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艦隊これくしょん【転移した青年の奮闘記】

作者:Bloo-D
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北方作戦
  第15話 北方大海戦 Ⅱ

 
前書き
本格的な海戦の始まり。描写は前哨戦の時とほぼ同じですのであまり期待しないで下さい…… 

 
……主人公サイド……



≪ゴオォーーン!ズガンッ……ズガーン!≫

一航戦と二航戦から発艦した攻撃隊による航空攻撃を合図に北方海戦の幕がきっておとされた。
現れた敵艦は重巡ネ級(ウィチタ)と軽巡ヘ級(クリーブランド級)2隻、更に駆逐艦イ級(フレッチャー級)3隻。

座蒲郎「第三水戦!航空機の支援の下、単縦線にて敵艦隊に突撃!砲雷戦でもってこれを迎撃せよ‼︎」

『了解!』

≪ザザ〜〜〜……≫

次いで艦隊の先頭を航行する第三水戦に指示を送って敵艦隊へと突撃を開始。

≪ドンッドンッ……グワァーーン!≫

≪シュパッ!シュルルルル……ズドーーン!≫

十分に距離を詰めてからの砲雷戦が展開し……

≪ズズッ……≫

ものの十数分で敵艦隊は皆轟沈してケリがついた。
こっちの損害は皆無に等しいものだったから初戦から快調の滑り出しだ。

ーーーー

金剛「テートク、私達のTurn(出番)が無いのは流石に気がlonely(寂しい)デース!」

座蒲郎「ボヤくな金剛。心配すんな、どうせ獲物はわんさか居るんだからさ」

金剛「了解デース!」

とはいえ初戦で出番が無かった事に不服な金剛だが、闘いはまだ始まったばかり。金剛達の出番は遅かれ早かれやって来る。その証拠に……


加賀「提督、偵察機が我が方へと迫る敵艦隊を補足。空母ヲ級からなる機動部隊です」

飛龍「提督、電探に感あり!11時の方角、距離およそ42000‼︎」

アイオワ「Admiral、レーダーに敵艦隊の反応有り!軽母ヌ級と戦艦タ級からなる艦隊に間違いありませーん‼︎」

敵は次から次へと押し寄せて来る。しかも詳しい報告によると3方から迫り来る布陣だった。

座蒲郎「三個艦隊で挟み撃ちにして挟撃するつもりだな?ならば望む所だ。
全艦に告ぐ!これより我が艦隊は迫り来る敵艦隊に航空攻撃と砲雷戦を仕掛けこれを撃滅する!一発も撃ち漏らさないよう努力せよ‼︎」

『了解(デース)!』

敵の策を勘繰った俺は敵の策に乗りながらも迎撃すべく各艦に指示を与え、闘いは更にヒートアップしようとしていた。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

