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ドリトル先生の名監督

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第一幕その一

                 ドリトル先生の名監督
               第一幕  相変わらずのサラ
 サラはこの時日本に来ていました、そのうえでお兄さんに対して眉を顰めさせてお説教みたいに言うのでした。
「兄さんもそろそろね」
「またその話かい?」
「何十回でも言うわよ」
 先生のお家でお茶を飲みつつ言うのでした。
「結婚よ」
「そうした頃だっていうんだね」
「そう、折角教授になって」
 そしてというのです。
「こうした立派なお家だって手に入ったから」
「仕事に収入、そしてお家」
「もうよ」
「結婚していい頃なんだね」
「というかね」
 それこそというのです。
「兄さん一生独身のつもり?」
「そう言われると」
「そのつもりはないでしょ」
「まあ僕もね」
 あまりはっきりしていない返事です。
「結婚はね」
「する気あるでしょ」
「そうだよ」
「それならよ」
「僕も結婚をなんだ」
「いい人いないの?」
「いないよ」
 このことははっきりとした返事でした。
「僕には」
「本当に?」
「うん、いないよ」
 先生はこう思っていますが。
 周りの動物達はです、そんな先生にやれやれといったお顔です。
 ですがその皆に気付かないままです、先生はサラに言うのです。
「残念ながらね」
「いても気付いていないんじゃないの?」 
 サラはそのものずばりという返事でした。
「兄さんのことだから」
「そう言うんだ」
「だって兄さん恋愛とか全く駄目だから」 
 このことをよく知っているサラです、伊達に妹ではありません。
「気付いていないだけじゃないの?」
「そんなことはないよ」
「どうだか、お見合いとかは」
「ううん、そうした話はね」
「来ないのね」
「うん、僕にはね」
「日本ならね」
 サラは今自分達がいるこの国のこともお話します。
「奇麗な人も多いし」
「だからっていうんだね」
「そう、兄さんみたいな人だと」
 それこそというのです。
「いい人が奥さんになってくれるわよ」
「スポーツは全然駄目で太っていてこの顔でもかい?」
「あのね、人は顔じゃないの」 
 それこそというのです。
「性格よ」
「性格なんだね」
「そうよ、それこそね」
 何といってもというのです。
「兄さん温厚で公平な紳士だから」
「それでなんだ」
「そう、普通によ」
「そうかな」
「そう、だからね」 
 先生の様な人にはというのです。
「兄さんには相手がいるわよ」
「昔からもてたことはないよ」
「何言ってるのよ、兄さん女の人にも人気あるわよ」
「そうなのかな」
「だから人柄でね」 
 そのことが見られてというのです。 
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