるくらいだ…………アルフィンは下手をすればマルギレッタをも超えるし、姉でこれなのだから弟の方もいずれは”化ける”可能性は十分にある。」

尋ねられたヴァイスは口元に笑みを浮かべて答えた。

「あ、あの…………?一体何のお話をされているのですか……?」

その時アルフィン皇女は戸惑った表情で尋ねた。



「――――いずれわかる。それよりアルフィン皇女……いや、アルフィン。お前の願い、確かに聞き届けた。必ずやセドリックを立派な為政者に育て上げて、いずれ我がクロスベル領となる領地を任せよう。――――それも小さい領地どころか、大きな領地を任せよう。例えばこのバリアハートのような領地をな。」

「本当ですか!?ありがとうございます…………!空の女神(エイドス)よ、貴女のお慈悲に感謝致します……!」

ヴァイスの答えを聞いたアルフィン皇女は明るい表情をして立ち上がった後その場で祈り

「――――ただし、先程の条件―――お前が俺の妻の一人となる事は確定事項だ。しかも正室ではなく、側室という形だ。それはいいな?」

「…………はい。皇族ですからいずれ政略結婚する事はわかっていましたし…………覚悟はできています。」

真剣な表情で自分を見つめて言ったヴァイスの言葉にアルフィン皇女は寂しげな笑みを浮かべて頷いた。

「とは言っても俺は女性全員を等しく愛し、幸せにする主義だからな。いつか必ずお前に俺を惚れさせ、俺の妻となったことが幸せである事を思い知らせてやろう。何せ俺の好きな物の一つは女性の笑顔であり、嫌いなものは女性の涙だからな!」

そしてヴァイスは口元に笑みを浮かべてアルフィン皇女を見つめて答えた後笑顔になり

「まあ…………クスクス…………本当にオリヴァルトお兄様のお話通りの方ですね。エレボニアでは”帝国の至宝”と称されているこの私を娶るのですから、ちゃんと私を幸せにしてくださいね♪」

ヴァイスの答えを聞いたアルフィン皇女は目を丸くした後微笑み、そしてからかいの表情になってヴァイスを見つめて言い

「フッ……任せておけ。それとお前もいずれは俺の妃の一人になるのだから、立派な姫君へと育てるつもりだから弟同様さまざまな事を教育するつもりだから覚悟しておけ。教育とは言っても勉強ばかりでなく、外に出て民の生活を知り、民の声を聞く事もある。――――”真の皇族”になる道は生半可な道ではないぞ?」

「フフ、望む所ですわ♪」

口元に笑みを浮かべて言ったヴァイスの言葉を聞いたアルフィン皇女は嬉しそうな表情で言った。

「え?え??」

「フウ…………どうせその事に関してはそのままだろうと思っていましたよ…………」

二人の様子を見たセドリック皇子は首を傾げ、リセルは呆れた表情で溜息を吐いた。



「―――さてと。俺はリウイ達にアルフィン達の件や今後についての話し合いに行って来る。リセル。アルフィンとセドリックは”貴賓”として扱ってくれ。」

「了解しました。」

リセルに指示をしたヴァイスはその場から去ろうとしたが

「おっと、そうだ。前金をもらうのを忘れていたな…………」

すぐに立ち止まって、アルフィン皇女の近くまで戻って、何の前触れもなくアルフィン皇女の唇を奪った!

「~~~~~~!!!????んんっ!?ちゅ………ちゅるる……!?」

ヴァイスに口付けをされた挙句、さらに舌をも絡めるほどの深い口付けをされたアルフィン皇女は顔を真っ赤にして混乱し

「あわわわわわわっ!?」

「ハア………………ヴァイス様……少しは場所を考えて行動してくださいよ…………」

セドリック皇子は顔を真っ赤にして慌て、リセルは疲れた表情で溜息を吐いた。

「フッ。前金は確かにもらったぞ。残りの金の支払い――――お前の身体はお前が俺に惚れた時に奉げてもらおう。」

「もう………!いきなり乙女の唇を奪うなんて、紳士としてどうかと思いますわよ……?しかも今のがファーストキスだったんですからね……!」

口元に笑みを浮かべて言ったヴァイスの言葉を聞いたアルフィン皇女は真っ赤な顔で頬を膨らませてヴァイスを睨み

「いずれ俺に惚れた時、そのファーストキスも良い思い出である事に気付くだろう。」

「フフ…………とてつもない自身をお持ちですわね。そう言う所もオリヴァルトお兄様とそっくりですわ。」

そしてヴァイスの言葉を聞いたアルフィン皇女は微笑みながらヴァイスを見つめた。

「まああいつと俺は本当に色々と共通している所があるからな。―――それでは失礼する。」

アルフィン皇女の言葉に答えたヴァイスは外套を翻してその場から去って行き

「本当に強引な方………………でも…………あんな素敵な殿方になら…………この身を犯されても………………フフ…………もう…………私の心は……貴方に…………奪われてしまいましたわ………………早く……私の身体も…………奪って下さいね………………」

アルフィン皇女はヴァイスが去って行った方向を頬を赤く染め、うっとりとした表情で見つめ続けて指でキスをされた唇をなぞった後呟き

「ア、アルフィン?どうしたの??顔が真っ赤だよ??」

「全く………………生まれ変わってからさらに強力になっていませんか?ヴァイス様…………」

アルフィン皇女の様子を見たセドリック皇子は戸惑い、リセルは溜息を吐いた後疲れた表情で片手で頭を押さえた。



後にアルフィン皇女は弟共々ヴァイス達、そしてオリヴァルト皇子の教育によって立派な皇族へと育ち……ヴァイスの側室の一人となり…………黄金軍馬が誇る皇族達の一人―――――”黄金軍馬の姫君の中の姫君(プリンセスオブプリンセス)”としてゼムリア大陸中にその名を轟かせ、後の歴史に弟や兄共々名を残し……その誇り高く、慈悲ある行動は永遠に民達に伝えられ……伝説の存在となった………………また…………ヴァイスとの結婚式を挙げた際、セドリック皇子やオリヴァルト皇子達――――家族や知人達に祝福されながら自分と共に嫁ぐヴァイスの多くの美しき妃達と共にウエディングドレスを着てアルフィン皇女の一生の中で最高の笑顔を見せたという……………… 
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