……アナザーサイド……



時を同じくして第二攻略部隊では……

≪ザザ〜〜〜……≫

≪グオォーーン……!≫

アムチトカ島の南東およそ400海里(約740km)の辺りを北へと航行していた。
そこへ……

≪……≫

瑞鶴「⁉︎伊勢、偵察機より入電!‘我、艦隊に接近する敵攻撃隊と艦隊を補足!’‼︎」

『!』

五航戦の瑞鶴から偵察機からの報告が入った。それは艦隊へと接近する敵艦隊と攻撃隊の報せだった。
更に……

≪……≫

雲龍「偵察機からの報告。‘北西から押し寄せる敵艦隊を確認、戦艦タ級を主力とする打撃部隊。’っとのことです」

雲龍からの報告で新手の艦隊が確認された。これは第二攻略部隊が敵に発見された事を意味する証拠だった。

伊勢「そう来たわね。
全艦!これより我が艦隊は本格的な戦闘へと突入する!間違っても陸軍部隊が狙われないよう努力して‼︎」

『了解!』

一連の報せを受けた伊勢は全艦に開戦を通達し各艦は戦闘態勢に入り……


≪ゴオォーーン……!≫
瑞鳳「小沢艦隊の本当の力、見せてやりましょ!さあ、やるわよ! 攻撃隊、発艦!」

翔鶴「いい?瑞鶴、行くわよ!全航空隊、発艦始め!」

瑞鶴「勿論よ、翔鶴姉!第一次攻撃隊。発艦始め!」

雲龍「よし、第一次攻撃隊、発艦始め」

天城「烈風…眩しい翼…あっ、自分の艦載機なのに、見惚れちゃいました!
天城航空隊!あっ、お願いします!」

葛城「よぉし、敵艦隊を見つけたわ!稼働全艦載機、発艦はじめ!」

≪オォォォ……ググオォーーン!≫

空母から航空隊が次々と発艦。
鎮守府の主力戦闘機“烈風”と“紫電改二”を筆頭に100を超える。
更に……


≪ゴオォーーン!≫

伊勢「小沢囮艦隊のときに比べれば、この位どうとでもないわ!四航戦攻撃隊!発艦始め‼︎」

日向「航空戦艦の真の力、思い知れ!四航戦攻撃隊!出撃しろ‼︎」

扶桑「西村艦隊の本当の力…見せてあげる!攻撃隊、発艦始め‼︎」

山城「山城、姉様と一緒ならどこへでもっ!攻撃隊発艦せよ‼︎」

≪オォォォ……グオォーーン!≫

航空戦艦4隻からも水上爆撃機の瑞雲がカタパルトから射出され、空母艦載機と航空戦艦艦載機の混合攻撃隊が曇りがかった大空に巨大な編隊を組んで敵陣へと乗り込んで行った。


伊勢「では行くわよ!全艦戦闘配備!迎撃用意‼︎」

『おお〜〜!』

一方伊勢を旗艦とする第二攻略部隊は陸軍部隊を陣の中心に置いた対空・対潜輪形陣を形成して更に進撃を続けた。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

……主人公サイド……



その頃……



≪ズズズッ……≫

開戦から大体2時間が経過。眼下に広がるのはこちとらの攻撃で轟沈して行く敵艦(深海棲艦)の残骸だった。もうそれを何度も立て続けに見て来たけど、なんだか居心地が悪くなるのは気の所為だろか?

霧島「提督、どうかされました?」

座蒲郎「ん?いや、なんでもないが……」

目の前のこうけと居心地の悪さで皆の声が聞こえなかったけど、霧島からの言葉で正気に戻れた。けど何故か嫌な予感がする。

座蒲郎「しゅ、首尾はどうなってる?」

榛名「えー〜と……戦艦レ級4隻と正規空母ヲ級8隻、あと軽空母ヌ級13隻と重巡以下の護衛艦艇も多数轟沈。
それに対して私達は比叡お姉さまが主砲2番砲塔に敵戦艦の命中弾を、アイオワは2本の魚雷攻撃を受けましたが損害は至って軽微。空母部隊は輪形陣に守られ無事でしたが護衛の鹿島が急降下爆撃で煙突を吹き飛ばされて炎上しましたが現在は鎮火し小破で済みました。
航空機は戦闘機が数機程撃墜されましたが航空戦力は未だ健在です」

座蒲郎「そうか、ならばいい……」

とはいえ状況確認の為首尾を聞くと、既に10隻以上の敵主力艦を血祭りにし、対してこちらの損害は比叡とアイオワが軽微で鹿島が小破し航空機を数機しか喪失しなかったという大戦果。これには流石に安堵はしたが、肝心なのは……

座蒲郎「親玉と思しき飛行場姫はどうだ?」

榛名「いえ、それがまだ……」

座蒲郎「来ないのか?」

榛名「はい……」

座蒲郎「……」

敵の司令艦とも言える飛行場姫。現実でもこれの相手にはかなり苦戦を強いられてたから、これを叩かない以上は安心なんて到底出来ない。だがその飛行場姫は未だ姿を見せていないらしく、“もしかすると第二部隊の方へ向かったのでは?”っと考えてしまいとても心配になる。


