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英雄伝説~光と闇の軌跡~(碧篇)

作者:sorano
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外伝~貴族の義務(ノブレス・オブリージュ)~

~アルバレア公爵邸~



ヴァイス達が屋敷に突入する少し前、”アルバレア公爵家”の長男、ルーファス・アルバレアはバリアハートまでにある砦――――オーロックス砦に配属されていた兵士で、運良くも哨戒任務で攻撃範囲外にいた為、生き残り、そして急ぎバリアハートに帰還して来た領邦軍の兵士から報告を聞いていた。

「……………そうか。オーロックス砦は完全に壊滅していたのか…………」

報告を聞いたルーファスは重々しい様子を纏って呟き

「はい…………!アハツェン、機甲兵、飛行艇の軍団、全て僅か数分で敵の戦艦や”竜”のような姿をした化物の軍団によって殲滅され……オーロックス砦は完全に崩壊しました……!あれは……あれは…………”戦争”ではなく、唯の”虐殺”です…………!」

兵士は悔し涙を流しながら報告した後叫んだ。

「まさかメンフィルとクロスベルがそのような兵器を手に入れていたとは……!」

「おのれ…………!我等の財産を封じて、さらに宗主国たる我らエレボニアに侵攻までしてくるとは、恥知らず共が……!」

周囲の兵士達は怒りの表情で呟いた。

「報告!都市内に展開している味方部隊、ほぼ8割が壊滅しました!なお、敵軍の中には”英雄王”と”空の覇者”、さらには”殲滅天使”の姿があったそうです!!」

その時他の兵士が慌てた様子で部屋に入って来て報告し

「…………何だと?リウイ陛下自らがこのバリアハートを攻めているだと……?」

報告を聞いたルーファスは信じられない表情をし

「ば、馬鹿な…………”魔王”自らがバリアハートに攻めてきただと……!?」

「しかも”空の覇者”や”殲滅天使”までいるなんて……!」

「本気でこのエレボニアを滅ぼすつもりなのか……!?」

兵士達は混乱したり、表情を青褪めさせていた。するとその時、戦いの喧騒や誰かの叫び声が聞こえてきた!