霧島「提督!対水上電探に感あり!空母2隻と重巡1隻、駆逐艦3隻の空母部隊に間違いありません!しかも大型の空母です‼︎」

座蒲郎「何⁉︎」

その時、霧島から入った報告で“遂に(飛行場姫が)来たか⁉︎”っと思ったけど、まだ決まったわけじゃないから安心出来ない。
そこへ……

神通「提督!敵艦隊見ゆ!飛行場姫を中心とする機動部隊を確認‼︎
11時の方角!距離39000!敵速30ノット‼︎」

座蒲郎「遂にか⁈」

神通「はい!間違いありません‼︎」

神通から入った報告で相手が飛行場姫だと断定し、“やっと来たか……”っと思いながらも、“飛行場姫相手に勝てるのか?”っという不安もあった。

赤城「提督!見えました!飛行場姫を旗艦とする敵航空艦隊です‼︎」

座蒲郎「!」

そんな時に入った赤城からの報告に急ぎ双眼鏡を覗きこんで確認すると……


『……』

確かにデカい空母が1隻いた。但し、それは戦後建造されたミニッツ級だった。
他は戦前アメリカの重巡ニューオーリンズ級と駆逐艦ギアリング級3隻なのに……

金剛「テートク!あの艦(ミニッツ級)は飛行場姫の艦隊に間違いありまセーン‼︎」

座蒲郎「はぁ⁉︎」

けどそこに入った金剛からの言葉でつい耳を疑ってしまった。第一として、艦体が戦前の艦ならまだ良しとしても戦後の艦なんて扱われ方が違うにも程がある。

座蒲郎「はぁ…仕方ないか……。
金剛,比叡,榛名,霧島,アイオワの戦艦5隻と、護衛に駆逐艦夕立の6隻にて単縦線を組んで敵艦隊に対して砲撃戦を仕掛けこれを撃破する!赤城,加賀,飛龍,蒼龍4空母と護衛の吹雪,綾波,島風はあきつ丸等の第八艦隊と合流して輪形陣を組んで警戒を厳にしつつ航空攻撃で支援せよ‼︎
尚、第三水戦は敵の新手が来ないか見張れ!敵を見つけ次第砲雷戦で持って撃破!場合によっては赤城達に航空支援を要請しろ‼︎」

『はい!』

とはいうものの、そんな事考えても仕方がないから飛行場姫麾下の艦隊に戦いを挑む為にこちとらの艦隊を再編成に取り掛かった。


陸軍少将「いよいよですね。この戦いの最大の山場が……」

座蒲郎「その様ですね」

確かに陸軍少将の言う通りだ。この北方海域での海戦に勝つには奴等のリーダー格の飛行場姫を倒す他に無い。奇姫(正確には第一特務艦隊全員)みたいにすれば血を流さずには済むかもしれない。けれど既に多くの血が流れてるし彼女達(奇姫等)の場合は至って特別らしいから皆そうとは限らないから無理だろう。ならば止むを得ないから力でケリをつけるしか道を通っては無い。

ーーー

金剛「テートク!全艦の艦隊サイヘンセーが終わったネー‼︎」

座蒲郎「良し分かった!
全艦に通達!“これより海戦はより激しさを増すこととなる、警戒を一層厳重にせよ‼︎”」

『はい!』

現在日時は7月29日の13:42(ヒトサンヨンフタ)、北方海域海戦の運命を賭けた決戦がキスカ島沖にて始まりを告げた。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

……アナザーサイド……



その頃、同日の10:26(ヒトマルフタロク)



≪ドンドンドォンッ!……ズッズーン!≫

≪ゴオォーーン!……ズガァーン!≫

無線封止のままアムチトカ島から1海里(約1.85km)も満たさない海域まで肉迫した第二攻略部隊は敵飛行場への攻撃が開始していた。
この時、アムチトカ島付近の敵艦隊主力は第一攻略部隊迎撃で出払っており、現在付近を守っていたのは軽巡ホ級を軸とする水雷戦隊のみで、しかも飛行場の航空機は度重なる出撃と損害でスッカリ消耗していて更に機体は故障に見舞われてマトモに稼動出来るのはたった十数機のみだった。


伊勢「主砲榴弾装填!主砲、四基八門、一斉射!」

≪ドオンッ!≫

日向「航空戦艦の真の力、思い知れ!」

≪ドンッ!≫

扶桑「主砲、副砲、撃てぇ!」

≪ドンッ!≫

山城「主砲、よく狙って、てぇーっ!」

≪ドンドンッ!≫

大和「第一、第二主砲。斉射、始め!」

≪ゴォーーンッ!≫

現実、敵勢力は第二部隊の攻撃で無力化され、アムチトカ島の深海棲艦は最早“袋の鼠”と同然だった。
現在は敵艦隊を一掃し敵飛行場攻撃と陸軍部隊上陸を手助けする為に艦砲射撃と航空攻撃による対地攻撃を加えていた。

ーーーー

攻撃が始まって1時間以上経過した11:30(ヒトヒトサンマル)



≪ザッザッザッ……≫

陸軍制圧部隊が次々とアムチトカ島に上陸し航空機支援の下で敵地上部隊を制圧。ものの1時間も掛からず飛行場も制圧された。
飛行場の建物は攻撃でやられていたものの、幸いにも滑走路は無事で建物を建て替えれば難なく使える状態であった。
但しここまでの戦闘で翔鶴が敵重巡の攻撃で中破し、扶桑と山城も航空甲板に爆撃を受けて小破し甲板は暫し使い物にならなくなってしまった。他にも矢矧と高波が機関部に損傷を受け大破し、最上が主砲に直撃弾を喰らって第三砲塔に穴が空いて中破。
航空機も十数機程(9割が水上機)を喪失するも航空戦力は顕在。一方の陸軍制圧部隊は地上戦何ら敵の抵抗を受けなかったが、それでも損害は決して小さいものとは言えなかった。


大和「陸軍部隊より打電。“我、敵飛行場制圧に成功せり。ここは我等に任せ、貴艦らは提督より与えられし主目的を遂行せよ。”、以上です」

伊勢「そう、なら良かったわ。
全艦に告げるわ。これより本艦隊はここに残って陸軍さん達を支援する艦隊と提督からの命に従い攻撃に参加する艦隊に別れて再編成します。
私達戦艦隊は勿論増援に向かうけど、扶桑と山城とその他護衛艦は念の為ここに残って空母部隊を守って頂戴」

「「ええ(勿論よ)!」」

伊勢「残りは皆付いて来て!各艦出撃よ‼︎」

『おお〜〜〜!』

そんな中飛行場を制圧した陸軍から通信で伊勢はAT作戦の第二段階に移る事として艦隊を再編。伊勢,日向,大和と、護衛に初春と夕雲と風雲の第一攻略部隊支援艦隊と残りのアムチトカ島護衛艦隊の二手に別れ支援艦隊は飛行場姫と第一攻略部隊が激戦を繰り広げているキスカ島沖へと艦を向けた。時は7月29日の15:12(ヒトゴウヒトフタ)だった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

……主人公サイド……



16:49(ヒトロクヨンキュウ)の第一部隊



≪ドンドンドオォーンッ!……ズズンズガンッ!≫

≪ゴォーンッ!……ズドーーンッ!≫

飛行場姫「キャァ!」

あれから3時間以上経過したが一向に決着がつかない。相手が深海棲姫である以上は当然の話だが、飛行場姫は夜戦攻撃が通用しないという特徴を持ってる以上は速めにケリをつけないとコッチが不利になってしまう。
けど相手は深海棲姫、幾ら攻撃を加えても一向に沈む気配が無い。それどころか、性懲りも無く攻撃機を出してるから面倒にも程がある。
だがそうも言ってはいられない。何せ1時間半程前に加賀が敵の急降下で艦橋構造物と航空甲板が被弾して中破して炎上を起こしていたんのだ。現在は炎は治まり航空機も発着艦出来る状態ではあるものの、第三水戦の川内と長波が雷撃で被弾してしまいマズイ状況に陥っている。今のままで夜戦なんか突入したらとても支えきれなくなって押し返しされて総崩れになってしまう危険性がある。


陸軍少将「持ち堪えられますか?」

座蒲郎「今のままですと危ないですね、せめて第二部隊の応援が到着すれば一気に力押しで叩けるのですが……」

この辺りの日没時間は精々18:00〜19:00の間、夜になるまであと1~2時間くらいしかない。せめてAT作戦を遂行してる第二部隊が到着すればなんとかなるが、問題は間に合うかだった。


その時……

≪ドンッドンッドオンッ!≫

≪ズズーーンッ!ズガンッズドンッ!≫

飛行場姫「キャァ!ヤァダ、イタイジャナイ‼︎ 」

『!』

飛行場姫が多数の水柱と同時に被弾して甲板が炎上。

伊勢「提督!こちら伊勢、これより攻撃に参加します‼︎」

座蒲郎「そうか、なら頼む!陽が落ちる前に、何としてもケリを付けるぞ‼︎」

『はい!』

飛行場姫に不意打ちを浴びせたのは別動隊の第二部隊の応援だった。生憎扶桑と山城は護衛で居ないみたいだが、それでも大和が居るのなら充分戦力が足りる。
そして、そこから怒涛の集中攻撃が開始された。