「なっ!?まさか……!」

喧騒や叫び声を聞いた兵士は驚き

「もうここまで攻めてきたのか…………?」

ルーファスは厳しい表情で呟いた。

「報告!屋敷内に敵部隊が侵入!守備隊が応戦していますが長くは持ちません!ルーファス様!早くお逃げ下さいっ!!」

ルーファスが呟いたその時部屋に慌てた様子の兵士が入って来て表情を青褪めさせた状態で叫んだ。



「………………総員、アルフィン皇女並びにセドリック殿下をヘイムダルへお連れし、バルヘイム宮にいる父上やカイエン公と合流し、今後に備えよ。」

一方ルーファスは考え込んだ後真剣な表情で兵士達を見回して指示をし

「そんな……………ルーファス様はどうされるおつもりですか!?」

ルーファスの指示を聞いた兵士は血相を変えて尋ね

「私はここに残り、殿下達を逃がす時間を稼ぐ。お前達は何としてもお二人をここから逃がせ。」

尋ねられたルーファスは腰につけた鞘から細剣を抜いて構えて答えた。

「まさか…………ここで玉砕されるおつもりなのですか!?」

「我々が残ります!ですのでどうかルーファス様はお逃げ下さい!」

「ルーファス様にもしもの事があればユーシス様がどれほど悲しむか……!」

ルーファスの答えを聞いた兵士達は血相を変えて叫んだが

「黙れっ!!」

ルーファスの一喝によって全員黙り込んだ。

「皇家の方達を薄汚い簒奪者から命を賭けてお守りする…………これは貴族たる私の”義務”だ。貴族ではない貴様らにこの私に意見する資格はない。」

「ルーファス様…………………………」

高貴な雰囲気を纏って答えたルーファスの話を聞いた兵士は悲痛そうな表情をし

「それにユーシスにも”貴族の覚悟”も教え込んである。だからユーシスの事も心配するな。」

「…………………………」

ルーファスの話を聞いた兵士達はそれぞれ重々しい様子を纏って黙り込んだ。

「行け!何としてもお二人をバリアハートから逃がせっ!グズグズしているとメンフィルやクロスベルがお二人に危害を加えるぞっ!」

「イエス、マイロード!」

「今まで貴方にお仕えする事ができて幸せでした、ルーファス様!」

「どうかご武運を!!」

「空の女神よ!どうか我が主に勝利を!」

そしてルーファスの指示に兵士達はそれぞれ涙を流しながら敬礼した後部屋を出て行った。



「………………すまない、ユーシス。お前は何としてでも生き延び…………”アルバレア”の血を絶やさず…………平民達を導いてくれ…………」

兵士達が部屋を出て行くとルーファスは静かな表情で呟いた。するとその時

「グアアアアアッ!?」

「申し訳ありません……ルーファス……様…………」

「アルフィン皇女…………セドリック殿下…………どうかお逃げ…………」

兵士達の呻き声が聞こえ

「アルフィン皇女にセドリック皇子だと?まさか…………この屋敷内にいるのか!?フッ、ついているな。―――リセル!お前は兵達と共に屋敷内にいるアルフィン皇女とセドリック皇子を捕えろ!」

「かしこまりました、ヴァイス様!総員、これよりエレボニア皇室関係者の捕縛を開始する!私に続きなさいっ!」

「イエス、マム!」

「数名は俺と共に来いっ!!」

「ハッ!!」

ヴァイスとリセルや兵士達の声が聞こえた後、数人の足音が聞こえ、そして扉が斬撃によって真っ二つにされて破壊され、そこからヴァイス率いる数人の兵士達が部屋に雪崩れ込み、それぞれの武器をルーファスに向けた!


「ルーファス・アルバレアか?」

兵士達の先頭にいるヴァイスは一歩前に出て静かな表情で尋ね

「いかにも。そういう貴殿は”六銃士”の一人――――”黄金の戦王”にして先日の”宣言”にて愚かにも”皇帝”を名乗ったヴァイスハイト・ツェリンダーだな?」

尋ねられたルーファスは静かな表情で答えた後真剣な表情で尋ねた。

「フッ、”四大名門”に名を知られているとは随分と有名になったものだな。それに血と伝統に囚われ、内戦を起こした貴様らに”愚か”と言われる筋合いはないな。」

ルーファスの言葉を聞いたヴァイスは口元に笑みを浮かべて呟いた後嘲笑した。

「…………”国”とは尊き血を引く者達に導かれる事によって成り立つもの。それを平民の分際で”王”を名乗るとは恥を知れっ!」

対するルーファスは厳しい表情でヴァイスを睨んで叫び

「”平民”か。まあ、間違ってはいないが一つだけ訂正しておこう。俺はかつて”庶子”の身であった者だ。よって我が魂には尊き王族の誇りが刻み込まれてある。」

ルーファスの叫びを聞いたヴァイスは全身に”覇気”を纏って答えた。

「何だと…………!?………………いいだろう。そこまで言うのなら貴殿のその誇り……見せて見るがいい…………!」

ヴァイスの話を聞いたルーファスは驚いた後武器を構え

「望むところ……!お前達は手出しをするなっ!これは誇り高き決闘だ!」

「ハッ!」

そしてヴァイスも武器を構えて叫んだ後兵士達に指示をし、ルーファスとの決闘を開始した!ルーファスの剣の腕は決して低くなく、何度かヴァイスとの斬り合いはできたが、実戦経験の差が余りにも違うため、徐々に押され始め、ついにヴァイスの剣がルーファスが持つ剣を自分の愛剣―――『ダーンウィン』で根本まで斬り落とし、その事に驚いたルーファスの隙を狙ったヴァイスが剣でルーファスの心臓を貫いた!