ーーーー

それから更に1時間が経過し……

≪ズズズズ……≫

飛行場姫「タクサンノテツ…シズム…コノ、ウミデ……ソウ……」

大和から放たれた46cm徹甲弾で航空甲板が吹き飛んで飛行場姫は冷たい海の底へと沈んで行った。
時間は17:56(ヒトナナゴウロク)、陽が水平線へと沈んで行く寸前の時間帯だった。

ーーーーーーーーーー

金剛「テートク!敵は沈んで行ったデース!このバトルはミー達の勝利デース‼︎」
座蒲郎「そうだな、大本営海軍部へ電文。“我、敵艦隊を北方より掃除したり、我が方の勝利なり。”以上だ。」
霧島「畏まりました、直ちに打ちます」
座蒲郎「はぁ……」

長い戦いが終わってすぐ、大本営に対して電報を打つよう命じて早速霧島が取り掛かり、俺はスッカリ疲れて深く椅子に腰掛けた。緊張感から解放された猿の様に(とはいえ、この描写で伝わりますかね……?)……


陸軍少将「終わりましたね」
座蒲郎「ですね。しかしもう疲れてチョット休息を取りたいものですがね」
陸軍少将「ならば今晩はキスカ島で一夜越しませんか?
戦友達は皆提督に会いたがっていますし」
座蒲郎「ええ、是非お願いします」

こうして俺…いや俺等はキスカ島東部のキスカ湾に艦隊を集結させて現地司令官の陸軍中将(制圧部隊とは別の人なのは同然の話)と会合し、更に守備隊兵共に尊敬と信頼の念を受けながら温かく迎えてくれたのが一番の癒しと言えた。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

その夜……戦いに参加した艦隊の各旗艦と敵飛行場を制圧した陸軍部隊指揮官と幕僚を集め今回の北方作戦による結果を纏める事となった。
作戦通り敵艦隊を叩いて北方海域から排除し、更に敵飛行場を占領するに至った。だがその代わりにこちらは艦は撃沈されなかったものの、戦艦比叡とアイオワと扶桑と山城が小破し霧島が飛行場姫に気をとられてたせいで敵の爆撃を受けて中破して残りは皆健在、空母は翔鶴と加賀が中破で後は無事、巡洋艦は最上中破し矢矧と川内が大破と鹿島が小破、駆逐艦は長波と高波が大破と合計13隻が損傷したものの皆航行は可能で現在応急処置が施されている。

座蒲郎「戦いには勝ったが、損害がな……」

今回の作戦においてコッチは勝利を収めたと言えば収めた方だが、そんなのは単に戦術的な勝利だ。戦略的に見れば主力艦が手痛い損傷を受けて、鎮守府まで回航させる事は出来てもすぐにドッグに入れて修理させねばならないし、その間は別の艦隊に代役を担ってもらう必要があるから戦略的敗北と見てもいいだろう。

座蒲郎「艦の自己防御性能を高める必要があるな」

今回の戦いの戦訓を踏まえて辿り着いた俺なりの答えがそれだった。前の改装で各艦の装備を充実させたのは良いが、今回の様な損害が何度もあっては流石に撃沈される艦が出てしまう。それだけは何としても防ぎたい話だ。
その為にも装備をより固めなくてはならないと俺は確信し、明日への帰投に備え寝る事にした。
時刻は02:33(マルフタサンサン)だった。

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翌朝の07:00(マルナナマルマル)



同行していた陸軍少将に別れを告げ、泊地へ帰還する陸軍部隊を護衛しながら北方海域を後にした。

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8月14日の10:24(ヒトマルフタヨン)



津軽海峡で陸軍部隊と別れた俺達は無事横須賀鎮守府に帰ってこれた。
だが損傷した艦が居る為、比叡等の13隻は帰投と同時にドッグ入りさせ、俺は足早で執務室に入り事故処理と今回の結果を報告書にまとめる為すぐにデスクワークに取り掛かった。

(続く) 
 

 
後書き
次回……提督、大淀の言葉であることに気付く……
(まぁ……判る人は判ると思いますが……) 
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