「ゴホッ!?…………み…………ごと…………貴殿の…………尊き誇り…………確かに…………見せて…………もらった………………」

ヴァイスの剣で心臓を貫かれたルーファスは口から大量の血を吐き、そしてヴァイスが剣を抜くとよろよろと後ろに下がり、壁にぶつかって地面に崩れ落ちた!

「…………そちらこそ見事だった。久方ぶりに誇り高き貴族を見せてもらったぞ。貴殿の気高さを称賛し、遺言があるのなら聞こう。」

崩れ落ちたルーファスにヴァイスが近づいてルーファスを見下ろして言った。

「……………どうか…………屋敷内に軟禁されている…………アルフィン皇女とセドリック皇子には危害を加えないで…………頂きたい…………そして…………もし…………我が弟ユーシスに会う事があれば…………伝えてくれ………………どんな立場になろうと…………貴族の義務(ノブレス・オブリージュ)を…………忘れるなと…………!」

ヴァイスに見下ろされたルーファスは口から血を垂らしながらヴァイスを見上げて呟き

「――――いいだろう。アルフィン皇女並びにセドリック皇子には危害を加えない事、そして貴殿の弟―――ユーシスにも危害を加えない事を今この場で約束し、貴殿の遺言をユーシスに必ず伝えよう。」

「感謝する………………さらばだ…………クロスベルの…………覇王…………よ……………………………………」

ヴァイスの答えを聞いた後満足げな笑みを浮かべながら目を閉じて絶命した!

「……………惜しい男を亡くしたな。―――――全員、黙祷っ!!」

絶命したルーファスの遺体をヴァイスは静かな表情で見つめながら言った後その場にいる兵士達と共に黙祷し

「全軍に通達!敵将ルーファス・アルバレアはこのヴァイスハイト・ツェリンダーが討ち取った!我が軍の勝利だ!」

そして武器を掲げて叫んだ!

「オォオオオオオオォォォオ―――――ッ!」

「お、俺達がエレボニアに勝ったんだ……!」

「さすがは”六銃士”…………!」

ヴァイスの叫びにその場にいる兵士達は歓声を上げ

「―――それと。戦闘終了後はその男は手厚く葬ってやれ。」

「ハッ!」

「討ち取った敵を手厚く葬るなんて、普通は考えられないな………」

「何て慈悲深い人だ……!」

ヴァイスの指示に兵士達は答えたり、尊敬の眼差しでヴァイスを見つめていた。



~駅前通り~



「くぅ…………閣下……………申し訳…………ありませ…………ん…………」

一方その頃、ラクリールとの激しい戦闘を繰り広げていたクレアは愛用の銃はラクリールの剣によって真っ二つにされ、そしてラクリールの魔力を込めた強烈な拳を腹に受けた際、悔しそうな表情で戦闘不能になると共に気絶して地面に倒れ

「安心しろ。貴様はこれから真の主に出会い、仕える事になり、そして愛され、幸せになるだろう。あの方は決して我らを”駒”扱いしない。」

ラクリールは気絶したクレアを拘束した後クレアを抱き上げてその場から去り始め

「クレア……大尉…………!」

「おのれ…………”六銃士”め…………!」

「無念………!」

「貴様らが…………いなければ…………閣下は………………」

「閣下………どうか……我々の悲願を必ず………グフッ!?………」

鉄道憲兵隊の兵士達はアルとアシュラクナーナの軍団、途中から参戦したクロスベル、メンフィルの連合軍の兵士達によって全滅し、それぞれ悔しそうな表情で絶命し

「敵の殲滅、完了。――――私達の勝利です!」

アルは武器を剣を掲げて叫び

「オォオオオオオオォォォオオオオオオオオオオオ―――――ッ!」

アルの叫びに呼応するかのように周囲の兵士達もそれぞれの武器を掲げて歓声を上げた!



こうして…………”四大名門”の一つ、”アルバレア公爵家”の本拠地であるバリアハートはクロスベル、メンフィルの連合軍によって完全に制圧された…………! 
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